障害年金の申請中にアルバイトしても大丈夫?20歳前傷病の就労・生活費・追加資料・審査期間を解説

税金、年金

障害年金を申請してから結果が出るまでの間、生活費をどう確保するかは切実な問題です。特に診断書に「就労不可」などの記載がある場合、「アルバイトをしたら障害年金が不支給になるのではないか」「働けないなら年金が決まるまで何で生活すればよいのか」と悩みやすくなります。

しかし、障害年金では働いたという事実だけで機械的に不支給になるわけではありません。一方で、就労状況は障害状態を判断する重要な材料の一つなので、診断書の内容と実際の生活・就労状況に大きな食い違いが生じないよう注意が必要です。

また、審査途中でカルテなどの追加資料を求められたからといって、それだけで「不支給になりそう」という意味にはなりません。この記事では、20歳前に初診日がある障害基礎年金を中心に、申請中のアルバイト、生活費を確保する制度、追加資料が求められる意味、審査期間について整理します。

障害年金の申請中にアルバイトをすること自体は禁止されていない

まず重要なのは、障害年金を申請している人は働いてはいけない、という一律のルールはないことです。アルバイトを始めたという理由だけで、自動的に障害年金の申請が取り消されたり、不支給が確定したりする制度ではありません。

厚生労働省の障害認定基準でも、現に仕事をしている人について、労働していることだけをもって直ちに日常生活能力が向上したと捉えるのではなく、療養状況、仕事の種類・内容、就労状況、職場で受けている援助、他の従業員との意思疎通などを十分確認して判断するとされています。[参照] 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」

例えば、週5日・1日8時間を安定して働き、特別な配慮もなく長期間勤務できているケースと、体調のよい日に週1~2回、短時間だけ勤務し、欠勤や早退が多く、職場から特別な配慮を受けているケースでは、同じ「アルバイトをしている」でも障害状態を判断するうえでの意味が大きく異なります。

診断書が「就労不可」なのに働く場合は主治医との確認が重要

申請時の診断書に「就労不可」と記載されている場合には、少し慎重に考える必要があります。障害年金制度上の禁止というより、医師が評価した状態と実際の就労状況との整合性が問題になる可能性があるためです。

例えば、診断書作成時には症状が重く就労できなかったものの、その後少し回復して短時間勤務を試すことはあり得ます。反対に、生活費がないため無理をして働き始めたものの、数日で体調を崩して辞めてしまうこともあります。このような事情まで含めて実態を見る必要があります。

そのため「年金のために働かない」「働いていることを隠す」と考えるのではなく、まず主治医に現在の経済事情と体調を説明し、どの程度の活動なら医学的に可能なのか相談するのが安全です。申請を依頼している社会保険労務士にも、仕事を始める前または始めた時点で伝えておくと、提出済み書類との整合性を確認できます。

精神の障害では「働いているか」だけでなく働き方まで確認される

精神障害や発達障害などでは、就労状況について特に丁寧な評価が行われます。厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」でも、就労していることだけで日常生活能力が向上したと判断しないことが明示されています。[参照] 厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

具体的には、仕事内容、勤務時間、勤務日数、欠勤・遅刻・早退、職場からの援助や配慮、コミュニケーションの状態などが重要になります。障害者雇用や就労継続支援など、援助や配慮を受けながら働いている事情についても考慮されます。

例えば「月に数万円の収入がある」という数字だけでは、その人がどの程度働けるのかは判断できません。短時間勤務しかできない、家族に送迎してもらっている、体調不良で頻繁に休む、単純な作業に限定してもらっている、といった事情があれば、その実態を含めて評価されます。

「友達と会う」「交際費を使う」こと自体で障害年金が不支給になるわけではない

障害年金は「娯楽を一切してはいけない人」に支給される制度ではありません。友人と食事をする、買い物をする、趣味を楽しむといった行為が一度あっただけで受給資格を失うわけではありません。

障害の程度は、日常生活全体でどの程度の制限や援助が必要なのかを総合的に判断します。外出できる日があることと、安定して一般就労を継続できることも同じではありません。

ただし、申請書類に書かれた生活状況と実態が大きく異なる場合には説明が必要になることがあります。障害年金の手続きでは「できないように見せる」ことではなく、調子のよい日だけではなく、普段の生活状況を正確に伝えることが大切です。

20歳前傷病の障害基礎年金には本人の所得制限がある

20歳前に初診日があり、当時年金制度に加入していなかった場合には、通常の障害基礎年金とは異なり保険料の納付要件はありません。日本年金機構も、20歳前の年金制度未加入期間に初診日がある場合には納付要件が不要と案内しています。[参照] 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

その代わり、20歳前傷病による障害基礎年金には本人の所得による支給制限があります。日本年金機構の資料では、扶養親族がいない場合、前年所得が3,704,000円を超えると半額、4,721,000円を超えると全額が支給停止となる基準が示されています。扶養親族がいる場合は基準額に加算があります。[参照] 日本年金機構「20歳前傷病による障害基礎年金」

ここでいう所得は単純なアルバイトの給与収入額そのものと同じではありません。また、少額のアルバイトをした瞬間に障害年金が止まる仕組みでもありません。障害状態を判断する際の「就労状況」と、20歳前傷病に設けられている「所得制限」は別の論点として理解しておく必要があります。

年金が決まるまで生活できない場合は公的支援を先に相談する

医師から就労が難しいと言われているのに生活費が不足している場合、無理にアルバイトをすることだけが選択肢ではありません。自治体には生活に困窮している人を対象とした相談・支援制度があります。

厚生労働省の生活困窮者自立支援制度では、「働きたくても働けない」「家賃を払えない」といった人も相談対象とされており、自立相談支援、住居確保給付金、家計改善支援、就労準備支援などがあります。制度ごとに収入・資産・求職活動などの要件があるため、利用できる制度は個別に確認します。[参照] 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」

さらに、資産や能力などを活用しても生活を維持できない場合には生活保護を相談する選択肢があります。生活保護は最低限度の生活を保障するとともに自立を助長するための制度です。[参照] 厚生労働省「生活保護制度」

アルバイト以外で生活費を作る方法はある?

「就労できないなら在宅副業で稼げばいい」と単純に考えるのはおすすめできません。在宅ワークやフリーランスも、作業をして報酬を得る以上は実質的には就労です。障害年金との関係でも、その活動実態が無関係になるわけではありません。

また、生活費に困っている人を狙った「スマホだけで高収入」「簡単な副業」といった勧誘には注意が必要です。借金や高額教材の購入を要求されるケースもあるため、年金審査中の資金不足を怪しい副業で解決しようとするのは避けるべきです。

条件に該当すれば、社会福祉協議会が窓口となる生活福祉資金貸付制度などを利用できる場合もあります。低所得世帯や障害者世帯などを対象として低利または無利子で資金を貸し付ける制度ですが、審査や対象要件があり、誰でも直ちに借りられる制度ではありません。[参照] 厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」

障害年金の審査中に追加資料を求められるのは悪い兆候なのか

障害年金の審査では、提出済みの資料だけでは認定に必要な事実を十分確認できない場合、追加資料や照会への回答が必要になることがあります。初診日の確認、受診歴、病状の経過、日常生活、就労状況など、確認対象はケースによって異なります。

追加資料を求められたという事実だけから、不支給になりそうだと判断することはできません。追加確認が必要になったことは分かりますが、その確認結果によって認定される場合も認定されない場合もあります。

例えば、過去の受診状況を確認する必要が生じてカルテの内容が求められた場合、それは審査側が判断に必要な情報を補おうとしている段階です。「追加資料=審査に失敗している」「追加資料=もうすぐ不支給」という公式なルールはありません。

追加資料があると審査期間が長くなることはある

一方、追加確認が発生すれば、通常より結果まで時間がかかる可能性はあります。資料の提出を待つ時間に加え、提出された資料を踏まえて改めて審査する必要があるためです。

障害年金は、病名だけで自動判定できる制度ではありません。障害の程度、初診日、障害認定日、診断書、病歴・就労状況等申立書など複数の情報を確認します。特に過去の医療記録の確認が必要なケースでは、一律に「申請から○日で必ず結果が出る」とは言えません。

そのため、7月に申請して追加資料の提出が8月になったようなケースでは、最初の申請日だけを基準に結果の日を予測するのは難しくなります。数か月単位を見込んでおき、具体的な進捗は依頼している社会保険労務士または年金事務所へ確認するのが確実です。

2回目の申請では前回の不支給理由を整理することが重要

障害年金を一度請求して不支給となり、改めて請求している場合には、前回なぜ認められなかったのかを整理することが非常に重要です。「前回落ちたから今回も落ちる」「2回目だから通りやすい」という単純なものではありません。

例えば前回と今回で症状が変化しているのか、請求方法や基準日が異なるのか、前回不足していた事実を今回はどの資料で補っているのかによって意味が変わります。ここは個別性が強いため、申請を担当している社会保険労務士に「前回の不支給理由と、今回はどの点を補っているのか」を具体的に確認しておくと状況を把握しやすくなります。

追加資料を求められた場合も、「何を確認する目的の資料なのか」を担当者に聞いておくとよいでしょう。単に「うまくいっていない」と捉えるより、審査上どの事実が確認対象になっているのかを把握するほうが実務的です。

申請中に働く必要が出た場合に記録しておきたいこと

生活上の事情からアルバイトなどを始める場合には、勤務実態を後から説明できるようにしておくと役立ちます。特に精神障害などでは、単純な収入額より就労の実態が重要になる場合があります。

  • 勤務を開始した日
  • 週の勤務日数と1日の勤務時間
  • 仕事内容
  • 欠勤・遅刻・早退の頻度
  • 体調悪化によって勤務できなかった日
  • 職場から受けている配慮や援助
  • 仕事の後に日常生活へどの程度影響が出るか
  • 退職した場合は勤務できなくなった経緯

例えば「アルバイトをしていた」という一文だけでは、週30時間安定して働けたのか、週4時間程度を何とか続けていたのか分かりません。事実を記録しておけば、主治医や社会保険労務士へ正確に状況を伝えやすくなります。

何より重要なのは、障害年金の認定を意識して意図的に勤務を減らしたり、反対に実際の就労を隠したりするのではなく、実際の状態をそのまま説明できるようにすることです。

障害年金の結果待ちと生活費の問題は分けて考える

障害年金の審査には時間がかかる可能性があるため、「年金が出るまで貯金だけで耐える」という方法が難しいケースもあります。その場合は年金の認定問題と当面の生活費問題を分けて考える必要があります。

まず主治医に、現時点で短時間のアルバイトを含めどの程度の活動が可能なのか相談します。次に申請を担当する社会保険労務士へ就労を検討している事情を伝え、提出済み診断書との関係を確認します。同時に自治体の生活困窮者相談窓口などへ相談し、利用可能な制度を確認する流れが現実的です。

生活そのものが維持できない状況なら、障害年金の結果を待ってから福祉事務所へ相談する必要はありません。生活保護を含め、現在利用できる支援について早めに相談することができます。

まとめ|障害年金申請中の就労は一律禁止ではないが、診断書との整合性と実態が重要

障害年金を申請しているからといって、アルバイトが法律上・制度上一律に禁止されるわけではありません。厚生労働省の障害認定基準でも、仕事をしているという事実だけで直ちに日常生活能力が向上したとは判断せず、仕事内容、勤務状況、職場の援助・配慮などを含めて判断するとされています。

ただし、診断書で「就労不可」と評価されている時期に新たに仕事を始めるのであれば、主治医と社会保険労務士への相談が重要です。特にフルタイムに近い安定就労と、体調に合わせた短時間勤務では認定上の意味が異なります。

また、20歳前傷病による障害基礎年金には本人所得による支給制限がありますが、少額のアルバイトをしただけで即座に受給資格がなくなる制度ではありません。「障害状態として就労をどう評価するか」と「20歳前傷病の所得制限」は分けて考える必要があります。

審査途中でカルテなどの追加資料を求められた場合も、それだけで不支給の兆候とは断定できません。ただし追加確認が入ることで審査が長期化する可能性はあります。2回目の請求であれば、前回の不支給理由と今回どの部分を補っているのかを担当の社会保険労務士に確認すると状況を整理しやすくなります。

生活費が尽きそうな場合には、無理な就労だけで解決しようとせず、生活困窮者自立支援制度や生活保護なども含め、現在利用できる公的支援を自治体へ相談することが大切です。障害年金は将来の給付に関する審査、生活困窮への支援は今日からの生活を維持するための仕組みとして、並行して考えるのが現実的です。

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