田舎で住宅ローン・車2台・子供3人なら世帯手取り50万円は必要?5人家族の生活費と貯金額をシミュレーション

家計、節約

地方や郊外では、住宅ローンを払いながら夫婦それぞれが車を所有し、子供を3人、4人と育てている家庭も珍しくありません。その様子を見ると、「世帯で毎月50万円以上の手取りがあるのでは」「子供が3人いて車も2台なら、かなりの高収入でなければ生活できないのでは」と感じることがあります。

しかし実際には、子供3人の家庭がすべて世帯手取り50万円以上というわけではありません。手取り40万円前後でも住宅費や車の持ち方を抑えて生活している世帯はあり、反対に手取り50万円を超えていても住宅ローン、車のローン、教育費が大きければ貯金できない場合があります。

子供の人数だけでは家計の余裕は判断できず、「住宅費」「車関連費」「教育方針」「共働きか」「子供の年齢」「ローンの有無」が非常に大きく影響します。特に地方は住居費を抑えやすい一方で、1人1台に近い車社会では自動車関連費が都市部より大きくなりやすいため、「田舎だから生活費が安い」と単純には言えません。

子供3人世帯がみんな手取り50万円あるわけではない

まず、「子供が3~4人いる家庭なら世帯手取り50万円くらいは普通にある」という見方は正確ではありません。世帯収入には非常に大きな差があり、同じ子供3人世帯でも片働き、共働き、自営業、公務員、会社員など働き方によって収入は大きく変わります。

厚生労働省の国民生活基礎調査では、児童のいる世帯について所得階級別や児童数別の統計が公開されていますが、所得は幅広く分布しています。平均所得だけを見て「一般的な家庭もそのくらい稼いでいる」と判断するのは適切ではありません。平均値は高所得世帯によって押し上げられることもあるためです。[厚生労働省・国民生活基礎調査参照]

また「年収」と「手取り」も別です。給与所得者の場合、額面の世帯年収から社会保険料、所得税、住民税などが差し引かれるため、世帯年収600万円だから毎月50万円使えるわけではありません。

世帯手取り50万円なら5人家族でも貯金できる可能性は高い

住宅ローンあり、車2台、子供3人という5人家族で毎月50万円の手取りが安定して入るなら、住宅費や車のローンが極端に高くなければ、一定額を貯金できる家計は十分に作れます。

例えば地方に住む5人家族について、次のような家計を仮定してみます。金額は全国平均ではなく、家計の仕組みを理解するための一例です。

項目 月額の例
住宅ローン 8万円
食費 9万円
水道・光熱費 3万円
通信費 1.5万円
車2台の燃料・保険・税金・車検積立等 6万円
教育・学校・習い事 5万円
日用品・衣服 3万円
保険 2万円
娯楽・外食・交際費 3万円
その他・予備費 2.5万円
合計 43万円

この例なら手取り50万円から43万円を使い、月7万円を貯金できます。年間では単純計算で84万円です。児童手当やボーナスを貯蓄へ回せれば、年間100万円以上を貯められる可能性もあります。

ただし、住宅ローンが月12万円、車2台ともローン中で月8万円、塾や習い事に月10万円という家庭なら、同じ手取り50万円でもほとんど残らなくなります。

手取り40万円前後でも生活している家庭はある

子供3人だからといって、毎月50万円なければ生活できないわけではありません。住宅費と車関連費を低く抑えられる家庭なら、手取り35万~40万円台で生活しているケースも考えられます。

例えば住宅ローンが月6万円、車2台ともローンなし、軽自動車中心、習い事は少なめ、外食も控えめという家庭なら、固定費をかなり抑えられます。

一方でこの水準になると、毎月10万円を安定して貯金するのは難しくなりやすく、固定資産税、自動車税、車検、家電の買い替え、冠婚葬祭などの臨時支出によって年間貯蓄額が大きく変わります。

「生活できる」と「余裕をもって貯金できる」は別と考えることが重要です。

田舎は住宅費が安くても車の費用が大きい

地方で子供の多い家庭が成り立ちやすい理由の一つとして、都市部より土地や住宅の価格が安い地域があることが挙げられます。同じ広さの戸建てでも、大都市圏と地方では住宅ローンに数万円以上の差が生じることがあります。

例えば都市部で月15万円の住宅費が必要なところを、地方で月7万円に抑えられれば、それだけで毎月8万円の差になります。この差は年間96万円になるため、家計にとって非常に大きな影響があります。

ただし地方では自動車が生活必需品になることが多く、夫婦で2台、子供が成人するとさらに台数が増えるケースがあります。自動車は購入代だけでなく、自動車税、任意保険、車検、ガソリン、タイヤ、オイル、修理費などがかかります。

そのため、地方の家計は「家が安い代わりに車が高い」という構造になりやすいと考えると分かりやすいでしょう。

車2台で実際にどのくらい家計負担が増える?

車の費用は、ローンがあるかどうかで大きく変わります。すでに現金で購入済みのコンパクトカーや軽自動車を長く使っている家庭と、新車を2台ともローンで購入している家庭では負担がまったく違います。

例えば車1台につき、ガソリン月1万円、任意保険月5,000円相当、税金・車検・整備・タイヤなどの積立として月1万円相当を見込めば、ローンなしでも月2万5,000円ほどになります。2台なら月5万円です。

さらに1台あたり月3万円の自動車ローンがあれば、2台で月6万円が追加され、車関連だけで月11万円になることもあります。

つまり「車が2台ある家庭=高収入」とは限りません。地方では必要だから古い車を長く乗っている家庭も多く、車両価格を抑えることで家計を成立させているケースもあります。

子供3人では食費だけでもかなり差が出る

5人家族になると食費は大きな支出になります。ただし子供が幼児3人なのか、中学生・高校生が3人なのかによって負担は大きく異なります。

例えば未就学児3人なら大人ほど食べませんが、中高生、とくに運動部に所属する子供が複数いると、米、肉、牛乳、弁当、補食などの消費量が急増します。

月7万円程度で収まる家庭もあれば、5人家族で月10万円以上になる家庭もあります。外食や惣菜をどの程度利用するかによっても変わります。

総務省の2025年家計調査では、二人以上世帯全体の消費支出は1世帯当たり月平均31万4,001円でした。ただし平均世帯人員は2.87人、世帯主平均年齢も60歳を超えているため、この数字をそのまま子供3人の5人家族へ当てはめることはできません。[総務省・家計調査参照]

子供が小さい時より中学・高校以降のほうが家計は重くなりやすい

子供3人の家計を考える際に見落としやすいのが、現在の生活費だけで判断してはいけない点です。幼児や小学生の時期に貯金できていても、中学、高校、大学へ進むにつれて教育費が増えることがあります。

文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」では、学校教育費、給食費、学校外活動費を合わせた年間の学習費総額は、公立小学校で1人約33.6万円、公立中学校で約54.2万円、公立高校で約59.8万円でした。私立ではさらに高額になります。[文部科学省・子供の学習費調査参照]

例えば3人が同時期に中学生・高校生になれば、塾、部活動、制服、スマートフォン、交通費、受験費用などが重なる可能性があります。

そのため子供が小さい家庭で月5万円余っているからといって、その余裕が10年間ずっと続くとは限りません。比較的教育費が少ない時期に貯蓄を増やしておくことが重要です。

児童手当は3人きょうだいだと家計を支える大きな収入になる

現在の児童手当は所得制限がなく、高校生年代までが対象です。3歳以上高校生年代までは原則として1人月1万円、3歳未満は月1万5,000円、第3子以降は年齢にかかわらず一定の条件のもと月3万円となっています。[こども家庭庁・児童手当制度参照]

例えば3歳以上の子供が3人いて、第3子加算の条件を満たしている場合、月額換算では1万円+1万円+3万円で合計5万円です。実際の児童手当は偶数月に2か月分ずつ支給されます。

この年間60万円相当を生活費として使う家庭もあれば、教育資金として全額貯める家庭もあります。3人世帯ではこの違いが数年後の貯蓄額に大きく影響します。

ただし第3子の数え方には、22歳年度末までの兄姉について親が経済的負担をしているなど一定の条件があるため、単純に「3人目なら必ず月3万円」とは限りません。最新の条件はこども家庭庁の公式案内で確認する必要があります。

世帯手取り50万円でも住宅ローンが高いと余裕はなくなる

5人家族の家計で最も大きな差を生みやすいのが住宅費です。住宅ローンが月6万円なのか15万円なのかでは、年間で108万円もの差になります。

例えば手取り50万円でも、住宅ローン15万円、車ローン7万円、食費10万円だけで32万円です。そこへ光熱費3万円、通信費2万円、保険2万円、教育費6万円、日用品3万円を加えれば48万円になり、ほぼ残りません。

一方、手取り42万円でも住宅ローン6万円、車ローンなし、食費8万円など固定費を抑えていれば、毎月数万円を貯蓄することは可能です。

そのため家計の余裕を見る際は、収入額そのものより「手取りに対して固定費が何%あるか」を見るほうが実態を把握しやすくなります。

子供3人・手取り40万円、50万円、60万円を比較するとどうなる?

同じ5人家族でも、手取りによってどの程度余裕が変わるのかを簡単に比較してみます。ここでは生活費を月42万円と仮定します。

世帯手取り 月42万円使った場合の残額 年間の単純な残額
40万円 -2万円 -24万円
45万円 3万円 36万円
50万円 8万円 96万円
55万円 13万円 156万円
60万円 18万円 216万円

もちろん実際にはボーナス、児童手当、税金、臨時支出などがあるため、この通りにはなりません。しかし、手取りが月5万円増えると年間では60万円の差になるため、子供3人の教育資金形成には非常に大きな意味があります。

一方で生活費42万円を35万円まで抑えられる家庭なら、手取り40万円でも毎月5万円を貯金できます。つまり収入だけを見るのではなく、支出構造を見ることが重要です。

実家からの援助や土地の有無でも家計は大きく変わる

地方の子沢山家庭を外から見たときに、収入だけでは説明できないことがあります。地方では親や祖父母から土地を譲り受けたり、住宅取得時に援助を受けたりするケースもあります。

例えば土地代が0円で住宅だけを建てた家庭と、土地と建物を合わせて4,500万円借りた家庭では、同じ年収でも住宅ローン負担は大きく異なります。

また実家が近ければ、祖父母による送迎、育児支援、野菜や米の提供などがある家庭もあります。これらは統計上の現金収入には表れにくいものの、生活費や共働きのしやすさに影響します。

周囲に子供3~4人の家庭が多くても、「みんな高収入だから成立している」とは限らず、住宅取得費、親族支援、生活コストなど背景が異なる可能性があります。

共働きなら手取り50万円は特別に珍しい金額ではない

夫婦共働きの場合、世帯手取り50万円という水準は必ずしも一方が高収入でなければ達成できない数字ではありません。

例えば夫婦それぞれの手取りが月25万円程度なら合計50万円です。片方が手取り30万円、もう片方が20万円という組み合わせでも同じです。

地方でも夫婦とも正社員、公務員、医療職、技術職などとして働いていれば、30代以降にこの程度の世帯手取りになることは十分に考えられます。一方、片働きで手取り50万円を得るには一般的により高い額面給与が必要になります。

ただし共働きには保育料、通勤用の2台目の車、外食・惣菜、学童などの追加支出が発生することもあるため、収入増加分がそのまま貯蓄になるわけではありません。

ボーナスを月収に含めるかでも「手取り50万円」の意味は変わる

世帯収入を比較するときは、月々の給与だけなのか、年間ボーナスを12か月で割った金額も含めているのかを確認する必要があります。

例えば毎月の世帯手取りが43万円でも、夫婦合わせて年間84万円の手取りボーナスがあれば、月平均に直すと約50万円になります。

この家庭は「平均すると手取り50万円」ですが、毎月の口座へ50万円入るわけではありません。住宅ローンや日々の生活費は43万円から支払い、ボーナス月にまとめて固定資産税、自動車税、車検、旅行費、教育費などを払っている可能性があります。

家計を比較するときは月収だけでなく、年間手取り収入と年間支出で見るほうが正確です。

貯金できるかは月々の黒字だけでは判断できない

毎月5万円余っていれば年間60万円貯金できるように見えますが、持ち家と車2台がある家庭には年間を通して大きな臨時支出があります。

固定資産税、自動車税、車検、タイヤ交換、家電買い替え、住宅修繕、帰省、旅行、冠婚葬祭などを合計すると年間数十万円になることがあります。

例えば毎月5万円ずつ積み立てて年間60万円貯めても、自動車税8万円、車検15万円、固定資産税10万円、家電買い替え10万円で43万円使えば、純粋な資産増加は17万円です。

したがって「毎月黒字だから貯金できている」のではなく、1年間が終わった時点で金融資産がどれだけ増えたかを見ることが大切です。

子供3人なら教育費のために月いくら貯めたい?

必要な貯蓄額には正解がありません。公立中心なのか私立を選ぶのか、大学進学時に自宅から通えるのか一人暮らしになるのかで必要額が大幅に変わるためです。

ただし子供が3人いる場合、「生活費が余ったら貯金する」という方法だけでは、高校・大学進学が重なる時期に不足しやすくなります。児童手当を教育資金として分けておく、毎月一定額を先取りするなど目的別に準備するほうが管理しやすくなります。

例えば児童手当を中心に年間60万円、給与から年間60万円を追加して合計120万円を積み立てられれば、10年間で元本だけでも1,200万円です。一方で年間30万円しか貯められなければ10年間で300万円です。

この差は大学進学時に非常に大きくなるため、子供が小さい時期の家計余力をどう使うかが重要になります。

「子供が多い家庭=お金に余裕がある」とは限らない

外から見ると、新築住宅、ミニバン、軽自動車、子供3人という家庭はかなり裕福に見えることがあります。しかし、それだけで収入や貯蓄額を推測することはできません。

住宅は35年ローン、車は残価設定ローン、教育費はこれから増える時期という可能性もあります。反対に車は現金購入済みで住宅ローンも月5万円、親から土地を譲り受けており、見た目以上に固定費が低い家庭もあります。

また「貯金をあまりせず現在の生活に使う家庭」と「古い車に乗って年間200万円貯める家庭」では、外から見える生活水準と実際の金融資産が逆転することもあります。

子供の人数、家の大きさ、車の台数だけでは、その家庭の収入や資産状況はほとんど分からないと考えたほうがよいでしょう。

5人家族で貯金しやすくするなら固定費が重要

食費や日用品を数百円ずつ節約するより、住宅ローン、自動車ローン、保険、通信費といった固定費を抑えるほうが家計改善効果は大きくなります。

例えば住宅ローンを月2万円抑えれば年間24万円、車1台のローン3万円が終了すれば年間36万円、通信費を家族全体で月1万円抑えれば年間12万円です。合わせると年間72万円の差になります。

子供3人家庭の場合、食費や学校関連費には削りにくい部分があります。そのため住宅や車を購入するときに背伸びしすぎないことが、その後10年、20年の家計を大きく左右します。

住宅ローンと車2台がある家庭で確認したい家計項目

実際に自分の家庭で子供3人を育てられるか判断する場合は、周囲の世帯年収を推測するより、自分の年間収支を作ってみるほうが役立ちます。

  • 住宅費:住宅ローン、固定資産税、修繕費
  • 車費:ローン、ガソリン、保険、税金、車検、整備、買い替え費
  • 生活費:食費、水道光熱費、通信費、日用品
  • 教育費:学校、給食、塾、習い事、部活動、進学費用
  • 保険・医療:生命保険、医療費など
  • 臨時支出:旅行、冠婚葬祭、家電買い替え
  • 将来貯蓄:教育資金、住宅修繕、車買い替え、老後資金

特に自動車の買い替え費用を毎月の家計から除外して考えると、実際より余裕があるように見えます。10年後に200万円の車を2台買い替えるなら、単純化すれば合計400万円を10年間で準備する必要があります。

住宅についても給湯器、屋根、外壁、水回りなどの修繕が発生するため、住宅ローン返済額だけを「住居費」と考えないことが重要です。

手取り50万円で「余裕がある」と言えるラインは家庭ごとに違う

世帯手取り50万円で子供3人なら、生活費40万円で収まり月10万円を将来へ回せる家庭もあります。一方、毎月49万円使ってしまえば貯蓄はほとんど増えません。

また子供が3人とも幼い時期なら50万円で余裕があっても、3人が高校・大学へ進む時期には不足する可能性があります。その逆に住宅ローンが完済に近づいたり、親の収入が上昇したりすれば余裕が増えることもあります。

「今月暮らせるか」ではなく、教育費が最も高くなる時期まで含めて収支を考えることが、子沢山世帯では特に重要です。

まとめ|田舎で子供3人・車2台でも手取り50万円が必須ではない

地方で住宅ローンを払い、夫婦で車を2台所有し、子供3人を育てている家庭が、すべて世帯手取り50万円以上あるわけではありません。手取り40万円前後でも住宅費や車両費を抑えて生活している家庭はあり、反対に50万円以上あっても固定費が高ければ家計に余裕がない場合があります。

地方では住宅取得費が都市部より低くなる地域がある一方、車を複数台所有する費用がかかります。また子供が幼いうちは家計が安定していても、中学・高校・大学と進むにつれて教育関連費が増えるため、現在の月収だけで判断することはできません。

住宅ローンが月6~8万円程度、車ローンが少ないなど固定費を抑えられていれば、世帯手取り50万円で子供3人でも毎月数万円以上を貯金できる家計は十分考えられます。一方、住宅ローンや車ローンが大きければ手取り50万円でも貯金できないことがあります。

現在の児童手当では第3子以降への加算もあり、子供3人世帯では家計を支える重要な収入になります。ただし教育費や車・住宅の修繕など将来の大型支出もあるため、児童手当やボーナスをすべて日常生活費に組み込まず、教育資金や予備費として積み立てる方法も有効です。

周囲の家庭を見て「子供3人いるからきっと高収入」と考えるより、住宅取得価格、車のローン、親族援助、共働き状況などによって家計は大きく異なると考えるほうが実態に近いでしょう。子供3~4人を育てられる収入に絶対的なラインはなく、最終的には世帯手取りと固定費、教育方針、将来の貯蓄計画の組み合わせで決まります。

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