26歳になると、社会人として数年働いている人も増え、「周りはもう100万円くらい貯金しているのでは」と気になることがあります。しかし、26歳なら最低でも全員100万円持っている、という基準はありません。
同じ26歳でも、就職した年齢、手取り収入、一人暮らしか実家暮らしか、奨学金や自動車ローンの有無などによって貯められる金額は大きく変わります。100万円以上持っている人がいる一方、100万円未満の人や金融資産をほとんど持っていない人もいます。
そのため、自分の貯金額を考えるときは「26歳の平均はいくらか」だけでなく、現在の収支と今後必要になるお金を基準にすることが重要です。
26歳なら貯金100万円あるのが当たり前ではない
26歳という年齢だけから「最低100万円」というラインを設定することはできません。例えば大学卒業後すぐ就職した人なら社会人4年前後ですが、大学院を卒業した人や転職・資格取得などを経験した人では働いてきた期間が異なります。
さらに実家暮らしで毎月の住居費が少ない人と、東京などで一人暮らしをして家賃を毎月8万~10万円以上支払う人では、同じ給与でも年間に貯められる金額に大きな差が出ます。
例えば毎月3万円を3年間貯めれば108万円になります。一方、毎月1万円なら3年間で36万円です。収入が同じでも家賃、奨学金、自動車、交際費などによって貯蓄ペースは変わるため、年齢だけで正常・異常を判断するのは適切ではありません。
20代の貯蓄額を見るときは「平均値」だけに注意
20代の貯蓄について調べると、「平均○○万円」という数字を目にすることがあります。しかし平均値だけを見て、自分より多い・少ないと判断する際には注意が必要です。
例えば5人の金融資産が0万円、20万円、50万円、80万円、850万円だった場合、平均は200万円です。しかし5人のうち4人は200万円未満です。一部に多額の資産を持つ人がいると平均値は大きく引き上げられます。
そのため家計の金融資産に関する統計を見る場合は、平均値と中央値の両方を確認するのがポイントです。中央値は金額順に並べたとき中央に位置する値なので、典型的な状況を考える材料になります。
「貯金」と統計上の「金融資産」は同じとは限らない
ネット上で20代の貯金額を比較するときには、もう一つ注意点があります。調査によって「貯金」「預貯金」「金融資産」の定義が違うためです。
例えば金融経済教育推進機構(J-FLEC)が実施する「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融資産について預貯金だけでなく、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、有価証券などを含む定義が使われています。一方、日常的な出し入れや引き落としに備えている普通預金部分などは、金融資産の対象から除かれる場合があります。[参照:J-FLEC 家計の金融行動に関する世論調査]
つまり「20代の金融資産○○万円」という統計を、そのまま「26歳の銀行口座には平均○○万円入っている」と読み替えることはできません。年齢区分も「20代」とまとめられている調査が多いため、26歳だけの正確な平均値とは異なります。
26歳で100万円ないことより家計の状態を見る
貯金100万円という数字は分かりやすい目標ですが、重要なのは100万円を超えているかどうかだけではありません。例えば貯金80万円でも借金がなく毎月5万円ずつ増えている人と、貯金150万円あっても毎月赤字でカードローン残高が増えている人なら、家計の状態は大きく異なります。
確認したいのは、毎月の手取りから生活費を差し引いて黒字になっているか、急な出費に対応できる現金があるか、高金利の借入が増えていないか、といった点です。
現在の貯金額は過去の結果ですが、毎月いくら残せるかはこれからの資産形成を左右します。26歳なら、現時点の残高だけで焦るより、継続的に黒字を作れる家計にすることのほうが重要です。
100万円を目標にするなら毎月いくら貯めればいい?
現在の貯金が少なくても、100万円は毎月の積み立てで現実的に目指せます。例えばゼロから始めた場合の単純計算は次のとおりです。
| 毎月の貯蓄額 | 100万円までの目安 |
|---|---|
| 1万円 | 100か月(約8年4か月) |
| 2万円 | 50か月(約4年2か月) |
| 3万円 | 約34か月(約2年10か月) |
| 5万円 | 20か月(約1年8か月) |
例えば26歳で貯金30万円しかなくても、毎月3万円を貯めれば1年間で36万円増えます。ボーナスから10万円を追加できれば年間46万円となり、単純計算では2年弱で100万円を超えます。
金融庁の金融経済教育資料でも、家計管理の基本として収入と支出を把握して収支を黒字にし、黒字分を貯蓄することが紹介されています。給与を受け取ったら一定額を先に貯蓄する「先取り」の考え方も有効です。[参照:金融庁 金融経済教育資料]
まずは100万円より生活防衛資金を意識する
貯金の目的が特に決まっていない場合、最初は失業、病気、引っ越し、家電の故障など予期しない出来事に対応するための現金を確保することが重要です。一般にこうしたお金は「生活防衛資金」や「緊急予備資金」などと呼ばれます。
必要額は一律ではありません。例えば実家暮らしで固定費が月8万円の人と、一人暮らしで毎月20万円必要な人では、同じ100万円でも安心できる期間がまったく違います。
そのため「26歳だから100万円」ではなく、まず自分の最低生活費が毎月いくらなのか計算すると目標を決めやすくなります。そのうえで数か月分の生活費など、自分の雇用状況や家族からの支援可能性に応じた緊急資金を目指すとよいでしょう。
貯金額を他人と比較しすぎないほうがいい理由
SNSや知人との会話では「25歳で300万円貯めた」「20代で資産1000万円」といった目立つ例ほど話題になりやすいものです。しかし、実家暮らしだった、学生時代の費用を親が負担していた、高収入だった、相続や贈与があったなど、背景条件までは同じではありません。
反対に、奨学金を返しながら一人暮らしをしている人や、家族へ仕送りをしている人もいます。単純な口座残高だけを比較しても、本人のお金の管理能力を公平に判断することはできません。
比較するのであれば他人の貯金残高より、「半年前の自分より貯金が増えているか」「毎月黒字になっているか」「不要な借入をしていないか」を見るほうが家計改善につながります。
まとめ:26歳で貯金100万円は「最低ライン」ではない
26歳だから最低でも100万円の貯金を持っている、という事実や一般的なルールはありません。20代でも100万円を大きく超える人がいる一方、100万円未満の人や金融資産をほとんど持たない人もいます。
重要なのは「26歳で100万円あるか」ではなく、収入の範囲で生活しながら緊急時に備えるお金を確保し、継続的に資産を増やせる状態になっているかです。
100万円を一つの目標にすること自体は分かりやすく有効ですが、現在そこに届いていなくても遅いとは限りません。毎月2万円なら年間24万円、3万円なら36万円、5万円なら60万円と積み上がります。まず自分の収入・生活費・負債を把握し、無理なく続けられる金額を先取りで貯めることから始めるのが現実的です。


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