多子世帯の大学無償化・給付奨学金は学生本人がいくら稼ぐと影響する?ラウンジ勤務が給与・報酬の場合の違いを解説

税金

多子世帯として高等教育の修学支援新制度を利用している大学生がアルバイトなどで収入を得る場合、「年間123万円を超えたら支援がなくなるのか」は慎重に確認したいポイントです。特にラウンジ、バー、キャバクラなどで働く場合、受け取るお金が一般的なアルバイトの「給与」ではなく「報酬」として扱われていることがあります。

ここで重要なのは、「123万円」という数字は給与収入を前提に示される数字であり、給与ではない報酬を受け取る人が、そのまま売上123万円まで大丈夫という意味ではないことです。多子世帯の判定では「収入」と「所得」を区別して考える必要があります。

また、2025年度税制改正を受けて2026年度から学生世代の扶養に関する制度にも変更があります。年齢による扱いもあるため、古い「103万円の壁」だけで判断せず、現在の制度と自分の契約形態を確認することが大切です。

多子世帯の支援では「本人が扶養されていること」が重要

JASSO(日本学生支援機構)の多子世帯支援では、原則として生計維持者が扶養する子どもが3人以上であり、申込者である学生本人も生計維持者に扶養されていることが重要な条件になります。[参照:JASSO 多子世帯支援に関するFAQ]

したがって、「大学生ならアルバイトでいくら稼いでも多子世帯の人数に必ず含まれる」という仕組みではありません。学生本人の所得が増え、税制上の扶養関係などが変わると、後の多子世帯判定へ影響する可能性があります。

一方で、現在支援を受けている人の収入が増えた瞬間、その日のうちに給付奨学金や授業料減免が停止されるという単純な制度でもありません。JASSOでは住民税情報等を利用して定期的に家計状況を確認し、支援区分の見直しを行っています。[参照:JASSO 在学中の適格認定(家計)]

「123万円以下」は給与収入の場合の数字として理解する

2025年度税制改正後、扶養親族について重要になる所得基準の一つが合計所得金額58万円です。給与だけを受け取る人の場合には、給与所得控除との関係から「給与収入123万円」という数字が出てきます。

JASSOも多子世帯支援の説明において、学生世代について「年収123万円以下」と表記する場合には、給与収入のみの場合であることを明示しています。[参照:JASSO 多子世帯支援における子どもの数の取扱い]

つまり、「123万円」という数字だけを覚えるのではなく、「何の収入なのか」を確認する必要があります。一般的なアルバイト給与と、個人として業務を請け負って受け取る報酬では、所得の計算方法が異なるからです。

ラウンジ勤務は給与の場合も報酬の場合もある

ラウンジで働いているからといって、必ず給与所得、あるいは必ず報酬になると決めることはできません。店舗との契約や実際の働き方によって税務上の扱いを確認する必要があります。

国税庁は、バー・キャバレーなどのホステス、コンパニオン等に支払われる「報酬・料金」を源泉徴収の対象として扱っています。一方、報酬という名称が使われていても、実態として給与に該当するものについては給与として源泉徴収することになります。[参照:国税庁 報酬・料金等の源泉徴収義務者]

したがって「ラウンジ勤務だから報酬だろう」と推測だけで判断せず、店舗へ契約形態を確認することが第一歩です。給与なら源泉徴収票、報酬なら支払調書など、受け取っている書類も判断材料になります。

報酬なら「123万円の売上」ではなく所得を計算する

給与ではない報酬が事業所得や業務に係る雑所得として扱われる場合、基本的には収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を計算します。国税庁も業務に係る雑所得について「総収入金額-必要経費=業務に係る雑所得」と説明しています。[参照:国税庁 雑所得]

例えば、ラウンジから年間100万円の報酬を受け取ったとして、税務上認められる必要経費が10万円なら、単純化した例では所得は90万円です。一方、年間70万円の報酬で必要経費が12万円なら所得は58万円となります。

給与収入123万円と報酬収入123万円は同じ意味ではありません。給与には給与所得控除がありますが、報酬の場合は実際の所得区分に応じて必要経費などを基に所得を計算します。そのため「報酬でも123万円までなら扶養上問題ない」と機械的に考えるのは危険です。

衣装代や美容代なら何でも経費になるわけではない

ラウンジ勤務では、ドレス、靴、ヘアセット、美容代、交通費などを「経費にできるのでは」と考えることがあります。しかし支払ったものが何でも必要経費になるわけではありません。

必要経費になるかどうかは、収入を得るために直接必要だった支出か、私生活でも使う支出なのかなど、具体的な事情によって判断されます。特に衣服や美容関係は私的支出との区別が問題になりやすいため、自己判断で全額を経費にするのは避けたほうがよいでしょう。

国税庁もホステスの衣装代に関する税務上の取扱いを個別に示しており、衣装という名称だけで一律に非課税・経費扱いになるわけではありません。[参照:国税庁 ホステスの衣裳代に関する取扱い]

18歳の大学1年生は生年月日にも注意

大学1年生で18歳の場合には、生年月日によって税制上の年齢区分が変わることにも注意が必要です。2025年度税制改正を受け、19歳以上23歳未満の特定親族については新しい仕組みが設けられ、多子世帯支援でも一定の特定親族等を「子ども」としてカウントできる取扱いが導入されています。

JASSOは2026年度の適格認定について、一定の学生世代では合計所得金額58万円超95万円以下、給与収入だけの場合には年収123万円超160万円以下でも、要件を満たす特定親族等を多子世帯判定の「子ども」として扱う仕組みを案内しています。[参照:JASSO 2026年度適格認定(家計)]

ただし、これは「大学生なら160万円まで無条件に稼いでよい」という意味ではありません。本人か兄弟姉妹か、生年月日、所得金額、給与のみか報酬があるか、どの年度の判定なのかによって取扱いが異なるため、個別確認が必要です。

まず店に「給与か報酬か」を確認するのが最優先

ラウンジで働きながら多子世帯支援を受けている場合、最初に勤務先へ確認したいのは「自分は雇用契約なのか業務委託なのか」「支払いは給与なのか報酬なのか」という点です。

次に、今年1月から12月までに受け取る予定額を集計します。報酬なら必要経費として適切に計上できる支出を領収書などから整理し、年間の所得見込みを把握します。給与と報酬の両方がある場合には、それぞれ別々に計算したうえで合計所得を考える必要があります。

そのうえで、大学の奨学金窓口へ「多子世帯の修学支援新制度を利用中で、18歳の大学1年生。ラウンジから給与ではなく報酬を受け取っている場合、本人の多子世帯判定に使われる所得基準を確認したい」と具体的に相談すると話が伝わりやすくなります。税務上の所得区分や必要経費について不明な場合は、税務署や税理士へ確認するのが確実です。

まとめ:ラウンジの「報酬」なら123万円をそのまま基準にしない

多子世帯の大学無償化・給付奨学金を利用する学生が働く場合、「123万円」という数字だけで勤務時間や報酬額を決めるのは避けたほうが安全です。123万円という年収表示は給与収入のみの場合の目安として使われており、給与以外の報酬では所得の計算方法が異なります。

ラウンジ勤務でも給与として受け取っているケースと、ホステス等の報酬として受け取っているケースがあります。報酬が事業所得・雑所得に該当する場合には、原則として収入そのものではなく、必要経費を差し引いた所得を計算することになります。

さらに18~22歳前後の学生については2025年度税制改正に伴う特定親族等の新しい取扱いもあり、年齢や生年月日によって結論が変わる可能性があります。多子世帯支援を維持できる範囲を正確に知りたい場合は、勤務先で給与・報酬の区分を確認し、年間の所得見込みを整理したうえで大学の奨学金窓口とJASSOの最新制度を確認することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました