20歳になると国民年金への加入が始まり、「自分が高齢者になる頃にも本当に年金を受け取れるのだろうか」と疑問を持つ人は少なくありません。少子高齢化のニュースを見ると、年金制度そのものがなくなり、生活保護も廃止されてベーシックインカムへ一本化されるのではないかと考えることもあるでしょう。
しかし、数十年後の社会保障制度を現在の時点で断定することはできません。2026年現在の法律・制度を前提にすれば、20歳の人も所定の受給資格を満たせば将来、老齢基礎年金などを受け取る仕組みになっています。一方で、今後数十年間に受給条件や給付水準などが改正される可能性はあります。
また、現時点で「将来は公的年金と生活保護が廃止され、全国民向けベーシックインカムへ置き換わる」と決まっているわけではありません。将来を考える際には、確定している制度と将来予測を分けることが重要です。
現在20歳でも条件を満たせば将来年金を受給できる
日本年金機構によると、老齢基礎年金は保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合、原則として65歳から受給できます。[参照:日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件]
会社員などとして厚生年金へ加入する期間も、老齢年金の受給資格を考える際に関係します。つまり20歳から65歳までずっと国民年金を自分で納付する人だけが対象なのではなく、就職して厚生年金へ加入する人も公的年金制度の中で加入記録を積み上げていきます。
ただし「10年以上あれば受給資格がある」ということと「10年だけ払えば十分」ということは別です。老齢基礎年金の金額は納付期間などによって変わるため、加入期間が短ければ原則として受給額にも影響します。
「若者は年金を絶対にもらえない」とは言えない
若い世代について「払っても将来は1円も戻ってこない」といった話を耳にすることがありますが、これは現在確定している事実ではありません。厚生労働省は公的年金について少なくとも5年ごとに財政検証を行い、長期的な給付と負担の均衡や給付水準などを検証しています。[参照:厚生労働省 将来の公的年金の財政見通し]
2024年財政検証も、現在の制度を前提として長期的な年金財政を複数の社会・経済シナリオで試算しています。したがって政府の現在の制度設計は「近いうちに公的年金をゼロにする」ことを前提としているわけではありません。
もっとも、20歳の人が65歳になるのは約45年後です。それまで制度が一度も改正されないと考えるのも現実的ではありません。過去にも受給資格期間、保険料、給付の調整方法などさまざまな制度改正が行われています。「年金が必ず現在とまったく同じ条件でもらえる」とも、「完全に廃止される」とも断言できないというのが適切な捉え方です。
公的年金は老後の積立貯金だけではない
若いうちは「年金=65歳になったら受け取るお金」と考えがちですが、公的年金には老後以外の保障もあります。一定の要件を満たした場合に支給される障害年金や、加入者が亡くなった際に遺族へ支給される遺族年金などです。
そのため「自分が65歳になる頃に得か損か」という老齢年金だけの視点で制度全体を評価することはできません。公的年金は長生きした場合の所得保障に加えて、現役世代にも関係する社会保険制度として設計されています。
20歳で所得が少なく国民年金保険料を払うことが難しい場合も、単純な未納にするのではなく、学生納付特例や保険料免除・納付猶予など利用できる制度がないか確認することが重要です。未納と正式な免除・猶予では、将来の年金における扱いが異なる場合があります。
生活保護が将来廃止されると決まっているわけではない
生活保護は、資産や能力などを活用してもなお生活に困窮する人に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を助長するための制度です。2026年現在も生活保護制度は存在しています。
将来、制度内容や基準が改正される可能性は当然あります。しかし「現在の20歳が高齢者になるまでに生活保護制度そのものを廃止する」という確定した将来予定があるわけではありません。
年金と生活保護は目的も仕組みも異なります。年金は社会保険を基本とする制度であるのに対し、生活保護は生活に困窮し一定の要件を満たす場合の最後のセーフティネットです。そのため「年金が減れば自動的に生活保護へ移行する」といった単純な関係でもありません。
ベーシックインカム導入は確定した未来ではない
ベーシックインカムとは、一般に政府などが国民へ一定額の現金を継続的に給付する構想を指します。社会保障を簡素化できる可能性などから国内外で議論されることがあります。
しかし、2026年現在、日本で公的年金や生活保護を廃止して全国民向けベーシックインカムへ置き換えることが決定しているわけではありません。「将来は必ずベーシックインカムになる」という情報を前提に老後計画を立てるのは避けたほうがよいでしょう。
仮に将来ベーシックインカムに似た制度が検討されたとしても、財源、給付額、所得税・社会保険料との関係、医療・介護・障害者福祉・年金など既存制度をどこまで残すのかという大きな論点があります。「毎月一定額を配れば既存の社会保障をすべて廃止できる」というほど単純な問題ではありません。
20歳なら「年金がなくなるか」より今できる対策を考える
20歳から老後までは非常に長いため、45年先の制度を正確に予測することはできません。そのため「年金は絶対なくなる」「ベーシックインカムになるはず」といった一つの予測に賭けるより、複数の可能性に対応できる家計を作るほうが現実的です。
基本となるのは、公的年金の加入・納付記録を適切に管理することです。就職して厚生年金へ加入した場合も含め、自分の年金記録や将来の見込額を定期的に確認するとよいでしょう。日本年金機構の「ねんきんネット」では年金記録などを確認できます。[参照:日本年金機構 ねんきんネット]
そのうえで、生活防衛資金を作り、余裕資金ができたら長期的な貯蓄・資産形成を考える方法があります。公的年金だけに依存するのでも、反対に「どうせ年金はなくなる」と公的制度を無視するのでもなく、公的保障と自助努力を組み合わせて考えるのが合理的です。
45年後の年金額や受給開始年齢は今のままとは限らない
20歳の人にとって特に注意したいのは、「制度が存続すること」と「現在と同じ条件で存続すること」は別だという点です。人口構成、平均寿命、賃金、物価、経済成長、働き方などが変化すれば、今後も制度改正が行われる可能性があります。
例えば現在は老齢基礎年金を原則65歳から受給する仕組みですが、45年後にもすべての条件が同じであることを今から保証することはできません。将来の年金額についても、現在の金額をそのまま45年後へ当てはめることはできません。
厚生労働省が財政検証を少なくとも5年ごとに実施しているのも、長期間にわたる社会・経済状況の変化を踏まえて年金財政を確認する必要があるためです。若い世代ほど、一度の予測を見るのではなく数年ごとに制度変更や財政検証を確認することが大切です。
まとめ:20歳でも現行制度では将来の年金受給対象になる
2026年現在の制度では、20歳の人も保険料納付済期間や免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上あれば、原則65歳から老齢基礎年金を受給できます。会社員として厚生年金へ加入する場合には、その加入期間も将来の年金に関係します。
一方、現在20歳の人が高齢者になる約45年後の制度を正確に予測することはできません。給付水準や受給条件などが改正される可能性はありますが、「若者は年金をまったく受け取れない」と決まっているわけでもありません。
また、公的年金と生活保護を廃止してベーシックインカムへ全面移行することも、2026年現在の確定事項ではありません。将来予測だけを理由に年金を未納にするのではなく、現在の制度に沿って加入記録を管理しながら、貯蓄や長期的な資産形成も組み合わせることが、数十年先の制度変更にも対応しやすい考え方です。

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