社会保険の加入対象となる従業員がいるにもかかわらず、会社側の判断で加入手続きが進まないケースがあります。会社負担の増加や従業員本人の手取り減少を理由に加入を避けようとすることもありますが、社会保険は本人の希望だけで自由に加入・未加入を選べる制度ではありません。
社会保険は条件を満たす従業員を加入させる義務がある
健康保険や厚生年金などの社会保険は、法律で定められた加入条件を満たす従業員について、会社が手続きを行う義務があります。
会社が『本人が加入したくないと言っている』『会社の負担が増える』という理由だけで加入を避けることは認められません。社会保険料は会社と従業員がそれぞれ負担しますが、加入するかどうかは会社と本人の任意の話し合いで決めるものではありません。
例えば、正社員や正社員の4分の3以上の勤務時間・勤務日数で働く従業員、また一定条件を満たす短時間労働者などは、原則として社会保険への加入対象になります。
本人が加入を希望しない場合でも未加入にはできない
借金返済中などの事情で『手取りを減らしたくないから社会保険に入りたくない』と考える従業員もいます。しかし、社会保険加入は本人の希望だけで拒否できる制度ではありません。
短期的には給与の手取りが減る可能性がありますが、厚生年金への加入によって将来受け取れる年金額が増えるほか、健康保険による傷病手当金などの保障を受けられるメリットもあります。
会社側が本人の希望を理由に加入手続きを行わない場合、結果的に会社も従業員も法律上必要な手続きをしていない状態になる可能性があります。
社会保険未加入の場合に会社が負うリスク
本来加入すべき従業員を社会保険に加入させていない場合、年金事務所による調査や指導の対象になることがあります。
未加入が判明すると、過去にさかのぼって加入手続きを行い、会社負担分を含めた保険料を支払う必要が出る場合があります。期間によっては会社に大きな金銭的負担が発生することもあります。
そのため『今は業績が悪いから加入できない』という理由は、社会保険加入義務を免れる理由にはなりません。
総務担当者が取れる対応方法
会社内で加入手続きが進まない場合、まずは感情的に対立するのではなく、加入義務やリスクについて資料などを用いて上司へ説明することが重要です。
具体的には、『後から指摘された場合、未払いの社会保険料をまとめて支払う可能性がある』『従業員の年金記録や保障にも影響する』など、会社側のリスクを伝えることで理解を得やすくなります。
それでも会社が対応しない場合は、年金事務所へ相談する方法があります。相談では会社名や状況を伝え、社会保険加入義務について確認することができます。
社会保険加入を進める際に注意したいポイント
社会保険加入は従業員を守る制度である一方、会社にとっても適切な労務管理を行っている証明になります。未加入状態を続けることは、後々大きな問題になる可能性があります。
例えば、数年間にわたり加入対象者を未加入にしていた場合、退職後に従業員から指摘されるケースや、行政調査によって発覚するケースもあります。
総務担当者としては、個人的な感情ではなく『法律に沿った適切な手続き』として対応することが大切です。
まとめ
社会保険の加入対象となる従業員については、会社や本人の希望だけで加入を避けることはできません。会社負担や手取り減少という事情があっても、法律上の加入義務が優先されます。
社内で対応しても改善されない場合は、年金事務所など外部機関へ相談することも選択肢になります。早めに適切な手続きを行うことで、会社と従業員双方の将来的なトラブルを防ぐことにつながります。

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