26歳になると、社会人として数年働いている人も増え、「同年代なら100万円くらい貯金していて当然なのでは」と気になることがあります。しかし、26歳なら最低100万円を持っているという基準はなく、100万円未満の人もいれば数百万円以上ある人もいます。
同じ26歳でも、就職した年齢、年収、一人暮らしか実家暮らしか、奨学金や自動車ローンの有無などで貯められる金額は大きく変わります。そのため、他人の貯金額だけで自分の家計が健全かを判断するのは適切ではありません。
この記事では、20代の貯蓄統計を見る際の注意点と、26歳で貯金100万円に届いていない場合に何を基準に家計を考えればよいのかを解説します。
26歳なら全員が100万円以上貯金しているわけではない
まず押さえておきたいのは、「26歳なら最低○万円」という公的な基準は存在しないことです。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」では、年代や世帯構成別の金融資産に関するデータが公表されていますが、26歳だけを切り出した「標準貯金額」を示すものではありません。[参照:J-FLEC 家計の金融行動に関する世論調査]
また、こうした統計でいう「金融資産」は、日常の出し入れに備えた預貯金を除外する場合があり、預貯金のほか株式、投資信託、生命保険などを含むことがあります。一般に会話で使われる「銀行口座にある貯金」と完全に同じ意味ではない点にも注意が必要です。
したがって、20代の金融資産に関する数字を見て「26歳ならこの金額を持っていないとおかしい」と考える必要はありません。統計は自分の立ち位置を見る参考資料の一つとして利用するのが適切です。
平均貯蓄額だけを見ると実態を誤解しやすい
貯蓄に関する統計を見るときは、平均値と中央値の違いも重要です。平均値は全員の金額を合計して人数で割るため、一部に非常に多くの資産を持つ人がいると大きく引き上げられます。
例えば5人の貯金が「10万円、30万円、50万円、100万円、810万円」だった場合、平均は200万円です。しかし中央に位置する人の金額である中央値は50万円です。「普通の感覚」に近い位置を知りたい場合、平均だけでなく中央値を見る意味がここにあります。
さらに20代という区分には、20歳の学生と29歳で社会人歴7年以上の人が一緒に含まれることがあります。26歳の個人と完全に同条件の比較にはならないため、数字は必要以上に絶対視しないことが大切です。
同じ26歳でも貯金額に大差がつく理由
年齢が同じでも、貯蓄できる条件はかなり違います。特に大きいのが住居費です。実家暮らしで家に数万円を入れている人と、都市部で家賃8万円を負担している一人暮らしの人では、年間で貯蓄へ回せる金額に大きな差が生じても不思議ではありません。
ほかにも、大学院まで進学して就職したばかりの人、18歳から働いている人、奨学金を返済している人、自動車が必須の地域に住む人などでは条件が異なります。
- 手取り収入
- 社会人になってからの年数
- 実家暮らしか一人暮らしか
- 家賃や住宅費
- 自動車の保有
- 奨学金・ローンなどの返済
- 家族への仕送り
- 結婚・引っ越しなど直近の大きな支出
そのため「26歳で100万円あるか」だけでは家計状況を正確に評価できません。100万円を持っていても毎月赤字なら注意が必要ですし、現在30万円でも毎月安定して5万円を積み立てられているなら、家計は着実に改善しています。
100万円まで何年かかるかは毎月の貯金額で変わる
貯金100万円という数字を一つの目標にするなら、年齢より毎月いくら残せるかを考えるほうが実用的です。ゼロから始め、利息を考慮しない単純計算では次のようになります。
| 毎月の貯金額 | 100万円までの目安 |
|---|---|
| 1万円 | 100か月(約8年4か月) |
| 2万円 | 50か月(約4年2か月) |
| 3万円 | 約34か月(約2年10か月) |
| 5万円 | 20か月(約1年8か月) |
| 8万円 | 約13か月 |
例えば26歳で貯金が40万円でも、毎月5万円を積み立てられれば単純計算で1年後には100万円へ到達します。一方、現在100万円あっても毎月5万円の赤字なら、1年後には大きく減ってしまいます。
現在の残高より、「毎月黒字になっていて、その黒字を継続できるか」を見ることが重要です。
100万円より先に「生活防衛資金」を考える
貯金額の目標を決めるときには、「26歳だから100万円」という年齢基準ではなく、自分の生活費から必要額を考える方法があります。病気、失業、転職、家電の故障など、予期しない出来事が起きてもすぐ困らないための現金を生活防衛資金として確保しておく考え方です。
例えば最低限必要な生活費が月15万円の人にとって、貯金30万円は約2か月分、90万円なら約6か月分に相当します。同じ100万円でも最低生活費が月10万円の人と25万円の人では安心できる期間が異なります。
必要額に唯一の正解はありません。雇用の安定性、実家から支援を受けられるか、扶養家族がいるかなども考慮し、「収入が一時的に止まった場合、何か月生活できるか」という視点で考えると、自分に必要な貯金額が見えやすくなります。
26歳で100万円ない場合はどうすればいい?
100万円に届いていなくても、まず毎月の収支を把握するところから始めれば十分です。金融庁の金融経済教育資料でも、家計管理では収入と支出を把握し、収支を黒字にして黒字分を貯蓄するという基本的な考え方が示されています。[参照:金融庁 金融経済教育資料]
給料日に一定額を別口座へ移す「先取り貯金」にすると、余ったら貯める方法より継続しやすくなります。最初から月5万円が難しければ、月5,000円や1万円から始めても構いません。
一方、リボ払いやカードローンなど金利の高い債務がある場合は、貯金100万円という見た目の数字だけを優先せず、最低限の予備資金を確保しながら返済計画も検討する必要があります。資産と負債の両方を見ることが大切です。
貯金ができたら投資を始めるべき?
20代ではNISAなどを利用した資産形成に興味を持つ人も増えます。ただしNISAは投資商品そのものではなく、一定の条件で投資による利益が非課税になる制度です。投資信託や株式には元本割れの可能性があります。[参照:金融庁 NISAを知る]
そのため、家賃や生活費、近いうちに使う予定のお金、緊急時の生活防衛資金まで投資へ回す必要はありません。まず当面必要な現金を確保し、そのうえで長期間使う予定のない余裕資金について長期・積立・分散投資を検討する順番が分かりやすいでしょう。
26歳という若さは、100万円をすでに持っているかどうかだけでなく、これから長期間にわたって家計を改善したり資産形成を続けたりできる時間があるという点にも意味があります。
まとめ:26歳で貯金100万円は「最低ライン」ではない
26歳なら誰でも最低100万円を貯金している、ということはありません。20代の資産統計は参考になりますが、26歳だけの基準ではなく、平均と中央値の違いや金融資産の定義にも注意する必要があります。
同じ26歳でも、社会人歴、収入、家賃、実家暮らしかどうか、奨学金や自動車の負担などによって貯金額には大きな差が生まれます。そのため、100万円未満という事実だけを見て家計が遅れていると判断する必要はありません。
大切なのは、現在の貯金残高だけでなく、毎月の収支を黒字にできているか、緊急時に備える現金があるか、借金が増えていないか、そして貯金額が継続的に増えているかです。100万円を目標にする場合も、他人との競争ではなく、自分の生活費と収入に合わせたペースで積み上げていくことが現実的です。

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