夫婦2人暮らしで複数の保険に加入していると、「毎月の保険料は高すぎないか」「医療保険とがん保険は両方必要なのか」「個人年金まで含めると払いすぎではないか」と気になることがあります。
たとえば、夫婦それぞれのがん保険と医療保険、月額4,600円程度の年金型保険、さらに家財保険を合わせている場合、まずは保障のために払っている保険料と、将来の積立・年金目的のお金を分けて考えることが重要です。単純な月額の合計だけでは、高いか安いかを正確には判断できません。
この記事では、夫婦2人で月約1万2,000円の保険料を支払っているケースを具体例に、一般的な保険料水準との比較、がん保険と医療保険の重複、公的医療保険、個人年金、家財保険まで含めた見直し方法を解説します。
- 6つの保険を合計すると月額は約1万1950円
- 夫婦2人で月約1万2000円は平均と比べると高くない
- 年金型保険4600円は「保険料」より積立部分として分けて考える
- がん保険の「月10万円」が何を意味するか確認する
- がん保険と医療保険は保障が一部重複することがある
- 医療保険を考えるときは高額療養費制度も確認する
- 会社員なら傷病手当金も保障設計に影響する
- 医療保険2300円ずつが高いかは保障内容と払込期間で決まる
- 子どもがいない夫婦なら死亡保障の必要額は小さい場合がある
- 家財保険月500円は他の生命保険とは別物
- 保険料を家計の何%までにすべきという絶対基準はない
- 保険を減らすなら最初に「重複」を探す
- 月11950円を10年払うと約143万円になる
- 夫婦2人暮らしなら保険より貯蓄を厚くする選択肢もある
- 見直し前に解約してはいけない理由
- まとめ:夫婦2人で月約1万2000円なら金額だけで「高すぎる」とは言えない
6つの保険を合計すると月額は約1万1950円
まず、家計簿上の保険料をすべて合計してみます。たとえば次のような契約内容だとします。
| 保険 | 月額保険料 |
|---|---|
| 妻のがん保険 | 1,250円 |
| 夫のがん保険 | 1,000円 |
| 妻の医療保険 | 2,300円 |
| 夫の医療保険 | 2,300円 |
| 年金型の生命保険 | 4,600円 |
| 家財保険 | 約500円 |
| 合計 | 約11,950円 |
年間にすると、11,950円×12カ月で約14万3,400円です。月額だけを見ると大きく感じる場合がありますが、年金型の保険まで含めた数字なので、14万3,400円すべてを純粋な保障コストと考えるのは適切ではありません。
年金型保険の4,600円を除くと、がん保険・医療保険・家財保険の合計は月7,350円、年間8万8,200円です。つまり、家計を分析するときには「保障に約7,350円、老後資金目的に約4,600円」というように分けると分かりやすくなります。
夫婦2人で月約1万2000円は平均と比べると高くない
生命保険文化センターによると、2024年度の「生命保険に関する全国実態調査」で、2人以上世帯の生命保険・個人年金保険の年間払込保険料は平均35.3万円でした。月額に換算すると約2万9,400円です。[参照] 生命保険文化センター「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」
この平均と比べれば、生命保険・医療保険・がん保険・年金型保険を合わせて月1万円台前半という水準は、少なくとも「平均を大幅に上回る保険料」とはいえません。
ただし、平均より安いから適正とは限りません。生命保険文化センターの平均には年齢、子どもの有無、死亡保障額、個人年金などが異なる多様な世帯が含まれています。夫婦だけの世帯と、子どもが複数いる世帯では必要保障額がまったく違うため、平均はあくまで参考値です。
年金型保険4600円は「保険料」より積立部分として分けて考える
月額4,600円の「生命保険年金型」が個人年金保険など老後資金を積み立てる商品であれば、医療保険やがん保険とは性格が異なります。医療保険は病気になったときの保障を買う商品ですが、個人年金は将来受け取る資金を準備する目的が中心です。
たとえば月4,600円を30年間支払えば、単純な払込総額は4,600円×12×30=165万6,000円です。実際の受取額は契約内容、予定利率、払込期間などによって変わります。
したがって、家計簿では「生命保険11,950円」と一括りにするより、保障性保険7,350円、老後資金4,600円のように分けると、家計への負担が見えやすくなります。
がん保険の「月10万円」が何を意味するか確認する
がん保険について「月10万円出る」という説明だけでは、実際の保障内容は判断できません。がん保険には、がんと診断されたときの診断給付金、抗がん剤治療を受けた月の治療給付金、入院給付金、手術給付金など複数のタイプがあります。
生命保険文化センターによると、がん保険には診断時の一時金、入院、手術、放射線治療、抗がん剤治療などの商品があり、支払条件は商品によって異なります。また、一般的ながん保険では契約後90日程度の待ち期間が設定されているケースがあります。[参照] 生命保険文化センター「がん保険」
たとえば「抗がん剤治療を受けた月に10万円」という保障なら、がんと診断されただけで毎月10万円が無条件に支給されるとは限りません。保険証券や約款で「何をしたときに10万円受け取れるのか」を確認することが大切です。
がん保険と医療保険は保障が一部重複することがある
夫婦それぞれががん保険と医療保険の両方に加入すること自体は珍しくありません。ただし、保障内容によっては一部が重複します。
たとえば医療保険に入院日額5,000円と手術給付金があり、がん保険にもがん入院給付金と手術給付金が付いている場合、がんで入院・手術した際には両方から給付されることがあります。その分保障は厚くなりますが、保険料も二重に支払っています。
一方で、医療保険はがん以外の病気やけがにも対応し、がん保険は診断一時金や抗がん剤治療などがん特有の費用へ備えるという役割分担ができているなら、両方持つ意味はあります。
医療保険を考えるときは高額療養費制度も確認する
民間医療保険の必要額を考えるうえで、日本の公的医療保険制度は重要です。高額な医療費が発生した場合でも、健康保険には「高額療養費制度」があり、1カ月または制度上定められた期間の自己負担に上限が設けられています。
厚生労働省によると、2026年8月以降の制度では、たとえば70歳未満・年収約370万円~510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、一定の条件下で自己負担は約9.3万円までに抑えられる例が示されています。上限額は年齢や所得によって異なります。[参照] 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
そのため、「入院したら医療費が100万円かかるから100万円分の民間保険が必要」と単純に考える必要はありません。ただし、差額ベッド代、食事代、交通費、日用品など高額療養費制度の対象外となる費用もあるため、貯蓄額と合わせて考える必要があります。
会社員なら傷病手当金も保障設計に影響する
夫婦のどちらか、または両方が会社員などで健康保険に加入している場合、病気やけがで働けない期間には傷病手当金の対象になることがあります。
協会けんぽでは、一定の条件を満たした場合、傷病手当金は支給開始日から通算1年6カ月まで支給されます。1日あたりの金額は原則として標準報酬月額をもとに計算され、おおむね給与の3分の2相当を基準とする仕組みです。[参照] 全国健康保険協会「傷病手当金」
こうした公的保障がある場合、医療保険だけで生活費まで完全にカバーする必要性は低くなることがあります。一方、自営業者など傷病手当金の対象にならない人は、より多くの現預金や民間保障が必要になる場合があります。
医療保険2300円ずつが高いかは保障内容と払込期間で決まる
夫婦それぞれ月2,300円、合計4,600円の医療保険は、金額だけでは高いとも安いとも断定できません。重要なのは、保障額と契約期間です。
同じ月2,300円でも、終身保障・終身払いの商品と、60歳や65歳で保険料の支払いが終わる商品では条件が異なります。また、入院日額5,000円のみの商品と、手術給付金、先進医療、女性疾病、三大疾病一時金まで含む商品でも価値は違います。
確認するときは、保険証券から「入院日額」「手術給付金」「1入院あたりの支払限度日数」「先進医療特約」「三大疾病特約」「保険期間」「払込期間」を書き出すと比較しやすくなります。
子どもがいない夫婦なら死亡保障の必要額は小さい場合がある
夫婦2人だけで双方に収入があり、一方が亡くなってももう一方が自分の収入で生活できる場合、大きな死亡保障は必要ないケースがあります。
一方、一方の収入だけで家計の大部分を支えている、住宅ローンがある、将来子どもを持つ予定があるといった場合には、死亡保障の必要性が高くなることがあります。
保険を見直すときは、「一般的な夫婦はいくら死亡保障を持っているか」より、片方が亡くなった場合に残された側が毎月いくら不足するのかを計算したほうが合理的です。
家財保険月500円は他の生命保険とは別物
月500円程度の家財保険は、生命保険・医療保険とは目的がまったく異なります。火災、水漏れ、盗難などによる家具や家電などの損害に備えるための損害保険です。
特に賃貸住宅では、家財保障だけでなく借家人賠償責任や個人賠償責任などがセットになっていることがあります。そのため、単純に「保険を減らしたいから家財保険を解約する」という考え方はおすすめできません。
月500円なら年間6,000円です。まず補償額と特約を確認し、賃貸借契約上必要な保障が含まれているかを確認してから判断するとよいでしょう。
保険料を家計の何%までにすべきという絶対基準はない
「保険料は手取りの何%以内」という目安を見かけることがありますが、すべての世帯に当てはまる公的な基準ではありません。同じ月1万2,000円でも、手取り25万円の世帯と50万円の世帯では負担感が違います。
たとえば世帯手取りが月30万円なら、月11,950円は約4.0%です。月40万円なら約3.0%、月50万円なら約2.4%になります。
| 世帯手取り月収 | 月11,950円の割合 |
|---|---|
| 25万円 | 約4.8% |
| 30万円 | 約4.0% |
| 40万円 | 約3.0% |
| 50万円 | 約2.4% |
この比率だけで判断するのではなく、住宅費、貯蓄額、住宅ローン、子どもの予定、老後資金などを含めても毎月黒字を維持できているかを見ることが重要です。
保険を減らすなら最初に「重複」を探す
毎月の保険料を抑えたい場合、すべてを一律に削るのではなく、同じリスクに複数の商品で備えていないか確認します。
- 医療保険とがん保険で入院保障が重複していないか
- 医療保険にがん特約があるのに別途がん保険へ加入していないか
- 夫婦それぞれに不要な死亡保障が付いていないか
- クレジットカードなどに付帯する個人賠償責任保険と家財保険の特約が重複していないか
- 年金型保険の目的がNISAや預貯金など他の老後資金準備と重複していないか
たとえば医療保険に十分ながん保障が付いているなら、別のがん保険を減額できるケースがあります。逆に医療保険のがん保障が弱く、別のがん保険が月1,000円程度で治療給付を厚くしているのであれば、残す意味があるかもしれません。
保険を見直す目的は単に契約数を減らすことではなく、必要なリスクだけにお金を払うことです。
月11950円を10年払うと約143万円になる
保険料は毎月の金額が小さくても、長期間では大きな支出になります。月11,950円を10年間支払えば、単純計算で約143万4,000円です。20年間なら約286万8,000円になります。
ただし、この中に将来受け取る年金型保険が含まれているなら、全額を「消えていく保険料」と見るべきではありません。一方、掛け捨ての医療・がん保険部分については、給付を受けなければ基本的には戻らない商品も多くあります。
だからこそ、「払った分を取り戻せるか」ではなく、万一のときに貯蓄だけでは負担しにくい損失をカバーできるかという観点で保険を選ぶことが重要です。
夫婦2人暮らしなら保険より貯蓄を厚くする選択肢もある
十分な貯蓄がある夫婦なら、小さな医療費まで保険でカバーせず、預貯金で備えるという考え方もあります。たとえば医療費として100万円程度をいつでも出せる現金がある世帯と、貯金10万円しかない世帯では必要な医療保険の厚さが異なります。
保険会社へ支払う保険料を減らし、その分を生活防衛資金や資産形成へ回す方法もあります。一方で、現金が少なく突然の入院費が家計に大きく響く場合には、少額の医療保険を維持する意味があります。
保険は「平均より高いか」ではなく、「起きたら家計が耐えられないリスクに備えているか」で判断すると整理しやすくなります。
見直し前に解約してはいけない理由
保険料を見て「高い」と感じても、すぐに既存契約を解約するのは避けたほうが安全です。新しい保険へ入り直す場合、年齢が上がったことで保険料が高くなったり、健康状態によって加入できなかったりする可能性があります。
また、古い医療保険に有利な条件が付いているケースや、個人年金保険を途中解約すると解約返戻金が払込保険料を下回るケースもあります。
見直す場合は、現在の契約を残したまま新旧の保障と保険料を比較し、新しい契約が成立したことを確認してから不要な契約を整理する方法が安全です。
まとめ:夫婦2人で月約1万2000円なら金額だけで「高すぎる」とは言えない
夫婦2人で、がん保険が月1,250円と1,000円、医療保険が各2,300円、年金型保険が4,600円、家財保険が約500円なら、合計は月約11,950円、年間約14万3,400円です。
生命保険文化センターによる2024年度調査では、2人以上世帯の生命保険・個人年金保険の年間払込保険料は平均35.3万円です。この数字と比べれば、月1万2,000円前後は特別高額な水準とはいえません。ただし、平均値は家族構成や年齢が異なる世帯を含むため、適正額を示す基準ではありません。
特に月4,600円の年金型保険が老後資金を積み立てる商品なら、純粋な保障性保険は月約7,350円です。このように家計簿上でも「医療・がんなどの保障」と「老後資金」を分けると、実際の負担を把握しやすくなります。
見直すときは、がん保険の「月10万円」がどの条件で給付されるのか、医療保険とがん保険の保障が重複していないか、高額療養費制度や傷病手当金を考慮しても現在の保障額が必要なのかを確認しましょう。金額だけなら高すぎるとは言いにくい一方、保障内容に重複があれば削減できる余地はあります。
※本記事は2026年8月時点の生命保険文化センター、厚生労働省、全国健康保険協会などの公開情報をもとに一般的な家計・保険の考え方を解説しています。実際の必要保障額は年齢、収入、貯蓄、勤務形態、住宅、子どもの有無、契約内容などによって異なります。保険を解約・変更する前には、保険証券や契約概要、約款を確認してください。


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