厚生年金はいくら引かれる?2026年の保険料率と月収別の天引き額をわかりやすく解説

社会保険

会社員の給与明細を見ると、毎月数万円の「厚生年金保険料」が差し引かれていて、「こんなに引かれるの?」「みんなはいくら払っている?」と気になることがあります。

2026年8月時点の厚生年金保険料率は18.3%です。ただし、この18.3%を会社員本人がすべて負担するわけではありません。厚生年金保険料は原則として会社と従業員が半分ずつ負担するため、本人負担は原則9.15%です。

さらに、単純に毎月の手取り前給与へ9.15%を掛けるわけではなく、「標準報酬月額」という区分を使って計算します。この記事では、厚生年金が月給からどのくらい引かれるのか、月収別の目安、賞与から引かれる金額、給与が変わっても厚生年金額がすぐ変わらない理由まで分かりやすく解説します。

厚生年金の保険料率は18.3%、本人負担は原則9.15%

日本年金機構によると、厚生年金保険料は「標準報酬月額×保険料率」で計算します。現在の厚生年金保険料率は18.3%で、事業主と被保険者が原則として半分ずつ負担します。

そのため、会社員本人が給与から負担する厚生年金保険料は原則として18.3%の半分、つまり9.15%です。残りの9.15%相当は勤務先が負担します。

たとえば標準報酬月額が30万円なら、厚生年金保険料全体は30万円×18.3%=54,900円です。そのうち本人負担は半分の27,450円となり、会社も原則27,450円を負担します。

[参照] 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

月収別に見る厚生年金の天引き額の目安

厚生年金の本人負担を大まかにつかむだけなら、「標準報酬月額のおよそ9.15%」と考えると分かりやすいでしょう。

標準報酬月額が次の金額だった場合、本人負担の厚生年金保険料はおおむね以下のようになります。

標準報酬月額 厚生年金保険料の本人負担額
20万円 18,300円
22万円 20,130円
24万円 21,960円
26万円 23,790円
28万円 25,620円
30万円 27,450円
32万円 29,280円
34万円 31,110円
36万円 32,940円
40万円 36,600円
50万円 45,750円
65万円 59,475円

たとえば給与明細で毎月2万7,000円前後の厚生年金が引かれているなら、標準報酬月額30万円程度の区分になっている可能性があります。

ただし、実際の給与額と標準報酬月額には差があるため、この表はあくまで仕組みを理解するための目安です。

厚生年金は「額面給与×9.15%」と完全には一致しない

給与明細を見て「総支給額30万8,000円なのに、30万8,000円×9.15%と厚生年金の金額が合わない」と感じることがあります。これは厚生年金が実際の給与額そのものではなく、一定の幅ごとに区分された「標準報酬月額」で計算されるためです。

日本年金機構によると、標準報酬月額は現在、8万8,000円から65万円までの32等級に分けられています。実際の報酬月額を対応する等級へ当てはめ、その標準報酬月額に18.3%を掛けて保険料を計算します。

たとえば実際の報酬が29万円台でも、標準報酬月額が30万円の等級になれば、本人負担は27,450円です。このため、給与明細の総支給額へ単純に9.15%を掛けても数百円~数千円程度ずれることがあります。

[参照] 日本年金機構「厚生年金保険料額表」

標準報酬月額には基本給だけでなく残業代や通勤手当も含まれる

標準報酬月額を決める際の「報酬」は、基本給だけではありません。日本年金機構によると、基本給のほか残業手当、通勤手当など、労働の対価として継続的に支払われるものも原則として含まれます。

そのため「基本給は25万円なのに厚生年金が思ったより高い」という場合、残業代や通勤手当などを含めた報酬によって標準報酬月額が高い等級になっている可能性があります。

たとえば基本給25万円、通勤手当1万円、毎月の残業手当が3万円程度なら、報酬月額としては29万円程度になります。この金額をもとに標準報酬月額の等級が決まり、厚生年金保険料が計算されます。

厚生年金の金額は原則として毎年9月に見直される

厚生年金の標準報酬月額は、一般的には毎年4月・5月・6月に支払われた報酬をもとに算定され、その結果が原則として9月から翌年8月まで適用されます。これを「定時決定」といいます。

そのため、ある月だけ残業が多かった・少なかったという理由で、厚生年金保険料が毎月細かく変動する仕組みではありません。

たとえば4~6月の給与をもとに標準報酬月額30万円と決まれば、原則としてその年の9月から翌年8月まで30万円を基準として厚生年金保険料が計算されます。ただし、固定給が大幅に変わった場合などには途中で標準報酬月額が改定されることがあります。

ボーナスからも厚生年金は引かれる

厚生年金は毎月の給与だけでなく、賞与からも差し引かれます。賞与では、税引き前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」を使って保険料を計算します。

厚生年金の賞与に対する保険料率も18.3%で、会社と従業員が原則折半するため、本人負担は約9.15%です。

たとえば賞与が50万円なら、標準賞与額も50万円となり、本人分の厚生年金は50万円×9.15%=45,750円です。100万円の賞与なら本人負担は91,500円となります。

標準賞与額 厚生年金の本人負担額
20万円 18,300円
30万円 27,450円
50万円 45,750円
80万円 73,200円
100万円 91,500円

なお、厚生年金の標準賞与額には1カ月あたり150万円の上限があります。同じ月に複数回賞与が支給された場合は合算して上限が適用されます。

[参照] 日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」

給与明細では「厚生年金保険料」の欄を確認する

自分が実際にいくら負担しているのか知りたい場合は、給与明細の社会保険料欄を確認するのが最も簡単です。「厚生年金」「厚生年金保険料」などと表示されています。

たとえば給与明細に「厚生年金 29,280円」と書かれていれば、それがその月に給与から控除された本人負担分です。会社も原則として別途同程度を負担しています。

給与明細には厚生年金のほか、健康保険、雇用保険、40歳以上の場合は介護保険なども表示されるため、「社会保険料全体」と「厚生年金だけ」を混同しないようにしましょう。

健康保険料と合わせると社会保険料がかなり大きく見える

給与明細を見ると、厚生年金だけでなく健康保険料や雇用保険料なども同時に差し引かれています。そのため、社会保険全体では毎月かなり大きな金額になります。

たとえば標準報酬月額30万円なら厚生年金だけで27,450円です。ここへ健康保険料、雇用保険料、該当者なら介護保険料が加わります。さらに所得税や住民税も差し引かれるため、額面給与と手取りには大きな差が生じます。

「給料30万円なのに数万円も社会保険で引かれている」という場合でも、厚生年金だけの金額ではないことがあります。給与明細を項目ごとに分けて確認すると原因が分かりやすくなります。

会社も同額程度を負担している

厚生年金について意外と見落とされやすいのが、給与明細に記載されている金額は保険料全体の半分程度だという点です。

たとえば本人の給与から毎月30,000円程度の厚生年金保険料が引かれているなら、勤務先も原則として同程度を負担しています。つまり厚生年金制度へ納められる保険料全体では月6万円程度になるイメージです。

日本年金機構によると、事業主は給与・賞与から従業員負担分を控除し、事業主負担分と合わせて年金事務所へ納付します。

[参照] 日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」

厚生年金を払うと老齢年金だけでなく障害・遺族保障もある

厚生年金は老後にもらう年金だけの制度ではありません。一定の条件を満たせば、病気やけがによって障害が残った場合の障害厚生年金や、加入者が亡くなった場合に遺族へ支給される遺族厚生年金にもつながります。

また、厚生年金へ加入している会社員は国民年金の第2号被保険者でもあり、基礎年金部分に厚生年金部分が上乗せされる仕組みです。

そのため毎月の控除額だけを見ると負担が大きく感じられますが、厚生年金保険料は老齢・障害・死亡という複数のリスクに関係する社会保険料です。

手取りを計算するときは厚生年金だけでは足りない

「月給30万円なら厚生年金が約2万7,000円なので、手取りは27万円程度」と計算することはできません。実際には厚生年金以外にも複数の控除があります。

代表的なものは健康保険料、雇用保険料、所得税、住民税です。40歳以上65歳未満なら原則として介護保険料も健康保険料とあわせて負担します。

そのため額面給与から手取りを把握したい場合は、厚生年金だけでなく給与明細の「控除合計」を確認するのが確実です。

まとめ:厚生年金は標準報酬月額の約9.15%が本人負担の目安

2026年8月時点の厚生年金保険料率は18.3%で、会社と従業員が原則として折半します。そのため、会社員本人の負担は標準報酬月額の約9.15%が基本です。

たとえば標準報酬月額20万円なら本人負担は18,300円、30万円なら27,450円、40万円なら36,600円、50万円なら45,750円が目安です。給与だけでなく賞与にも原則9.15%相当の本人負担があります。

ただし、実際の厚生年金保険料はその月の額面給与へ単純に9.15%を掛けるわけではありません。基本給・残業代・通勤手当などを含む報酬をもとに決められた「標準報酬月額」を使うため、額面給与と計算結果が少しずれることがあります。

自分が実際にどれくらい引かれているのか確認したい場合は、給与明細の「厚生年金保険料」を見るのが最も確実です。そして、その金額とは別に勤務先も原則として同額程度を負担していることを覚えておくと、厚生年金の仕組みを理解しやすくなります。

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