相続税の負担を軽減できる制度として知られている「小規模宅地等の特例」ですが、土地の面積や複数の土地を所有している場合の扱いについては分かりにくい部分があります。「何坪までなら対象になるのか」「複数の土地を合計して考えるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、小規模宅地等の特例における面積制限の考え方や、複数の土地を所有している場合の適用方法、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
小規模宅地等の特例は土地の広さだけで決まる制度ではない
小規模宅地等の特例は、相続した土地について一定の条件を満たす場合、土地の評価額を大きく減額できる制度です。
よく「90坪までなら使える」と言われることがありますが、実際には坪数ではなく「㎡(平方メートル)」で上限が定められています。
例えば、亡くなった方が住んでいた自宅の土地について適用される「特定居住用宅地等」の場合、330㎡までが対象となります。330㎡は約100坪に相当するため、90坪という基準ではなく、正確な面積で判断する必要があります。
小規模宅地等の特例には種類ごとに限度面積がある
小規模宅地等の特例は、土地の利用状況によって限度面積が異なります。
| 土地の種類 | 限度面積 |
|---|---|
| 特定居住用宅地等(自宅の土地) | 330㎡ |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ |
そのため、「90坪以下なら必ず適用できる」という単純なものではなく、その土地が自宅用なのか、事業用なのか、賃貸用なのかによって判断します。
例えば、自宅として使っている土地が300㎡であれば特例の範囲内ですが、賃貸用土地の場合は同じ面積でも限度を超える可能性があります。
複数の土地を所有している場合は合計して判断する
複数の土地がある場合、小規模宅地等の特例は土地ごとに「○坪まで」と単純に分けて考えるわけではありません。対象となる土地の種類や利用状況を確認し、限度面積の範囲内で適用します。
例えば、A土地が100㎡、B土地が150㎡あり、どちらも亡くなった方の居住用として認められる場合、合計250㎡として330㎡の範囲内に収まるため適用できる可能性があります。
一方で、A土地は自宅用、B土地は貸付用など用途が異なる場合、それぞれ異なる計算方法になります。
160坪の土地は小規模宅地等の特例が使えないのか
160坪の土地だから必ず小規模宅地等の特例が使えないというわけではありません。
例えば、自宅の土地が160坪(約528㎡)ある場合、330㎡を超える部分については特例の対象外になりますが、330㎡分については適用できる可能性があります。
つまり、土地全体が大きい場合でも、上限面積まで完全に対象外になるのではなく、条件を満たした部分について減額を受けられる場合があります。
ただし、土地の分け方や相続人の取得方法によって計算結果が変わるため、具体的な判断には専門家への確認が必要です。
小規模宅地等の特例を利用するための主な条件
面積条件を満たしていても、誰が相続するかや土地の利用状況によっては特例を利用できない場合があります。
- 亡くなった方が住んでいた土地であるか
- 相続人がその土地をどのように取得するか
- 相続後も一定期間利用条件を満たすか
- 申告期限までに相続税申告を行うか
例えば、亡くなった親の自宅を同居していた子どもが相続する場合と、別居していた親族が相続する場合では条件が異なることがあります。
土地の面積だけを見て判断すると、適用できると思っていた制度が使えない可能性もあるため注意が必要です。
相続前から確認しておくべきポイント
小規模宅地等の特例は、相続発生後に考えるだけではなく、生前から確認しておくことが重要です。
土地が複数ある場合は、それぞれの土地の登記内容、利用状況、誰が相続する予定なのかによって税額が大きく変わる可能性があります。
例えば、自宅以外にも土地を所有している場合、どの土地を誰が相続するかによって小規模宅地等の特例の効果が変わることがあります。
まとめ|小規模宅地等の特例は坪数だけでは判断できない
小規模宅地等の特例は「90坪まで」というような単純な基準ではなく、土地の種類ごとに㎡単位で限度面積が決められています。
複数の土地を所有している場合も、土地の用途や相続方法によって適用できる範囲が変わります。また、160坪のような広い土地でも、条件を満たせば一部について特例を利用できる可能性があります。
相続税対策では、土地の面積だけで判断せず、土地の利用状況や相続人の状況を含めて確認することが大切です。複雑なケースでは税理士などの専門家に相談し、適用できる制度を正しく活用しましょう。


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