失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るためには、離職前の勤務実績が重要な要素となります。特に「離職前2年間に通算12か月以上、賃金支払いの基礎となる日数が11日以上ある月が必要」といった条件を見聞きしたことがある方も多いでしょう。しかしこの“11日以上”という基準がどのようにカウントされるのか、「給与の締め日」との関係に疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、失業保険の受給条件における“11日以上”の定義や締め日との関連について解説します。
「11日以上」とは何を指しているのか
雇用保険の受給資格における「11日以上」とは、「1か月のうち賃金支払いの基礎となる日数」が11日以上あることを意味します。これは“実際に出勤した日数”とは必ずしも一致せず、年次有給休暇や公休、所定労働日として扱われる日なども含めてカウントされます。
例えば、病気休暇中でも有給扱いになっていればその日数も含まれます。したがって、勤務実態と雇用契約上の労働日が異なる場合でも、基礎日数が11日を超えていればカウントされます。
給与の締め日と「1か月」の定義の違い
多くの企業では給与の締め日が「毎月○日~翌月○日」と設定されていますが、失業保険における「1か月」とは「暦月(例:4月1日~4月30日)」のことを指します。
そのため、たとえば「給与締め日が4月21日~5月20日」であっても、ハローワークがチェックするのは「4月1日~30日の間に11日以上の基礎日数があるか」という点です。つまり、給与計算の締め日は関係なく、カレンダー上の1か月単位でカウントされる点に注意が必要です。
具体的な確認方法と注意点
ご自身が「11日以上勤務していたか」を確認するには、会社が発行する「離職票-2」や「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」などの書類を確認しましょう。これらには賃金支払いの基礎日数が記載されており、必要な12か月分があるかが明記されています。
また、パート・アルバイトで週の労働日数が少ない方には「11日基準」ではなく「賃金支払いの基礎日数が月に80時間以上」という別の基準が適用される場合もあるため、状況に応じて確認することが大切です。
月11日未満でも対象になるケースとは?
「月11日出勤していないからダメかも…」と思う方も、週20時間以上働いていた場合などは「80時間ルール」が適用される可能性があります。
これは、短時間労働者の増加に対応したもので、「月11日出勤していなくても、月に80時間以上労働した実績がある場合は受給資格がある」とされるものです。非正規雇用者や時短勤務の方には非常に重要な基準となるため、こちらも併せて確認しておくと安心です。
まとめ:締め日よりも“暦月”での確認がカギ
失業保険の受給資格における「11日以上の基礎日数」は、給与の締め日とは無関係に“暦月単位”で判断されます。したがって、自分の雇用保険の加入記録を確認する際は、必ずカレンダー月を基準として考えましょう。
もし不安がある場合は、ハローワークに出向いて具体的に勤務記録をもとに相談するのが最も確実な方法です。自分の状況を正確に理解し、失業保険の適切な受給を目指しましょう。
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