21歳で失業保険の日額5600円を受給すると親の扶養から外れる?健康保険と国民年金の手続きを解説

社会保険

退職後に親の健康保険の扶養へ入り、その後に雇用保険の基本手当、いわゆる失業保険を受給する場合、「失業給付はいくらまでなら扶養のままでいられるのか」「扶養を外れたら国民健康保険と国民年金を自分で払うのか」が問題になります。

特に注意したいのが、インターネット上でよく見かける「基本手当日額3,612円以上なら扶養から外れる」という情報です。これは一般的な年間収入130万円未満という基準をもとにした考え方ですが、2025年10月1日以降、親などの扶養に入る19歳以上23歳未満の人は、原則として年間収入150万円未満へ基準が引き上げられています。[参照:日本年金機構]

ただし、21歳で雇用保険の基本手当日額が約5,600円なら、130万円基準でも150万円基準でも大きく上回る水準です。そのため基本手当の受給開始後は、親の健康保険の被扶養者から外れる可能性が高いと考えられます。一方、国民年金については健康保険の扶養とは仕組みが異なるため、分けて理解する必要があります。

失業保険も健康保険の扶養判定では「収入」に含まれる

健康保険の被扶養者を判定するとき、給与だけが収入になるわけではありません。日本年金機構は、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金などについても被扶養者認定上の収入に含まれると案内しています。[参照:日本年金機構]

一般的な130万円基準では、雇用保険の基本手当日額が3,611円以下なら収入要件を満たし、3,612円以上の基本手当の支給が始まった場合には扶養削除の届出が必要とされています。

一方、2025年10月1日以降は、扶養認定を受ける人が19歳以上23歳未満で、被保険者の配偶者ではない場合、年間収入基準が130万円未満から150万円未満へ変更されています。学生であることは条件ではないため、21歳で職業訓練校へ通う人についても年齢要件を満たせば対象になります。[参照:日本年金機構]

21歳で基本手当日額5600円なら扶養継続は難しい可能性が高い

21歳は、原則として19歳以上23歳未満の150万円基準の対象です。年齢はその年の12月31日時点で判定され、19歳になる年から22歳になる年まで150万円基準が適用されます。[参照:日本年金機構]

150万円を年間360日で単純換算すると約4,167円です。そのため基本手当日額が5,600円であれば、150万円基準で考えてもかなり高い水準になります。ただし、雇用保険受給時の日額判定については加入している健康保険組合などによる確認が必要なため、最終判断は親が加入する健康保険の保険者へ確認してください。

例えば基本手当日額5,600円を年換算すると、5,600円×360日=201万6,000円相当です。実際に年間360日間受給するという意味ではありませんが、健康保険の扶養は原則として過去の年間実績だけではなく、認定時点からの今後1年間の収入見込みで判断します。[参照:日本年金機構]

したがって「実際にもらう失業給付の総額が150万円未満だから扶養に入れる」と単純に考えるのは避けたほうがよいでしょう。

失業給付をもらう前の待期・給付制限中は扶養に入れる場合がある

退職した直後から直ちに健康保険の扶養から外れるとは限りません。日本年金機構は、雇用保険の待期期間中でも収入要件を満たしている場合には被扶養者として認定できると案内しています。

そのため、退職後から失業給付の受給開始前までは親の健康保険の扶養となり、基本手当の受給が始まるタイミングで扶養を外れる、という流れになるケースがあります。

例えば10月15日から基本手当の支給対象となり、その日から扶養要件を満たさなくなると判断された場合には、その時点に合わせて親の勤務先を通じて健康保険の被扶養者削除手続きを行い、自分の健康保険を切り替えることになります。

具体的な扶養削除日は、雇用保険受給資格者証・受給資格通知に記載された内容などをもとに保険者が判断します。受給開始前に親の勤務先の社会保険担当者へ基本手当日額5,600円であることを伝えておくと手続きがスムーズです。

扶養を外れたら国民健康保険へ加入するのが一般的

親の健康保険の扶養から外れ、ほかの勤務先の健康保険にも加入していない場合は、原則として住所地の市区町村で国民健康保険へ加入することになります。

手続きの際には健康保険の資格喪失日を確認できる書類などを求められることがあります。必要書類は自治体によって異なるため、扶養削除の日付が決まったら住んでいる市区町村の国民健康保険窓口を確認しましょう。

なお、国民健康保険料は失業給付の日額から単純に決まるものではありません。前年所得や世帯構成、自治体の保険料率などによって計算されます。また、離職理由など一定の要件を満たす場合には国民健康保険料の軽減制度を利用できるケースもあるため、離職票や雇用保険受給資格者証を持って自治体へ確認する価値があります。

重要:親の健康保険の扶養に入っていても国民年金は別

ここは非常に間違えやすいポイントです。21歳の子どもが親の健康保険の扶養に入っているからといって、国民年金保険料まで「扶養」されて無料になるわけではありません。

国民年金で保険料を自分で納めなくてよい第3号被保険者になれるのは、厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者です。子どもは親の健康保険の被扶養者になれても、国民年金の第3号被保険者にはなりません。日本年金機構も、20歳以上60歳未満の無職の人などは、厚生年金や第3号被保険者に該当しなければ国民年金第1号被保険者になると案内しています。[参照:日本年金機構]

したがって21歳で会社を退職して厚生年金の資格を失い、現在無職であれば、原則としてすでに国民年金第1号被保険者への切り替えが必要です。「失業給付が始まって親の健康保険の扶養を外れた日から国民年金を払い始める」という関係ではありません。

退職後に国民年金への切り替えをしていない場合は、市区町村または年金事務所で現在の加入記録を確認しておくと安心です。

無職で国民年金が払えないなら免除・納付猶予を申請できる

失業中で収入が少なく、国民年金保険料を支払うのが難しい場合には、未納のまま放置するのではなく、免除・納付猶予制度を検討できます。

日本年金機構では、失業などによって保険料の納付が困難な場合、申請して承認されれば全額免除・一部免除または納付猶予を受けられる制度を設けています。20歳以上50歳未満で一定の所得要件を満たす人は納付猶予の対象になる可能性があります。[参照:日本年金機構]

さらに失業した人には特例があります。失業の事実を確認できれば、失業した本人の前年所得にかかわらず審査上その所得を除外して免除・納付猶予を受けられる場合があります。雇用保険受給資格者証、受給資格通知、離職票などが確認書類として利用できます。

ただし、全額免除については本人だけでなく世帯主などの所得も審査対象になる場合があります。一方、納付猶予では世帯主の所得を審査対象としないため、親と同居している21歳でも利用できる可能性があります。具体的な可否は年金事務所で確認するとよいでしょう。

職業訓練校に通うこと自体で健康保険の扶養基準がなくなるわけではない

職業訓練校に通うことと、健康保険の扶養資格は別問題です。19歳以上23歳未満の150万円基準についても、学生であることは要件とされていません。

したがって、「職業訓練生だから親の扶養に残れる」「学生扱いだから失業給付は収入に数えない」ということにはなりません。健康保険では失業給付を含めた収入状況をもとに判断されます。

一方、ハローワークの指示による公共職業訓練等では、一定の条件を満たすと雇用保険の基本手当について訓練期間中の給付に関する制度が適用されることがあります。失業給付そのものの受給期間については、健康保険ではなくハローワークに確認する必要があります。

まとめ:21歳・基本手当日額5600円なら健康保険と国民年金を別々に確認する

21歳で親の健康保険の扶養に入り、これから雇用保険の基本手当を日額約5,600円受給する場合、受給開始後は親の健康保険の被扶養者から外れる可能性が高いと考えられます。

2025年10月以降、19歳以上23歳未満の子どもなどについては健康保険の年間収入基準が130万円未満から150万円未満へ引き上げられているため、「3,612円」という情報だけを見ると現在の制度とずれる場合があります。ただし日額5,600円は150万円基準で考えても高いため、結論に大きな違いはありません。

健康保険の扶養を外れた後、ほかの会社の健康保険へ加入しないのであれば、通常は国民健康保険への加入手続きが必要です。具体的な扶養削除日については、親の勤務先または親が加入している健康保険組合・協会けんぽへ、雇用保険受給資格者証などを提示して確認しましょう。

一方で、国民年金は親の健康保険の扶養とは連動しません。21歳の子どもは親に扶養されていても国民年金第3号にはなれないため、会社を退職して厚生年金を抜けた時点から原則として国民年金第1号被保険者です。

国民年金保険料の支払いが難しい場合は、失業による特例免除や納付猶予を申請できる可能性があります。健康保険は親の勤務先・保険者、国民年金は市区町村や年金事務所、失業給付と職業訓練についてはハローワークというように、それぞれの窓口へ確認すると手続きの漏れを防ぎやすくなります。

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