心筋梗塞のカテーテル手術・ステント留置は先進医療?健康保険と先進医療特約の対象を解説

生命保険

医療保険や生命保険には「先進医療特約」が付けられる商品が多く、心筋梗塞でカテーテル治療を受ける際に「高額な治療だから先進医療ではないか」と考えることがあります。

しかし、医療技術として高度であることと、国の制度上の「先進医療」に該当することは別です。一般的な心筋梗塞・狭心症に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)や経皮的冠動脈ステント留置術は、公的医療保険で診療報酬が定められている治療であり、通常は先進医療そのものには該当しません。

したがって、民間保険の「先進医療特約」についても、通常のステント留置術を受けただけで先進医療給付金の対象になるとは考えないほうがよいでしょう。ただし、医療保険の手術給付金や入院給付金など別の保障が対象になる可能性があるため、契約内容の確認が重要です。

そもそも「先進医療」とは何なのか

先進医療とは、単純に「新しい治療」「難しい手術」「高額な医療」を意味する言葉ではありません。厚生労働大臣が定める特定の医療技術について、一定の施設基準を満たした医療機関で実施されるものを指します。

厚生労働省によると、先進医療に係る技術料は患者が全額自己負担します。一方、その先進医療と共通して行われる診察・検査・投薬・入院など通常の保険診療部分については、公的医療保険が適用されます。[参照:厚生労働省 先進医療の概要について]

つまり、医師から高度な治療を提案されたからといって、それだけで保険会社の先進医療特約を利用できるわけではありません。治療を受けた時点で、その技術が厚生労働大臣の定める先進医療に該当しているかを確認する必要があります。

心筋梗塞のカテーテル治療は先進医療なのか

心筋梗塞では、冠動脈が血栓などによって詰まったり著しく狭くなったりし、心臓の筋肉へ十分な血液が届かなくなることがあります。その血流を回復させる代表的な治療の一つが、カテーテルを使った経皮的冠動脈インターベンション(PCI)です。

厚生労働省の診療報酬では「K546 経皮的冠動脈形成術」や「K549 経皮的冠動脈ステント留置術」が手術として設定されており、急性心筋梗塞に対する場合の区分も定められています。[参照:厚生労働省 診療報酬の算定方法]

したがって、一般的な急性心筋梗塞などに対して行われる通常のPCI・冠動脈ステント留置術は、健康保険による保険診療として扱われる治療です。「カテーテルを使う高度な手術だから先進医療」という分類にはなりません。

ステント留置術も通常は健康保険の対象

冠動脈ステント留置術とは、狭くなった冠動脈をカテーテルで治療し、ステントと呼ばれる網目状の器具を留置して血管を広げる治療です。現在では心筋梗塞や狭心症に対して広く行われています。

厚生労働省の診療報酬上、「経皮的冠動脈ステント留置術」には急性心筋梗塞、不安定狭心症、その他という区分が設定されています。このことからも、通常の冠動脈ステント留置術は公的医療保険制度の中で扱われる治療であることが確認できます。

「ステントという医療機器を体内に入れる=先進医療」という意味ではありません。保険診療として確立された治療であれば、技術的に高度であっても先進医療特約の対象となる「先進医療」とは別です。

先進医療特約から給付されない=保険金が何も出ない、ではない

ここで間違えやすいのが、「先進医療ではないなら民間医療保険から何も受け取れない」と考えてしまうことです。先進医療特約は医療保険に付加される保障の一つにすぎません。

契約している保険によっては、心筋梗塞による入院について入院給付金、カテーテル手術やステント留置について手術給付金、さらに三大疾病に関する一時金などが支払われる可能性があります。

例えば「先進医療給付金は対象外だが、手術給付金と入院給付金は対象」というケースは十分考えられます。実際に支払われるかどうかは商品名、契約時期、特約、約款上の手術の定義、診療明細書に記載された手術名などによって異なるため、加入している保険会社へ確認する必要があります。

高額療養費制度との違いも理解しておく

心筋梗塞のカテーテル治療やステント留置術では、医療費そのものが高額になることがあります。しかし、公的医療保険が適用される医療費については「高額療養費制度」の対象になり得ます。

高額療養費制度は、1か月に医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が一定の上限額を超えた場合、その超えた部分について支給を受けられる制度です。自己負担限度額は年齢や所得などによって異なります。[参照:厚生労働省 高額療養費制度]

一方、先進医療の技術料は原則として全額自己負担となるため、その負担に備えることが民間保険の先進医療特約の主な役割です。この違いを理解すると、なぜ通常のステント治療と先進医療特約が直接結びつかないのか分かりやすくなります。

先進医療かどうかを確認する3つのポイント

治療を提案されて先進医療特約が利用できるか知りたい場合には、治療の通称だけで判断せず、次の3点を確認すると確実です。

  1. 正式な治療・手術・技術の名称
  2. 治療を受ける時点で厚生労働省の先進医療として定められているか
  3. 治療を受ける医療機関が、その先進医療を実施できる対象医療機関か

厚生労働省は先進医療の技術概要と実施医療機関を公開しています。先進医療の対象は固定されているわけではなく、追加・削除などによって変化します。[参照:厚生労働省 先進医療の各技術の概要]

さらに民間保険の給付条件は契約によって異なります。治療前に確認できる状況なら、医療機関へ正式な技術名を確認したうえで保険会社へ問い合わせると判断しやすくなります。

医療保険へ問い合わせるときは「カテーテル手術」だけで伝えない

保険会社へ確認するときには、「心臓のカテーテルをやります」だけではなく、病院から説明された正式な手術名を伝えることが重要です。カテーテルを用いる治療には複数の種類があるからです。

例えば診療明細書や手術説明書に「経皮的冠動脈形成術」「経皮的冠動脈ステント留置術」などと記載されていれば、その名称を保険会社へ伝えます。入院予定日や手術予定日、病名も併せて確認しておくとスムーズです。

すでに治療を受けた後であれば、診療明細書、領収書、退院時の書類などを確認します。保険会社によって必要な請求書類が異なるため、自己判断で「対象外だろう」と諦めず、通常の手術給付金を含めて問い合わせることが大切です。

まとめ:通常の心筋梗塞のステント留置術は先進医療ではなく保険診療

心筋梗塞や冠動脈狭窄に対して一般的に行われる経皮的冠動脈形成術や経皮的冠動脈ステント留置術は、診療報酬上の手術として定められている保険診療です。そのため、通常のカテーテル治療・ステント留置術そのものは、原則として民間保険の先進医療特約が対象とする「先進医療」には該当しません。

ただし、先進医療特約の対象外だからといって民間保険から給付を受けられないとは限りません。契約内容によっては入院給付金、手術給付金、三大疾病に関する保障などが対象になる可能性があります。

最終的には、病院で正式な治療・手術名を確認し、加入している保険会社へ契約内容に基づく給付対象か問い合わせるのが確実です。また先進医療の対象技術は変更されるため、実際に治療を受ける時点の厚生労働省の先進医療一覧を確認することも重要です。

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