国民年金保険料を滞納していると、日本年金機構から納付を求める書類が届くことがあります。中でも「差押え」や「滞納処分」といった言葉が記載された通知は、単なる支払い案内とは意味合いが異なるため注意が必要です。
一方、収入の減少や失業などによって保険料を支払うことが経済的に難しい人には、国民年金保険料の免除・納付猶予制度が用意されています。生活費を確保するだけで精いっぱいという場合、通知を放置するのではなく、できるだけ早く年金事務所などへ相談することが重要です。
国民年金を滞納すると差押えを受けることはある
国民年金保険料は、対象となる第1号被保険者に納付義務があります。納付期限を過ぎても未納状態が続き、督促などを受けても必要な対応をしなければ、法律に基づく滞納処分が行われ、財産が差し押さえられる可能性があります。
したがって、「差押えと書かれた通知は脅しだから無視しても大丈夫」と考えるのは危険です。実際にどの段階の通知なのかは書類によって異なりますが、少なくとも差押えに関する通知が届いた時点では、内容と期限を確認して早急に対応したほうがよいでしょう。
また、督促を受けた場合には条件に応じて延滞金が発生することもあります。未納期間を長期間放置することは、問題の解決にはつながりません。
差押えの対象になり得る財産とは
滞納処分では、滞納者の財産状況について調査が行われ、その結果によって財産が差押えの対象になることがあります。代表的なものとしては預貯金、給与などの債権、不動産などが考えられます。
例えば銀行口座に預金がある場合、一定の手続きを経て預金債権が差し押さえられることがあります。「口座のお金を自分で引き出して渡す」という形だけではなく、金融機関に対する手続きとして行われる点を理解しておきましょう。
ただし、差押えの具体的な対象や手続きは個別の事情によって異なります。通知が届いたからといって、すべての人が同じ財産を同じタイミングで差し押さえられるわけではありません。
生活費で精いっぱいなら免除・納付猶予を確認する
国民年金には、「払えないなら滞納するしかない」という仕組みではなく、経済的に保険料を納付することが困難な場合のために保険料免除制度と納付猶予制度があります。
日本年金機構によると、収入の減少や失業などによって国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合、申請して一定の要件を満たせば、全額免除、一部免除または納付猶予を受けられる場合があります。免除では本人だけでなく配偶者や世帯主などの所得も審査対象になる場合があり、納付猶予にも年齢・所得などの条件があります。[参照]
例えば、失業によって現在の収入が大幅に減っている場合には、失業等による特例免除に該当する可能性があります。単純に「今の月収が少ない」という情報だけで判断するのではなく、年金事務所などで自分が利用できる制度を確認することが大切です。
過去の滞納分でも免除を申請できる場合がある
すでに滞納しているからといって、必ずしも免除等の申請が一切できないわけではありません。日本年金機構では、原則として保険料の納付期限から2年を経過していない期間について、申請時点から2年1カ月前までさかのぼって免除等を申請できると案内しています。[参照]
ただし、過去にさかのぼれる期間には限度があります。そのため「もっと生活が落ち着いてから相談しよう」と先延ばしすると、免除等を申請できたはずの期間が対象外になってしまう可能性があります。
さらに、未納のままにしておくことは老齢基礎年金だけの問題ではありません。免除・納付猶予制度を利用することは、一定の要件のもとで障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格を確保するうえでも重要です。
差押え通知が届いたときに最初にすること
差押えに関係する通知が届いた場合は、まず書類に記載されている年金事務所などの窓口へ早めに連絡することが基本です。その際は「払う意思はあるものの、現在の収入では生活費を除くと一括納付できる余力がない」など、現在の経済状況を具体的に説明するとよいでしょう。
手元には通知書のほか、収入や支出、預貯金、失業している場合には離職を確認できる書類など、現在の状況を説明できる資料を準備しておくと相談が進めやすくなります。利用可能な免除・猶予制度や必要な手続きについて確認してください。
国民年金保険料の免除申請は、年金事務所や市区町村の国民年金担当窓口などのほか、対象となる手続きではマイナポータルから電子申請することもできます。[参照]
「払えない」と「何もしない」は大きく違う
国民年金の問題で特に区別しておきたいのが、経済的事情によって「支払えない状態」と、通知を無視して「何もしない状態」です。収入が少なくても、自動的に保険料が免除されるとは限りません。原則として必要な申請を行い、審査を受ける必要があります。
例えば、保険料を払えるほどの収入がない状態でも、免除申請をせず未納のまま放置していれば「未納」として扱われる可能性があります。一方、申請して全額免除などが承認されれば、単純な未納とは扱いが異なります。
そのため、お金がないからこそ早めに相談することが重要です。特に差押えに関する通知まで届いている場合には、通常の納付書を受け取っただけの段階よりも優先して対応したほうがよいでしょう。
通知が本物かどうかも確認する
年金や税金の支払いを装った不審な電話、SMS、メールなどにも注意が必要です。書類に記載された連絡先だけを信用するのが不安な場合は、日本年金機構の公式サイトから管轄の年金事務所を確認し、公式に掲載されている電話番号へ問い合わせる方法があります。
また、電話やSMSで突然指定された個人口座への振込を要求されたり、不審なURLから個人情報やカード情報の入力を求められたりした場合には、その場で対応せず公式窓口を通じて確認しましょう。
一方、正規の差押え関連通知であることが確認できた場合には、放置せず、書面に記載された期限を確認したうえで速やかに相談する必要があります。
まとめ:国民年金の差押え通知は放置せず、払えない場合ほど相談を
国民年金保険料を滞納し、必要な手続きをしない状態が続けば、財産調査や差押えなどの滞納処分に進む可能性があります。そのため、差押えに関する通知が届いた場合、「実際には何も起きないだろう」と判断して放置することは避けるべきです。
一方で、収入の減少や失業などによって保険料の支払いが経済的に困難な人には、免除・納付猶予などの制度があります。過去の期間についても一定範囲で申請できる場合があるため、滞納があるからといって最初から諦める必要はありません。
生活費を払うだけで精いっぱいという状況であれば、通知を放置するのではなく、通知書を手元に置いて年金事務所へ早めに相談し、免除・納付猶予を含めて利用できる制度を確認することが現実的な第一歩です。個別の差押え手続きや法的判断が必要なケースでは、年金事務所に加えて弁護士・司法書士などの専門家への相談も検討してください。


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