傷病手当金を受給しながら年金を受け取ることになった場合、特に在職老齢年金との関係については理解が難しく感じる方も多いです。特に休職中の状態で報酬がない場合でも、年金額が調整されるか否かは関心の高いポイントでしょう。この記事では、傷病手当金と在職老齢年金の関係性についてわかりやすく解説します。
在職老齢年金とは何か?基本を押さえよう
在職老齢年金とは、65歳未満の厚生年金受給者が働いている場合に、給与や賞与の額に応じて年金額が調整される制度です。報酬の多寡により年金の支給停止または一部停止になることがあります。
例えば、60〜64歳の場合は「総報酬月額相当額」と「基本月額(年金額の月割り)」の合計が28万円を超えると調整の対象となります。65歳以上では基準が47万円です。
傷病手当金は「報酬」とみなされるか?
ここが最も重要なポイントです。結論から言えば、傷病手当金は在職老齢年金の調整における「報酬」には該当しません。
したがって、たとえ月に50万円の傷病手当金を受け取っていたとしても、それは報酬ではなく「保険給付」であるため、在職老齢年金の調整対象外です。つまり、休職中で給与がない場合、年金の減額調整は基本的に発生しません。
では、なぜ「厚生年金がカットされていた」と感じたのか
在職中に報酬(給与)があった時期に年金が調整されていた可能性が高いです。傷病手当金を受け取るようになったあとも、年金機構に届け出がなされていないと、報酬があるとみなされ調整が続くことがあります。
したがって、休職中で報酬がないことを年金機構に適切に申告することが、正しい年金支給額を受け取るうえで非常に重要です。
手続きや確認すべきポイント
- 会社が「報酬支払停止届」または「変更届」を年金事務所に提出しているか確認
- 休職期間中で給与が出ていない旨を証明できる書類を会社に発行してもらう
- 最寄りの年金事務所に相談し、正しい年金支給がなされているか確認
これらのステップを踏むことで、傷病手当金を受け取りつつも、本来受け取れるべき在職老齢年金を減額されずに済む可能性が高まります。
実際のケーススタディ:調整誤りと修正
ある方は、給与が停止しているにもかかわらず年金が調整されていたため、年金事務所に申し出を行いました。その結果、報酬ゼロであることが確認され、年金の支給停止が解除されただけでなく、過去分の年金が遡って支給されたという事例があります。
このように、適切な届け出と確認を行うことで、不利益を回避できる場合があります。
まとめ:正しい情報と手続きで損を防ぐ
休職中に傷病手当金を受けている場合、在職老齢年金との関係で損をしないためには「傷病手当金=報酬ではない」ことを理解し、年金事務所に適切に申告することが大切です。
疑問がある場合は、社会保険労務士や年金事務所への相談を早めに行い、正しい年金受給を目指しましょう。無意識のまま減額され続けるのは、大きな損失となりかねません。
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