会社を退職したあと、健康保険の切り替えを忘れ、国民健康保険に加入しないまま1~2か月以上経過してしまうことがあります。この場合でも、市区町村の窓口で国民健康保険の加入手続きをすることは可能です。
ただし、手続きをした日から新しく加入するとは限りません。会社の健康保険などを失った翌日まで遡って国民健康保険の資格を取得するのが原則で、その期間に対応する保険料も後から納めることになります。
窓口で加入手続きをしたその場で、過去2か月分の保険料を現金で即時に支払わなければならないとは限りません。保険料の決定方法や納付書の発送時期、必要書類は自治体によって異なるため、住民票のある市区町村へ確認することが重要です。
退職後2か月空いても国民健康保険には加入できる
日本では、他の医療保険に加入している人や生活保護を受けている人など一定の例外を除き、住所のある市町村の国民健康保険の対象になります。厚生労働省は、国民健康保険について他の健康保険等に加入していない住民を対象とする制度として案内しています。[参照:厚生労働省 国民健康保険制度]
会社を退職して健康保険の資格を喪失し、その後に家族の健康保険の被扶養者になったり任意継続を利用したりしていない場合には、原則として国民健康保険への切り替えが必要です。
国民健康保険の届出は原則14日以内とされています。2か月経過してしまったから加入できないということではありませんが、気付いた時点で早めに市区町村へ相談するのが適切です。
加入日は市役所へ行った日ではなく退職後まで遡るのが原則
国民健康保険で特に誤解しやすいのが資格取得日です。例えば3月31日付で退職し、勤務先の健康保険資格を4月1日に喪失したものの、国保の手続きをしたのが6月だったとします。
この場合、他の健康保険に加入していなければ、基本的には6月の手続日から国保になるのではなく、4月1日まで遡って国民健康保険の資格を取得することになります。そのため4月・5月の期間を単純に「無保険期間としてなかったこと」にすることはできません。
そして、加入手続きが遅れても、国民健康保険料(自治体によっては国民健康保険税)は資格取得日に遡って計算されるのが基本です。「病院へ行かなかったから、その2か月分は払わなくてよい」という仕組みではありません。
市役所で加入した当日にお金を払うとは限らない
国民健康保険の加入窓口で、その場ですぐに過去分を含む保険料全額の現金払いを求められるとは限りません。加入届を受け付けた後に自治体が保険料を計算し、後日、納入通知書や納付書が送られるケースがあります。
ただし、これは自治体や手続き時期によって異なります。すでにその年度の保険料が決定しているか、所得情報が確認できているかなどによっても処理方法が変わる可能性があります。
そのため「市役所へ行くなら2か月分の保険料を現金で持参しないと手続きできない」と考える必要は通常ありませんが、支払方法については住んでいる市区町村の国保担当窓口へ確認してください。まとまった請求になり支払いが難しい場合も、放置せず早めに納付相談をすることが大切です。
必要なのは離職票より「健康保険の資格喪失日を確認できる書類」が重要
退職後に国民健康保険へ加入するときは、本人確認書類やマイナンバーを確認できるものに加えて、以前加入していた健康保険をいつ喪失したのか確認できる書類を求められるのが一般的です。
代表的なのが健康保険資格喪失証明書です。退職日だけでなく、健康保険の資格を失った日や対象者を確認するために使用されます。必要書類の名称や代替できる書類は自治体によって異なります。
離職票は退職したことを示す資料にはなりますが、「離職票を持っていけば全国どこの自治体でも必ず国保加入手続きができる」とは限りません。資格喪失証明書を求める自治体もあるため、勤務先や以前加入していた健康保険へ発行方法を確認しておくと安心です。
国民健康保険加入時に準備したいもの
実際の必要書類は住んでいる自治体によって異なりますが、退職後の加入手続きでは次のようなものを確認しておくとスムーズです。
- 健康保険資格喪失証明書など、以前の健康保険の資格喪失日を確認できる書類
- マイナンバーカードなどマイナンバーを確認できるもの
- 運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類
- 自治体から指定された届出書
- 口座振替を希望する場合に必要となる口座情報等
- 自治体が個別に指定する書類
マイナンバーカードは本人確認とマイナンバー確認の両方に利用できる場合があります。印鑑の要否なども自治体によって違うため、市役所へ出向く前に公式サイトの「国民健康保険に加入するとき」のページを確認すると二度手間を防げます。
また、会社都合退職など一定の要件に該当する場合には、国民健康保険料の軽減制度の対象となる可能性があります。その確認では雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知など別の書類が必要になることがあるため、退職理由についても窓口で確認するとよいでしょう。
2か月の間に病院を受診していた場合はどうなる?
健康保険の切り替えをしていない期間に医療機関を受診し、医療費を全額自己負担している場合には、国民健康保険への遡及加入後に療養費の支給対象となる可能性があります。ただし、実際に払い戻しを受けられるかや必要書類については個別確認が必要です。
領収書や診療内容が分かる書類などが必要になることがあるため、捨てずに保管しておきましょう。市区町村の国保窓口で「資格取得日より後に10割負担で受診した」と伝えて相談するのが確実です。
反対に、以前の会社の健康保険の資格を失った後に古い資格情報を使って受診していた場合には、以前の保険者から医療費の返還を求められ、その後に国保へ療養費を請求する手続きが必要になる場合があります。
退職後の健康保険には国保以外の選択肢もある
退職後の健康保険は国民健康保険だけとは限りません。一般的には、一定の要件を満たして以前の健康保険を任意継続する方法や、家族が加入している健康保険の被扶養者になる方法もあります。
ただし任意継続には申請期限などの条件があり、家族の扶養についても収入等の認定条件があります。すでに退職から2か月経過している場合は、現在利用できる選択肢をそれぞれの保険者へ確認する必要があります。
国民健康保険料も前年所得や世帯状況、自治体などによって変わるため、「退職したら必ず国保が最安」とは限りません。今後の保険料まで含めて確認しておくと安心です。
まとめ:2か月遅れても国保手続きはできるが、保険料は遡るのが基本
退職後に国民健康保険へ加入しないまま2か月ほど経過していても、加入手続きそのものができなくなるわけではありません。他の健康保険に加入していないのであれば、以前の健康保険の資格喪失日まで遡って国保へ加入し、その期間分の保険料も遡って計算されるのが原則です。
一方、手続きをした当日に市役所の窓口で2か月分を必ず現金払いするという意味ではありません。保険料の決定・通知・納付方法は自治体によって異なるため、具体的な支払時期は住所地の国保担当窓口で確認してください。
持ち物については、本人確認書類とマイナンバー関係書類だけでなく、健康保険資格喪失証明書など資格喪失日を確認できる書類が重要です。離職票だけで足りるかは自治体によって異なるため、市役所へ行く前に公式サイトまたは電話で必要書類を確認してから手続きすると確実です。


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