うつ病などの精神疾患で一度傷病手当金を受給した後、長期間仕事に復帰していたものの再び症状が悪化した場合、再度傷病手当金を受け取れるのか疑問に感じる方は少なくありません。
特に過去の受給歴がある場合は、今回の休職が「再発」と判断されるのか、それとも新たな傷病として扱われるのかが重要になります。この記事では、傷病手当金における社会的治癒の考え方や、再受給を判断する際に確認されるポイントについて解説します。
傷病手当金は同じ病気の再発でも対象になる可能性がある
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やけがによって仕事ができず、給与の支払いがない場合に支給される制度です。
過去にうつ病で傷病手当金を受給していた場合でも、その後の経過によっては再び傷病手当金の対象となる可能性があります。
ただし、以前の傷病と今回の症状が同一のものとして扱われるか、新たな傷病として扱われるかによって、支給期間の考え方が変わります。
傷病手当金の判断で重要になる「社会的治癒」とは
精神疾患などの再発について判断する際には、「社会的治癒」という考え方が用いられることがあります。
社会的治癒とは、医学的には過去の病気との関連が完全になくなったと断定できなくても、一定期間にわたり症状がなく、通常の生活や仕事を問題なく送っていた場合に、以前の病気とは別の新たな発症として扱う考え方です。
例えば、うつ病で傷病手当金を受給した後、数年間にわたり薬の服用も通院もなく、フルタイム勤務を継続していた場合は、社会的治癒が認められる可能性があります。
社会的治癒が認められるか判断されるポイント
健康保険組合などが社会的治癒を判断する場合、単純に「何年間空いていたか」だけで決まるわけではありません。
主に以下のような事情が総合的に確認されます。
- 症状がなく安定した期間がどの程度あったか
- 通院や服薬が継続していたか
- 通常勤務ができていたか
- 日常生活に支障がなかったか
- 医師が今回の症状をどのように判断しているか
例えば、過去にうつ病で休職していても、その後数年間問題なく働き、減薬や治療終了を経て生活できていた場合は、社会的治癒を主張できる材料になります。
3年程度の勤務期間は社会的治癒の判断でどう見られるのか
社会的治癒について「何年以上なら必ず認められる」という明確な基準はありません。
インターネット上では「3年」「5年」などの期間が目安として紹介されることがありますが、これは法律上決められた数字ではなく、過去の判断例などから語られる目安です。
そのため、3年間の間に症状がなく、服薬も終了し、フルタイム勤務を継続していた場合は、社会的治癒が認められる可能性があります。一方で、途中まで治療が続いていた場合などは、以前の傷病との関連性を確認されることがあります。
申請時には医師の意見や診断内容が重要になる
傷病手当金の申請では、本人の状況だけではなく、医師が記載する「療養担当者の意見」が重要になります。
医師には、今回の症状について、過去のうつ病との関係や現在の状態、就労が困難である理由などを正確に記載してもらう必要があります。
例えば、以前の治療終了後に長期間安定して勤務できていたことや、今回新たにパニック症状などが出ていることは、審査時の判断材料になる可能性があります。
過去に傷病手当金を受給した場合の支給期間にも注意
傷病手当金には支給期間の上限があり、同一傷病として扱われる場合は過去の受給期間との関係を確認する必要があります。
2022年以降は傷病手当金の支給期間について、支給開始日から通算1年6か月までという仕組みに変更されています。ただし、制度改正前の受給や個別事情によって取り扱いが異なる場合があります。
そのため、過去の受給期間がある場合は、健康保険組合に現在の状況を伝え、今回の申請がどのように扱われる可能性があるか確認することが大切です。
傷病手当金を申請するときに準備しておきたいこと
再発による休職で傷病手当金を申請する場合は、以下の情報を整理しておくと手続きがスムーズになります。
- 過去に傷病手当金を受給した期間
- 治療終了時期や服薬状況
- 症状がなかった期間の勤務状況
- 今回の診断内容
- 現在の休職状況
特に、過去の病気からどの程度回復して社会生活を送れていたかは重要なポイントになります。
健康保険組合によって確認方法や判断基準が異なるため、申請前に相談しておくことも有効です。
まとめ:うつ病の再発による傷病手当金は社会的治癒がポイント
過去にうつ病で傷病手当金を受給していた場合でも、その後長期間にわたり症状がなく、通常勤務を続けていた場合は、社会的治癒が認められて再び傷病手当金の対象となる可能性があります。
ただし、社会的治癒には明確な年数基準がなく、通院状況や服薬状況、勤務実績、医師の判断などを総合的に見て健康保険組合が判断します。
過去の受給歴がある場合でも、最初から対象外と決めつけず、現在の状況を正確に記載して申請し、健康保険組合や医師へ相談しながら手続きを進めることが大切です。


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