交通事故で車両保険の免責金額は戻ってくる?過失割合6対4・5対5の計算方法をわかりやすく解説

自動車保険

交通事故で車両保険を使うと、契約内容によっては「免責金額(自己負担額)」を修理工場などへ支払うことがあります。しかし、相手のいる事故では、相手にも過失があれば損害賠償を受けられるため、いったん自己負担した免責金額の全部または一部が結果的に戻るケースがあります。

ここで間違えやすいのが、「過失割合が6対4なら免責5万円の60%が戻る」「5対5なら免責5万円の半分で2万5,000円が戻る」と単純計算するとは限らない点です。免責金額と相手から受け取れる損害賠償金は、それぞれの仕組みを分けて考える必要があります。

この記事では、車両保険の免責金額の基本から、相手にも過失がある事故で免責金額がどのように扱われるのか、修理費60万円・免責5万円という具体例を使って整理します。なお、実際の支払方法は保険会社や契約している約款・特約、事故状況によって異なるため、最終的な金額は担当保険会社への確認が必要です。

車両保険の免責金額とは自己負担する金額

車両保険における免責金額とは、事故によって自分の車に損害が発生したとき、原則として契約者側が自己負担する金額です。たとえば修理費が60万円、免責金額が5万円なら、基本的な考え方では車両保険から支払われる金額は55万円となり、残る5万円を自分で負担します。

日本損害保険協会も、車両保険では免責金額を設定していない場合に支払われる保険金から免責金額を差し引いて保険金が支払われると説明しています。ただし、全損の場合などには免責金額を差し引かない場合があります。[参照]

免責金額を設定すると事故時の自己負担は増えますが、その代わり保険料を抑えられるのが一般的です。したがって「免責5万円」という契約は、事故が起きたら必ず最終的に5万円を失うという意味ではなく、まず車両保険の支払額を計算する際に5万円を自己負担として扱うという意味で理解するとわかりやすくなります。

相手にも過失がある事故では免責金額が戻ることがある

車同士の事故などで相手にも過失がある場合、自分の車の損害について相手側に損害賠償請求権が発生します。そのため、車両保険で免責金額を設定していても、相手側から回収される賠償金によって自己負担分が補われ、免責金額の全部または一部が戻る場合があります。

損保ジャパンの解説でも、相手に過失がある事故では相手から受け取る賠償金が自己負担額に充当され、賠償金が自己負担額以上なら結果的に自己負担が発生しないケースが紹介されています。[参照]

ここが重要で、免責金額の返還額を「5万円×相手の過失割合」と計算するとは限りません。まず自分の車について相手が負担すべき損害賠償額がいくらになるかを計算し、その回収金と免責金額との関係を確認する必要があります。

修理費60万円・免責5万円・過失割合6対4ならどうなる?

具体例で考えてみましょう。自分の車の修理費が60万円、車両保険の免責金額が5万円で、自分40%・相手60%の過失割合になったと仮定します。

単純化すると、自分の車に生じた60万円の損害のうち相手の過失60%に対応する金額は、60万円×60%=36万円です。つまり相手側が負担すべき自分の車の損害は36万円という計算になります。

この36万円は免責金額5万円より大きいため、契約や実際の精算方法にもよりますが、相手側からの回収によって5万円の自己負担額が全額補われる可能性があります。「相手の過失が60%だから5万円×60%=3万円だけ戻る」と考えるわけではない点がポイントです。

項目 金額・割合
自分の車の修理費 60万円
車両保険の免責金額 5万円
自分の過失 40%
相手の過失 60%
相手の過失分に相当する自車の損害 36万円
免責金額との比較 36万円 > 5万円

なお、これは仕組みを理解するために単純化した例です。実際には車両の損害認定額、保険会社間の求償、既払い保険金、契約している特約などによって精算方法が変わることがあります。

過失割合5対5でも「2万5,000円だけ戻る」とは限らない

同じ修理費60万円で過失割合が自分50%・相手50%だった場合も確認してみましょう。相手側の過失に対応する自分の車の損害額は、単純計算すると60万円×50%=30万円です。

相手側から回収できる対象額30万円が免責金額5万円を上回っているため、こちらも契約・精算方法によっては免責5万円が全額補われる可能性があります。したがって、「過失割合が50%だから5万円の半分で2万5,000円しか戻らない」とは限りません。

反対に、自分の車の損害が小さかったり、相手の過失割合が非常に低かったりして、相手側から回収できる金額が免責金額より少なければ、免責金額を全額補えないケースも考えられます。

相手の修理費55万円は別に過失割合で計算する

事故では自分の車だけでなく、相手の車にも損害が発生していることがあります。この場合、自分の車の修理費と相手の車の修理費は、それぞれの損害と過失割合を基に賠償額を考えます。

たとえば相手の車の修理費が55万円で、自分40%・相手60%という過失割合なら、単純化した計算では自分側が負担する相手車両の損害は55万円×40%=22万円となります。一方、自分の車の60万円については相手側が60%、つまり36万円を負担する関係になります。

日本損害保険協会では、過失割合を「双方に責任がある場合に、それぞれが負担すべき損害賠償責任の割合」と説明しています。[参照] 実際の事故では事故態様や過去の裁判例などを基に過失割合が検討されるため、「優先道路だった」という事情だけで最終割合が自動的に決まるわけではありません。

免責金額がいつ戻るかは示談成立のタイミングにも左右される

修理が先に完了し、すでに修理工場へ免責金額5万円を支払っている場合でも、その時点で最終的な自己負担額が確定したとは限りません。相手との過失割合や損害額がまだ確定していなければ、相手側からいくら回収できるのかも確定していないためです。

日本損害保険協会によれば、損害賠償額については損害額だけでなく過失割合や支払方法などについて当事者双方の合意が必要となり、多くの場合は示談によって決定されます。[参照]

そのため、相手側の対応が遅れている事故では、先に車両保険を使って修理を完了させ、その後に過失割合や相手側からの回収額が確定し、精算が行われることがあります。いつ、誰から、どの方法で免責相当額を受け取ることになるのかは、自分の保険会社の事故担当者に確認するのが確実です。

保険会社に確認するときのポイント

すでに免責金額を支払っている場合は、担当者へ単に「免責は戻りますか」と聞くだけでなく、具体的な数字を示して確認すると話が早くなります。

  • 今回の車両保険の免責金額はいくらか
  • すでに支払った5万円は相手側からの回収金で補填される契約か
  • 過失割合が6対4の場合、最終的な自己負担はいくらになる見込みか
  • 5対5になった場合はいくらになるか
  • 返金される場合、保険会社と相手側のどちらから支払われるのか
  • 返金・精算は示談成立後になるのか
  • 車対車の事故で免責をなくす特約が付いていないか

車両保険には、一定条件の車対車事故について自己負担額をなくす特約が用意されている商品もあります。たとえば東京海上日動や損保ジャパンにも、一定の条件を満たす車同士の事故で免責金額をなくすタイプの特約があります。契約証券やWeb上の契約内容も確認しておくとよいでしょう。

また、保険会社によって商品名、約款、回収金の処理方法が異なる場合があります。日本損害保険協会も、車両保険の補償内容は損害保険会社の商品によって異なるため、詳しくは各保険会社または代理店へ確認するよう案内しています。[参照]

まとめ:免責5万円は過失割合をそのまま掛けて返金額を決めるわけではない

車両保険の免責金額は、基本的には事故時に契約者が負担する金額です。しかし、相手にも過失がある事故では、相手側から受け取れる損害賠償金によって免責相当額が補われ、いったん支払った免責金額が全部または一部戻るケースがあります。

特に「修理費60万円・免責5万円」という例なら、自分40%・相手60%の場合、相手の過失分に対応する自車の損害は単純計算で36万円です。自分50%・相手50%の場合でも30万円となります。いずれも免責5万円を上回るため、一般的な仕組みでは免責5万円が全額補われる可能性があり、「6対4なら3万円」「5対5なら2万5,000円」と免責額に直接過失割合を掛ける考え方とは異なります。

ただし、実際の返金・精算方法は契約している車両保険の約款、特約、認定損害額、保険会社による回収方法などで変わります。事故処理中であれば、最終的な過失割合ごとに「自己負担5万円のうち最終的にいくら戻る予定か」を担当保険会社へ数字で確認しておくのが最も確実です。

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