JA・ろうきんはローン審査が甘い?銀行との違いと「通りやすい」と言われる理由を解説

ローン

住宅ローンやマイカーローン、カードローンを探していると、「JA(農業協同組合)やろうきん(労働金庫)は銀行より審査が甘い」という話を見かけることがあります。銀行で希望どおりの融資を受けられなかった人にとっては気になる情報ですが、審査の実態を単純に「甘い・厳しい」で分類するのは適切ではありません。

JAやろうきんにも申込条件があり、返済能力や信用情報などを踏まえた審査が行われます。一方で、利用資格、取引関係、保証制度、商品設計などが一般の銀行とは異なるため、同じ人でも金融機関によって審査結果が変わる可能性はあります。「属性が悪くても通る」のではなく、それぞれの金融機関がどのような人を対象として融資しているのかを理解することが大切です。

JA・ろうきんにもローン審査はある

まず押さえておきたいのは、JAやろうきんが無条件でお金を貸しているわけではないことです。住宅ローンやマイカーローンなどでは、年齢、収入、勤続状況、借入額、返済負担、保証機関の保証を受けられることなど、商品ごとに申込条件が設定されています。

たとえば中央労働金庫の住宅ローンでは、安定継続した年収があり、前年税込年収が150万円以上、同一勤務先に原則1年以上勤務していることなどの利用条件が示されています。また、ろうきん指定の保証協会による保証を受けることも条件です。[参照]

つまり、「ろうきんなら無職でも借りられる」「JAなら延滞歴があっても問題ない」といった意味で審査が甘いわけではありません。融資である以上、返済できる見込みがあるかを確認する審査があります。

「JAやろうきんは審査が甘い」と言われるのはなぜ?

このイメージが生まれる理由の一つは、JAやろうきんの組織としての性格が一般的な株式会社の銀行とは異なることです。JAは農業者を中心とした組合員組織ですが、一定の条件で農業者以外も准組合員として金融サービスを利用できます。JAバンクは全国のJA、信連、農林中央金庫などで構成されています。[参照]

ろうきんも労働組合や生活協同組合などを会員とする協同組織の金融機関です。全国労働金庫協会は、ろうきんについて「はたらく仲間がお互いを助け合うために、資金を出し合ってつくった協同組織の金融機関」と説明しています。[参照]

このような組織的特徴から「利用者に優しい=審査も甘い」と解釈されることがあります。しかし、利用者本位の理念とローンの審査基準は別の話です。協同組織だから返済能力を確認せず融資する、ということにはなりません。

銀行で落ちてもJA・ろうきんで通ることはある?

可能性はあります。ただし、それは「JAやろうきんの審査が甘い」ことを意味しません。金融機関やローン商品によって申込条件、保証会社、審査方法、金利、借入可能額などが異なるためです。

たとえばA銀行の住宅ローンでは希望額3,500万円の融資が認められなかった人が、別の金融機関では3,000万円なら承認される、といった結果になることがあります。また、同じ借入希望額でも保証機関が違えば結果が異なる場合があります。

反対に、銀行で融資可能だった人がJAやろうきんでは希望条件を満たせないこともあり得ます。審査基準の詳細は一般にすべて公開されているわけではないため、「年収○万円ならJAで必ず通る」といった判定はできません。

JAは地域によって商品や条件が違う

JAについて特に注意したいのは、「JA」という一つの全国共通銀行がすべてのローンを同一条件で提供しているわけではないことです。地域のJAによって金利、利用条件、保証機関、キャンペーンなどが異なる場合があります。

JAバンクのマイカーローンでも、公式サイト上で「ご利用条件や金利等はお近くのJAによって異なる場合があります」と案内されています。[参照]

そのため、ネット上で「JAのローンに通った」という経験談を見つけても、自分が申し込むJAで同じ結果になるとは限りません。比較するときは、実際に利用する地域のJAの商品概要や申込条件を確認する必要があります。

ろうきんは会員区分によって条件が変わることがある

ろうきんでは、勤務先の労働組合などがろうきんの会員になっている「団体会員の構成員」と、それ以外の一般勤労者などで、利用できる商品や条件が異なる場合があります。

たとえば中央労働金庫では、団体会員の構成員、生協会員の組合員および同一生計家族、一般勤労者という利用者区分があります。一般勤労者については、関東1都7県に居住または勤務しているなどの条件が設定されています。[参照]

勤務先の労働組合を通じてろうきんを身近に利用している人と、初めて申し込む人では前提条件が違うことがあります。「知人は低金利で借りられた」という話だけではなく、自分がどの会員区分に該当するかを確認することが重要です。

ローン審査では信用情報も重要になる

JAやろうきんに限らず、ローン審査では申込者の信用情報が重要な要素になります。信用情報機関には、クレジットやローンの契約内容、支払状況、残高などが登録されています。

たとえばCICでは、加盟会員から登録される情報として契約内容、支払状況、残債額などを扱っています。全国銀行個人信用情報センターでも、ローンやクレジットカード等に関する契約内容と返済状況などの信用情報を取り扱っています。[参照]

そのため、過去の長期延滞など信用面に問題がある人が「銀行が難しいからJAなら大丈夫」と考えるのは危険です。金融機関ごとに判断は異なるものの、信用情報上の問題を無視して審査してもらえると期待すべきではありません。

「属性が良くない」の中身によって話は大きく変わる

ローンの話で使われる「属性が良くない」という表現には、さまざまな状態が含まれています。年収が低い、勤続期間が短い、非正規雇用、他社借入れが多い、過去に延滞がある、といった事情はそれぞれ意味が異なります。

たとえば年収がそれほど高くなくても、希望借入額が小さく、他の借入れも少なく、毎月安定した収入が続いているケースがあります。反対に年収が高くても、多額の借入れがあり返済負担が大きければ、必ず有利になるとは限りません。

「自分は属性が悪いから審査の甘いところを探す」という発想より、借入希望額を下げる、頭金を増やす、既存借入れを整理するなど、返済計画そのものを改善できないか考えるほうが現実的です。

審査の甘さではなく総返済額と利用条件で比較する

ローン選びでは「どこなら通るか」だけに意識が向きがちですが、審査に通った後は何年も返済が続く可能性があります。そのため金利、保証料、手数料、繰上返済条件などを含めた総負担の比較が重要です。

特に住宅ローンやマイカーローンのような長期・高額ローンでは、わずかな金利差でも総返済額に差が生じます。「審査が甘いらしい」という口コミだけで金融機関を決めるのではなく、JA、ろうきん、銀行、信用金庫など複数の選択肢を比較するとよいでしょう。

また、短期間に多数の金融機関へ手当たり次第申し込むのではなく、まず各金融機関が公開している年齢・年収・勤続年数・居住地域・会員資格などの申込条件を確認し、自分が対象になる商品を絞ることが大切です。

まとめ:JA・ろうきんだから審査が甘いとは言えない

JAやろうきんは一般の銀行とは組織の成り立ちや対象利用者、商品設計が異なります。そのため、同じ申込者でも銀行とは異なる審査結果になる可能性があります。しかし、「属性が良くない人でも通りやすい金融機関」「審査が甘い金融機関」と一括りにする根拠はありません。

JAやろうきんのローンにも利用条件と審査があり、商品によって保証機関による保証も必要です。過去の延滞や既存借入れがある場合も、それらを無視して融資されると考えるべきではありません。

ローンを検討するときは「JAなら通るか」「ろうきんなら甘いか」ではなく、自分の年収、勤続状況、既存借入れ、希望額、返済期間などを整理したうえで、利用資格を満たす金融機関の商品を比較することが基本です。審査に通ること自体をゴールにせず、無理なく完済できる返済額かどうかまで確認して選びましょう。

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