労災保険の給付を受けている期間に障害年金を受給することになった場合、同じ傷病を原因とする給付については「併給調整」が行われます。そのため、障害年金が過去にさかのぼって支給されるケースでは、労災側で調整額を計算し、払い過ぎとなった分を返還する流れになることがあります。この記事では、労災と障害年金の調整がどのように行われるのか、計算の考え方や注意点について解説します。
労災保険と障害年金は同時にもらえるのか
労災保険による給付と障害年金は、どちらも仕事中や病気・けがによる生活保障を目的とした制度ですが、同じ原因による障害について両方が満額支給されるわけではありません。
労災保険の給付を受けている人が障害年金を受給することになった場合、一定の調整が行われます。これは「二重補償」を避けるための仕組みです。
ただし、障害年金が支給停止になるわけではなく、障害年金は支給されたうえで、労災側の給付額が減額調整される仕組みになっています。
障害年金が過去にさかのぼって支給される場合の流れ
障害年金は、障害認定日までさかのぼって受給権が認められる場合があります。例えば令和7年1月が認定基準日となり、その後に手続きが完了した場合、数か月から数年分がまとめて振り込まれることがあります。
このように過去分の障害年金が一括で支給された場合、その期間に労災給付を受け取っていたかどうかが確認されます。
労災側では対象期間について障害年金との調整計算を行い、すでに支払った労災給付のうち調整対象となる金額を算出します。その結果、返還が必要な金額が通知されることになります。
労災と障害年金の調整額はどのように計算されるのか
調整額は、単純に「障害年金でもらった金額をそのまま労災へ返す」という計算ではありません。労災の給付種類や障害年金の種類によって調整率が決められています。
例えば、労災の休業補償給付を受給している場合、障害年金2級を受給すると、労災側の給付が一定割合減額されます。
具体的な計算には、労災の日額、対象期間の日数、障害年金の種類、支給対象期間など複数の要素が関係します。そのため、個人が正確な返還額を計算するには、労働基準監督署が行う正式な計算結果を確認する必要があります。
日額9,234円の労災給付の場合の考え方
例えば、労災による給付が1日あたり9,234円で支給されていた場合、単純計算では1か月約27万円程度になります。ただし、実際には給付の種類によって支給日数や割合が異なります。
そこに障害年金2級が過去19か月分まとめて支給される場合でも、労災側が確認するのは「同じ期間について、どの給付が重複していたか」です。
例えば、障害年金の対象期間が令和7年1月からで、労災給付も同期間に支給されていた場合、その期間分だけが調整対象になります。障害年金の総額320万円すべてが返還対象になるとは限りません。
労災から返還額の通知が来た場合の確認ポイント
労災から調整額の通知を受け取った場合は、金額だけを見るのではなく、計算対象となった期間を確認することが大切です。
確認したいポイントは以下の通りです。
- どの期間が調整対象になっているか
- どの種類の労災給付が対象になっているか
- 障害年金のどの支給期間と重複しているか
- 減額計算の根拠
もし内容に疑問がある場合は、担当の労働基準監督署へ計算内容を確認することができます。
障害年金2級を受給するときに注意したいこと
障害年金2級が決定した場合、まとまった金額が振り込まれることがあります。しかし、労災給付を受けている場合は、後から調整による返還が発生する可能性があるため、全額を自由に使わず、通知を確認するまで一定額を残しておくことが安心です。
特に過去分がまとめて支給される場合、金額が大きく見えるため注意が必要です。実際には労災との調整後の最終的な受取額を考える必要があります。
労災と障害年金は制度が複雑なため、自己判断で計算するよりも、労災の担当窓口や年金事務所で確認しながら手続きを進めることが重要です。
まとめ
労災給付を受けている期間に障害年金2級が決定した場合、両方が満額支給されるのではなく、労災側で調整が行われます。
過去19か月分の障害年金がまとめて支給される場合でも、返還対象になるのは労災給付と障害年金が重複した期間に関係する金額です。
具体的な調整額は、労災の日額や給付種類、対象期間によって変わるため、労働基準監督署から届く計算結果を確認することが最も確実です。


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