精神疾患があっても生命保険に入れる?うつ病・通院中の加入可否と引受基準緩和型保険、告知の注意点を解説

生命保険

うつ病、適応障害、双極性障害、不安障害などの精神疾患で通院・服薬していると、「生命保険には入れないのではないか」と考えることがあります。しかし、精神疾患があるという理由だけで、すべての生命保険への加入が一律に不可能になるわけではありません。

生命保険の加入可否は、病名だけではなく、現在の症状、治療期間、入院歴、服薬状況、休職歴、保険商品の種類、保険会社の引受基準などを踏まえて個別に判断されます。また、通常の保険への加入が難しい人を想定した「引受基準緩和型保険」なども存在します。生命保険協会も、病歴がある人でも加入を検討できる限定告知型・引受基準緩和型や無選択型の商品があると案内しています。[参照] 生命保険協会「生命保険の商品を知る」

一方で、「加入できた」という事実だけでは、その保険が自分に必要なのか、月額保険料が適切なのかまでは判断できません。死亡保障を付けていないのに月額6,800円程度を支払っている場合などは、まず契約している商品の種類と保障内容を確認することが重要です。この記事では、精神疾患がある人の生命保険加入の考え方と、保険料・告知・保障内容を確認するときのポイントを解説します。

精神疾患があっても生命保険に加入できる場合はある

精神疾患がある人でも、生命保険への加入が必ず拒否されるわけではありません。一般的な生命保険では申し込み時に健康状態について告知し、保険会社がその内容をもとに引受可否を判断します。

同じ病名でも審査結果が同じになるとは限りません。たとえば過去に治療して現在は症状が安定している場合と、現在も入院治療中の場合では条件が異なります。また、死亡保険、医療保険、がん保険など商品によって告知項目や引受基準も異なります。

そのため、「精神疾患なのに加入できたから審査がおかしい」ということではありません。告知内容を正確に伝えたうえで保険会社が承諾したのであれば、その商品の引受基準を満たした可能性があります。

通常の保険に加入できる可能性もあるため最初から緩和型に限定しない

持病があると、最初から「持病がある方向け」と表示された保険だけを探したくなります。しかし、精神疾患の種類や治療状況によっては、通常の保険を申し込める場合もあります。

通常型の保険は、引受基準緩和型と比較すると保険料が低く設定されているケースがあります。そのため、保険代理店などへ相談する場合には、まず通常型で引受可能かを確認し、難しい場合に緩和型を比較するという順序も考えられます。

ただし、具体的な審査基準は保険会社ごとに異なり、一般にはすべて公開されていません。「この病名なら必ず加入できる」「服薬中なら必ず断られる」といった一律の判断はできません。

引受基準緩和型保険とは何か

通常の保険への加入が難しい人向けに用意されている代表的な選択肢が「引受基準緩和型保険」です。健康状態に関する告知項目を少なくするなどして、通常型より引受基準を緩和した商品です。

たとえばメットライフ生命の「ずっとスマイル」は、持病・既往症など健康上の理由で通常の保険へ加入できない人を想定した引受基準緩和型終身保険として案内され、簡単な告知で申し込める商品となっています。ただし、健康状態などを踏まえて総合的に審査されるため、誰でも必ず加入できるわけではありません。[参照] メットライフ生命「終身保険 ずっとスマイル」

オリックス生命にも、持病や入院・手術経験がある人が申し込みやすいよう告知項目を限定した「引受基準緩和型終身保険RISE Support Plus」があります。こちらも加入を保証する商品ではなく、申し込み後に保険会社の審査があります。[参照] オリックス生命「RISE Support Plus」

引受基準緩和型は通常の保険より保険料が高くなりやすい

引受基準緩和型には加入しやすいというメリットがある一方、その分、通常型より保険料が割高に設定される傾向があります。生命保険協会も、限定告知型・引受基準緩和型の商品では通常の生命保険より保険料が高く、保障内容も通常型と異なる場合があるとして注意を促しています。

実際にメットライフ生命やオリックス生命も、自社の引受基準緩和型商品について、通常の保険より保険料が割増しされている旨を案内しています。[参照] メットライフ生命 [参照] オリックス生命

したがって、月額6,800円という金額だけを見て「高い」「安い」と判断することはできません。年齢、性別、保障額、入院給付金、手術給付金、特約、保険期間などによって保険料は大きく変わります。

死亡保障を付けていないのに6800円なら契約内容を確認する

「生命保険」という言葉は広い意味で使われます。実際に加入しているものが、死亡時に保険金が支払われる死亡保険とは限りません。医療保険、がん保険、就業不能保障、三大疾病保障なども生命保険会社が販売しています。

たとえば死亡保障がほとんどなくても、入院日額1万円、手術給付金、先進医療特約、三大疾病一時金などを組み合わせれば、月額保険料が数千円になることはあります。そのため「死亡保障がないのに6,800円だから異常」とは判断できません。

確認したいのは保険証券や契約者向けWebページにある「主契約」「特約」「保険金額・給付金額」「保険期間」「保険料払込期間」です。商品名だけではなく、毎月6,800円を何の保障に対して支払っているのかを一つずつ確認すると判断しやすくなります。

生命保険・医療保険・死亡保険の違いを整理する

保険の名称が分かりにくい場合は、まず目的別に整理すると理解しやすくなります。

保険の種類 主な目的
死亡保険 被保険者が死亡した場合の遺族への保障
医療保険 病気やけがによる入院・手術などへの保障
がん保険 がんの診断・治療・入院などへの保障
就業不能保険 病気やけがで働けない期間の収入減少への備え
終身保険 一生涯の死亡保障を主目的とする商品が中心

たとえば独身で扶養家族がおらず、死亡後に家族へ大きなお金を残す必要がなければ、高額な死亡保障の優先順位は低くなることがあります。一方、治療による入院費や働けない期間への備えを重視する考え方もあります。

「生命保険に入っている」というだけでは内容は判断できないため、自分が何のリスクに備えたいのかと契約内容が一致しているかを確認することが重要です。

精神疾患については告知を正確に行うことが重要

生命保険を申し込む際には、保険会社から質問された健康状態や病歴について正確に告知する必要があります。生命保険協会も、正しい告知を受けるためのガイドラインを設けています。[参照] 生命保険協会「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」

精神科や心療内科への通院歴、入院歴、診断名、服薬などについて告知書で質問された場合は、自己判断で省略してはいけません。「症状が軽いから書かなくてよい」「昔のことだから関係ない」と判断するのではなく、質問されている期間・内容に沿って回答します。

正確に告知した結果として加入できたのであれば、「精神疾患があるのになぜ通ったのか」と過度に心配する必要はありません。反対に告知内容に不安がある場合は、契約した保険会社へ確認するほうが安全です。

無選択型保険という選択肢もあるが条件をよく確認する

商品によっては、健康状態に関する告知や医師の診査を求めない「無選択型」と呼ばれる保険もあります。生命保険協会も、病歴がある人向けの商品として限定告知型・引受基準緩和型とともに無選択型保険を紹介しています。[参照] 生命保険協会

ただし、加入しやすさだけで選ぶのは適切ではありません。一般的に、加入条件が緩い商品ほど保険料が高くなったり、保障内容に制限が設けられたりする場合があります。

まず通常型、次に引受基準緩和型、それでも難しい場合に無選択型というように複数の商品を比較し、保険料と保障内容のバランスを見ることが大切です。

公的医療保険や自立支援医療も含めて必要保障額を考える

民間保険を考えるときは、日本の公的医療保険制度も忘れてはいけません。医療費には健康保険が適用されるほか、一定額を超えた自己負担を軽減する高額療養費制度などがあります。

精神科への継続的な通院については、条件を満たせば「自立支援医療(精神通院医療)」の対象になる場合もあります。そのため、精神疾患があるからといって民間医療保険へ最大限加入しなければならないわけではありません。

自分が実際に負担する可能性のある医療費、現在の貯蓄、公的制度、会社員であれば傷病手当金などを確認したうえで、不足する部分を民間保険で補うという考え方が合理的です。

死亡保障が必要かどうかは家族構成で大きく変わる

死亡保障の主な目的は、本人が亡くなった後に経済的に困る家族へお金を残すことです。配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合は、生活費や教育費を考えて死亡保障を準備する意味があります。

一方、独身で扶養している家族がおらず、十分な貯蓄がある場合は、高額な死亡保障が必ずしも必要とは限りません。葬儀費用など最低限の整理資金だけ準備するという考え方もあります。

そのため「死亡保障を付けていないこと」自体が問題なのではありません。保険の目的と現在の家族構成が合っているかを確認するほうが重要です。

「死ぬつもりだから死亡保障はいらない」という状態なら保険選びより安全確保を優先する

保険を検討している最中に「自分は死ぬつもりだ」「近いうちに自分で命を絶とうと思っている」という考えが現実的になっている場合は、保険商品の比較よりも先に、現在の安全を確保することが重要です。生命保険は、自分の死を前提に資金計画を立てるための商品ではありません。

できるだけ一人にならず、精神科・心療内科の主治医や医療機関、家族など連絡できる相手へ現在の状態を伝えてください。今すぐ自分を傷つける可能性がある場合は、119番など緊急の医療支援を利用することも選択肢です。

厚生労働省は「死にたい」「消えたい」といった気持ちについて相談できる窓口として、24時間365日無料の「#いのちSOS(0120-061-338)」などを案内しています。また、地域の公的相談機関につながる「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」もあります。[参照] 厚生労働省「電話相談」

死亡保険金はどのような死亡でも無条件で支払われるわけではない

死亡保険へ加入したからといって、あらゆるケースで無条件に死亡保険金が支払われるわけではありません。生命保険には約款で定められた免責事由や契約上の条件があり、実際の支払可否は個々の契約内容と事実関係によって判断されます。

そのため、自分の死を前提として「加入すれば家族に必ずお金を残せる」と考えて保険契約を利用することは適切ではありません。具体的な免責条件については、契約している商品の「ご契約のしおり・約款」や保険会社へ確認する必要があります。

現在、自分の命を絶つ考えがある場合には、保険金の条件を調べるより先に主治医や相談窓口へつながることを優先してください。

月6800円の保険を継続するかは年間保険料で考える

月額6,800円は年間にすると81,600円です。10年間同じ保険料を払うと、単純計算で816,000円になります。長期契約では月額だけでなく総支払額を確認することが大切です。

たとえば現在の保障内容が入院日額5,000円だけなのに年間8万円以上を支払っている場合、貯蓄で備えたほうがよいか検討する余地があります。一方、複数の大きな保障が含まれているなら6,800円が直ちに高額とはいえません。

解約を検討するときも、先に新しい保険へ加入できるか確認することが重要です。精神疾患がある場合、現在の契約を解約してから別の商品へ申し込んだ結果、新しい保険に加入できない可能性もあるためです。

精神疾患がある人が保険を探すときの確認ポイント

精神疾患がある状態で保険を比較する場合は、「加入できるか」だけではなく、保障内容と保険料を総合的に確認します。

  • 通常型の生命保険・医療保険へ申し込めるか
  • 引受基準緩和型の対象になるか
  • 告知事項に正確に回答できているか
  • 死亡保障が本当に必要か
  • 入院・手術・就業不能など何を保障しているか
  • 月額だけでなく年間・長期間の保険料はいくらか
  • 保障されないケースや待機・制限条件がないか
  • 解約返戻金の有無や金額
  • 公的医療保険でカバーできる範囲

特に「持病があっても入れる」という広告だけで契約すると、通常型より割高な商品を選んでしまう可能性があります。加入できる複数の商品を比較してから判断するとよいでしょう。

まとめ:精神疾患があっても生命保険への加入は可能だが、商品ごとの審査がある

精神疾患があっても、生命保険へ加入できるケースはあります。精神疾患があるという理由だけで全商品が一律に加入不可になるわけではなく、通常型に加入できる場合もあれば、告知項目を限定した引受基準緩和型保険を利用できる場合もあります。

ただし、引受基準緩和型は「誰でも入れる保険」ではありません。申し込み後の審査があり、一般的に通常型より保険料が割高になる傾向があります。無選択型についても、保障内容や保険料を十分に比較する必要があります。

また、死亡保障なしで月額6,800円程度を支払っている場合は、金額だけで高い・安いを判断せず、まず保険証券で主契約と特約を確認しましょう。月6,800円は年間81,600円になるため、「何に対して年間8万円以上を払っているのか」を理解しておくことが大切です。

そして、自分の死を具体的に考えている状態であれば、保険の加入可否や死亡保障よりも現在の安全と治療を優先する必要があります。主治医や身近な人、厚生労働省が案内している相談窓口などへつながり、一人だけで判断しないことが重要です。

※本記事は生命保険協会、各生命保険会社、厚生労働省などの公開情報をもとに一般的な考え方を解説しています。実際の引受可否、保険料、保障範囲、免責事項は商品・健康状態・契約条件によって異なります。申し込み時には告知書、契約概要、注意喚起情報、ご契約のしおり・約款をご確認ください。

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