給料から引かれる税金・社会保険料は高すぎる?手取りが少なく感じる理由と給与明細の見方を解説

税金、年金

毎月の給与明細を見て、「額面ではこれだけあるのに、手取りになるとずいぶん減っている」と感じる会社員は少なくありません。給与からは所得税や住民税だけでなく、健康保険、厚生年金、雇用保険なども差し引かれるためです。

これらをまとめて「税金」と呼んでしまいがちですが、実際には税金と社会保険料は別の制度です。また、社会保険料には会社側も負担しているものがあるため、給与明細に表示される本人負担額だけでは制度全体の負担額は分かりません。

「高すぎる」と感じるかどうかは収入や家族構成、生活費などによって変わる主観的な問題ですが、手取りがなぜ減るのかを理解するには、まず給与から何が引かれているのかを一つずつ整理することが大切です。

給料から引かれる主なお金は5種類

一般的な会社員の給与から控除される代表的なものは、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。40歳以上65歳未満では、原則として介護保険料も関係します。

項目 大まかな性質
所得税 所得に対して国へ納める税金
住民税 都道府県・市区町村へ納める地方税
健康保険料 病気・けが・出産などに備える社会保険
厚生年金保険料 老齢・障害・死亡などに備える公的年金
雇用保険料 失業等給付や雇用に関する制度の財源
介護保険料 原則40歳以上65歳未満の医療保険加入者が負担

このほか、会社によっては企業年金、財形貯蓄、組合費、社宅費などが給与から控除されることもあります。そのため「額面-手取り」の差額すべてが税金や社会保険料とは限りません。

負担が大きく感じやすいのは社会保険料

給与明細を見ると、所得税だけでなく健康保険料や厚生年金保険料の金額が大きいことに気付くでしょう。特に厚生年金は保険料率が18.3%で固定されており、原則として事業主と被保険者が半分ずつ負担します。したがって本人側の基本的な負担割合は9.15%です。[参照:日本年金機構 厚生年金保険料額表]

健康保険については加入先によって異なります。協会けんぽの場合は都道府県ごとに保険料率が設定され、2026年度の健康保険料率は例えば東京都9.85%、大阪府10.13%などとなっています。原則として事業主と被保険者が折半します。[参照:協会けんぽ 令和8年度都道府県単位保険料率]

さらに2026年4月分からは子ども・子育て支援金率0.23%が加わり、40歳から64歳までの人には全国一律1.62%の介護保険料率も加わります。こうした複数の控除が同時に給与明細へ並ぶため、「かなり引かれている」という印象になりやすいのです。

社会保険料は会社も負担している

会社員の社会保険を考えるときに見落としやすいのが会社負担です。例えば厚生年金保険料は、本人の給与から18.3%全額が引かれているわけではなく、原則として会社と本人が折半しています。

健康保険についても基本的に事業主と被保険者が折半します。また雇用保険も労働者だけではなく事業主が負担しています。2026年度の一般の事業における雇用保険料率は全体で13.5/1000で、そのうち労働者負担は5/1000、事業主負担は8.5/1000です。[参照:厚生労働省 雇用保険料率について]

したがって会社員の場合、「自分の給与から引かれている社会保険料」だけを見るのではなく、勤務先も別途負担して社会保険制度を支えていることを知っておくと、給与と人件費の関係が理解しやすくなります。

所得税は単純に額面給与へ税率を掛けているわけではない

所得税についても「月給30万円なら30万円全額に所得税率が掛かる」という仕組みではありません。給与所得者には給与所得控除があり、さらに基礎控除や扶養関係の控除など、条件に応じた所得控除があります。

毎月の給与では、会社が源泉徴収税額表などに基づいて所得税を源泉徴収し、通常は年末調整によって一年間の税額を精算します。そのため毎月引かれた所得税の単純合計が必ず最終的な年間税額になるわけではありません。

また所得税は累進課税なので、課税される所得が大きくなるほど高い税率が適用される仕組みです。ただし高い税率になったからといって、所得全体へその税率が一律に掛かるわけではありません。

住民税は「前年の所得」を基にするため2年目に手取りが減ることもある

会社員が「急に税金が高くなった」と感じる代表的なタイミングが、社会人2年目です。個人住民税の所得割は基本的に前年の所得を基に計算されるため、新卒1年目には前年の所得が少なく住民税の負担も少ないケースがあります。

その後、前年に一年近く給与を受け取った実績ができると、翌年度から住民税が本格的に給与天引きされ、「昇給したのに思ったほど手取りが増えない」「去年より控除額が多い」と感じることがあります。

転職や退職、育児休業などで現在の収入が前年より大きく下がった場合にも、前年所得を基準とする住民税が相対的に重く感じられる場合があります。

「高すぎる」と感じることと制度上の負担は分けて考える

税金や社会保険料が高いか安いかについては、数字だけで客観的な正解を決めることはできません。毎月使える手取りを重視すれば負担は小さいほうが嬉しい一方、税や社会保険料はさまざまな公的サービスや社会保障の財源にもなっています。

健康保険には医療費の自己負担を一定割合にする仕組みだけでなく、高額療養費や傷病手当金などがあります。厚生年金も老後の老齢厚生年金だけではなく、一定の要件を満たせば障害厚生年金や遺族厚生年金につながります。

そのため「毎月引かれる金額が大きい」という感覚と、「何のために負担しているのか」は分けて考えると理解しやすくなります。負担感について意見が分かれるのは自然ですが、給与明細の控除をすべて単なる税金と考えるのは正確ではありません。

手取りを考えるなら額面ではなく年単位で確認する

就職や転職で給与を比較するときは、月給の額面だけを見ると実際に使える金額とのギャップが生じます。賞与の有無、住民税、社会保険料なども含めて年間の手取りを考えることが重要です。

例えば同じ月給30万円でも、扶養家族の有無、年齢、加入している健康保険、居住地、賞与などによって手取りは変わります。「月給30万円なら手取りは必ず○万円」と一律には決められません。

給与明細を確認するときは、まず「支給」の合計と「控除」の合計を見て、次に控除欄を税金、社会保険料、会社独自の控除へ分けてみると分かりやすくなります。前年の源泉徴収票と比較するのも、自分の年間収入と税負担を把握する方法の一つです。

まとめ:手取りが少なく感じるなら給与明細を税金と社会保険料に分けて見る

毎月の給料から多くのお金が引かれて「高すぎる」と感じることは珍しくありません。ただし給与から差し引かれるものには所得税・住民税という税金だけでなく、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料が含まれています。

特に会社員では健康保険や厚生年金などの社会保険料の存在が大きく、額面給与と手取りの差を生む重要な要因です。一方、健康保険や厚生年金には会社側の負担もあり、本人が給与明細で確認できる控除額だけが制度全体の保険料ではありません。

「高い・安い」という感覚だけで終わらせず、給与明細の各項目について「いくら引かれているのか」「税金なのか社会保険料なのか」「どの制度に使われるのか」を確認すると、自分の手取りをより正確に理解できます。税率や社会保険料率は年度や加入先などによって変わるため、具体的な金額を確認するときは国税庁、日本年金機構、協会けんぽ、自治体などの最新情報を確認することが大切です。

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