60歳以上になっても働き続ける方の経済的支援として知られる「高年齢雇用継続基本給付金」。この制度を利用するうえで混乱しやすいのが、実際にいつ申請し、いつ支払われるのかというタイミングです。特に初めて申請する方にとっては、支給の流れがわかりづらく、不安になることもあるでしょう。この記事では、申請月と支払い月の関係、実際のスケジュールの組み方について詳しく解説していきます。
高年齢雇用継続基本給付金とは?
この給付金は、60歳以降も継続雇用され、賃金が60歳時点より75%未満に低下した場合に支給される雇用保険の給付です。毎月の賃金額に応じて給付額が計算され、最大で賃金の15%相当が支給される仕組みです。
事業主がハローワークを通じて申請するのが一般的で、対象となる従業員本人が直接申請するケースはほとんどありません。
申請月と対象賃金月の関係
申請のタイミングは、原則として「対象となる月の賃金が支払われた月の翌月以降」です。つまり、例えば4月分の賃金が5月に支払われた場合、5月またはそれ以降に4月分の給付申請が可能になります。
これは賃金の確定後でないと給付金額を算出できないためです。実際の運用では、毎月の申請書類をまとめて翌月に提出する事業所が多く見られます。
支払い月はいつになる?実際のタイムライン
申請してから実際に給付金が支払われるまでには、通常1〜2か月程度かかるとされています。ハローワークでの処理状況や申請内容に不備があるかどうかによっても異なります。
たとえば、5月に4月分の申請をし、問題なく受理された場合、早ければ6月下旬〜7月上旬にかけて支給されるケースが一般的です。
遅れやズレが生じる要因とは?
支給が遅れる原因としては、申請書類の記載ミスや添付書類の不足、賃金台帳の不整合などがあります。また、ハローワーク側の繁忙期(年度末や年度始め)にあたると、処理に時間がかかる傾向があります。
事業所によっては、複数月分をまとめて申請する場合もあり、その際には初回申請から2〜3か月後に複数月分まとめて支給されるケースも存在します。
実例で見る支給スケジュールの流れ
たとえば、東京都内のある事業所では、以下のような流れで支給が行われています。
対象賃金月 | 賃金支払い日 | 申請日 | 給付支給日 |
---|---|---|---|
4月 | 5月10日 | 5月20日 | 6月30日 |
5月 | 6月10日 | 6月20日 | 7月28日 |
このように、おおむね申請から約40日前後で支給されるスケジュールとなっています。
申請時に押さえておきたいポイント
・申請はできるだけ早めに:締切日があるわけではありませんが、申請の遅れは支給の遅れに直結します。
・書類の正確性を重視:些細な記入ミスが支給遅延の原因になるため、事前のチェックが重要です。
・事業所との連携が大切:基本的に会社が申請窓口となるため、自身の給付状況については人事部門などと連携しながら確認するのがベストです。
まとめ:申請と支給の時期を正しく理解して安心の備えを
高年齢雇用継続基本給付金の申請と支給のスケジュールは、賃金の支払月と申請月、支給月がそれぞれずれるため、初めは混乱しがちです。しかし、制度の仕組みを理解すれば、タイミングを見誤ることなく確実に給付を受け取ることができます。
安心して60歳以降も働き続けるために、制度のポイントをしっかり把握し、事業所と協力してスムーズな申請を心がけましょう。
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