未支給年金の「生計同一関係に関する申立書」を間違えたら?経済的援助を双方「あり」にした場合と受給要件を解説

年金

未支給年金を請求する際、亡くなった方と請求者の住所が別だった場合などには、「生計同一関係に関する申立書」の提出を求められることがあります。この書類には、亡くなった方と請求者の間でどのような経済的援助があったかを記入する欄があり、書き方が少し分かりにくいため迷いやすい部分です。

特に注意したいのが、「亡くなった方から請求者への経済的援助」と「請求者から亡くなった方への経済的援助」の2つです。現在の日本年金機構の様式では、まず「亡くなった方→請求者」の経済的援助が「あり」か「なし」かを記入し、それが「なし」の場合に限って「請求者→亡くなった方」の経済的援助を記入する形式になっています。

したがって、両方を「あり」としてしまった場合は、現在の様式が想定している記入方法とは異なります。ただし、それだけで未支給年金の請求資格が自動的になくなるという意味ではありません。また、亡くなった方から請求者へ経済的援助があったこと自体も、未支給年金を受け取れなくなる理由ではありません。この記事では、申立書の正しい読み方と、間違えて記入した場合の対応、未支給年金の「生計同一」の考え方を整理します。

未支給年金を受け取るために必要なのは「生計を同じくしていた」こと

日本年金機構によると、年金を受けていた人が亡くなり、まだ受け取っていない年金や死亡後に振り込まれた死亡月分までの年金がある場合、亡くなった方と生計を同じくしていた一定範囲の遺族が未支給年金を請求できます。

受け取れる遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族の順です。先順位の人がいる場合、後順位の人は原則として請求できません。

ここで重要なのは、未支給年金では単純に「誰がお金を出していたか」だけが要件になっているわけではないことです。亡くなった当時に生活上・経済上の結び付きがあり、「生計を同じくしていた」と認められることがポイントになります。

[参照] 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」

申立書では経済的援助を両方向とも記入する形式ではない

日本年金機構の「生計同一関係に関する申立書(遺族年金・未支給・死亡一時金)」では、別居かつ住民票上も別住所だった場合に、経済的援助について記入する欄があります。

現在の様式では、最初に「亡くなった方から請求される方に対する経済的援助(あり・なし)」を選択し、援助があった場合には回数や内容を記載します。

そして、その直後には「上記の経済的援助が『なし』の場合は、以下に記載してください」と明記され、その場合にだけ「請求される方から亡くなった方に対する経済的援助(あり・なし)」を記入する構造になっています。

つまり、書類上の正しい流れは「亡くなった方→請求者の援助がありなら、そこでその欄を記載する」「それがなしなら、請求者→亡くなった方の援助について記載する」というものです。

[参照] 日本年金機構「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」

両方を「はい・あり」にした場合はどうなる?

実際には、親子などの間で双方がお金を出し合っていたケースもあります。たとえば親から子へ生活費の援助があり、その一方で子も親の医療費や買い物代を負担していた、ということは十分考えられます。

しかし、現在の申立書はそのような双方の援助を2つの「あり」にして記載する形式ではありません。「亡くなった方→請求者」が「あり」の場合には、下段の「請求者→亡くなった方」の欄は本来記入しない構成になっています。

そのため、両方に「あり」と記入してしまった場合は、記載方法としては訂正・確認したほうが安全です。ただし、双方に経済的援助があったという事実そのものが虚偽でなければ、単なる記載方法の問題である可能性があります。

まだ提出していない場合は、自己判断で修正液などを使用する前に、年金事務所や街角の年金相談センターへ「双方に実際の援助があったが、両方をありにしてよいか」と確認し、指定された方法で訂正するのが確実です。

すでに提出してしまった場合も、それだけで不支給とは限らない

すでに申立書を提出した後で両方へ丸を付けたことに気付いた場合でも、その一点だけで未支給年金が直ちに不支給になると決まっているわけではありません。

日本年金機構は申立書だけでなく、住民票、戸籍、生計同一関係を示す資料、送金記録などを含めて確認します。記載内容に不明な点や矛盾があれば、追加資料や説明を求められる可能性があります。

ただし、審査する側から見ると「本来は上段がなしの場合だけ下段を書くはずなのに、双方ありになっている」という状態なので、記載意図を確認される可能性があります。気付いた時点で年金事務所へ連絡し、「実際には双方で援助があったため両方に丸を付けた」と説明して、訂正や追加説明が必要か確認しておくと安心です。

亡くなった方から請求者へ経済的援助があっても未支給年金は請求できる

「亡くなった方から自分がお金をもらっていたら、未支給年金を受け取れないのでは」と心配する必要はありません。むしろ、別居していた親族の場合、定期的な経済的援助は生計同一関係を確認する重要な資料の一つになり得ます。

日本年金機構が公開している「生計同一関係証明書類等について」では、生計同一関係を示す資料の例として「定期的に送金がある場合」の預金通帳、振込明細書、現金書留封筒などが挙げられています。

つまり、亡くなった方から請求者へ定期的に生活費などが送られていたという事実は、「生計を同じくしていた」ことを裏付ける方向に働く場合があります。援助を受けていたこと自体が未支給年金の受給資格を失わせる仕組みではありません。

[参照] 日本年金機構「生計同一関係証明書類等について」

「亡くなった方から援助」と「請求者から援助」はどちらでも生計同一の材料になり得る

たとえば別居している親と子について、親が毎月2万円を子へ送っていた場合、その送金が生活上の結び付きを示す資料になる可能性があります。

反対に、子が高齢の親へ毎月3万円を送っていた場合も、親子間で生計上の関係があったことを確認する材料になり得ます。そのため申立書では、亡くなった方からの援助がない場合に、請求者から亡くなった方への援助について確認する欄が用意されています。

ポイントは「どちらがお金を出したら有利・不利」という単純な話ではなく、亡くなった当時に双方がどのような生活上・経済上の関係にあったのかを確認するための質問だということです。

経済的援助がなくても未支給年金が必ず受け取れないわけではない

別居していた場合でも、経済的援助だけで生計同一関係が決まるわけではありません。申立書には、経済的援助のほかに、別居していた理由、訪問・電話・メールなどの音信状況について記載する欄があります。

また、日本年金機構は健康保険の被扶養者であったこと、税法上の扶養親族であったこと、単身赴任、就学、病気療養・介護による別居など、生計同一関係を確認する複数の資料を例示しています。

そのため「毎月送金していなかったから未支給年金は絶対無理」とも言い切れません。実際の生活関係を示す資料や第三者証明などをもとに判断されます。

同居していた場合と別居していた場合では必要書類が違う

亡くなった方と請求者が住民票上も同じ住所だった場合、住民票などによって生計同一関係を確認できることがあります。一方、別住所だった場合には、原則として住民票に加えて「生計同一関係に関する申立書」が必要になります。

さらに別住所の場合には、生計同一関係を示す証明書類を提出するか、所定の場合には第三者による証明を受ける必要があります。

たとえば別居していた親へ毎月銀行振込で生活費を送っていたのであれば、振込明細や預金通帳などが客観的な資料になります。電話や訪問だけでなく、このような証拠資料が残っていれば準備しておくと手続きを進めやすくなります。

未支給年金と「相続」は同じではない

未支給年金については、「亡くなった人のお金だから相続人なら受け取れる」と考えがちですが、一般的な相続財産とは異なるルールで請求者が決まります。

日本年金機構では、亡くなった方と生計を同じくしていた一定範囲の遺族について、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族という順位を定めています。

そのため、法定相続人であっても生計同一関係が認められなかったり、より先順位の請求権者がいたりすれば、未支給年金を受け取れない場合があります。逆に、未支給年金の請求資格を満たせば、亡くなった方から経済的援助を受けていたことを理由に除外されるわけではありません。

間違いに気付いたら年金事務所へ確認するのが確実

年金関係の申立書では、自己判断で二重線を引いたり訂正印を押したりするより、提出先へ訂正方法を確認したほうが確実です。特にすでに書類を提出している場合は、追加書類を送る必要があるのか、電話で事情を確認したうえで審査を続けられるのかがケースによって異なる可能性があります。

問い合わせる際は、「生計同一関係に関する申立書の経済的援助欄で、亡くなった方から自分への援助も、自分から亡くなった方への援助も実際にあったため、両方を『あり』にしてしまった」と具体的に伝えると状況が伝わりやすくなります。

また、双方の経済的援助が実際にあったのであれば、いつ、どの程度、どのような内容だったのかを説明できるようにしておきましょう。振込記録、通帳、領収書などがあれば、必要に応じて提示できるよう保存しておくと安心です。

[参照] 日本年金機構「全国の相談・手続き窓口」

まとめ:双方「あり」は様式上の記入方法と異なるが、亡くなった方からの援助は受給の妨げではない

日本年金機構の現在の「生計同一関係に関する申立書」では、まず「亡くなった方から請求者への経済的援助」があり・なしのどちらだったかを記載します。そして、その援助が「なし」の場合に限って、請求者から亡くなった方への経済的援助について記入する形式になっています。

そのため、両方向とも実際に経済的援助があったとしても、書類上で双方に「あり」と丸を付けるのは本来想定された記載方法ではありません。まだ提出前なら年金事務所へ正しい記入方法を確認し、提出済みなら訂正や追加説明が必要か問い合わせるのが確実です。

一方で、亡くなった方から請求者へ経済的援助があったこと自体は、未支給年金を受け取れない理由ではありません。日本年金機構は定期的な送金の記録などを生計同一関係の証明資料として挙げており、別居していた場合にはむしろ生計上のつながりを示す資料になることがあります。

未支給年金で重要なのは、亡くなった当時に請求者が対象となる遺族の範囲・順位に入り、亡くなった方と「生計を同じくしていた」と認められることです。経済的援助の方向だけで受給資格が決まるわけではありません。

したがって、記入を間違えたことに気付いた場合は慌てて書類を作り直すのではなく、実際の経済的援助の状況を正確に説明したうえで、年金事務所に訂正方法を確認するのが最も安全な対応です。

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