将来、高額な車を自動車ローンで購入したい場合、「今のうちに安い車をローンで買って完済実績を作れば、将来の審査に通りやすくなるのでは」と考えることがあります。確かにローンの契約内容や返済状況は信用情報に登録されるため、返済履歴は無関係ではありません。
しかし、将来の自動車ローン審査のためだけに、必要のない安い車をあえてローンで購入することが有利とは限りません。ローン審査は過去の利用実績だけで決まるものではなく、申込時点の借入状況や返済能力などを含めて各金融機関・信販会社が総合的に判断するためです。
将来欲しい車が高額なら、「ローン実績を作る」ことそのものより、支払いを遅らせないこと、不要な借入を増やさないこと、頭金を準備すること、収入と購入額のバランスを整えることのほうが現実的な準備になります。
安い車をローンで買えば将来の審査に有利になるとは限らない
自動車ローンを契約して約定どおり返済した履歴は、信用取引の事実として記録されます。CICでは、クレジットやローンの契約内容、支払い状況、残債額などを確認できると説明しています。[参照:CIC 情報開示について]
その意味では、ローンを利用して正常に返済した履歴が信用情報の一部になること自体は事実です。しかし「安い自動車ローンを1本完済すれば、次は高額ローンに通る」という仕組みではありません。CICも、クレジット会社は信用情報を参考にしながら、それぞれの審査基準によって総合的に判断すると説明しています。
例えば300万円の車をローンで買って完済した人だからといって、数年後に800万円や1,000万円の自動車ローンが自動的に承認されるわけではありません。その時点の収入や他の借入、希望借入額などによって状況は大きく変わります。
「ローン」と「信用情報」は別々ではなく関係している
「ローンより信用情報を重視すべきか」という疑問では、そもそも両者を完全に別物として考えないほうが分かりやすいでしょう。ローンを申し込み、契約し、返済するという取引そのものが信用情報を構成する要素になります。
CICの信用情報には、申込内容だけでなく契約内容、支払い状況、残債額などが登録されます。また全国銀行個人信用情報センターでも、ローンやクレジットカードなどの契約内容と返済状況、延滞、完済などの事実が取引情報として登録されます。[参照:全国銀行個人信用情報センター]
したがって大切なのは「ローンをたくさん利用して実績を作る」ことではなく、利用した信用取引を契約どおり適切に管理することです。
将来のために最も避けたいのは支払いの遅れ
信用情報を意識するなら、無理に新しいローンを作ることより、現在利用しているクレジットカードやローンなどの支払いをきちんと行うことが重要です。
CICでは客観的な取引事実として、契約内容、支払い状況、残高、契約数、契約期間、申込件数などを用いる仕組みも公表しています。つまり「借りた経験があるか」だけを見るのではなく、信用取引全体の状況が意味を持ちます。[参照:CIC クレジット・ガイダンスの見方]
携帯端末を分割購入している場合やクレジットカードの分割払いなど、信用情報へ登録される契約を利用しているなら、それらについても期日どおり支払うことが基本です。
不要なローンを作ると将来の審査時に残債が残る可能性もある
将来のローン審査対策として現在安い車をローン購入する方法には、逆方向の効果も考える必要があります。将来欲しい車を購入する時点で現在のローンが完済されていなければ、その残債も既存の債務として存在するからです。
例えば将来500万円を借りたいときに、現在の車のローンが100万円残っているケースと、自動車ローンがなく十分な頭金を持っているケースでは、家計の返済余力が同じとはいえません。
また、信用情報上の契約情報は完済した瞬間にすべて消えるわけではありません。CICではクレジット情報を契約期間中および契約終了から5年間保有するとしています。全国銀行個人信用情報センターでも取引情報について、契約期間中および契約終了日などから5年を超えない期間としています。[参照:CIC 信用情報の保有期間]
短期間に何社もローンへ申し込む方法にも注意
「どこか1社くらい通るだろう」と短期間に多数のローンへ申し込む方法もおすすめできません。ローンの申込情報そのものが信用情報に記録されるためです。
CICでは申込情報について、クレジット会社等がCICへアクセスした日から6か月間保有すると案内しています。全国銀行個人信用情報センターでも、照会記録情報について会員への提供期間が6か月を超えない期間とされています。[参照:CIC 登録情報の保有期間]
複数社へ見積もりを取ること自体と、実際のローン審査へ次々に申し込むことは分けて考えましょう。高額な車を購入するときほど、銀行系マイカーローンやディーラー系ローンなどの金利・条件を事前に比較し、申込先を整理してから進めるほうが合理的です。
高額な車を買いたいなら頭金を作ることも有力な準備
将来800万円の車を買うとして、800万円全額を借りる場合と、300万円を準備して500万円を借りる場合では、必要な借入額が大きく違います。ローン実績を作るために現在利息を払うより、将来の頭金を貯めるという考え方があります。
例えば毎月5万円を5年間積み立てれば、単純計算で300万円です。ボーナスなども加えられれば、さらに借入希望額を圧縮できます。実際には車両本体以外にも税金、登録関係費用、保険、駐車場、燃料、整備費などが必要なので、購入後の維持費も含めた資金計画が重要です。
「高額ローンを通すために借金を作る」より、「将来借りる必要のある金額を小さくする」という発想のほうが家計上は堅実です。
将来の自動車ローンに備えてできること
高額な車の購入を数年後に予定しているなら、今からできる準備はいくつかあります。特別な裏技よりも、基本的な信用管理と資金準備を積み重ねることが重要です。
- 現在のローンやクレジットの支払いを期日どおり行う
- 不要な借入やリボ払いなどを増やさない
- 将来の車の頭金を計画的に貯める
- 購入後の維持費まで含めて予算を計算する
- ローン申込時の既存借入をできるだけ整理する
- 短期間に必要以上のローン申込みを繰り返さない
自分の信用情報に何が登録されているか不安なら、信用情報機関の本人開示制度を利用する方法もあります。CICでは、現在・過去のクレジット契約、支払い状況、残債額、申込情報などを本人が確認できます。[参照:CIC 情報開示]
ただし、信用情報が良好なら希望額を必ず借りられるわけではありません。各金融機関や信販会社には独自の審査基準があり、信用情報以外の要素も含めて判断されます。
まとめ:ローン実績作りのためだけに安い車をローン購入する必要性は低い
将来高額な車を購入したい場合、「将来の審査に通りやすくするため」という目的だけで、今必要のない安い車をローン購入することが正解とはいえません。正常に返済したローンの履歴は信用情報の一部になりますが、それだけで将来の高額ローンが承認される保証はないからです。
信用情報では契約内容、返済状況、残債などの客観的な取引事実が記録されます。一方、実際の融資判断は各社が独自の審査基準で総合的に行います。そのため「ローンを組んだ実績の数」を増やすことを目的にするより、既存の支払いを遅延なく管理し、不要な債務を増やさないことが大切です。
さらに数年かけて頭金を準備すれば、将来必要になる借入額そのものを減らせます。高額な車を目標にするなら、信用情報をきれいに保つことと、収入・貯蓄・既存債務を含めた返済能力を整えることをセットで考えるのが現実的です。


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