自営業や離職期間などで国民年金に加入していた人が、月の途中から会社の社会保険に入り厚生年金へ切り替わった場合、「その月は国民年金と厚生年金の両方を払うのか」と迷いやすいところです。結論からいうと、国民年金保険料は日割りではなく月単位で扱われ、原則としてその月の末日にどの年金制度に加入しているかによって考えると分かりやすくなります。
例えば7月7日付で厚生年金保険の被保険者資格を取得し、そのまま7月31日を迎えた場合、通常は7月分の国民年金保険料を別途納付する必要はありません。7月分は厚生年金側で扱われます。ただし、重要なのは単に「7月7日から働き始めた」ことではなく、勤務先が届け出た厚生年金の資格取得日が実際に7月7日になっているかです。
7月7日に厚生年金へ加入した場合、7月分の国民年金はどうなる?
日本年金機構は、国民年金保険料について「被保険者資格を取得した日の属する月から、資格を喪失した日の属する月の前月まで」の分を納付すると案内しています。[参照] 日本年金機構「国民年金保険料」
会社に就職して厚生年金保険に加入すると、国民年金では第1号被保険者から第2号被保険者へ切り替わります。7月7日が厚生年金の資格取得日であれば、第1号被保険者としての国民年金資格はそのタイミングで切り替わるため、通常、国民年金保険料として必要なのは6月分までです。
7月7日に厚生年金へ加入し、その資格が月末まで継続しているなら、7月分について「国民年金保険料+厚生年金保険料」を二重に納めるわけではありません。
国民年金は日割り計算ではない
ここで混乱しやすいのが、「7月1日から6日までは国民年金だったのだから、6日分だけ払うのでは?」という考え方です。国民年金保険料には、このような日割りの仕組みはありません。
例えば6月まで国民年金の第1号被保険者で、7月7日に就職して厚生年金へ加入したケースなら、基本的な整理は次のようになります。
| 期間 | 加入状況 | 保険料の考え方 |
|---|---|---|
| 6月 | 国民年金第1号被保険者 | 6月分の国民年金保険料が必要 |
| 7月1日~6日 | 国民年金第1号被保険者 | 6日分の日割り納付はしない |
| 7月7日~31日 | 厚生年金被保険者 | 7月分は厚生年金側で扱われる |
したがって、「月の途中まで国民年金だった=その月の国民年金保険料も必要」とは限りません。年金制度は月単位で保険料を扱うためです。
厚生年金の保険料は7月分から発生する
一方、7月7日に厚生年金の資格を取得して月末まで在籍している場合、厚生年金保険料は7月分から発生します。日本年金機構は、厚生年金保険料について「資格取得した月の保険料から必要」と説明しています。[参照] 日本年金機構「厚生年金保険料額表」
ここでも「7月7日からだから25日分だけ」という日割り計算にはなりません。厚生年金保険料も基本的には月単位で計算されます。
給与明細で実際に社会保険料が控除される時期については会社の給与計算方法によって見え方が異なることがあります。「7月分の保険料なのに8月支給給与から引かれる」といったこともあるため、給与から引かれた月と保険料の対象月を混同しないことが大切です。
手元に7月分の国民年金納付書があっても、すぐ払わなくてよい場合がある
厚生年金へ切り替わった後も、以前に送付された国民年金の納付書が手元に残っていることがあります。また、勤務先から日本年金機構への資格取得届と国民年金側の記録反映にはタイムラグが生じることもあります。
そのため、7月分と記載された国民年金の納付書が手元にあることだけでは、7月分を支払う義務があるとは判断できません。厚生年金の資格取得日が7月7日として正常に記録されていれば、通常は7月分の国民年金をその納付書で別途支払う必要はありません。
不安な場合は、勤務先の人事・給与担当者に「厚生年金の資格取得日は何月何日で届け出ていますか」と確認するのが第一歩です。さらに確実に確認したい場合は、ねんきんネットや年金事務所で加入記録を確認できます。[参照] 日本年金機構「ねんきんネット」
すでに7月分の国民年金を払ってしまった場合は?
半年分や1年分を前納していたり、口座振替・クレジットカードなどによって国民年金保険料を先に納めていたりすると、厚生年金への切り替え後の期間について国民年金保険料が納付済みになっていることがあります。
この場合も「二重払いしたからそのまま損をする」と考える必要はありません。日本年金機構は、国民年金保険料を納付した後に厚生年金へ加入したことなどによって納め過ぎとなった場合、還付の案内を行っています。[参照] 日本年金機構「国民年金保険料の還付」
ただし、記録が反映されるまで時間がかかる場合があります。前納・口座振替などを利用していた人は、自己判断で処理せず、日本年金機構からの通知を確認し、不明点があれば年金事務所へ問い合わせると確実です。
「社会保険に入った日」と「厚生年金の資格取得日」は必ず確認する
実務上、最も重要なのは日付の確認です。「7月7日から社会保険になった」と本人が認識していても、雇用契約上の入社日、健康保険の資格取得日、厚生年金の資格取得日などについて認識違いがある可能性はゼロではありません。
例えば「7月7日から働き始めたが、実際の厚生年金資格取得日は8月1日だった」という特殊な事情があれば、結論が変わります。逆に資格取得日が正式に7月7日なら、7月分について厚生年金加入として扱われることを確認できます。
確認するときは「社会保険に入っていますか?」だけではなく、「厚生年金保険の資格取得日は7月7日で登録されていますか?」と具体的に聞くのがおすすめです。
月末退職では扱いが変わることがあるので注意
社会保険料では資格取得日だけでなく資格喪失日も重要です。厚生年金の資格喪失日は、原則として退職日の翌日です。そのため、月末退職か月末の前日に退職するかによって、その月の厚生年金保険料の扱いが変わる場合があります。
例えば7月7日に厚生年金へ加入して、そのまま8月以降も勤務する一般的なケースなら分かりやすいのですが、7月中に退職したケースでは別途確認が必要です。また、同じ月に国民年金から厚生年金へ移り、さらに国民年金へ戻るなど複数回の資格変更がある場合も単純化できません。
したがって「7月7日に加入した」という情報だけでなく、7月末時点でも厚生年金の被保険者だったかまで確認して判断するのが安全です。
健康保険と国民健康保険も同じ請求とは限らない
会社の「社会保険」には健康保険と厚生年金が含まれるため、年金と健康保険の話が混ざりやすくなります。しかし、国民年金保険料と国民健康保険料・国民健康保険税は別制度です。
厚生年金に加入したため7月分の国民年金が不要になったとしても、それだけを根拠に国民健康保険の請求額まで自己判断してはいけません。国民健康保険については市区町村が資格や保険料を管理しているため、会社の健康保険へ加入した際の手続きや精算方法を自治体で確認します。
つまり、「国民年金の納付書」「国民健康保険の納付書」「会社給与から控除される健康保険・厚生年金」は、それぞれ分けて確認する必要があります。
まとめ|7月7日から厚生年金なら通常は7月分の国民年金を別途払わない
月途中で国民年金から厚生年金へ切り替わった場合、国民年金を日割りで支払うわけではありません。厚生年金の資格取得日が7月7日で、その資格が7月末まで継続している一般的なケースなら、国民年金保険料として納めるのは6月分までで、7月分を国民年金として別途納付する必要はありません。
7月分の国民年金納付書が手元に残っていても、それだけで納付が必要とは限りません。まず勤務先に厚生年金の資格取得日を確認し、必要ならねんきんネットや年金事務所で加入記録を確認すると確実です。
すでに7月分以降を前納している場合には、厚生年金への加入記録が反映された後、納め過ぎた国民年金保険料が還付対象になる場合があります。特に月内に退職・再就職など複数の資格変更があったケースでは扱いが変わることがあるため、日本年金機構や年金事務所へ個別に確認するのが安全です。


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