2026年に社会保険料は上がる?健康保険・厚生年金・国民年金と「子ども・子育て支援金」をわかりやすく解説

社会保険

給与明細を見ると、健康保険、厚生年金、雇用保険などが差し引かれており、「社会保険料がまた上がるのでは」と感じる人も少なくありません。2026年度は実際に変更された制度があるため、何が上がり、何が上がっていないのかを分けて確認することが大切です。

結論からいうと、2026年にすべての社会保険料が一律に引き上げられたわけではありません。厚生年金の保険料率は18.3%で固定されています。一方、国民年金保険料は2026年度に月額17,920円となり、2025年度の17,510円から410円上がっています。また2026年4月からは「子ども・子育て支援金制度」が始まり、医療保険料とあわせて新たな支援金の拠出が始まりました。

社会保険と税金は仕組みも目的も異なります。「負担が重い」という議論と、「制度として何に使われているのか」という事実を分けて整理すると、家計への影響を理解しやすくなります。

2026年の社会保険料は結局どう変わった?

会社員の社会保険料で大きな割合を占めるのが健康保険と厚生年金です。厚生年金については、2004年から段階的に保険料率が引き上げられてきましたが、2017年9月を最後に引き上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。会社員の場合は原則として労使折半なので、本人と勤務先が半分ずつ負担します。[参照:日本年金機構]

一方、協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、年度によって変更されます。2026年度は全国一律の値上げではなく、前年より下がった都道府県、据え置きの都道府県があります。例えば東京都は2025年度9.91%から2026年度9.85%へ、大阪府は10.24%から10.13%へ下がっています。[参照:全国健康保険協会]

そのため「2026年から健康保険料そのものが全国一律で上がった」と理解するのは正確ではありません。ただし後述する子ども・子育て支援金が加わったため、給与明細上の負担については別途確認する必要があります。

2026年4月から「子ども・子育て支援金」が始まった

2026年の社会保険に関する大きな変更が「子ども・子育て支援金制度」です。2026年4月分から医療保険料とあわせて拠出する仕組みが始まりました。

被用者保険では2026年度の支援金率は0.23%です。こども家庭庁によると、基本的に企業が半分を負担するため、会社員本人の負担はその半分となります。[参照:こども家庭庁]

例えば標準報酬月額30万円なら、30万円×0.23%=690円が支援金額となり、労使折半を前提とすると本人負担は月額345円程度です。標準報酬月額40万円なら全体で920円、本人負担は460円程度となります。実際の金額は加入している医療保険や標準報酬などによって確認する必要があります。

国民年金は2026年度に月額17,920円へ上昇

自営業者やフリーランスなどが加入する国民年金の保険料は、会社員の厚生年金とは仕組みが異なります。日本年金機構によると、2025年度の国民年金保険料は月額17,510円でしたが、2026年度は月額17,920円となっています。[参照:日本年金機構 国民年金保険料の変遷]

年度 国民年金保険料(月額)
2024年度 16,980円
2025年度 17,510円
2026年度 17,920円

2025年度から2026年度では月410円、単純に12か月で考えると年間4,920円の増加です。ただし国民年金保険料は政治判断だけで毎年任意に決めているわけではなく、法律上の仕組みに基づき物価や賃金の変動を反映した保険料改定率によって実際の金額が決まります。[参照:日本年金機構]

給与が上がると保険料率が同じでも社会保険料が増えることがある

「保険料が上がった」と感じる原因が、必ずしも保険料率の引き上げとは限りません。会社員の健康保険や厚生年金は、基本的に給与を基に決められる「標準報酬月額」を使って計算します。

例えば厚生年金の保険料率が18.3%のままでも、昇給などによって標準報酬月額が上の等級になれば、毎月差し引かれる厚生年金保険料は増えます。賞与についても標準賞与額を基に保険料が計算されます。

つまり給与明細の社会保険料が前年より増えていた場合は、①保険料率の変更、②標準報酬月額の変更、③40歳到達による介護保険、④子ども・子育て支援金など、新制度の開始といった要因を分けて確認すると原因を特定しやすくなります。

社会保険料と消費税・所得税は同じものではない

家計からお金が出ていくという意味では似ていますが、社会保険料と税金は制度上分けて考える必要があります。所得税は所得に対して課税される国税、消費税は商品・サービスの消費に広く負担を求める税です。

一方、社会保険料は健康保険、年金、介護保険などの社会保険制度を支える負担です。健康保険には医療費の自己負担を一定割合にする仕組みだけでなく、高額療養費や傷病手当金などがあります。公的年金も老後の老齢年金だけではなく、一定の要件を満たす場合の障害年金や遺族年金を含む社会保険制度です。

そのため「年金を払うくらいなら自分で貯金すればよい」と完全に置き換えられるものではありません。老後資金という側面だけを比較すると、公的年金が持つ障害・遺族保障などを見落とすことになります。

社会保険料を下げる議論にはメリットと財源の問題がある

社会保険料を引き下げれば、現役世代の手取りが増える可能性があります。例えば本人負担の社会保険料が毎月5,000円減れば、他の条件が同じなら年間では6万円程度の負担軽減になります。そのため社会保険料の負担軽減は、可処分所得を増やす政策の一つとして議論されます。

一方で、保険料を下げても医療・年金・介護などに必要な支出が同じなら、その不足分をどう補うのかという問題が生じます。給付を削減するのか、税金など別の財源を増やすのか、国債などで賄うのかによって、別の負担や将来への影響が変わります。

「社会保険料を下げればすべて解決する」「税金をなくせば手取りだけが増える」と単純化せず、負担の削減と同時に給付・財源をどうするのかまで確認することが重要です。

選挙では「どの党か」だけでなく政策の中身と財源を比較する

税金や社会保険料は選挙でも重要な争点になりますが、特定の政党への投票を呼びかけることとは分けて、各党が具体的に何を提案しているのかを確認することが大切です。

例えば「社会保険料を下げる」という政策でも、年間いくら下げるのか、対象は会社員・自営業者・高齢者の誰なのか、医療や年金の給付水準を変えるのか、減収分をどの財源で補うのかによって内容は大きく異なります。

選挙で比較するなら、社会保険料だけでなく消費税・所得税・給付・医療・年金・子育て政策を含め、家計への総合的な影響を見る必要があります。キャッチコピーだけではなく、各党の公約や政府統計、公的機関の資料など一次情報を確認して判断することが重要です。

まとめ:2026年は「全部の社会保険料が一律値上げ」ではない

2026年の社会保険料については、「社会保険料が全部上がった」と一括りにするのは正確ではありません。厚生年金の保険料率は18.3%で固定されています。また協会けんぽの2026年度健康保険料率は都道府県によって異なり、前年から引き下げられた地域もあります。

一方で、国民年金保険料は2026年度に月額17,920円へ上がりました。また2026年4月から子ども・子育て支援金制度が始まり、被用者保険では2026年度0.23%の支援金率が設定され、基本的に企業と本人で負担する仕組みとなっています。

社会保険料の負担が重いかどうかは重要な政策論点ですが、社会保険には医療、老齢、障害、遺族、介護などの給付があります。負担を下げる政策を評価するときは「いくら安くなるか」だけでなく「給付をどうするか」「不足する財源を誰がどの形で負担するか」までセットで比較することが、家計と社会保障を考えるうえで重要です。

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