10年前の労働環境は本当に“普通”だったのか?フリーターと過酷労働の実態と今後の対策

社会保険

「月240時間労働」「社会保険なし」「1ヶ月休みなし」――。これは本当に10年前の“普通”だったのでしょうか?当時の雇用環境を振り返りながら、現在の労働法との違いや、これから同じ状況に陥らないための対策について解説します。

10年前のフリーター事情とは?

2010年代初頭、非正規雇用は全体の労働人口の約35%にまで達し、フリーターやアルバイトとして働く人が急増していました。飲食業界などのサービス業では特に労働時間が長く、休みも少ないというケースが少なくありませんでした。

実際、月240時間以上働きながらも社会保険に未加入という違法な労働慣行は、当時も違法ではありましたが「黙認されていた」「誰も声を上げなかった」ことが背景にあります。

社会保険未加入は違法だったのか?

結論から言えば、法的には当時も社会保険に加入させる義務がありました。正社員でなくても、週30時間以上勤務している人(通称「正社員の4分の3以上の勤務」)は社会保険への加入が義務付けられていました。

アルバイトでも月240時間働いていた場合、週平均60時間と計算され、社会保険・雇用保険ともに加入の対象です。このようなケースで未加入だったのは、明確な違法行為です。

なぜ誰も「おかしい」と言えなかったのか?

一因として挙げられるのは、労働に関する知識の欠如と、職場内の同調圧力です。周囲が誰も疑問を持たなかったため、自分も「これが普通なのか」と思い込んでしまう状況が生まれやすくなります。

さらに、当時はネット上で情報が得られても、労働法や労働基準監督署への相談という選択肢が浸透していなかったことも原因の一つです。

現代ではどう変わった?法改正と社会意識の進展

近年では、働き方改革関連法の施行などにより、労働時間の上限規制、社会保険の適用拡大、ハラスメント対策の義務化などが進んできました。

たとえば2022年以降、短時間労働者でも「週20時間以上・月額賃金8.8万円以上」などの条件で社会保険の対象になります。これにより、アルバイトやパートでも保険に加入できる機会が増えています。

過去の労働環境から学ぶべきこと

「過去のことだから仕方ない」と思わず、過去の経験から学ぶことで、次の世代や自分自身を守ることができます。たとえば、労働契約書を必ず確認する、労働条件通知書の交付を受ける、異常な勤務時間に疑問を持つなど、当たり前のことを当たり前に確認する姿勢が大切です。

また、若い労働者が搾取されないためには、労働法の基本知識を学校やSNS、動画などを通じて知る機会が増えることも重要です。

実例:現在の飲食アルバイトと当時の違い

現在飲食業で働くBさん(大学生)は、週25時間のアルバイト契約で、社会保険には未加入ですが、雇用保険には加入しています。休日は週2日取得でき、残業代も支払われます。

このように、少しずつですが職場環境は改善してきているため、声を上げることや正しい知識を持つことは、必ず状況を変える第一歩になります。

まとめ:当時“普通”でも、今は“声を上げられる”時代

10年前の労働環境がどうであったかを振り返ることは、これからの働き方や職場選びにとって重要なヒントとなります。違法な働かせ方は過去にも今にも存在しますが、知識と行動で未来は変えられます

今後、同じような立場に立たされる若者が搾取されないためにも、自分の経験を誰かに共有することが社会を良くする一歩になるかもしれません。

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