障害基礎年金2級を受給中に特別支給の老齢厚生年金の案内が届いたらどうする?63歳女性の年金選択と65歳以降を解説

年金

障害基礎年金2級を受給している女性に、63歳になる前に日本年金機構から「特別支給の老齢厚生年金」の請求書が届くことがあります。この場合、「老齢厚生年金を請求したら障害年金がなくなるのか」「どちらを選べば得なのか」「65歳になったらどう変わるのか」が大きなポイントです。結論からいうと、65歳前は、障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金は原則として同時には受け取れず、どちらか一方を選択します。一方、65歳以降は制度が変わり、障害基礎年金と自分の老齢厚生年金を組み合わせて受け取ることが可能です。さらに、障害年金を受給中で厚生年金の被保険者ではない人は「障害者特例」により、63歳からの特別支給の老齢厚生年金が通常より増える可能性もあります。そのため、届いた年金請求書を単純に捨てたり、現在の障害基礎年金だけを見て判断したりせず、特別支給の老齢厚生年金の通常額・障害者特例適用後の額・障害基礎年金の額を並べて比較することが重要です。

  1. 63歳になる女性に年金請求書が届くのはなぜ?
  2. 特別支給の老齢厚生年金とは?
  3. 障害基礎年金2級と特別支給の老齢厚生年金は65歳前には原則同時にもらえない
  4. 特別支給の老齢厚生年金を請求したら障害基礎年金の権利が消えるわけではない
  5. 年金機構から届いた請求書は提出を検討した方がよい
  6. 特別支給の老齢厚生年金には「障害者特例」がある
  7. 障害年金をすでに受給している人は障害者特例で有利になる可能性がある
  8. 障害者特例を使っても障害基礎年金との同時受給になるわけではない
  9. 63歳から65歳までの最適解は金額比較で決まる
  10. 比較では税金も考えた方がよい
  11. 夫が70歳で年金を受給しながら働いていることは今回の中心問題ではない
  12. 65歳になるとルールが大きく変わる
  13. 65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」が有力な選択肢
  14. 障害基礎年金と老齢基礎年金を両方もらうことはできない
  15. 具体例で65歳以降の選択を比較
  16. 障害基礎年金2級の人は老齢基礎年金が満額とは限らない
  17. 65歳前に老齢基礎年金を繰上げるのは慎重に
  18. 63歳時点で確認すべき金額は3つ
  19. 65歳時点ではさらに2パターンを比較する
  20. 障害年金生活者支援給付金を受けている場合にも注意
  21. 「障害基礎年金だけ継続する」場合でも特別支給の請求を放置しない
  22. 請求を何年も放置するのは避けた方がよい
  23. 年金事務所で具体的に聞くべき質問
  24. 具体例:63歳では障害基礎年金、65歳から組み合わせを変更するケース
  25. 具体例:障害者特例で特別支給の方が高くなるケース
  26. 障害者特例の対象になるかは「仕事をしていない」だけでは決まらない
  27. 年金請求書が届いたらすぐ提出できるとは限らない
  28. 最適な方法を判断する手順
  29. まとめ:63歳では障害基礎年金と特別支給を比較し、65歳からは「障害基礎年金+老齢厚生年金」が有力

63歳になる女性に年金請求書が届くのはなぜ?

2026年に63歳になる女性のうち、昭和38年4月2日から昭和39年4月1日生まれで、老齢年金の受給資格期間が10年以上あり、厚生年金・共済組合の加入期間が合計1年以上ある人には、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に合わせて年金請求書が送付されます。

日本年金機構は、2026年に63歳になるこの年代の女性に対して、受給開始年齢の約3カ月前から「年金請求書(事前送付用)」を送ると案内しています。[参照:日本年金機構 老齢年金請求書の事前送付]

したがって、障害年金を受け取っているから誤って送られてきたわけではありません。厚生年金加入記録などから特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利が発生する見込みがあるため、手続きの案内が届いています。

特別支給の老齢厚生年金とは?

老齢厚生年金は現在、原則65歳から支給されます。しかし過去の制度改正で受給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げたため、その途中の世代に設けられている経過措置が「特別支給の老齢厚生年金」です。

女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれているなど一定の要件を満たす人が対象となります。受給開始年齢は生年月日によって61歳から64歳まで異なります。[参照:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金]

昭和38年4月2日から昭和40年4月1日生まれの女性については、報酬比例部分の受給開始年齢が63歳です。そのため2026年11月に63歳になる女性であれば、通常は63歳から特別支給の老齢厚生年金を受けられる年代に該当します。

障害基礎年金2級と特別支給の老齢厚生年金は65歳前には原則同時にもらえない

ここが最も重要です。公的年金には「支給理由の異なる年金は原則として一つを選ぶ」というルールがあります。

障害基礎年金は「障害」を理由とする年金であり、特別支給の老齢厚生年金は「老齢」を理由とする年金です。そのため、65歳前に両方の受給権がある場合には、原則としてどちらか一方を選択します。日本年金機構の資料でも、65歳前の障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金は「選択」とされています。[参照:日本年金機構 障害年金と他の年金の調整]

つまり63歳から65歳になるまでの間は、「障害基礎年金2級+特別支給の老齢厚生年金」を単純に足して両方受け取ることはできません。

特別支給の老齢厚生年金を請求したら障害基礎年金の権利が消えるわけではない

「どちらか一方を選択」と聞くと、特別支給の老齢厚生年金を選んだ瞬間に障害基礎年金そのものの受給権が永久に消えてしまうように感じるかもしれません。しかし、年金の選択では一方の年金が支給停止になるという考え方が基本です。

そのため、障害基礎年金の受給権自体がある状態で特別支給の老齢厚生年金を選択した場合には、選択していない障害年金が支給停止になる形になります。後に選択関係が変わる場合には手続きによって受給する年金を変更できる場合があります。

ただし障害年金そのものには障害状態の確認など独自の要件があります。選択変更を検討する場合は、必ず年金事務所で現在の受給権・支給停止状況を確認してください。

年金機構から届いた請求書は提出を検討した方がよい

障害基礎年金の方が高そうだからといって、特別支給の老齢厚生年金の請求書をそのまま放置するのはおすすめできません。

特別支給の老齢厚生年金には、65歳以降の通常の老齢年金とは異なり「繰下げ受給」の制度がありません。日本年金機構も、受給開始年齢に到達したら速やかに請求するよう案内しています。[参照:日本年金機構 年金の繰下げ受給]

請求せず待ったから年金額が増えるわけではありません。まず特別支給の老齢厚生年金の受給権を確定させ、そのうえで障害基礎年金とどちらを実際に受給するか選択する、という考え方が分かりやすいでしょう。

特別支給の老齢厚生年金には「障害者特例」がある

障害基礎年金を受給している人の場合、通常の特別支給の老齢厚生年金だけを比較すると判断を誤ることがあります。条件を満たせば「障害者特例」が適用される可能性があるからです。

通常、この年代の女性が63歳から受け取る特別支給の老齢厚生年金は「報酬比例部分」が中心です。しかし、厚生年金保険の被保険者資格を喪失しており、厚生年金保険法上の3級以上に相当する障害状態にあることを申し出ると、報酬比例部分に加えて定額部分も受給できる特例があります。[参照:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金の障害者特例]

現在仕事をしておらず厚生年金の被保険者ではない場合には、この条件に該当する可能性があります。

障害年金をすでに受給している人は障害者特例で有利になる可能性がある

日本年金機構によると、障害者特例は通常、申し出た月の翌月分から適用されます。ただし、すでに障害年金を受給している人については、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢まで遡って特例受給開始となります。[参照:日本年金機構 障害者特例]

例えば63歳から報酬比例部分を受け取れる女性が、その時点ですでに障害基礎年金2級を受給しており、厚生年金からも退職している場合、障害者特例が認められれば63歳から定額部分が加わる可能性があります。

そのため比較すべきなのは「今の障害基礎年金」と「通知に書かれた通常の特別支給額」だけではありません。「障害者特例を適用した特別支給の老齢厚生年金はいくらになるか」を年金事務所で必ず試算してもらうことが重要です。

障害者特例を使っても障害基礎年金との同時受給になるわけではない

障害者特例という名称から、「障害基礎年金に特別支給の老齢厚生年金が上乗せされる制度」と誤解しやすいのですが、そういう意味ではありません。

障害者特例は、特別支給の老齢厚生年金そのものの支給内容を手厚くする制度です。63~64歳の間に障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金を同時受給できるようにする制度ではありません。

したがって65歳前では、「障害基礎年金2級」と「障害者特例を反映した特別支給の老齢厚生年金」のどちらを受け取るのが有利かを比較することになります。

63歳から65歳までの最適解は金額比較で決まる

どちらを選ぶべきかは、実際の年金額によって異なります。例えば現在の障害基礎年金が年額83万円、通常の特別支給の老齢厚生年金が年額50万円なら、障害基礎年金を選ぶ方が年間受取額だけを見れば有利です。

一方、障害者特例を使うことによって特別支給の老齢厚生年金が年額95万円になるなら、老齢給付を選択する方が額面では多くなる可能性があります。

実際の金額は厚生年金の加入月数、過去の標準報酬、障害者特例の適用可否などによって大きく変わります。一般論だけで「障害年金をそのまま受けた方が得」「老齢厚生年金へ変更した方が得」と断定することはできません。

比較では税金も考えた方がよい

年金額が近い場合には、税金の違いも判断材料になります。障害年金は所得税および復興特別所得税の課税対象ではありません。日本年金機構も、障害年金・遺族年金は非課税であり、公的年金等の源泉徴収票も送付されないと案内しています。[参照:日本年金機構 障害年金の税金]

一方、特別支給の老齢厚生年金を含む老齢年金は、税法上「雑所得」として所得税等の対象になります。実際に税金が発生するかは年金額や各種控除などによって異なります。[参照:日本年金機構 老齢年金と所得税]

例えば障害基礎年金90万円と老齢厚生年金95万円なら、単純な額面差は5万円ですが、税・社会保険料への影響を考えると手取り差はそれより小さくなる場合があります。

夫が70歳で年金を受給しながら働いていることは今回の中心問題ではない

夫が70歳で私学共済の年金と老齢基礎年金を受給し、現在も働いているという事情は、妻が63歳時点で障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金のどちらを選択するかという問題には、通常は直接の中心要素ではありません。

妻自身の年金選択では、妻の障害基礎年金額、厚生年金加入記録、特別支給の老齢厚生年金額、障害者特例の適用可否が主な判断材料になります。

ただし、年金には加給年金・振替加算など配偶者との関係によって影響する制度もあるため、年金事務所では夫の年齢や受給中の年金についても正確に申告してください。

65歳になるとルールが大きく変わる

63歳・64歳の時点と65歳以降では、障害年金と老齢年金の組み合わせルールが変わります。これを知らずに「一生どちらか片方しかもらえない」と考える必要はありません。

日本年金機構によると、65歳以上で障害基礎年金と老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権を持つ人は、一定の組み合わせから選択できます。特に重要なのが、65歳以降は「障害基礎年金+自分の老齢厚生年金」という組み合わせが認められていることです。[参照:日本年金機構 年金の併給または選択]

これは障害基礎年金を受給している人にとって非常に重要な特例です。

65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」が有力な選択肢

65歳になると通常の老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権が発生します。このとき障害基礎年金を受給している人は、主に「老齢基礎年金+老齢厚生年金」と「障害基礎年金+老齢厚生年金」を比較することになります。

日本年金機構の併給早見表でも、65歳以上の障害基礎年金と老齢厚生年金は同時に受け取れる組み合わせとして示されています。[参照:日本年金機構 障害年金と他の年金の調整]

そのため、現在障害基礎年金2級を受給している人では、65歳以降も障害状態が続いて受給要件を満たしているなら、障害基礎年金を残しながら、自分が厚生年金へ加入していた分の老齢厚生年金を受け取るという方法が有力になります。

障害基礎年金と老齢基礎年金を両方もらうことはできない

65歳以降に併給が認められるとはいっても、何でも自由に足せるわけではありません。

障害基礎年金と老齢基礎年金は、どちらも「基礎年金」に当たるため、同時に二つ受け取ることはできません。日本年金機構も、障害基礎年金と老齢基礎年金の二つの基礎年金を合わせて受け取ることはできないと明記しています。[参照:日本年金機構]

したがって65歳以降は、「障害基礎年金か老齢基礎年金か」を選び、その上に老齢厚生年金を組み合わせる、という形で考えると分かりやすくなります。

具体例で65歳以降の選択を比較

例えば65歳時点で、障害基礎年金が年83万円、老齢基礎年金が年70万円、老齢厚生年金が年60万円だったとします。

選択例 年額の単純合計
老齢基礎年金70万円+老齢厚生年金60万円 130万円
障害基礎年金83万円+老齢厚生年金60万円 143万円

この例なら、障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせる方が額面では年間13万円多くなります。さらに障害基礎年金は非課税なので、手取り面でも有利になる可能性があります。

逆に、老齢基礎年金の方が障害基礎年金より高くなるケースなどでは別の結果となります。必ず本人の実額で比較してください。

障害基礎年金2級の人は老齢基礎年金が満額とは限らない

老齢基礎年金の額は、20歳から60歳までの国民年金保険料の納付済期間や免除期間などによって決まります。40年間すべて納めた場合に満額となります。[参照:日本年金機構 老齢基礎年金]

障害年金を受給している人の中には、国民年金保険料について法定免除となっていた期間などがあるため、65歳時点の老齢基礎年金が満額より少なくなることがあります。

このため「65歳になったら障害基礎年金をやめて普通の老齢基礎年金へ切り替える方が自然」と決めつけず、両方の見込額を確認することが重要です。

65歳前に老齢基礎年金を繰上げるのは慎重に

63歳になると特別支給の老齢厚生年金だけでなく、「老齢基礎年金も早く受け取れないのか」と考える人もいます。老齢基礎年金は60歳から65歳になるまで繰上げ請求できますが、減額率は一生変わりません。

日本年金機構も、繰上げ請求は取り消しや変更ができず、請求時期に応じた減額が生涯続くため、事前に年金事務所で試算するよう注意喚起しています。[参照:日本年金機構 老齢年金の繰上げ請求]

すでに障害基礎年金を受給している場合には他の年金との選択関係もあるため、単に「少しでも早く老齢基礎年金をもらう」という理由だけで繰上げ請求するのは避けた方がよいでしょう。

63歳時点で確認すべき金額は3つ

年金事務所で相談するときには、「私はどちらを選べば得ですか」とだけ聞くのではなく、具体的な金額を出してもらうと判断しやすくなります。

  1. 現在受給している障害基礎年金2級の年間支給額
  2. 通常の特別支給の老齢厚生年金の年間支給額
  3. 障害者特例を適用した場合の特別支給の老齢厚生年金の年間支給額

この3つの数字を比較することで、63歳から65歳になるまでの約2年間にどの年金を選ぶのが有利か判断できます。

特に3番目の障害者特例を見落とさないことが重要です。

65歳時点ではさらに2パターンを比較する

65歳になる前には、今度は次の組み合わせを比較します。

65歳以降の主な選択肢 内容
老齢基礎年金+老齢厚生年金 通常の老齢年金として受給
障害基礎年金+老齢厚生年金 障害基礎年金を維持し、自分の老齢厚生年金を併給

障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせは65歳前にはできませんが、65歳以降には認められます。ここが63歳時点との最大の違いです。

さらに税金、障害年金生活者支援給付金の受給状況などがある場合は、単純な額面だけではなく実際の手取りベースでも比較するとよいでしょう。

障害年金生活者支援給付金を受けている場合にも注意

障害基礎年金を受給している人の中には、所得要件などを満たして「障害年金生活者支援給付金」を受け取っている人もいます。

2026年度の障害年金生活者支援給付金は、障害等級2級の場合、月額5,620円です。支給には障害基礎年金を受けていることなどの条件があります。[参照:日本年金機構 障害年金生活者支援給付金]

もし現在この給付金も受け取っているなら、63~64歳で老齢給付を選択する際には、その扱いを含めた実際の受取総額を年金事務所へ確認することが大切です。

「障害基礎年金だけ継続する」場合でも特別支給の請求を放置しない

比較した結果、63歳から65歳までは現在の障害基礎年金を受け続ける方が有利だったとします。その場合でも、特別支給の老齢厚生年金の請求権を放置してよいとは限りません。

特別支給の老齢厚生年金には繰下げによる増額制度がなく、日本年金機構は受給権発生後に速やかに請求するよう案内しています。[参照:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き]

請求書を提出したうえで年金の選択手続きを行う必要があるケースがあるため、届いた書類を持って年金事務所へ相談するのが確実です。

請求を何年も放置するのは避けた方がよい

特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度がないため、「65歳まで待てば増える」というメリットはありません。

さらに年金は、請求が極端に遅れると時効の問題が生じます。日本年金機構も、特別支給の老齢厚生年金について手続きが遅れ、請求時点から5年以上前の年金については時効で受け取れなくなる場合があると案内しています。[参照:日本年金機構 老齢年金の請求と時効]

今回のように年金機構から請求書が届いた段階で、一度年金事務所へ予約相談するのが最も安全です。

年金事務所で具体的に聞くべき質問

相談時には、現在の障害年金証書と送付された年金請求書を持参し、次の項目を確認すると判断しやすくなります。

  • 私の特別支給の老齢厚生年金は63歳から年額いくらですか
  • 障害者特例の対象になりますか
  • 障害者特例を使うと年額はいくらになりますか
  • 63歳から65歳までは障害基礎年金とどちらを選ぶ方が受取額が多いですか
  • 現在の障害基礎年金を選ぶ場合でも年金請求書は提出した方がよいですか
  • 年金受給選択申出書は必要ですか
  • 65歳以降の「障害基礎年金+老齢厚生年金」の見込額はいくらですか
  • 老齢基礎年金+老齢厚生年金を選んだ場合はいくらですか
  • 現在受給中の年金生活者支援給付金がある場合はどうなりますか

特に「63~64歳」と「65歳以降」を分けて試算してもらうことがポイントです。

具体例:63歳では障害基礎年金、65歳から組み合わせを変更するケース

例えば63歳時点の障害基礎年金が年83万円、障害者特例を含めても特別支給の老齢厚生年金が年70万円だったとします。この場合、63歳から65歳までは障害基礎年金を選ぶ方が額面では有利です。

そして65歳になると、老齢厚生年金60万円の受給権が発生したと仮定します。65歳以降は障害基礎年金83万円と老齢厚生年金60万円を組み合わせ、合計143万円とすることが可能です。

このように、63歳で選んだ年金をそのまま65歳以降も同じ形で受け続けなければならないわけではありません。65歳は年金の組み合わせを改めて確認する大きな節目です。

具体例:障害者特例で特別支給の方が高くなるケース

逆に、障害基礎年金が年83万円、通常の特別支給が60万円でも、障害者特例の適用によって特別支給の老齢厚生年金が年100万円になるとします。

この場合は63歳から65歳までについて、額面だけなら特別支給の老齢厚生年金を選ぶ方が年間17万円多くなります。

ただし老齢年金は課税対象、障害年金は非課税という違いがあるため、実際には税金や関連する給付を含めた手取り額で比較する必要があります。

障害者特例の対象になるかは「仕事をしていない」だけでは決まらない

障害者特例では、単に無職であることだけではなく、厚生年金保険の被保険者資格を喪失していること、一定以上の障害状態にあることなどが必要です。

日本年金機構では、障害厚生年金の1級から3級に相当する障害状態にあり、厚生年金保険の被保険者でない人などを対象としています。すでに障害年金を受給している場合には診断書が不要になる取扱いもあります。[参照:日本年金機構 障害者特例の手続き]

現在「仕事をしていない」という情報は、厚生年金の資格を喪失している可能性が高いという意味では重要ですが、実際の資格状況は年金記録で確認してください。

年金請求書が届いたらすぐ提出できるとは限らない

特別支給の老齢厚生年金の請求書は、受給開始年齢に到達する約3カ月前に送られますが、実際に提出できるのは受給権が発生してからです。

日本年金機構によると、受給権発生日は受給開始年齢に到達した日、つまり原則として誕生日の前日です。受給開始年齢になる前に請求書を提出すると受け付けられないため注意が必要です。[参照:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金の請求手続き]

11月に63歳になる人なら、同封されている案内で提出可能日と必要書類を確認して準備しておきましょう。

最適な方法を判断する手順

  1. 届いた特別支給の老齢厚生年金の請求書を保管する
  2. 現在の障害基礎年金2級の年額を確認する
  3. 年金事務所で通常の特別支給額を試算してもらう
  4. 障害者特例の対象になるか確認する
  5. 障害者特例適用後の年額を試算してもらう
  6. 63~64歳は障害基礎年金と特別支給のどちらが有利か比較する
  7. 税金や年金生活者支援給付金なども含めて手取りを確認する
  8. 65歳時点の老齢基礎年金・老齢厚生年金を試算する
  9. 65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」と「老齢基礎年金+老齢厚生年金」を比較する

この順番で確認すれば、「障害年金がなくなるのが怖いから老齢年金を請求しない」という判断を避けられます。

まとめ:63歳では障害基礎年金と特別支給を比較し、65歳からは「障害基礎年金+老齢厚生年金」が有力

現在障害基礎年金2級を受給している女性に、63歳の特別支給の老齢厚生年金の請求書が届いた場合、63歳から65歳までは障害基礎年金と特別支給の老齢厚生年金を原則として同時受給できず、どちらか一方を選択します。[参照:日本年金機構 障害年金と他の年金の調整]

ただし、現在仕事をしておらず厚生年金の被保険者資格を喪失していて、所定の障害状態に該当する場合には「障害者特例」を利用できる可能性があります。すでに障害年金を受給している人については、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢まで遡って特例が適用される取扱いがあります。[参照:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金]

したがって63歳時点では、①現在の障害基礎年金、②通常の特別支給の老齢厚生年金、③障害者特例適用後の特別支給の老齢厚生年金の3つの金額を年金事務所で出してもらい、比較するのが最も確実です。

そして65歳になると制度が変わります。65歳以降は、障害基礎年金と自分の老齢厚生年金を組み合わせて受給できます。一方、障害基礎年金と老齢基礎年金の二つを同時に受給することはできません。[参照:日本年金機構 年金の併給または選択]

そのため65歳以降は、「障害基礎年金+老齢厚生年金」と「老齢基礎年金+老齢厚生年金」のどちらが有利かを改めて比較します。障害年金は非課税である点も判断材料になります。[参照:日本年金機構 障害年金の非課税]

また、特別支給の老齢厚生年金には繰下げによる増額制度がありません。年金請求書を放置して65歳まで待っても増額されないため、届いた書類と障害年金証書を持参し、63歳の受給権発生前後に年金事務所で相談するのがおすすめです。夫が70歳で年金を受給しながら働いていることよりも、まずは本人の障害年金額・厚生年金記録・障害者特例の適用後金額を確認することが、最適な選択への近道です。

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