借金があるとローン広告が増えるのはなぜ?「即日50万円」「滞納歴OK」「借入をなかったことに」の仕組みと危険性を解説

ローン

消費者金融や銀行カードローンなどを利用していると、スマートフォンのアプリやWebサイトで「即日50万円」「滞納歴があっても借りられる」「借金をなかったことにできる」といった広告を繰り返し目にすることがあります。しかし、広告が表示されることと、実際にその金額を借りられることはまったく別の話です。

特に重要なのが、貸金業法の総量規制と、広告配信の仕組み、そして「借金減額」「返済代行」などの言葉の意味です。広告の中には正規の金融会社や法律事務所などによるものがある一方、ヤミ金融や悪質なサービスにつながるものもあるため、広告のキャッチコピーだけで判断するのは危険です。

「広告が出た=審査に通る」「50万円借りられることが確定した」という意味ではありません。まずはこの点を理解したうえで、借入残高が年収の3分の1前後に達している場合に何が起こるのかを整理していきます。

ローン関連の広告が何度も表示される理由

スマートフォンに表示される広告は、必ずしも全利用者に同じものが配信されているわけではありません。利用しているアプリやWebサイト、広告事業者などの仕組みによって、閲覧したコンテンツや広告への反応、推定された興味・関心などをもとに広告が選択されることがあります。

そのため、ローン、返済、クレジットカード、債務整理などについて検索したり関連ページを閲覧したりした後、金融関連の広告を目にする機会が増えることはあり得ます。ただし、広告が表示されたという事実だけから「広告会社が自分の正確な借金額を知っている」と判断することはできません。

例えば、年収300万円で貸金業者からすでに100万円借りている人の画面に「最短即日50万円」と広告が表示されたとしても、その広告が「あなたにはあと50万円の融資枠があります」と通知しているわけではありません。実際の融資では申込み後に審査があります。

年収の3分の1までという「総量規制」とは

貸金業法には、借り過ぎ・貸し過ぎを防止するための総量規制があります。金融庁によると、貸金業者からの借入残高が原則として年収の3分の1を超える場合、新たな借入れはできなくなります。[参照] 金融庁「貸金業法Q&A」

しかも「1社につき年収の3分の1」ではありません。複数の貸金業者を利用している場合には、対象となる借入れを合計して判断されます。金融庁は、年収300万円の人が貸金業者Aから80万円借りている場合、貸金業者Bから借りられるのは原則として20万円まで、という具体例を示しています。

貸金業者は指定信用情報機関を利用して借入残高を確認します。そのため、「別会社なら今の借金を知られずにさらに借りられる」という仕組みではありません。

銀行ローンまで含めて単純に「3分の1」とは限らない

ここで注意したいのが、銀行からの借入れです。金融庁によると、貸金業法の総量規制は貸金業者からの借入れを対象としており、銀行からの貸付けや銀行カードローンは貸金業法上の総量規制の対象外です。

したがって、消費者金融と銀行カードローンを合わせた残高が年収の3分の1になったからといって、その合計額だけを根拠に「法律上もう1円も借りられない」と断定することはできません。一方で、銀行にも独自の審査や融資判断があります。総量規制の対象外だから無制限に借りられる、という意味ではありません。

また、クレジットカードについても扱いが異なります。金融庁によれば、クレジットカードのキャッシングは原則として総量規制の対象ですが、通常のショッピング利用は貸金業法上の総量規制の対象ではありません。

「今夜21時までに50万円」「即日50万円」は借りられる保証ではない

ローン広告に大きく表示される金額やスピードは、実際の利用者全員に保証された融資額・融資時間とは限りません。正規の貸金業者であっても、申込者の年収、現在の借入れ、信用情報、返済能力などを踏まえて審査します。

例えば広告に「50万円」と書かれていても、審査結果が20万円になることも、融資不可になることも考えられます。「広告を見た人なら50万円確定」という意味ではありません。

特に「他社で断られても絶対融資」「ブラックでも必ず融資」「審査なしで高額融資」など、通常の与信審査を無視できるかのような勧誘には慎重になる必要があります。金融庁はSNSの個人間融資や無登録業者について、違法な高金利や個人情報悪用などの危険があるとして注意喚起しています。[参照] 金融庁「SNS等を利用した個人間融資にご注意ください」

「滞納歴があっても借りられる」はどう考える?

過去に滞納したことがある人が、将来あらゆる金融会社から永久に借りられなくなるわけではありません。一方、「滞納歴があっても必ず50万円借りられる」という保証もありません。融資の可否は各社の審査によります。

より警戒したいのは、通常の金融会社では借りにくい人を狙って「ブラックOK」「誰でも融資」などと勧誘する無登録業者です。金融庁は「借金ではありません」「ブラックOK」などの誘い文句を使う給与ファクタリング型の違法なヤミ金融についても注意を呼びかけています。[参照] 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください」

正規の貸金業者か疑わしい場合は、会社名だけではなく登録番号などを確認し、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認することが重要です。

「借入をなかったことにできます」は本当なのか

「借金をなかったことに」「借金ゼロへ」「返済額を大幅減額」といった広告は、意味を分解して考える必要があります。合法的な債務整理によって返済負担が軽くなる場合はありますが、広告会社が魔法のように借金を肩代わりしてくれる制度ではありません。

借金問題には、状況に応じて任意整理、個人再生、自己破産などの法的・私的な手続が検討されることがあります。例えば任意整理では債権者との交渉により将来利息などの負担軽減を目指す場合がありますが、必ず元金がゼロになるわけではありません。個人再生や自己破産についても利用条件や法的効果が異なります。

つまり「借金が減る可能性がある」という説明と、「申し込めば誰でも全額免除される」という説明はまったく違います。どの手続が利用でき、どこまで負担が変わるかは借金額、収入、財産、債権の種類などによって変わります。

「返済代行」は誰かが自腹で借金を払ってくれるサービスではない

「返済代行」という言葉にも注意が必要です。第三者が事務的に支払いを取りまとめるサービスと、「その会社が利用者の代わりに借金を負担してくれる」という話は別物です。

一般的な債務整理でも、弁護士や司法書士が利用者の借金を自腹で返済してくれるわけではありません。専門家は法律上可能な手続や交渉を行いますが、返済が必要な債務については原則として本人が返済していくことになります。

「手数料を払えば借金を全部肩代わりする」「借金そのものを消してあげる」といった説明を受けた場合は、その仕組みと契約内容を確認するまで送金や個人情報の提供をしないことが重要です。

借金を返すために新しい借金をするのは要注意

複数社から借りている状態で毎月の返済が厳しくなると、「あと50万円借りれば今月は乗り切れる」と考えやすくなります。しかし新しい借入金で既存の借金を返すだけなら、元の債務が別の債務に置き換わっただけで、利息負担まで含めると状況が悪化することがあります。

例えば毎月の返済不足を新規キャッシングで補い、そのキャッシングの返済をさらに別の借入れで補う状態になると、借入先と利息負担が増えて収支を把握しにくくなります。

一方、正規金融機関のおまとめローンなど、返済条件を見直すための商品が適切なケースもあります。ただし、金利、総返済額、返済期間、追加借入れの可否などを比較する必要があり、「一本化すれば必ず得」とは限りません。

返済できる場合は契約どおり返すのが基本

現在の収入で無理なく返済できるのであれば、基本は契約した返済計画に沿って残高を減らしていくことになります。金融庁も、借入残高が年収の3分の1を超えた場合について、超過分を直ちに返済しなければならないという制度ではなく、既存の借入れについては契約どおり返済を続けるよう説明しています。[参照] 金融庁「貸金業法のキホン」

返済を立て直す際は、各社について「残高」「金利」「毎月返済額」「返済日」を一覧化すると状況が見えやすくなります。余裕資金で繰上返済する場合も、生活費や緊急予備資金をすべて使い切らないようにすることが重要です。

逆に、すでに生活費を借金で補っている、返済日に別会社から借りている、毎月の最低返済額すら厳しいという場合には、「地道に返せば何とかなる」と無理を続けるより、早い段階で専門窓口に相談する意味があります。

返済が厳しいなら新規融資より相談を優先する

金融庁は、多重債務など金融サービスに関する相談を金融サービス利用者相談室で受け付けています。また、貸金業に関する相談では日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター、消費者トラブルについては消費者ホットライン「188」などの公的・業界相談窓口があります。[参照] 金融庁「お願い・注意喚起」

返済不能に近い状態なら、弁護士や司法書士などの法律専門家への相談も選択肢です。重要なのは、「さらに借りて時間を稼ぐ」のか、「現在の債務そのものを整理する」のかを早めに判断することです。

広告をクリックして新しい融資先を探し続けるより、まず全借入先の残高と月々の返済額を把握し、家計から継続して返済できる金額なのかを確認するほうが根本的な解決につながります。

危険なローン広告を見分けるためのチェックポイント

ローンや現金化サービスの広告を見た場合は、キャッチコピーより運営主体を確認します。特に次のようなケースは慎重な確認が必要です。

  • 「誰でも」「100%」「審査なし」など融資を保証するように見える
  • 正規の会社名や貸金業登録番号を確認できない
  • SNSやメッセージアプリだけで手続を進めようとする
  • 融資前に保証金や手数料などの送金を求める
  • 銀行口座、携帯電話、キャッシュカードなどの譲渡を要求する
  • 「借金ではない」と説明しながら実質的に高額な手数料を要求する
  • 借金を必ずゼロにできるかのように断定する

金融庁はSNSを利用した個人間融資について、違法な高金利だけでなく、個人情報の悪用など別の犯罪被害やトラブルにつながる危険性も指摘しています。

広告が大手アプリの中に表示されたからといって、広告先の商品やサービスが自動的に安全だと判断するのも避けたほうがよいでしょう。契約前に運営会社、登録、契約条件、金利・手数料などを別途確認することが大切です。

まとめ|広告が出ても「追加で50万円借りられる」とは限らない

ローン関連の広告がスマートフォンに何度も表示されても、それは「あなたには融資可能額が50万円残っています」という個別の審査結果ではありません。広告配信と金融会社による与信審査は別の仕組みです。

貸金業者からの借入れには原則として年収の3分の1という総量規制があり、複数の貸金業者からの対象借入れを合計して判断します。ただし銀行ローンは貸金業法上の総量規制の対象外なので、銀行借入れまで含めた総額が年収の3分の1になっただけで法律上の結論を出すことはできません。

また、「借金をなかったことに」「全額免除」「返済代行」といった言葉も、その意味を慎重に確認する必要があります。正規の債務整理によって返済負担が軽減・免除されるケースはありますが、第三者が無条件で借金を自腹で肩代わりしてくれる制度ではありません。

返済できる範囲なら契約どおり残高を減らし、すでに新しい借金で古い借金を返している、または毎月の返済自体が困難なら、追加融資を探す前に公的な相談窓口や法律専門家へ相談するのが基本です。「あと50万円借りれば解決する」という広告より、現在の借金総額と家計を正確に把握することが、多重債務から抜け出す第一歩になります。

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