転職するとき、前の会社の退職日と次の会社の入社日の間に数日から数週間の空白期間が生じることがあります。この期間について「健康保険や年金は10日分だけ払うのか」「次の会社にすぐ入るなら何もしなくてよいのか」と迷う人は少なくありません。
社会保険では、単純に空白の日数だけで保険料を日割り計算するわけではありません。特に年金は月末時点でどの制度に加入しているかが重要で、健康保険については退職翌日から新しい健康保険へ加入するまで無保険にならないよう手続きが必要です。
例えば10月20日に退職し、11月1日から新しい会社の健康保険・厚生年金へ加入するケースでは、10月21日から10月31日までが社会保険の空白期間になります。この具体例を使って仕組みを整理します。
10月20日に退職すると会社の社会保険はいつまで使える?
会社の健康保険・厚生年金の資格は原則として退職日の翌日に喪失します。したがって10月20日が退職日なら、前職の健康保険を利用できるのは原則10月20日までで、10月21日に資格を喪失します。
11月1日に転職先へ入社し、その日から健康保険・厚生年金の被保険者になるのであれば、10月21日から10月31日までの11日間について別の制度を考える必要があります。「10日程度だから保険に入らなくてもよい」という仕組みではありません。
日本年金機構も、退職後に厚生年金の適用事業所へ再就職しない20歳以上60歳未満の人は国民年金への切替手続きが必要と案内しています。[参照:日本年金機構 会社を退職したときの国民年金]
健康保険は10月21日から別の制度への加入が必要
退職後の健康保険には、主に国民健康保険へ加入する方法、前職の健康保険を任意継続する方法、条件を満たせば家族の健康保険の被扶養者になる方法があります。
10月20日退職・11月1日入社で、任意継続や家族の扶養を利用しないのであれば、基本的には10月21日から国民健康保険へ加入し、11月1日に新しい会社の健康保険へ加入したら国保を脱退する流れになります。
国民健康保険の加入・脱退手続きは市区町村で行います。国保の保険料・保険税の計算方法は自治体によって異なるため、「空白が11日だから月額の11日分」という単純な日割りになるとは限りません。具体的な負担額は居住する市区町村へ確認するのが確実です。
国民年金は11日分ではなく「10月分」を考える
年金について重要なのが、厚生年金保険料は資格喪失日の属する月の前月分までが原則となることです。日本年金機構は、月の途中で退職した場合、退職月の前月分までの保険料が徴収されると案内しています。[参照:日本年金機構 厚生年金保険料等の納付]
10月20日退職なら資格喪失日は10月21日です。そのため前職の厚生年金は原則として9月分までとなります。そして10月末時点では厚生年金の被保険者ではないため、20歳以上60歳未満で第3号被保険者などにも該当しなければ、10月は国民年金第1号被保険者となります。
つまり国民年金は「10月21日~31日の11日分」ではなく、原則として10月分1か月分の保険料が発生する考え方です。11月1日から転職先の厚生年金へ加入すれば、11月分は新しい会社の厚生年金になります。
10月分の国民年金を払わなくてよいケースもある
すべての退職者が必ず国民年金保険料を自分で納付するわけではありません。例えば配偶者が厚生年金に加入しており、本人が20歳以上60歳未満で収入などの要件を満たして第3号被保険者になれる場合には、扱いが異なります。
また、失業などによって国民年金保険料の支払いが難しい場合には、免除・納付猶予制度を利用できる可能性があります。失業等による特例もあるため、経済的に厳しい場合は未納のまま放置せず制度を確認することが大切です。[参照:日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度]
一方、「11月からすぐ厚生年金に戻るから10月の手続きは不要」と自己判断するのは避けましょう。月をまたいで転職するケースでは、10月末時点の加入状況が年金記録に影響します。
10月27日の最後の給与から引かれる社会保険料は何月分?
ここで混乱しやすいのが給与の締め日・支給日と社会保険料の関係です。「20日締め・27日払いだから、27日の給与から10月分の社会保険料が引かれる」とは限りません。
会社が社会保険料を給与から控除する方法にはタイミングの違いがあります。一般的な翌月控除であれば、10月に支給される給与から9月分の健康保険料・厚生年金保険料を控除します。日本年金機構も、事業主は前月分の保険料を月給から控除できると説明しています。[参照:日本年金機構 保険料の納付方法]
したがって10月20日に退職するケースで、会社が一般的な翌月控除を採用しているなら、最後の給与から控除されるのは9月分という可能性があります。ただし会社によって控除方法や最終給与での精算方法が異なるため、給与明細または勤務先の給与担当者への確認が必要です。
「20日締め」と社会保険の加入月は別の話
給与の「20日締め」は、基本的には給与計算の対象期間を区切るための日付です。一方、健康保険・厚生年金の資格取得・資格喪失は入社日や退職日を基準に扱われます。
そのため「給与が20日締めだから社会保険も20日で1か月分が区切られる」というわけではありません。給与計算と社会保険の月単位の資格判定は分けて考える必要があります。
最後の給与明細では、健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税など複数の控除が並びます。何月分の社会保険料なのか分からない場合は、「健康保険料と厚生年金保険料は当月控除ですか、翌月控除ですか」と給与担当者へ聞けば確認しやすくなります。
退職前に確認しておくとスムーズなこと
転職まで短期間しか空かない場合でも、退職前に必要書類や手続き方法を確認しておくと安心です。特に健康保険については、空白期間中に病院へ行く可能性もあるため後回しにしないことが大切です。
- 前職の健康保険の資格喪失日を確認する
- 健康保険資格喪失証明書など必要書類を確認する
- 国民健康保険・任意継続・家族の扶養のどれを利用するか決める
- 20歳以上60歳未満なら国民年金への切替を確認する
- 転職先の社会保険資格取得日が本当に11月1日か確認する
- 最後の給与で社会保険料が何月分まで控除されるか前職へ確認する
なお、健康保険の任意継続には申請期限などの条件があります。全国健康保険協会では、退職日の翌日から20日以内に資格取得申出書を提出する必要があると案内しています。[参照:全国健康保険協会 任意継続]
まとめ:10月20日退職・11月1日入社なら10月分の扱いがポイント
10月20日に退職し、11月1日から転職先の社会保険へ加入する場合、前職の健康保険・厚生年金の資格は原則10月21日に喪失します。そのため10月21日から10月31日までの健康保険については、国民健康保険、任意継続、家族の扶養などでカバーする必要があります。
年金については、前職を月途中の10月20日に退職し、次の厚生年金加入が11月1日なら、原則として10月分は国民年金の対象になります。11日分だけを日割りで納めるのではなく、月単位で考える点が重要です。
また10月27日に支給される最後の給与から何月分の社会保険料が控除されるかは、給与の20日締めだけでは判断できません。翌月控除の会社なら9月分が控除される可能性があります。最終的には前職の給与担当者に控除月を、新しい会社には社会保険の資格取得日を確認し、健康保険は市区町村や加入先、年金は日本年金機構・年金事務所で手続きを確認すると確実です。

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