産後パパ育休の社会保険料はいつ免除される?分割取得・月末・14日ルールと給与から引かれた場合の返金を解説

社会保険

産後パパ育休(出生時育児休業)を取得すると、一定の条件を満たした月について健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。しかし、育休を28日間取得すれば単純に「28日分の保険料が免除される」という制度ではありません。どの月の保険料が免除されるかは、育休の開始日・終了日・月末をまたぐかどうかなどによって月単位で判定されます。

例えば、2026年7月31日~8月13日と、2026年8月29日~9月11日の2回に分けて産後パパ育休を取得する場合、原則的な月額社会保険料の免除対象は7月分と8月分と考えられます。9月分については、9月末まで育休が続かず、9月中に新たに14日以上の同月内育休を取得する形でもないため、通常は免除対象になりません。

また、給与明細から社会保険料がいったん引かれていても、それだけで免除されないことが確定したわけではありません。会社の届出や給与計算のタイミングによって、後の給与で控除を取り消したり返金したりするケースがあります。出生時育児休業給付金などの「育休の手当」と社会保険料の返金は別の制度である点も重要です。

産後パパ育休でも健康保険料・厚生年金保険料は免除される

産後パパ育休は正式には「出生時育児休業」と呼ばれ、子の出生後8週間以内に原則4週間まで取得でき、2回に分割することもできます。

日本年金機構は、産後パパ育休を社会保険料免除の対象となる育児休業等の一つとして明記しています。事業主が年金事務所または健康保険組合などへ申し出ることで、条件を満たした期間の健康保険料・厚生年金保険料について、本人負担分と事業主負担分の両方が免除されます。[参照:日本年金機構 育児休業等を取得したときの手続き]

免除された期間について、将来の厚生年金額がその分だけ減額される仕組みではありません。免除期間も保険料を納付したものとして年金額の計算に取り扱われます。

月額社会保険料の免除には「月末」と「14日以上」の2つの判定がある

2022年10月以降、毎月の給与にかかる社会保険料については、育休期間に応じて大きく2つのルールで免除が判定されます。

ケース 月額保険料の扱い
育休開始月と、育休終了日の翌日が属する月が異なる 開始月から、終了日の翌日が属する月の前月まで免除
育休開始月と、育休終了日の翌日が属する月が同じ その月に14日以上育休を取得すれば免除

日本年金機構も、育休開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までが免除されることに加え、開始月と終了日の翌日が属する月が同じ場合でも、その月に14日以上育休を取得すれば免除になると案内しています。[参照:日本年金機構 社会保険料の免除要件]

したがって、「育休を合計28日取ったから2か月分免除」といった日数だけの判断ではなく、一つひとつの休業期間を暦月に当てはめる必要があります。

2026年7月31日~8月13日の育休では7月分が免除

まず、1回目の産後パパ育休を2026年7月31日~8月13日まで取得するケースを考えてみます。

育休開始日は7月31日です。一方、育休終了日は8月13日なので、その翌日は8月14日です。開始日の属する7月と、終了日の翌日が属する8月は異なる月になります。

この場合、日本年金機構が示す「開始月から、終了日の翌日が属する月の前月まで」というルールを当てはめます。

終了日の翌日は8月14日なので、その月の前月は7月です。したがって、1回目の育休によって7月分の健康保険料・厚生年金保険料が免除対象となります。

8月1日から8月13日まで13日間休んでいるものの、この1回目の休業だけを理由に8月分まで免除されるわけではない点がポイントです。

2026年8月29日~9月11日の育休では8月分が免除

次に2回目として、2026年8月29日~9月11日まで産後パパ育休を取得するケースを考えます。

開始日は8月29日、終了日は9月11日で、その翌日は9月12日です。開始日の属する8月と終了日の翌日が属する9月が異なります。

このため免除期間は、開始月である8月から、終了日の翌日が属する9月の前月、つまり8月までとなります。

したがって、2回目の育休によって8月分の健康保険料・厚生年金保険料が免除対象となります。

特に8月31日はこの育休期間の中に含まれています。いわゆる「月末を含む育休」に該当するため、8月分については免除の対象になると考えるのが基本です。

9月11日まで育休でも9月分は原則免除されない

混乱しやすいのが9月分です。9月1日~11日まで育休期間なのだから、9月分も社会保険料が免除されるように思えるかもしれません。

しかし、2回目の育休は8月29日に始まり、9月11日に終了しています。免除期間の基本ルールでは、開始月である8月から「終了日の翌日である9月12日が属する月の前月」までとなるため、免除されるのは8月分までです。

また、9月末の9月30日は育休期間ではありません。そのため、月末を含むことによる9月分の免除もありません。

今回のような日程なら、原則として次のように整理できます。

育休の状況 月額社会保険料
2026年7月 7月31日が育休 免除対象
2026年8月 8月29日~31日を含む2回目の育休あり 免除対象
2026年9月 9月1日~11日まで育休、月末は通常勤務 原則として免除対象外

「合計28日だから8月・9月が免除」ではない

産後パパ育休は最大28日間取得できるため、「28日間取れば社会保険料も28日分、あるいは2か月分免除される」と誤解されることがあります。

しかし社会保険料は日割りではなく、基本的に月単位で発生します。そのため28日の休業をどの日程に配置するかによって、免除される月が変わることがあります。

例えば7月31日から始める休業では、わずか1日だけ7月に休業していても、月をまたぐ育休の開始月となるため7月分が免除対象になります。一方、9月に11日間休んでいても、今回のような日程では9月分は原則免除されません。

社会保険料免除では「何日休んだか」だけでなく、「育休をいつ開始し、いつ終了し、どの月をまたいでいるか」が重要です。

14日ルールはすべての月に使えるわけではない

2022年10月の制度改正で、「同じ月に14日以上育休を取れば社会保険料が免除される」というルールが追加されました。しかし、この部分だけを覚えていると誤解しやすくなります。

日本年金機構が案内する14日以上の要件は、育休開始日の属する月と、育休終了日の翌日が属する月が同一である場合に、その開始月を免除するための仕組みです。[参照:日本年金機構 育児休業等取得者申出書]

例えば8月1日から8月14日まで同じ8月の中だけで14日間の育休を取得した場合は、月末が育休でなくても8月分が免除対象になります。

一方、8月29日から9月11日という月をまたぐ育休では、別の基本ルールによって開始月の8月が免除されます。「9月にも休業日があるから、9月について14日ルールをもう一度判定する」という仕組みではありません。

産後パパ育休中に働いた日がある場合は14日判定に注意

産後パパ育休には、労使協定を締結している場合など一定の条件のもとで、休業期間中に一部就業できる仕組みがあります。

ただし社会保険料免除の14日要件を判定する場合、産後パパ育休中に事前調整して実際に就業した日は、14日の日数に含まれません。厚生労働省もこの点を明記しています。[参照:厚生労働省 育児休業等期間中の保険料免除の取扱い]

産後パパ育休期間中に就業する予定がある場合は、カレンダー上の休業期間だけで「14日あるから免除」と判断せず、実際の就業日も含めて会社の人事・給与担当者へ確認する必要があります。

8月の給与から社会保険料が引かれていても、それが8月分とは限らない

給与明細を見る際に特に注意したいのが、給与を受け取った月と、控除されている社会保険料の対象月が一致するとは限らないことです。

日本年金機構によると、会社は当月に支払う給与から前月分の標準報酬月額にかかる社会保険料を控除することができます。例えば8月支給の給与から7月分の社会保険料を引く「翌月控除」を採用している会社があります。[参照:日本年金機構 厚生年金保険料等の納付]

一方、給与計算の運用によっては当月分を当月給与から控除する会社もあります。

そのため「8月の給与明細で社会保険料が引かれていた」という情報だけでは、7月分を引かれたのか8月分を引かれたのか判断できません。給与明細や会社の給与規程、人事・給与担当者への確認が必要です。

今回の日程なら7月分・8月分は最終的に免除されるのが基本

今回の例では、1回目の7月31日~8月13日の育休によって7月分、2回目の8月29日~9月11日の育休によって8月分が、それぞれ免除対象になると考えられます。

したがって、会社が翌月控除を採用している場合、通常は8月支給給与で控除される7月分、9月支給給与で控除される8月分について、最終的には本人負担がなくなる形になります。

ただし会社の給与締切や育休申出書の処理時期によっては、給与計算時点で免除情報が反映できず、いったん通常どおり社会保険料を控除することがあります。

その場合は後日、会社側の給与計算で控除額を調整したり、過徴収分を返金したりするのが一般的です。具体的な返金月や方法は勤務先によって異なります。

会社の「毎月18日締め」は免除対象月そのものを決める基準ではない

給与の締め日が毎月18日である場合、「7月19日~8月18日を8月給与として計算する」といった給与計算上の区切りが設定されている可能性があります。

しかし、社会保険料の育休免除を判定するときの「7月」「8月」「9月」は、会社独自の給与締め期間ではなく、原則として暦月の1日から末日を基準に考えます。

したがって毎月18日締めだから「7月31日は8月扱いになり、7月分の社会保険料は免除されない」ということにはなりません。

ただし、18日締めという給与計算スケジュールは、免除がどの給与明細に反映されるかには影響する可能性があります。締め日の時点で会社の社会保険手続きがまだ完了していなければ、一度控除して後から精算することも考えられます。

社会保険料の返金と育休手当は別々の手続き

社会保険料がいったん給与から控除された場合、「数か月後に支給される育休の手当と一緒に返金されるのでは」と考えることがありますが、基本的には別の仕組みです。

出生時育児休業給付金などは雇用保険から支給される給付です。一方、健康保険料・厚生年金保険料の免除は、会社が社会保険の手続きを行い、給与からの本人負担分を徴収しない制度です。

厚生労働省によると、一定の要件を満たして産後パパ育休を取得した雇用保険の被保険者には、出生時育児休業給付金が支給されます。また、2025年4月以降は一定の条件を満たす場合に出生後休業支援給付金も支給されます。[参照:厚生労働省 育児休業等給付Q&A]

社会保険料を払い過ぎた場合、そのお金が育休給付金へ上乗せされてハローワークから返ってくるという仕組みではありません。給与明細上の調整・返金については勤務先に確認する必要があります。

会社は産後パパ育休の取得ごとに社会保険の申出手続きを行う

社会保険料は、本人が産後パパ育休を取っただけで自動的に給与システムから消えるものではありません。被保険者から育休の申し出を受けた事業主が、日本年金機構などへ「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」を提出します。

日本年金機構の申出書では、育児休業等を取得するたびに事業主が手続きを行う必要があると案内されており、産後パパ育休も対象に含まれています。[参照:日本年金機構 育児休業等取得者申出書]

そのため2回に分けて産後パパ育休を取得した場合、会社側の届出や給与処理にも時間差が生じることがあります。

8月給与で社会保険料が通常どおり控除されていた場合は、会社の人事・給与担当者へ「産後パパ育休の社会保険料免除申出は提出済みか」「8月給与から引かれた保険料は何月分か」「免除対象分はいつ精算される予定か」の3点を確認すると状況を把握しやすくなります。

賞与の社会保険料は月給とは免除条件が違う

毎月の給与にかかる社会保険料と、賞与にかかる社会保険料では免除条件が異なります。

2022年10月以降、賞与にかかる社会保険料については、賞与月の末日を含む連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限って免除対象となります。[参照:日本年金機構 育児休業中の賞与保険料免除]

例えば産後パパ育休を14日間ずつ2回取得して合計28日になっても、それだけで賞与の社会保険料が免除されるとは限りません。

今回のような7月31日~8月13日と8月29日~9月11日という分割取得では、それぞれの休業が連続1か月を超えていないため、賞与については月額保険料と同じ考え方をそのまま当てはめないよう注意が必要です。

社会保険料が引かれていたら給与担当者に確認するポイント

産後パパ育休後の給与明細で社会保険料が控除されていた場合は、次の事項を会社へ確認すると原因を切り分けやすくなります。

  1. 給与明細から控除された社会保険料は何月分か
  2. 7月31日~8月13日の育児休業等取得者申出書は提出済みか
  3. 8月29日~9月11日の申出書は提出済み、または提出予定か
  4. 7月分・8月分の健康保険料と厚生年金保険料は免除処理される予定か
  5. すでに控除した本人負担分は何月の給与で返金・調整されるか

「社会保険料が引かれているのですが間違いですか」と聞くより、「この控除は何月分で、育休免除分はいつ調整されますか」と具体的に確認するほうが話が早く進みます。

もし会社側でも免除対象になるか判断できない場合は、事業所を管轄する年金事務所や加入する健康保険組合などで確認できます。

まとめ:7月31日~8月13日・8月29日~9月11日なら原則7月分と8月分が免除

産後パパ育休の社会保険料免除は、合計取得日数だけではなく、育休の開始日・終了日と暦月の関係によって判定されます。

2026年7月31日~8月13日の育休では、開始月が7月、終了日の翌日が8月14日となるため、原則として7月分の健康保険料・厚生年金保険料が免除対象になります。

2026年8月29日~9月11日の育休では、開始月が8月、終了日の翌日が9月12日となるため、原則として8月分が免除対象になります。

一方、9月については9月末まで育休を取得しているわけではなく、この休業の開始月でもありません。そのため、今回の日程で通常免除されるのは7月分と8月分であり、「8月分と9月分」ではありません。

また8月の給与明細から社会保険料が引かれていても、それが7月分なのか8月分なのか、会社が当月控除・翌月控除のどちらを採用しているかによって見え方が変わります。会社の毎月18日締めという給与締め日は、社会保険料の免除対象月そのものを変えるものではありませんが、給与への反映時期には影響する可能性があります。

免除対象分をいったん給与から控除された場合でも、会社の届出・給与計算のタイミングによって後日精算されることがあります。ただし、その返金は出生時育児休業給付金などの手当と一緒に支給される仕組みではありません。まず給与担当者へ「控除された保険料は何月分か」「7月分・8月分の免除申出は処理済みか」「過徴収分はいつ給与で精算されるか」を確認するのが適切です。

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