共済の入院給付を請求すると昔の告知義務違反が発覚する?20年前の通院歴と契約解除・死亡保障への影響を解説

生命保険

長年加入している生命共済・医療共済で入院共済金を請求するとき、「加入前の通院歴や服薬歴を正しく告知していなかったかもしれない」と気づき、請求によって契約そのものが解除されないか不安になることがあります。特に現在の入院原因と過去の病歴が関連している場合は、慎重に確認したい問題です。

結論として、共済金を請求しただけで、20年近く続いている契約や死亡保障が自動的になくなるわけではありません。一方、告知義務違反が認められた場合の扱いは、加入している共済、契約当時の規約・約款、告知内容、契約からの経過期間、更新・増額・特約追加の有無などによって異なります。

また「20年前だから絶対に問題にならない」とも、「昔の精神科・心療内科受診歴があれば必ず契約解除になる」とも一律には判断できません。まず契約内容と適用される規約を特定することが重要です。

共済金を請求すると病歴を確認されることはある

入院共済金の請求では、請求書や診断書などから入院原因、発病時期、治療内容などが確認されます。支払可否を判断するために追加資料が求められたり、必要に応じて医療機関への照会などが行われたりする場合もあります。

その過程で加入前の病歴が判明する可能性はあります。ただし、過去に医療機関を受診していたという事実だけで直ちに告知義務違反になるわけではありません。ポイントは、契約時に共済側から質問された告知事項について、告知義務を負う人が故意または重大な過失によって事実を告げなかった、あるいは事実と異なる回答をしたと評価されるかです。

例えば加入時の質問が「過去○年以内に医師の診察・治療・投薬を受けましたか」という内容だったなら、その期間に該当する受診・投薬があったかが問題になります。現在の告知基準を20年前の契約へそのまま当てはめるのではなく、当時の申込書・告知書・規約を確認する必要があります。

告知義務違反になると契約解除や共済金不払いの可能性はある

一般論として、告知義務違反が成立し、規約上の解除要件を満たす場合には、共済契約が解除され、請求した共済金が支払われないことがあります。こくみん共済 coopも、申込時の質問表へ正しく告知せず後に判明した場合、契約が解除され、共済金が支払われないことがあると説明しています。[参照:こくみん共済 coop]

生命保険協会も、告知義務違反があった場合には契約が解除され、保険金・給付金を受け取れない場合がある一方、告知しなかった事実と入院等の原因との間に医学上まったく因果関係が認められない場合には、給付を受けられることがあると説明しています。[参照:生命保険協会]

したがって「告知漏れらしきものが一つ見つかった=今回の入院共済金も死亡保障もすべて即座に消滅」という単純な仕組みではありません。契約ごとの規約に基づく個別判断になります。

契約から20年近く経過している点は非常に重要

今回のようなケースで特に重要なのが、加入から約20年という長い期間が経過していることです。現在の共済規約には、告知義務違反を理由とする解除権について期間制限を設けているものがあります。

例えば都道府県民共済グループの現在の「ご加入のしおり」には、解除原因を知ってから1か月が経過した場合のほか、加入締結時から5年を経過した場合などには告知義務違反による解除をしない旨の規定があります。また、保障開始日から2年以内に共済金の支払事由が生じなかった場合についての規定も置かれています。[参照:全国生活協同組合連合会 ご加入のしおり]

そのため、約20年前の加入時の告知漏れを理由に、現在になって通常の告知義務違反解除が当然にできるとは限りません。ただし、これは現在確認できる規約の一例です。20年前の契約には当時の規約が関係し、途中で契約変更・増額・特約追加・更改などをしていれば、その時点で改めて告知をしている可能性もあります。

「20年経過=何があっても絶対に契約は安全」とも断定できない

期間制限があるからといって、加入から一定期間を過ぎれば、契約時にどのような事情があっても絶対に契約へ影響しないという意味ではありません。通常の告知義務違反による解除とは別に、重大な事情では詐欺による取消しなど別の規定が問題になる場合があります。

生命保険協会の告知に関する資料でも、正しく告知されなかった場合について、告知義務違反による解除とは別に詐欺取消しが問題になる場合があることが示されています。[参照:生命保険協会]

もっとも、「本人が昔薬を飲んでいた可能性がある」「家族が手続きしたので告知内容を覚えていない」という事情だけから詐欺と判断できるものではありません。事実関係を確認していない段階で最悪のケースを前提に共済金請求を諦める必要はありません。

今回が精神科入院なら過去の心療内科歴との関係は確認されやすい

現在の入院が精神疾患の治療を目的としており、加入前にも心療内科・精神科への通院や服薬があったのであれば、今回の疾病との関連性は確認事項になり得ます。

ただし、過去の服薬と現在の入院に医学的な関連があるかどうかと、法的・契約上の告知義務違反が成立するかどうかは別問題です。さらに、そもそも当時の告知書でその病歴が質問対象だったか、解除権を現在も行使できる契約なのかという問題もあります。

また、古い共済商品では精神疾患による入院について支払日数や保障内容に独自の規定が設けられている可能性があります。したがって「精神科へ入院したから対象外」と決めつけず、加入している商品名と契約時期を共済へ伝え、今回の入院が保障対象になるか確認するのが適切です。

死亡保障までなくなるかは「どの契約が解除されるのか」で決まる

入院保障と死亡保障が一つの基本契約に含まれているのか、基本契約と医療特約という構成なのかによって、仮に解除などが問題になった場合の影響範囲も変わります。

共済によっては基本契約と複数の特約で構成されているため、「入院共済金が不支給になった=死亡保障も必ず消滅する」とは限りません。反対に契約全体が解除される規定に該当すれば、死亡保障を含む契約へ影響する可能性があります。

したがって確認すべきなのは、今回の入院共済金が支払対象か、告知に問題があった場合に現在も解除できる契約なのか、解除対象は医療部分だけなのか契約全体なのかという3点です。

昔の約款が手元になくても共済へ確認できる

20年前の共済証書や約款を紛失していても、それだけで確認を諦める必要はありません。まず加入先へ連絡し、契約番号、加入年月、商品名、現在の保障内容を確認します。

そのうえで「加入当時に適用されていた規約・約款と告知書の内容を確認したい」と伝えるとよいでしょう。現在ウェブサイトに掲載されている最新約款ではなく、自分の契約に適用される規約を確認したいという点が重要です。

契約途中で保障額を増やしたり新しい特約を付けたりしている場合は、その履歴についても確認します。20年前から継続している部分と、後から追加された保障では取扱いが異なる可能性があるためです。

請求を諦める前に確認したい手順

入院費の負担が大きい状況なら、曖昧な記憶だけを理由に本来受け取れる可能性のある共済金を最初から諦めるのではなく、事実関係を整理して確認することが大切です。

  1. 共済証書などから加入先・商品名・契約番号を確認する
  2. 現在の入院保障額と精神科入院が支払対象か確認する
  3. 契約日と、その後の増額・特約追加・契約変更の履歴を確認する
  4. 加入当時に適用された告知書・規約を確認できるか問い合わせる
  5. 告知義務違反による解除について、当該契約では何年の規定だったか確認する
  6. 今回の入院を請求した場合、死亡保障を含む基本契約に影響する可能性がある条件を確認する

問い合わせる際には「昔の心療内科受診があったかもしれないので請求していいですか」だけで終わらせず、加入年月や契約変更履歴を踏まえたうえで、適用規約の具体的な条項を示してもらうと整理しやすくなります。

医療費そのものには高額療養費制度も確認する

共済金とは別に、公的医療保険には高額療養費制度があります。1か月の窓口負担が一定額を超えた場合、年齢や所得区分などに応じて超過分が支給される制度です。厚生労働省が制度を案内しています。[参照:厚生労働省 高額療養費制度]

ただし差額ベッド代、食事代など、高額療養費の対象にならない費用もあります。長期入院で家計が厳しい場合は、加入している健康保険の窓口に加え、病院の医療ソーシャルワーカーへ相談すると、利用可能な制度を整理してもらえることがあります。

共済の給付、公的医療保険、自治体等の制度はそれぞれ別の仕組みなので、一つが利用できなかったからといって他も利用できないとは限りません。

まとめ:20年前の告知が心配でも、請求前に契約規約を確認して判断する

長期間加入している共済で入院共済金を請求した場合、支払審査の過程で過去の病歴などが確認される可能性はあります。しかし、請求しただけで契約や死亡保障が自動的に消滅するわけではなく、20年近く前の告知漏れが現在になって通常の告知義務違反解除の対象になるとも一律にはいえません。

現在の共済規約には告知義務違反による解除権に5年などの期間制限を設けている例がありますが、約20年前の契約では当時の規約、更新方法、増額・特約追加の有無などを確認する必要があります。また通常の告知義務違反とは別の取消事由が定められている場合もあるため、「20年経過しているから絶対大丈夫」と断定することも避けるべきです。

最も確実なのは、加入先へ契約日・商品名・契約変更履歴を確認し、当時適用された規約と告知書を取り寄せたうえで、今回の精神科入院が保障対象か、過去の告知が問題になった場合に死亡保障まで影響する可能性があるのかを具体的に確認することです。本来受け取れる可能性のある保障を、曖昧な記憶だけで請求前から諦めないことが大切です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました