26歳で貯金が250万円ある場合、それが同年代と比べて多いのか少ないのか気になる人は少なくありません。SNSでは「20代で500万円」「30歳までに1000万円」といった投稿も目につくため、自分だけ貯金が少ないように感じることもあります。
しかし、貯金額を比較するときは、平均値だけを見ると実態を誤解しやすい点に注意が必要です。特に20代では収入、実家暮らしか一人暮らしか、奨学金や自動車ローンの有無などによって資産状況に大きな差があります。ここでは公的機関の統計をもとに、20代で250万円という金額をどのように考えればよいのか整理します。
26歳で貯金250万円は「下位1%」なのか
26歳で250万円の貯金があるからといって、下位1%と考える根拠はありません。むしろ、20代全体の統計と比較すると、250万円は決して極端に少ない金額ではありません。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」では、20歳代の単身世帯について、金融資産保有額の平均値は255万円、中央値は37万円となっています。調査対象は20歳以上80歳未満の単身世帯2,500世帯で、2025年6月20日から7月2日にインターネットモニター方式で実施されています。[参照:J-FLEC 家計の金融行動に関する世論調査 2025年]
つまり250万円という金額は、20代単身世帯の金融資産の平均値255万円にかなり近く、中央値37万円を大きく上回ります。ただし、ここでいう「金融資産」と一般的にいう「銀行口座の貯金」は完全に同じものではないため、単純比較には注意が必要です。
20代の金融資産はどのくらいあるのか
2025年のJ-FLEC調査をもとに20代単身世帯を見ると、金融資産を保有していない世帯は33.2%、100万円未満は24.6%です。この2つを合わせると、20代単身世帯の半数以上が100万円未満の区分に入ります。
| 20代単身世帯の金融資産額 | 割合 |
|---|---|
| 金融資産非保有 | 33.2% |
| 100万円未満 | 24.6% |
| 100万円~200万円未満 | 10.2% |
| 200万円~300万円未満 | 7.1% |
| 300万円~400万円未満 | 5.5% |
| 400万円~500万円未満 | 3.1% |
| 500万円~700万円未満 | 5.8% |
| 700万円~1000万円未満 | 2.6% |
250万円であれば、この統計では「200万円~300万円未満」の層に相当します。したがって、少なくとも20代単身世帯の金融資産統計から「250万円は下位1%」と判断することはできません。
なお、J-FLECがいう金融資産には預貯金だけでなく、株式、投資信託、生命保険なども含まれます。一方、日常的な支払いや引き落としに備えて普通預金などに置いているお金については、金融資産として扱われない場合があります。そのため「銀行口座に250万円ある」という数字と「金融資産250万円」は厳密には別物です。
平均255万円なのに中央値37万円なのはなぜ?
20代単身世帯では平均値が255万円である一方、中央値は37万円です。この大きな差を理解することが、貯金額を比較するときの重要なポイントです。
平均値は、全員の金融資産を合計して人数で割った数字です。そのため、一部に1000万円、2000万円、3000万円以上といった大きな資産を持つ人がいると、平均値は上方向へ引っ張られます。
これに対して中央値は、金融資産額の少ない人から多い人まで順番に並べたとき、中央に位置する人の金額です。そのため「一般的な人がどのくらい持っているのか」を知りたい場合には、平均値だけでなく中央値も確認することが大切です。
例えば5人の貯金額が「0万円、20万円、50万円、100万円、1000万円」だった場合、中央値は50万円ですが、平均値は234万円になります。1000万円を持つ1人によって平均値が大幅に上がるためです。金融資産の統計でも似た現象が起こります。
「26歳男性」という条件だけの正確な順位は分からない
注意したいのは、J-FLECの代表的な年代別統計は「20歳代」という区分であり、26歳男性だけを切り出して全国順位を示したものではないことです。そのため「26歳男性で250万円なら上位○%」「下位○%」と1%単位で断定することはできません。
また、比較する統計によって対象も違います。単身世帯なのか二人以上世帯なのか、現金・預金だけなのか株式や投資信託を含めるのかによって数字は変わります。
特に「貯金」という言葉には、普通預金や定期預金だけを意味する場合と、投資信託や株式まで含めた資産全体を意味する場合があります。ネット上の「20代の平均貯金○○万円」という数字を見るときには、何を貯金として集計している数字なのかを確認することが重要です。
250万円あることより「負債を含めた純資産」も重要
同じ250万円を持っている26歳でも、家計の状態が同じとは限りません。例えばAさんは預金250万円で借金なし、Bさんは預金250万円で自動車ローン200万円、Cさんは預金250万円に加えて投資信託300万円を保有しているとします。
表面的には3人とも「貯金250万円」ですが、資産と負債を合わせて考えれば経済状況は大きく異なります。自分の家計を把握するときには、預金残高だけではなく、株式や投資信託などの金融資産と、奨学金・カードローン・自動車ローンなどの負債を一緒に確認すると実態が見えやすくなります。
また、実家暮らしで家賃負担が小さい人と、一人暮らしで家賃や光熱費をすべて負担している人でも貯蓄ペースは異なります。同年代との金額比較だけで家計の良し悪しを判断するのは適切ではありません。
20代では貯金額より「今後貯められる仕組み」も大切
20代は今ある資産額だけでなく、今後どれくらい継続的に貯蓄できるかも重要です。26歳なら、30歳までにもまだ数年あります。
例えば現在250万円あり、毎月5万円を4年間貯めれば、単純計算では追加で240万円になります。ボーナスや運用益を考慮しなくても、30歳時点では490万円です。反対に現在500万円あっても毎月赤字で取り崩していれば、数年後には資産が減っている可能性があります。
そのため「同年代より多いか少ないか」だけではなく、毎月の手取りに対していくら残せているか、生活防衛資金を確保できているか、高金利の借入れがないかといった点を確認するほうが、長期的な家計管理には役立ちます。
ネットの「貯金額ランキング」を見るときの注意点
SNSや掲示板では「25歳で1000万円貯めた」「20代なら500万円くらい普通」といった情報が目に入りやすいものです。しかし、こうした投稿だけから同年代の一般的な貯金額を判断するのは難しいでしょう。
資産形成に関心が高い人ほど貯金額を公開しやすいこともあり、ネット上で目にする事例には偏りが生じる可能性があります。また、親からの援助や相続、実家暮らし、所得水準など、資産形成の前提条件が書かれていないケースもあります。
客観的に比較したい場合は、J-FLECなどが公表している大規模調査を確認し、平均値と中央値、資産額の分布をセットで見るのが有効です。
まとめ:26歳で250万円は下位1%とは考えにくい
26歳で貯金250万円という数字について、信頼できる統計から「下位1%」と判断できる根拠はありません。2025年のJ-FLEC調査では、20代単身世帯の金融資産保有額は平均255万円、中央値37万円であり、金融資産非保有が33.2%、100万円未満が24.6%となっています。
したがって、250万円は20代単身世帯の平均値に近く、中央値を大きく上回る水準です。ただし「26歳男性だけ」の正確な順位を示す統計ではないこと、そしてJ-FLECの金融資産と一般的な意味での貯金には定義上の違いがあることには注意が必要です。
資産形成では順位そのものよりも、生活費に備えた現金を確保し、負債を把握したうえで、毎月無理なく黒字を積み上げられる状態を作ることが重要です。同年代との比較は現在地を知る参考程度にとどめ、自分の収入・支出・将来計画に合わせて貯蓄目標を設定するとよいでしょう。


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