大学生がアルバイトを3つ掛け持ちすると年末調整・確定申告はどうする?年収120万円以下の手続きを解説

税金

大学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、「どの勤務先で年末調整をするのか」「年末調整をしない勤務先の給与はどう処理するのか」が分かりにくくなります。特に3か所から給与を受け取っている場合でも、すべての勤務先で年末調整をするわけではありません。

基本的な考え方は、メインとなる1か所を「主たる給与」の勤務先として年末調整し、それ以外の勤務先は「従たる給与」として扱うというものです。そして必要に応じて、年明けにすべての勤務先の源泉徴収票を使って確定申告します。

ただし、年間の給与収入が120万円前後しかなく、給与以外の所得がない大学生では、所得税の確定申告が法律上必須にならないケースもあります。一方、掛け持ち先で所得税が源泉徴収されていれば、確定申告をすることで税金が戻る可能性があります。

年末調整をする勤務先は原則1か所だけ

アルバイトを3つ掛け持ちしていても、通常の年末調整を3社すべてでするわけではありません。年末調整を受ける中心の勤務先を1か所決め、その勤務先へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。

この申告書を提出している勤務先から受け取る給与を「主たる給与」といい、それ以外の勤務先の給与を「従たる給与」といいます。国税庁も、2か所以上から給与を受ける場合について主たる給与と従たる給与を区別しています。[国税庁・扶養控除等申告書参照]

したがって、年間50万円、50万円、6万円という3つのアルバイトなら、50万円の勤務先のどちらか一方を主たる勤務先にする方法が分かりやすいでしょう。ただし、必ず「一番給料が多い勤務先」でなければならないという単純なルールではなく、実際に扶養控除等申告書を提出して主たる給与としている勤務先が基本になります。

残り2つのアルバイト先では通常の年末調整をしない

メインのアルバイト先で年末調整を受ける場合、残りのアルバイト先では通常、その給与まで含めた年末調整は行いません。各勤務先は自社が支払った給与について源泉徴収票を発行します。

例えばA店50万円、B店50万円、C店6万円なら、A店を主たる勤務先として年末調整し、B店とC店は従たる給与として源泉徴収票を受け取るという形です。

年末調整をしなかった勤務先で、本人が年末に特別な精算手続きをする必要があるわけではありません。大切なのは、年明けにA・B・Cすべての源泉徴収票を受け取り、確定申告が必要か、申告すると還付されるかを確認することです。

3か所合計116万円なら必ず確定申告が必要とは限らない

よく「年末調整していないアルバイトが20万円を超えたら絶対に確定申告」と説明されますが、給与だけで生活している人には例外があります。

国税庁は、2か所以上から給与を受けている人について、原則として「年末調整されなかった給与収入+給与・退職所得以外の所得」が20万円を超えると確定申告の対象としています。一方、一定の所得控除を差し引いた後の給与収入が150万円以下で、給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら、確定申告を要しないという例外も示しています。[国税庁・2か所以上から給与を受ける場合参照]

例えば3社すべてが通常のアルバイト給与で、50万円+50万円+6万円=年間116万円、ほかに副業などの所得がないのであれば、この例外に該当して所得税の確定申告が義務にならない可能性があります。

それでも確定申告したほうが得になる場合がある

確定申告が義務ではない場合でも、「申告しないほうが得」という意味ではありません。掛け持ちアルバイトでは、従たる給与の勤務先で所得税が源泉徴収されていることがあります。

2026年分では給与所得控除の最低額が65万円となっており、給与収入116万円なら給与所得は概算で51万円です。所得税にはさらに基礎控除などがあるため、ほかに所得がなければ最終的な所得税が0円となる可能性が高い水準です。

そのためB店やC店の給与明細に「所得税」「源泉所得税」として数千円などが引かれている場合、確定申告によって払いすぎた所得税が還付される可能性があります。申告義務がなくても、還付を受けるために確定申告する価値があります。

なぜ掛け持ち先では所得税が多めに引かれることがある?

給与から天引きする所得税には「甲欄」と「乙欄」という区分があります。扶養控除等申告書を提出した主たる勤務先では原則として甲欄を使いますが、それ以外の勤務先では通常、乙欄によって源泉徴収されます。

乙欄では主たる勤務先より所得税が高めに源泉徴収されることがあります。そのため、年間所得を合算すると所得税がかからない学生でも、掛け持ち先の給与から所得税だけ先に引かれていることがあります。

これは間違って徴収されているというより、年の途中では他社の給与を勤務先が把握できないためです。最終的に確定申告をすれば、すべての給与を合算して本来の所得税額を計算し、払いすぎがあれば返金されます。

実際の流れを50万円・50万円・6万円の例で確認

例えば大学生がA店で年間50万円、B店で50万円、C店で6万円を受け取り、合計116万円だったとします。

A店を主たる勤務先にして扶養控除等申告書を提出しているなら、A店で年末調整を受けます。B店・C店では通常の年末調整は受けず、年明けにそれぞれの源泉徴収票を受け取ります。

その後、3枚の源泉徴収票を確認します。B店やC店で所得税が天引きされていれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などからA・B・Cすべての給与を入力して還付申告をすると、払いすぎた所得税が戻る可能性があります。

源泉徴収票は3社すべてから受け取る

掛け持ちをしている場合、年末調整をした会社の源泉徴収票だけを見ればよいわけではありません。その年に給与を受け取った勤務先すべての源泉徴収票を保管しておきます。

源泉徴収票には「支払金額」「給与所得控除後の金額」「源泉徴収税額」などが記載されています。確定申告をする場合には、それぞれの源泉徴収票の内容を入力して年間給与を合算します。

途中で辞めたアルバイトがある場合も同じです。例えば春まで働いて10万円もらった勤務先が別にあれば、その10万円も同じ年の給与として合計する必要があります。

勤労学生控除は年収120万円程度なら必ず必要とは限らない

大学生には「勤労学生控除」という所得控除があります。2026年分では、一定の学校の学生で、勤労による所得があり、合計所得金額が85万円以下などの要件を満たす場合に利用できます。給与所得だけなら給与収入150万円以下が一つの目安です。[国税庁・勤労学生控除参照]

ただし年間給与が116万円程度でほかに所得がなければ、基礎控除などによりもともと所得税が発生しない可能性があります。その場合、勤労学生控除を使ったから所得税がさらに返ってくるというものではありません。

また、親の税金上の扶養や健康保険の扶養は、自分自身に所得税がかかるかとは別制度です。「自分が勤労学生だから親の扶養も必ず維持できる」という意味ではないため、それぞれの条件を分けて確認しましょう。

住民税についても3社の給与は合算される

所得税の確定申告が不要になった場合でも、住民税については別に考える必要があります。通常、勤務先は市区町村へ「給与支払報告書」を提出するため、複数の勤務先の給与が自治体側で合算されます。

住民税が非課税になる給与収入の基準は自治体や本人の条件などによって違います。年間120万円以下だから全国どこでも住民税が0円とは限りません。

また、所得税の確定申告をしない場合の住民税申告の必要性については自治体によって確認が必要なケースがあります。3社の給与以外に所得がある場合などは、住んでいる市区町村へ確認すると確実です。

まとめ|1社で年末調整し、残りは源泉徴収票を保管する

アルバイトを3つ掛け持ちしている場合、通常は扶養控除等申告書を提出した1か所を主たる勤務先として年末調整し、ほかの2か所では通常の年末調整をしません。50万円・50万円・6万円なら、50万円程度稼いでいる勤務先の一つを主たる勤務先にする形でも構いません。

年末調整しなかった2社については、年明けに源泉徴収票を受け取って保管します。3社合計が年間116万円程度で、すべてアルバイト給与、ほかに所得がないケースでは、所得税の確定申告が必須ではない可能性があります。

ただし掛け持ち先の給与から所得税が引かれている場合は、3社すべての源泉徴収票を使って確定申告することで還付を受けられる可能性があります。まず各給与明細の「所得税」欄を確認し、年明けに3枚の源泉徴収票をそろえることから始めると、掛け持ちアルバイトの税金手続きを整理しやすくなります。

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