60代が近づくと、「年金をいつから受け取るべきか」で悩む人は非常に多くなります。特に、現在も社会保険に加入しながら働いている人の場合、「基礎年金だけ先にもらえるのか」「厚生年金は後から受給できるのか」と疑問を持つケースも少なくありません。
近年は70歳まで働ける会社も増えており、働きながら年金をどう受け取るかは老後設計に大きく関わります。
この記事では、老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り上げ受給の仕組み、同時請求のルール、働きながら受給する場合の注意点についてわかりやすく解説します。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に受け取れる?
結論からいうと、現在の制度では、老齢基礎年金だけを繰り上げ受給し、老齢厚生年金を65歳から通常受給するという形は原則できません。
繰り上げ請求を行う場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げされる仕組みになっています。
つまり、63歳で繰り上げ請求をすると、基礎年金だけでなく厚生年金も同時に減額された状態で受給開始になります。
| 受給方法 | 可能か |
|---|---|
| 基礎年金だけ63歳で繰り上げ | 原則不可 |
| 厚生年金だけ65歳から通常受給 | 単独では不可 |
| 基礎・厚生を同時に繰り上げ | 可能 |
この点は誤解されやすいため注意が必要です。
繰り上げ受給すると年金はどれくらい減額される?
繰り上げ受給は、1カ月早めるごとに年金額が減額されます。
1962年4月2日以降生まれの人の場合、減額率は1カ月あたり0.4%です。
例えば65歳より2年早い63歳で受給開始すると、24カ月×0.4%で9.6%減額されます。
仮に65歳時点で年150万円受給予定だった場合、概算では以下のようになります。
| 65歳受給額 | 63歳繰り上げ後 |
|---|---|
| 150万円 | 約135万6千円 |
そして、この減額は一生涯続きます。
一度繰り上げ請求すると、後から「やっぱり65歳受給に戻したい」と変更することはできません。
70歳まで厚生年金加入を続ける場合どうなる?
現在も社会保険に加入して働いている場合、70歳まで厚生年金加入を継続することで、将来の年金額は増える可能性があります。
これは「在職定時改定」という仕組みがあるためです。
簡単にいうと、働きながら納めた厚生年金保険料が、毎年少しずつ将来の年金額に反映される制度です。
そのため、65歳以降も厚生年金加入を続ければ、老齢厚生年金額が徐々に増えるケースがあります。
ただし、63歳で繰り上げ受給した場合でも、繰り上げによる減額率そのものは消えません。
働きながら年金を受け取る場合の注意点
60代で働きながら年金を受給する場合、「在職老齢年金」にも注意が必要です。
給与と厚生年金の合計が一定額を超えると、年金の一部が支給停止されることがあります。
2026年度時点では、月収と年金月額の合計が基準額を超えると調整対象になります。
例えば、パート勤務でも社会保険加入で一定収入がある場合、想定より手取りが減ることもあります。
そのため、「繰り上げでもらう方が得か」「65歳まで待つ方が有利か」は、働き方や健康状態によって変わります。
繰り上げ受給を選ぶ人の考え方
繰り上げ受給を選ぶ理由は人それぞれです。
- 健康面に不安がある
- 今すぐ生活費が必要
- 働きながら受給したい
- 早めに受け取りたい心理的安心感がある
一方で、65歳まで待つことで年金額を減額なしで受給できるメリットもあります。
さらに、66歳以降に繰り下げ受給を行えば、逆に年金額を増やすことも可能です。
重要なのは、「自分の寿命予測」「働き方」「貯蓄状況」「健康状態」を踏まえて総合的に判断することです。
まとめ
老齢基礎年金だけを63歳で繰り上げ受給し、老齢厚生年金を65歳から通常受給する方法は、原則としてできません。
繰り上げ請求を行う場合は、基礎年金と厚生年金を同時に繰り上げる形になります。
また、63歳で繰り上げると年金額は一生減額されますが、70歳まで厚生年金加入を続けることで、将来の厚生年金額が増える可能性はあります。
働きながら受給する場合は、在職老齢年金や税金、社会保険とのバランスも重要になるため、日本年金機構や年金事務所で試算してもらいながら検討するのがおすすめです。

コメント