自動車の任意保険では、月払いなどの保険料を所定の期限までに支払わない状態が続くと、保険会社から契約を解除されることがあります。その後あらためて自動車保険へ加入しようとすると、申込画面で「過去13か月以内に満期・解約・解除となった自動車保険がありますか」といった確認が表示され、申し込めないケースがあります。
しかし、保険料未払いによる契約解除を受けた人が、13か月間すべての任意保険へ絶対に加入できないという共通ルールがあるわけではありません。保険会社ごとに引受基準が異なるため、インターネット型保険では申し込みできなくても、代理店型の損害保険会社で個別に審査してもらえる可能性があります。
一方、過去の契約解除を隠して「前契約なし」として申し込む方法は避ける必要があります。自動車保険会社の間では前契約の等級や事故、解約・解除などを確認する情報交換制度があり、申告内容と実際の契約歴が一致しないことが確認される可能性があります。ここでは、保険料未払いによる解除後に再加入するときの仕組みと、現実的な探し方を整理します。
- まず「保険金未払い」と「保険料未払い」は意味が違う
- 保険料未払いで解除されても一生自動車保険に入れないわけではない
- なぜ「13か月以内」という質問が出てくるのか
- 前契約の「解除」は保険会社間で確認される可能性がある
- 契約解除を隠して新規6等級として申し込むのは避ける
- まず試したいのは代理店型自動車保険への相談
- 1社に断られても他社で加入できる可能性はある
- 共済へ変えれば解除歴が分からなくなるわけではない
- 等級は必ず6等級にリセットされるとは限らない
- 保険料未払いによる解除と事故歴による低等級は分けて考える
- 解除日の分かる書類を用意して相談するとスムーズ
- 相談時に伝えておくとよい情報
- 未払い分を今から払えば解除が自動的になかったことになる?
- 新しい契約では年払いを選べるか相談する方法もある
- 任意保険なしで運転しながら探すのはリスクが大きい
- 1日自動車保険は自分の車を補償する代用品にはなりにくい
- 13か月待てば必ず加入できるという意味でもない
- ネット見積もりで断られたら電話・代理店へ切り替える
- ディーラーや中古車販売店の保険代理店に相談する方法もある
- 加入できた場合でも補償を極端に削らない
- どうしても加入先が見つからない場合の相談先
- まとめ:13か月以内の未払い解除でも加入できる可能性はある。代理店で個別審査を相談する
まず「保険金未払い」と「保険料未払い」は意味が違う
自動車保険について「保険金未払いによって解除された」という表現を見かけることがありますが、一般的に契約者側の支払い遅れで問題になるのは保険料の未払いです。
保険金とは事故が起きた際に保険会社から契約者や被害者などへ支払われるお金で、保険料は契約者が保険会社へ支払うお金です。
日本損害保険協会でも、保険会社が契約を解除できる例として「保険料不払い」が挙げられています。月払いや分割払いで保険料の未納が続き、払込猶予期間内にも支払いがなければ、契約解除となる場合があります。
保険料未払いで解除されても一生自動車保険に入れないわけではない
保険料未払いによる解除歴があるからといって、その後永久に任意保険へ加入できなくなるわけではありません。
ただし自動車保険は、保険会社が申込内容を確認したうえで引受ける商品です。過去の契約状況も引受判断に利用されるため、保険会社によっては過去13か月以内に契約解除がある人についてインターネット申し込みを受け付けないことがあります。
つまり「任意保険に加入する資格を失った」というより、通常のオンライン申込では引受条件に合わず、個別審査が必要になる可能性が高い状態と考えるほうが適切です。
なぜ「13か月以内」という質問が出てくるのか
自動車保険では、新しい契約の等級を決める際に前契約の情報が重要になります。そのため保険会社は、一定期間内に終了した以前の自動車保険契約について確認します。
例えばチューリッヒの自動車保険のオンライン申込では、「保険開始希望日から過去13ヶ月以内に、同居家族を含め、契約満了または解約・解除となった自動車保険・共済がないこと」という確認項目があります。
この質問へ該当する場合、通常のWeb申込をそのまま進められないことがあります。ただし、これはすべての保険会社が一律に「13か月以内は加入禁止」と定めていることを意味するものではありません。
前契約の「解除」は保険会社間で確認される可能性がある
自動車保険には、保険会社を変更しても適切な等級を適用できるよう、損害保険会社や一部の共済が契約情報を確認する制度があります。
日本損害保険協会の「無事故・事故確認制度」では、取扱保険会社、証券番号、保険契約者、記名被保険者、車両、保険期間、適用等級、事故件数などに加え、解約・解除の有無も交換データ項目に含まれています。
また、1~5等級や割増料率が適用される契約について確認する制度でも、解約・解除の有無が情報項目に含まれています。
[参照] 日本損害保険協会「1~5等級・割増料率適用対象契約情報交換制度」
契約解除を隠して新規6等級として申し込むのは避ける
オンライン型自動車保険で申し込みを断られると、「前の契約を申告せず新規契約として申し込めばいいのでは」と考えることがあります。しかし、この方法はおすすめできません。
自動車保険を申し込む際には、前契約の等級や事故の有無など、保険会社が指定する重要事項を正しく告知する義務があります。
日本損害保険協会でも、故意または重大な過失によって告知事項を正しく申告しなかった場合、契約を解除されたり、事故時に保険金が支払われなかったりする場合があると説明しています。
過去の契約解除を正直に伝えたうえで加入できる会社を探すほうが安全です。
まず試したいのは代理店型自動車保険への相談
ネット型自動車保険は、あらかじめ設定された申込条件に合わないとWeb上で契約できない仕組みになっていることがあります。
一方、代理店型の自動車保険では、代理店担当者が状況を確認して保険会社へ引受可否を照会できることがあります。保険料未払いによる解除歴がある場合には、こちらのほうが相談しやすいでしょう。
具体的には、損害保険を扱う保険代理店や自動車ディーラーの保険担当者などへ、「○月○日に前契約が保険料未払いで解除されている。現在加入できる自動車保険を探している」と最初から伝えます。
代理店から複数の損害保険会社へ相談できる場合もあります。ただし引受けは各保険会社の審査によるため、「代理店型なら必ず加入できる」という保証はありません。
1社に断られても他社で加入できる可能性はある
自動車保険の引受基準はすべての会社で完全に同じではありません。そのためA社で加入を断られても、B社で個別審査の結果、契約できる可能性があります。
特にダイレクト型保険はWeb契約を効率化するため申込条件を限定していることがあります。Web申込不可であっても「自動車保険そのものに加入できない」とは限りません。
複数の会社を1件ずつネットで申し込むより、自動車保険を複数社扱う代理店へ事情を説明し、引受可能な会社があるか確認してもらうほうが効率的な場合があります。
共済へ変えれば解除歴が分からなくなるわけではない
損害保険会社が難しいならJA共済やこくみん共済などへ申し込めばよいと考える人もいます。しかし、共済なら過去の契約歴が完全に切り離されるとは限りません。
日本損害保険協会の自動車保険に関する情報交換制度には、一部の共済団体も共同利用者として参加しています。
具体的には、JA共済を運営する全国共済農業協同組合連合会、全国自動車共済協同組合連合会、こくみん共済 coopを運営する全国労働者共済生活協同組合連合会などが含まれます。
そのため共済へ申し込む場合にも、前契約について聞かれた内容には正確に回答する必要があります。
等級は必ず6等級にリセットされるとは限らない
前契約が解除された場合、「いったん保険が切れたのだから次は6等級から」と考えることがありますが、必ずそうなるとは限りません。
自動車保険には、過去の契約の等級や事故情報を確認して適切な等級を適用する制度があります。特に1~5等級や事故有係数が関係する契約では、単純に新規6等級へリセットできない場合があります。
例えば前契約が事故によって3等級まで下がっていた状態で解除された場合、短期間待って新規6等級へ戻すという扱いにならない可能性があります。
実際に何等級から契約できるかは、前契約の終了日、解除理由、前契約の等級、事故歴などを保険会社が確認したうえで決まります。
保険料未払いによる解除と事故歴による低等級は分けて考える
保険料を払えず解除されたことと、事故を起こして等級が下がったことは別の問題です。
例えば20等級で無事故だったものの口座残高不足が続いて保険料未払い解除となった人と、3等級で事故歴が複数ある人では、保険会社から見た契約状況は異なります。
そのため代理店へ相談するときには、「未払い解除された」という情報だけでなく、前契約の等級と事故件数も伝えると引受可否を確認しやすくなります。
解除日の分かる書類を用意して相談するとスムーズ
保険会社へ相談するときには、以前の保険会社から届いた契約解除通知、保険証券、満期・解約・解除日が分かる書類などを手元に用意しておくとよいでしょう。
新しい保険会社は、前契約がいつ終了したのか、何等級だったのか、事故はあったのかなどを確認します。
特に「直近13か月以内」に該当するかは日付で判断するため、「半年くらい前だったと思う」と曖昧に伝えるより解除日を正確に確認したほうが手続きがスムーズです。
相談時に伝えておくとよい情報
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 前の保険会社 | どの会社で契約していたか |
| 契約終了日 | 保険料未払いによる解除日 |
| 解除理由 | 保険料未払いであること |
| 前契約の等級 | 例:10等級、5等級など |
| 事故歴 | 前契約中の事故件数 |
| 車両情報 | 車種・型式・登録番号など |
| 使用目的 | 日常・レジャー、通勤通学、業務など |
| 支払方法 | 年払い・月払いなど |
情報を隠さずまとめて伝えることで、保険会社側も正しい条件で引受可否を判断できます。
未払い分を今から払えば解除が自動的になかったことになる?
すでに保険料未払いを理由として正式に契約解除となっている場合、未払いだった金額を後から支払えば自動的に契約が元通りになるとは限りません。
例えば三井住友海上は、保険料の払込猶予期間までに支払いがなかった場合に送られる「契約終了のご案内」について、契約を解除したことを知らせるものと説明しています。
すでに解除済みの場合は、まず以前の保険会社へ「未払い保険料が残っているか」「復活できる制度があるか」「新規契約として申し込む必要があるか」を確認しましょう。
新しい契約では年払いを選べるか相談する方法もある
以前の契約が口座残高不足などによる月払保険料の未払いで解除されたのであれば、新しい契約では年間保険料を一括払いする方法も検討できます。
保険会社にとっても、保険料が確実に支払われることは重要です。ただし年払いにしたから過去の解除歴が無視されるわけではなく、引受可否は別途審査されます。
加入できた後に再度払い忘れを防ぐためにも、クレジットカード払い、年払い、口座残高の自動管理など、自分に合った支払方法を選ぶことが大切です。
任意保険なしで運転しながら探すのはリスクが大きい
加入先が見つからない場合でも、「自賠責があるからしばらく運転しても大丈夫」と考えるのは非常に危険です。
自賠責保険は対人事故について最低限の補償をする制度で、他人の車や建物などへの対物損害、自分の車両損害などは基本的に補償しません。
高額な人身事故では自賠責の限度額を超える損害賠償が発生することもあります。任意保険に加入できるまではできるだけ車を運転しない、家族の車を利用する場合も保険の運転者範囲を確認するなどの対応が安全です。
1日自動車保険は自分の車を補償する代用品にはなりにくい
コンビニなどから加入できる1日単位の自動車保険を使えばよいと考えるケースもありますが、一般的な1日自動車保険には対象車両の条件があります。
通常は本人や配偶者が所有する自動車などが対象外となる商品が多く、自分名義のマイカーへ毎日1日保険を掛けるという使い方はできない場合があります。
したがって、自分の車を継続して運転するのであれば、通常の任意自動車保険への再加入を目指すのが基本です。
13か月待てば必ず加入できるという意味でもない
Web申込で「過去13か月以内」に関する質問があるため、「解除から13か月経てば絶対に加入できる」と考えることがあります。
しかし13か月を経過したことだけで、すべての会社が無条件で契約を引き受けるわけではありません。年齢、車種、事故歴、等級、使用目的、保険金請求歴など、保険会社はさまざまな条件をもとに引受判断を行います。
逆に、13か月経過していなくても代理店を通した個別審査で加入できる可能性があります。したがって「13か月待つしかない」と最初から決める必要はありません。
ネット見積もりで断られたら電話・代理店へ切り替える
このケースで効率が悪いのは、ダイレクト型保険のWeb見積もりを次々と試し続ける方法です。
Webシステムでは申込条件に一つでも該当すると自動的に契約手続きを進められないことがあります。その場合、保険料の高低を比較する段階まで進めません。
まず電話窓口へ「保険料未払いによる解除が○か月前にあるが申し込みできるか」と確認するか、複数の損害保険会社を取り扱う保険代理店へ直接相談したほうがよいでしょう。
ディーラーや中古車販売店の保険代理店に相談する方法もある
自動車ディーラーや中古車販売店の中には、大手損害保険会社の代理店業務を行っている店舗があります。
車を購入した店舗が保険代理店なら、担当者へ事情を説明して引受可能な保険会社があるか確認してもらう方法があります。
特にネット型で契約できない事情がある場合、対面で状況を説明できる代理店のほうが個別の事情を保険会社へ伝えやすいというメリットがあります。
加入できた場合でも補償を極端に削らない
解除歴があると保険料が高くなる可能性があるため、保険料を下げようとして対人・対物補償を極端に小さくしたくなるかもしれません。
しかし任意保険で最も重要なのは、高額な賠償事故への備えです。対人賠償・対物賠償については無制限を基本として検討したほうがよいでしょう。
保険料を抑えるのであれば、車両保険を付けるかどうか、免責金額、運転者範囲、年齢条件、年間走行距離などを見直す方法があります。必要な賠償保障まで削らないことが重要です。
どうしても加入先が見つからない場合の相談先
複数の保険会社や代理店へ相談しても加入先が見つからない場合は、日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」などで、自動車保険に関する一般的な相談をすることもできます。
そんぽADRセンターは特定の保険会社への加入を保証・斡旋する機関ではありませんが、損害保険に関する相談やトラブルについて案内を受けられます。
また以前の保険会社との間で「本当に解除済みなのか」「支払いを済ませたのに解除扱いになっている」といった争いがある場合にも、まず前保険会社へ確認し、必要に応じて相談窓口を利用するとよいでしょう。
まとめ:13か月以内の未払い解除でも加入できる可能性はある。代理店で個別審査を相談する
自動車保険の保険料を支払えず前契約を解除された場合でも、その後13か月間すべての任意自動車保険へ加入できないという一律の制度があるわけではありません。
一方、ダイレクト型自動車保険では「過去13か月以内に満期・解約・解除となった契約がないこと」などをWeb申込条件としている会社があります。そのため、解除から13か月以内ではインターネット申込を進められない場合があります。
このような場合に現実的なのは、複数の損害保険会社を取り扱う保険代理店、自動車ディーラーの保険担当者などへ事情をそのまま伝え、個別に引受可能な会社がないか確認してもらうことです。1社で断られても、別会社で引き受けられる可能性はあります。
相談するときには、前保険会社、解除日、解除理由、前契約の等級、事故歴を整理して伝えましょう。解除通知や以前の保険証券があれば手元に用意しておくとスムーズです。
また、解除歴を隠して「前契約なし」と申告するのは避けるべきです。損害保険会社や一部共済の間には、前契約の等級、事故件数、保険期間、解約・解除の有無などを確認する情報交換制度があります。虚偽の告知が判明すると、新しい契約まで解除されるなど、問題をさらに大きくする可能性があります。
なお、JA共済やこくみん共済へ変えれば過去の契約情報が完全に切れるとも限りません。一部の共済も自動車保険契約情報の共同利用制度へ参加しているため、共済へ申し込む場合も前契約について正確に申告する必要があります。
まず以前の保険会社にも連絡し、未払い保険料の有無、正式な解除日、復活手続きが可能かどうかを確認しましょう。そのうえで代理店型保険を中心に加入先を探すのが実務的です。
そして新しい契約が成立するまでは、任意保険なしで自分の車を運転することはできるだけ避けたほうが安全です。自賠責保険だけでは対物事故などをカバーできず、高額な賠償責任を自己負担する可能性があります。
[参照] 日本損害保険協会「1~5等級・割増料率適用対象契約情報交換制度」

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