地震保険は入るべき?加入率・火災保険との違い・補償範囲から必要性をわかりやすく解説【2026年版】

生命保険

地震保険に加入するかどうかは、持ち家か賃貸か、住宅ローンが残っているか、貯蓄で生活再建できるか、住んでいる地域の地震リスクなどによって判断が変わります。2024年末の全国の地震保険世帯加入率は35.4%で、2024年度に新たに契約された住宅向け火災保険のうち地震保険を付けた割合は70.4%でした。[参照]つまり、すべての世帯が加入しているわけではない一方、現在火災保険を契約する人の多くが地震保険も付けている状況です。地震保険は「家を完全に建て直すための保険」というより、大地震の後に住宅・家財・当面の生活を立て直すための資金を確保する保険として考えると分かりやすいでしょう。

地震保険とは?火災保険だけでは地震被害を十分に補償できない

地震保険は、地震・噴火、またはこれらによる津波を原因として、居住用建物や家財に火災・損壊・埋没・流失などの損害が発生した場合に保険金が支払われる制度です。財務省が制度の概要を公表しており、民間の損害保険会社と政府が共同で運営する仕組みになっています。[参照]

特に注意したいのは、一般的な火災保険では地震を原因とする火災や損壊などが原則として補償されないことです。日本損害保険協会も、地震・噴火・津波による火災は通常の火災保険では補償されず、地震保険が必要になると案内しています。[参照]

例えば地震でストーブが倒れて住宅が全焼した場合、通常の火災保険だけでは地震を原因とする火災として対象外になることがあります。このようなリスクに備えるのが地震保険です。

地震保険は単独では加入できず火災保険とセット

地震保険は原則として単独契約することができず、火災保険とセットで加入します。

すでに火災保険だけに加入している場合でも、契約期間の途中から地震保険を追加できる場合があります。財務省も、火災保険契約の途中から地震保険を付ける「中途付帯」が可能と案内しています。[参照]

火災保険証券を確認して「地震保険」という記載がなければ、地震補償が付いていない可能性があります。加入状況が分からない場合は保険証券や契約者ページで確認するとよいでしょう。

地震保険はいくらまで補償される?

地震保険の保険金額は自由に設定できるわけではありません。財務省によると、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で設定します。さらに上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。[参照]

例えば建物の火災保険金額が2,000万円なら、地震保険金額は600万円から1,000万円の範囲で設定することになります。

つまり2,000万円の住宅が地震で大きな被害を受けても、地震保険から2,000万円全額が支払われる制度ではありません。地震保険は住宅を完全に元通りにする費用を全額補償する制度ではなく、被災後の生活再建を支援することを目的とした制度です。

保険金は修理費そのものではなく損害区分で決まる

地震保険では、実際に修理業者へ支払った金額をそのまま補償する仕組みではありません。損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分で認定し、その区分に応じて保険金が支払われます。

損害区分 地震保険金額に対する支払割合
全損 100%
大半損 60%
小半損 30%
一部損 5%

例えば地震保険金額1,000万円で「大半損」と認定された場合、原則として600万円が支払われます。「一部損」であれば50万円です。具体的な認定基準は財務省が公表しています。[参照]

地震保険に加入している人はどのくらいいる?

損害保険料率算出機構の最新公表データでは、2024年末の全国の地震保険世帯加入率は35.4%です。[参照]

ただし、この数字だけを見ると「3世帯に1世帯しか入っていない」と感じるかもしれません。別の指標として、2024年度に新規契約された住宅向け火災保険のうち地震保険も付けられた割合は70.4%で、統計開始以来初めて70%を超えました。[参照]

この2つの数字が違うのは、世帯加入率が日本の全世帯に対する地震保険契約数を見る指標なのに対し、付帯率はその年度に住宅向け火災保険を契約した人のうち地震保険も付けた割合だからです。

持ち家で住宅ローンが残っている人は必要性が高くなりやすい

地震保険の必要性が比較的高いのは、住宅ローンを多く残した持ち家世帯です。

例えば住宅ローン残高2,500万円の家が大地震で大きく損壊した場合でも、住宅ローンそのものが自動的に免除されるわけではありません。住めない家のローンを返済しながら、新しい住居の家賃や建て替え費用を負担する可能性があります。

十分な貯蓄がない場合、この「住宅ローン+新生活費」という二重負担が家計に大きな影響を与えます。そのためローン残高が大きく、自己資金だけで生活を立て直すことが難しい家庭ほど、地震保険の価値は高くなりやすいと考えられます。

貯金が十分ある場合は地震保険に入らない選択もある

一方で、地震保険はすべての人に絶対必要というものでもありません。

例えば住宅ローンがなく、住宅が大きく損壊しても十分な金融資産があり、建て替えや仮住まい、家財の買い直しまで自己資金で対応できるのであれば、地震リスクを自分で負担する「自己保険」という考え方もできます。

保険は本来、発生確率は低くても「起きたら自力では払えない損失」を移転するために使うものです。そのため、保険料を払うべきかどうかは「地震が起きると思うか」だけでなく、地震が起きたとき自分の資産だけで生活を再建できるかで考えると合理的です。

賃貸でも地震保険は無関係ではない

賃貸住宅の場合、建物そのものは大家の所有物なので、通常は入居者が建物の地震保険へ加入する必要はありません。

しかし自分の家具、家電、衣類などの家財については地震保険を付けることができます。財務省も、賃貸住宅の入居者について家財のみで地震保険へ加入できると案内しています。[参照]

例えば地震で家具が倒れ、テレビ・パソコン・冷蔵庫など多くの家財が破損した場合、通常の家財火災保険だけでは地震原因の損害が対象外となることがあります。そのため賃貸でも家財を一度に買い直す余裕がない場合には検討する価値があります。

マンションでも地震保険は検討する意味がある

鉄筋コンクリート造のマンションは木造住宅より耐震性が高いケースが多いため、「マンションなら地震保険はいらない」と考える人もいます。

しかしマンションでも専有部分や家財が損害を受ける可能性があります。また建物の共用部分については、原則として管理組合側の火災保険・地震保険の加入状況が関係します。

財務省も、マンション所有者は専有部分と家財について地震保険へ加入でき、エレベーターなど共用部分については管理組合が加入する必要があると説明しています。[参照]

地震保険に入るか迷ったら「失ったときの金額」で考える

地震保険の判断では、「周りの人が入っているか」だけで決めるより、自分が失う可能性のある金額を計算する方が実用的です。

例えば、住宅の大規模修繕や建て替えに必要な自己資金、仮住まいの家賃、引っ越し費用、家具・家電の買い直し、住宅ローンの残債などを想定します。

仮に大地震後に500万円程度の臨時支出が発生すると生活が破綻する可能性があるなら、そのリスクを地震保険で一定程度移転する意味があります。逆に数千万円の金融資産があり生活再建費を十分負担できるなら、保険料とのバランスを考えて加入しない判断もあり得ます。

地震保険の保険料は地域と建物構造で変わる

地震保険の保険料は全国一律ではありません。地震発生リスクが地域によって異なるため、都道府県と建物の構造区分によって保険料が変わります。

また、耐震性能の高い住宅などには一定の割引制度があります。免震建築物割引、耐震等級割引、耐震診断割引、建築年割引などがあり、条件を満たせば保険料を抑えられる場合があります。

そのため「地震保険は高い」と一律に判断せず、現在の住宅条件で実際に見積もりを取ってから必要性と費用を比較するとよいでしょう。

地震保険で対象にならないものもある

地震保険は住宅にあるすべての財産を無制限に補償する制度ではありません。

財務省によると、工場や事務所専用建物、自動車、通貨、有価証券、預貯金証書、印紙・切手などは対象外です。また、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とうなども地震保険の対象外となります。[参照]

例えば自宅駐車場の自動車が地震で損壊しても、住宅向け地震保険から自動車の修理費が支払われるわけではありません。自動車については車両保険側の地震補償などを別途確認する必要があります。

「地震保険に入れば家を元通りにできる」と考えないことが大切

地震保険を理解するうえで最も重要なのは、補償額に上限があることです。

火災保険金額2,000万円に対して地震保険を50%の1,000万円に設定していた場合、全損と認定されても原則として地震保険金は1,000万円です。新築費用が2,500万円かかったとしても、地震保険だけですべてを賄えるとは限りません。

したがって地震保険は「家を完全復旧させる保険」よりも、「住宅・家財を失った直後にまとまった生活再建資金を確保する保険」と考えるのが制度の趣旨に近いでしょう。

地震保険に加入するか判断するチェックポイント

加入を迷った場合は、次の点を確認すると判断しやすくなります。

  • 持ち家か賃貸か
  • 住宅ローンがどれくらい残っているか
  • 地震で家を失った場合に利用できる貯蓄はいくらあるか
  • 家財を一度に買い直せる余裕があるか
  • 仮住まいの家賃を何か月負担できるか
  • 現在の火災保険に地震保険が付いているか
  • 建物の耐震性能や地域の地震リスクはどうか

特に「住宅ローンが多い」「貯蓄が少ない」「家財を買い直す余裕がない」という条件が重なるほど、地震保険によるリスク移転の必要性は高くなります。

まとめ:地震保険は「入っている人が多いから」ではなく生活再建できるかで判断する

2024年末の地震保険の全国世帯加入率は35.4%ですが、2024年度に契約された住宅向け火災保険への地震保険付帯率は70.4%まで上昇しています。[参照]近年火災保険を契約する世帯では、地震保険も一緒に付けるケースが多数派になっています。

地震保険に加入するかどうかは、「地震が怖いか」よりも「地震で住宅や家財を失ったとき、保険なしで生活を立て直せるか」で判断するのがポイントです。

特に住宅ローンが多く残っている持ち家世帯や、住宅・家財を失った際に使える貯蓄が十分ではない世帯では、加入を検討する意味が大きいでしょう。一方、住宅ローンがなく、多額の金融資産によって被災後の生活再建費を自己負担できる場合には、保険料とのバランスから加入しない選択も考えられます。

また通常の火災保険では、地震・噴火・津波を原因とする火災や損壊は原則として補償されません。[参照]「火災保険に入っているから地震も大丈夫」と思い込まず、まず現在の保険証券を確認することが重要です。

地震保険は火災保険金額の30%から50%までで、建物5,000万円・家財1,000万円という上限があります。[参照]そのため万能な補償ではありませんが、大規模地震という「起きる頻度は低くても、一度起きれば家計に非常に大きな損失を与えるリスク」に備える手段として、持ち家・賃貸を問わず検討する価値のある保険です。

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