長期間使っていない銀行口座を整理しようとしたとき、困りやすいのが「昔の住所から何度も引っ越している」「結婚や離婚で名字が変わった」「当時の届出印がない」といったケースです。特に20年以上前の口座では、現在の本人確認書類と銀行に登録されている情報が大きく異なっていることも珍しくありません。
ただし、長期間取引していない口座だからといって、預金を取り戻せなくなるとは限りません。金融庁によれば、休眠預金等となった後も取引のあった金融機関で引き出すことができ、払戻しに期限もありません。[参照:金融庁]
一方、実際に解約するときの必要書類は銀行や口座の状態によって異なります。住所・氏名・届出印のすべてが変わっている場合は、運転免許証だけで必ず手続きできるとは限らないため、本人確認と登録情報の変更をまとめて準備することがポイントです。
そもそも「休眠口座」になったら預金はなくなるのか
一般に休眠預金等活用法の対象となる「休眠預金等」は、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後入出金などの取引がない預金等を指します。対象となった預金は預金保険機構へ移管され、民間公益活動に活用される仕組みがあります。
ここで誤解しやすいのが、休眠預金になったら預金者のお金が没収され、二度と受け取れなくなるというイメージです。金融庁は、休眠預金等となった後も取引のあった金融機関で引き出すことができ、引き出し期限もないと案内しています。[参照:金融庁]
なお、「20年間使っていない」というだけで、現在その口座が休眠預金等活用法上の休眠預金に該当していると断定することはできません。口座の取引時期や預金の種類などによって扱いが異なるため、最終的には銀行側で口座状態を確認してもらいます。
長期間使っていない銀行口座を解約するときの基本的な持ち物
必要書類は銀行ごとに異なりますが、長期間利用していない普通預金口座を本人が窓口で解約する場合には、通帳、キャッシュカード、届出印、本人確認書類などが基本的な確認資料になります。
さらに、解約後のお金を現金ではなく別口座へ振り込む場合には、振込先口座の情報が必要になることがあります。例えば三菱UFJ銀行では、通帳・キャッシュカード・印鑑を紛失している普通預金口座の解約について、本人確認書類のほか、解約資金を入金する口座の通帳または振込口座情報などを案内しています。[参照:三菱UFJ銀行]
銀行によって必要書類や手続き順序は異なるため、他行の案内をそのまま自分の銀行に当てはめることはできません。ただ、古い口座では確認事項が増える可能性があるため、手元に残っている通帳やキャッシュカードなどは、使えそうに見えなくても持参した方がスムーズです。
離婚や結婚で名字が変わっている場合は何が必要?
現在の氏名と口座名義が異なる場合、銀行側は「現在窓口に来ている人」と「昔その口座を作った人」が同一人物であることを確認する必要があります。そのため、現在の本人確認書類に加えて、旧姓と現在の姓のつながりを確認できる書類を求められる場合があります。
例えば三菱UFJ銀行の窓口での氏名変更手続きでは、新氏名の確認書類として運転免許証などが案内され、変更内容によっては旧氏名と新氏名の両方を確認できる運転免許証、戸籍謄本・抄本、戸籍記載事項証明書などが案内されています。[参照:三菱UFJ銀行]
したがって、離婚などで姓が変わっており、現在の運転免許証だけでは旧姓とのつながりが確認できない場合は、旧姓から現在の姓への変更を確認できる戸籍関係書類を準備しておくと安心です。ただし、どの戸籍書類まで必要になるかは銀行へ確認してください。
昔の住所から何度も引っ越している場合はどうする?
20年以上前に開設した口座では、銀行へ届け出た住所と現在の住所がまったく違うことがあります。この場合も本人確認のため、登録されている旧住所について尋ねられたり、住所変更の手続きが必要になったりする可能性があります。
問題は、転居を何度も繰り返している場合です。住民票には通常、現在の住所と一定の前住所しか記載されないため、20年以上前の住所から現在までを1枚の住民票だけで証明できないケースがあります。
その場合には、戸籍の附票などが住所履歴の確認資料になる可能性があります。ただし、保存期間や転籍などの事情によって必要な履歴をすべて取得できるとは限りません。最初から「昔の住所から現在までの全履歴を証明しなければ解約できない」と決めつける必要はなく、銀行が何を本人確認資料として求めるのかを確認することが先決です。
昔の届出印がない場合でも解約できる可能性はある
20年以上前の口座となると、「どの印鑑を銀行印にしたのか分からない」「印鑑そのものを紛失した」というケースもあります。しかし、届出印がないから永久に預金を引き出せないというわけではありません。
金融庁は休眠預金について、通帳やキャッシュカードを紛失している場合でも、本人確認書類などを持参すれば引き出すことができると案内しており、具体的な必要書類は取引金融機関へ確認するよう案内しています。[参照:金融庁]
実際の銀行手続きでは、印鑑紛失の届け出を行い、新しい印鑑を登録してから解約するなどの手順になることがあります。例えば三菱UFJ銀行では、印鑑を紛失した普通預金口座の解約時には、紛失物の利用停止をしたうえで、届出印の代わりに新しい印鑑を持参する手続きが案内されています。[参照:三菱UFJ銀行]
住所・名字・印鑑が全部変わっている場合に用意しておきたいもの
銀行によって違いはありますが、古い口座について「住所変更あり・改姓あり・届出印なし」という条件が重なっているなら、最低限だけを持って窓口へ行くより、本人と旧口座を結び付けられる資料をできるだけ準備しておく方が二度手間を防ぎやすくなります。
| 資料 | 主な目的 |
|---|---|
| 現在の運転免許証・マイナンバーカード等 | 現在の氏名・住所・本人確認 |
| 古い通帳 | 口座番号や旧名義などの確認 |
| キャッシュカード | 口座確認 |
| 戸籍謄本・抄本等 | 旧姓と現在の姓のつながりの確認 |
| 戸籍の附票等 | 必要とされた場合の旧住所履歴の確認 |
| 新しく届け出る印鑑 | 旧届出印を紛失している場合の手続き |
| 振込先口座情報 | 解約資金を別口座へ振り込む場合 |
この表は一般的な準備の目安であり、すべての銀行で全部必要になるという意味ではありません。反対に、口座の種類や契約内容によって追加書類が必要になることもあります。
特に戸籍謄本や戸籍の附票は取得に手間や費用がかかるため、可能であれば銀行のコールセンターなどへ「旧姓の口座」「登録住所が古い」「届出印紛失」「通帳の有無」を具体的に伝え、必要書類を確認してから取得すると無駄を減らせます。
最寄りの支店でも手続きできる?
昔は口座を開設した取引店でなければ難しかった手続きでも、現在は別の支店で対応できる銀行があります。一方、口座の商品内容や取引状況によっては取引店での手続きを指定されることもあります。
銀行のコールセンターから「最寄りの支店へ」と案内されているのであれば、少なくともその銀行では最寄り支店で相談できる可能性が高いと考えられます。ただし、古い口座の照会や本人確認に時間がかかり、その日のうちにすべて完了しない場合も想定しておいた方がよいでしょう。
三菱UFJ銀行の例でも、紛失を伴う普通預金口座の解約について、手続き内容によっては完了まで10日ほどかかる場合があると案内されています。[参照:三菱UFJ銀行] 遠方から窓口へ行く場合ほど、時間に余裕を持って行動することが大切です。
解約と新規口座開設は別の手続きとして考える
古い口座を解約した直後に、新しく同じ銀行で口座を作りたい場合もあるでしょう。ただし、旧口座を解約できることと、新しい口座を必ず開設できることは別の問題です。
現在は金融機関がマネー・ローンダリング対策などの観点から口座開設時の確認を行っており、利用目的や居住地・勤務先と店舗との関係などについて確認されることがあります。また、銀行によっては既存口座がある場合、新しい口座の開設に条件を設けていることもあります。
そのため「休眠口座を解約して、その場ですぐ新しい口座を作る」という予定なら、解約手続きの必要書類だけでなく、新規口座開設の条件と必要書類も事前に確認しておくと安心です。
窓口へ行く前に確認しておくとスムーズなこと
古い口座では、窓口担当者も銀行内部の記録を確認しながら手続きを進めることになります。そこで、自分でも分かる範囲で情報を整理しておくと本人確認がスムーズになります。
例えば「口座を開設したおおよその時期」「当時の氏名」「当時の住所」「口座を開設した支店」「通帳記載の口座番号」「最後に利用したおおよその時期」などです。記憶が曖昧な項目は推測で断言せず、分からないと伝えれば構いません。
また、支店へ電話がつながらない場合は、その銀行の公式サイトに掲載されている総合問い合わせ窓口やチャットなど、別の公式窓口から必要書類を確認する方法もあります。検索結果に表示された非公式な電話番号ではなく、必ず銀行公式サイトに掲載されている連絡先を利用しましょう。
まとめ|古い休眠口座は「本人確認・旧姓・旧住所・印鑑紛失」の4点を整理して窓口へ
20年以上使っていない銀行口座でも、単に長期間利用していないことを理由として預金を取り戻せなくなるとは限りません。金融庁は、休眠預金等になった後も取引のあった金融機関で引き出すことができ、引き出し期限もないと明記しています。[参照:金融庁]
一方、住所を何度も変更し、離婚などで名字も変わり、昔の届出印もない場合には、現在の運転免許証だけで必ず解約できるとは言い切れません。現在の本人確認書類、古い通帳・カード、旧姓と現在の姓を結び付けられる戸籍関係書類、新しい印鑑などを候補として準備し、銀行が指定する書類を確認するのが確実です。
特に重要なのは、銀行ごとに手続きが異なる点です。休眠預金の払戻しが可能という基本原則と、実際の本人確認・氏名変更・住所変更・印鑑紛失・口座解約の手続きは分けて考え、対象銀行の公式案内に従って進めるとよいでしょう。


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