加給年金は2040年度にいくらになる?2028年度「36万7,200円」の意味と将来額の予想方法を解説

年金

老齢厚生年金に加算される「加給年金」は、年下の配偶者などを扶養している年金受給者にとって重要な制度です。2028年4月から配偶者に係る加給年金が見直され、「年額36万7,200円になる」と聞いて、2040年度にはいくらになっているのか気になる人もいるでしょう。

ここで最も重要なのは、36万7,200円は「2028年度に実際に振り込まれる名目額が36万7,200円で固定される」という意味ではなく、厚生労働省が示した「2024年度価格」の金額だという点です。実際の2028年度額は、それまでの賃金・物価等による年金額改定を反映して決まります。[参照:厚生労働省「社会保障審議会年金部会資料」]

そのため、2040年度の配偶者加給年金額は2026年時点では確定していません。毎年度の物価・賃金の動き、年金額の改定率、今後の制度改正によって変わるためです。ただし、「毎年何%程度改定されると仮定するか」という条件を置けば、おおよその将来額を試算することはできます。

2028年から加給年金は36万7,200円になる?正確には「2024年度価格」

2025年に成立した年金制度改正では、老齢厚生年金に付く配偶者加給年金について、将来新たに受給する人の加算額を見直すことになりました。厚生労働省の資料では、現行の配偶者加給年金が年額40万8,100円、見直し後が年額36万7,200円と示されています。

ただし資料には、これらの金額について「2024年度価格」と明記されています。つまり36万7,200円は制度改正による水準を比較するため、2024年度の年金額水準に換算して示した数字です。[参照:厚生労働省「次期年金制度改正の全体像」]

制度の施行日は2028年4月ですが、その時点では2025年度、2026年度、2027年度、2028年度と年金額改定が行われています。そのため、実際の2028年度の支給額は36万7,200円より高くなる可能性もあります。

現在の加給年金はいくら?2026年度は年42万3,700円

現在の制度を確認すると、2026年度の配偶者加給年金の基本額は年24万3,800円です。さらに、老齢厚生年金の受給者が昭和18年4月2日以後生まれの場合には年17万9,900円の特別加算が付き、合計で年42万3,700円となっています。[参照:日本年金機構「加給年金額と振替加算」]

厚生労働省が制度改正資料で示している「現行40万8,100円」は2024年度価格なので、2026年度の実際の42万3,700円とは数字が異なります。

この違いを理解しておくと、「2028年度から36万7,000円程度に突然下がる」と単純に解釈してはいけない理由が分かります。制度改正上は2024年度価格で約1割減額する設計ですが、実際の支給額には毎年の年金改定が反映されます。

2028年の改正はすでに加給年金を受け取っている人には原則影響しない

今回の配偶者加給年金の減額は、すべての受給者に一斉に適用されるものではありません。厚生労働省は、2028年4月の施行時点ですでに配偶者加給年金を受け取っている人については、従来の加算額を維持すると説明しています。[参照:厚生労働省「年金制度改正 配偶者の加算」]

したがって、2040年の加給年金を考えるときには、「2028年以降に新たに加給年金の対象になる人」なのか、「2028年以前から受給している人」なのかで基準となる水準が異なる可能性があります。

将来額を試算するときは、まず自分がどちらのグループに該当する予定なのか確認する必要があります。

2040年度の加給年金額は現時点では決まっていない

2026年時点で、2040年度の配偶者加給年金について「年額○○円」と決めた法律や政府資料はありません。

公的年金額は毎年度、物価や賃金の変動などをもとに改定されます。日本年金機構も、年金額は賃金や物価の変動に応じて毎年4月に改定されると説明しています。実際に2026年度は、国民年金が前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられました。[参照:日本年金機構「令和8年度の年金額改定」]

2040年度までには今後14年ほどあり、その間のインフレ率や賃金上昇率を正確に予測することはできません。そのため2040年度額を一点の数字で予想するより、複数の改定率を仮定したシナリオで見るほうが実用的です。

2040年度はいくらになる?36万7,200円を基準に単純試算

2028年の制度改正で示された36万7,200円を基準に、2028年度から2040年度まで12年間、毎年同じ割合で名目額が増えると仮定して単純計算してみます。

仮定する年間上昇率 2040年度ごろの単純試算 月額換算
0% 約36万7,200円 約3万600円
0.5% 約39万円 約3万2,500円
1% 約41万4,000円 約3万4,500円
1.5% 約43万9,000円 約3万6,600円
2% 約46万6,000円 約3万8,800円
3% 約52万4,000円 約4万3,700円

例えば毎年平均1%程度ずつ名目額が増えたと単純仮定すると、2040年ごろには年約41万4,000円になります。毎年2%なら約46万6,000円です。

ただし、この表は将来の年金額を予言するものではありません。36万7,200円という2024年度価格を単純に複利計算した参考シミュレーションであり、実際の年金改定ルールとは完全には一致しません。

なぜ単純な「物価上昇率×12年」では決まらないのか

年金額は単純に物価上昇率だけ連動するわけではありません。年金制度には、受給者の年齢などに応じて賃金変動率または物価変動率を基準にする仕組みがあり、さらにマクロ経済スライドが適用される年度には給付額の伸びが一定程度抑制されます。

つまり物価が毎年2%上がったからといって、加給年金も必ず毎年2%ずつ増えるとは限りません。

例えば物価や賃金の基準となる改定率が2%でも、マクロ経済スライドなどによる調整が行われれば、実際の年金改定率はそれより低くなる場合があります。そのため2040年度の名目額は、将来の物価だけでなく年金財政や制度運営にも左右されます。

2026年度だけ見ても年金額は毎年動いている

日本年金機構によると、2026年度の老齢基礎年金は2025年度から1.9%増額され、厚生年金の報酬比例部分は2.0%増額されました。[参照:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」]

配偶者加給年金についても、2026年度の基本額は24万3,800円、特別加算を含む標準的な最大額は42万3,700円となっています。2024年度価格で示される40万8,100円とはすでに1万5,000円以上の差があります。

このように、わずか数年間でも名目額は動きます。2040年度まで十数年間あることを考えると、現在から正確な円単位を出すことができないのは当然ともいえます。

「2040年に40万円台」になる可能性は十分ある

将来も緩やかな物価・賃金上昇が続き、それに伴って加給年金の名目額も改定されるという仮定なら、2040年度の配偶者加給年金が40万円台になっている可能性は十分考えられます。

例えば2024年度価格36万7,200円を出発点に年1%程度の上昇を12年間続ける単純計算なら約41万4,000円、年2%なら約46万6,000円になります。

ただし、2040年に36万円台のままという可能性も、50万円を超える可能性も理論上はあります。インフレ率や賃金、マクロ経済スライド、制度改正を現段階では確定できないためです。

重要なのは「名目額」より「実質的な価値」

将来の年金を考える際は、金額そのものが増えたかだけでなく、その時点の物価と比較することも重要です。

例えば2040年に加給年金が年46万円になっていたとしても、その間に物価が大きく上昇していれば、2026年現在の46万円と同じ購買力があるわけではありません。

逆に、政府資料で「2024年度価格36万7,200円」と表現しているのは、この物価変動の影響をいったん取り除き、制度変更によって実質的にどの程度水準が変わるのか比較しやすくするためです。

加給年金は配偶者が65歳になるまで永久にもらえる制度ではない

2040年の金額を計算する前に、自分が2040年時点でも加給年金の対象になるか確認する必要があります。

配偶者加給年金は、原則として対象となる配偶者が65歳未満であることが条件です。日本年金機構によると、厚生年金の被保険者期間が原則20年以上ある人が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合などに加算されます。[参照:日本年金機構「加給年金額と振替加算」]

例えば夫が65歳、妻が55歳なら、条件を満たす限りおおむね妻が65歳になるまで10年間が加給年金の対象期間になります。2040年度まで加給年金を受け取れるかは夫婦の年齢差によって変わります。

配偶者自身に一定の厚生年金があると加給年金が停止される場合がある

配偶者が65歳未満なら必ず加給年金が支給されるというわけでもありません。

日本年金機構によれば、配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金を受け取る権利を持っている場合や、障害年金を受給できる場合などには、配偶者加給年金が支給停止になります。[参照:日本年金機構「加給年金の停止」]

2040年度の家計をシミュレーションするときには、「その年の加給年金額はいくらか」だけでなく、「そもそもその年まで支給対象か」も確認する必要があります。

具体例|2030年から2040年まで受け取る予定の場合

例えば2030年に本人が65歳になり、その時点で配偶者が55歳だとします。加入期間などほかの条件も満たしているなら、配偶者が65歳になる2040年ごろまで加給年金を受ける可能性があります。

2028年以降の新規受給者に適用される改正後の水準が基準になるため、2024年度価格では年36万7,200円です。ただし2030年の実際の支給額は2030年度までの年金額改定が反映された数字になります。

さらに2031年度、2032年度と毎年改定されるため、10年間ずっと同じ36万7,200円を受け取るという計算にはなりません。

具体例|平均1%で増えると仮定すると2040年は約41万円

将来予測の一例として、改正後の2024年度価格36万7,200円が平均して毎年1%ずつ名目増額されると仮定します。

12年間の単純複利計算では、2040年ごろに約41万4,000円となります。月平均では約3万4,500円です。

ただし、これは年金制度の公式予測ではありません。「2040年には41万4,000円もらえる」と家計計画へ固定的に入れるのではなく、「年1%程度の名目改定なら40万円台前半になる」というシナリオとして使うのが適切です。

具体例|平均2%なら2040年は約46万6,000円

同様に毎年平均2%ずつ名目額が上がると仮定した場合、12年後には約46万6,000円となります。月額にすると約3万8,800円です。

一見すると36万7,200円から約10万円も増えていますが、物価も毎年2%程度上昇している状況なら、実質的な購買力まで10万円分増えたわけではありません。

将来の生活費を考える際には「2040年の名目年金額」と「2040年の生活費水準」を同時に見る必要があります。

今後さらに制度改正される可能性もある

2040年まで現在の制度が完全に同じ形で続く保証もありません。実際、今回の2028年改正でも、女性の就業拡大や共働き世帯の増加といった社会状況の変化を背景として、年下配偶者を扶養することに着目した加給年金を縮小することになりました。[参照:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」]

2040年までに年金制度の財政検証や制度改正は複数回行われる可能性があります。その過程で加給年金の支給条件や金額がさらに変更される可能性も否定できません。

そのため20年近く先の老後資金を計画する場合、加給年金を「確実に年○万円入る収入」として頼り過ぎず、老齢基礎年金・老齢厚生年金を中心に計画し、加給年金は期間限定の上乗せとして考えるほうが安全です。

2040年の見込み額を考えるなら3パターンで家計を試算する

現時点で2040年度の加給年金額を家計計画に入れたいなら、一つの数字に決めず、低位・中位・高位の3ケース程度でシミュレーションすると分かりやすくなります。

ケース 年間改定を単純仮定 2040年ごろの参考額
低位 0%程度 約36.7万円
中位 1%程度 約41.4万円
高位 2%程度 約46.6万円

老後資金計画では低位ケースを基本にしておき、中位・高位になれば余裕が出るという考え方をすると、将来の制度変更にも対応しやすくなります。

また配偶者が65歳になる時期も併記し、「何年間受け取れる見込みなのか」を計算することが重要です。年額だけを比較しても、受給期間が3年なのか10年なのかでは家計への影響が大きく違います。

まとめ|2040年度額は未定。現在の制度なら40万円台になるシナリオは考えられる

2028年4月から見直される配偶者加給年金について、厚生労働省が示している年36万7,200円は「2024年度価格」です。2028年度に実際に受け取る金額が必ず36万7,200円になるという意味ではありません。[参照:厚生労働省「配偶者に係る加算の見直し」]

公的年金は賃金・物価等に応じて毎年度改定されるため、2040年度の加給年金額を2026年現在から正確に予測することはできません。さらにマクロ経済スライドや今後の制度改正も影響します。[参照:日本年金機構「年金額の改定」]

あくまで単純試算ですが、36万7,200円を基準に2028年から2040年まで平均1%ずつ増えたと仮定すると約41万4,000円、平均2%なら約46万6,000円となります。そのため、現在の制度が大きく変わらず緩やかな名目上昇が続けば、2040年度に40万円台となるシナリオは十分考えられます。

ただし、金額が40万円台になっても物価が上昇していれば実質的な価値は必ずしも増えていません。また配偶者加給年金は原則として配偶者が65歳になるまでの期間限定であり、配偶者自身が一定の老齢厚生年金などを受け取れる場合には停止されることがあります。[参照:日本年金機構「加給年金額と振替加算」]

2040年の老後資金を考える場合は、「加給年金は36万7,200円で固定」とせず、年36~47万円程度など複数のシナリオを置き、配偶者が何歳まで対象になるかも含めて計算するのが現実的です。実際の支給額については、2028年度以降に日本年金機構が毎年度公表する年金額改定を確認して更新していくのが最も確実です。

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