毎月のお小遣いをいくらにするかは、家計管理で意外と悩みやすいテーマです。「3万円では少ないのか」「5万円なら使いすぎなのか」と周囲が気になるものの、適正額は収入だけでなく、昼食代や飲み会代、スマホ代、衣服代などを誰が負担するかによって大きく変わります。
そのため、他人のお小遣い額は参考にはなっても、その金額をそのまま自分の家庭へ当てはめるのはおすすめできません。大切なのは、お小遣いに何を含めるかを決めたうえで、家計の手取り収入から固定費・生活費・貯蓄を差し引いて設定することです。
会社員のお小遣いは月3万~4万円台が一つの参考になる
会社員のお小遣いについては毎年さまざまな民間調査が行われています。代表的な調査の一つであるSBI新生銀行の「会社員のお小遣い調査」では、男性会社員・女性会社員それぞれのお小遣い額や昼食代などが継続的に調査されています。
近年の調査を見ると、会社員のお小遣いは平均すると月3万~4万円台程度になるケースが多く、ひとつの目安として利用できます。ただし平均値は年齢、性別、未婚・既婚、子どもの有無などによって変わるため、「平均額より少ない=家計がおかしい」という意味ではありません。
例えば月3万円でも昼食代・スマホ代・衣服代が家計から別に支払われる人なら自由に使える割合は大きくなります。一方、月5万円でも昼食、飲み会、散髪、衣服、仕事上の交際費まで全部そこから支払う人なら、実質的な自由費はそれほど多くありません。
お小遣いは金額より「何を含めるか」が重要
夫婦でお小遣いを決めるときに起こりやすいのが、「夫は月4万円、妻は月3万円」のように金額だけを比較してしまうことです。しかし、本当に比較したいのは自由に使えるお金です。
例えば夫の4万円には平日の昼食代が含まれ、妻の3万円では昼食を家計の食費から出しているなら、単純に1万円の差があるとはいえません。まず家計負担と個人負担を明確にすると公平感を作りやすくなります。
| 支出項目 | 家計から出す例 | お小遣いから出す例 |
|---|---|---|
| 仕事日の昼食 | 食費として家計負担 | 本人負担 |
| スマホ料金 | 通信費 | 本人負担 |
| 美容院・散髪 | 生活費 | 本人負担 |
| 仕事上必要な衣服 | 被服費 | 本人負担 |
| 趣味・娯楽 | 原則なし | 本人負担 |
| 友人との飲食 | 原則なし | 本人負担 |
どちらが正解ということではありません。重要なのは夫婦で同じルールを共有し、「何がお小遣いで、何が生活費なのか」を曖昧にしないことです。
手取りの何%をお小遣いにすればいい?
お小遣いについて「手取りの10%」などの目安が紹介されることがありますが、これは法律や公的制度で定められた基準ではありません。住宅費や子どもの人数、教育費、住宅ローン、車の有無によって家計の余裕はまったく違います。
例えば手取り30万円なら10%は3万円、40万円なら4万円です。計算が簡単なので最初の目安にはなりますが、最終的には毎月の収支から判断するほうが合理的です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)も、家計管理では収入と支出を把握し、収支を黒字にして黒字分を貯蓄するという基本的な考え方を示しています。お小遣いも家計全体の収支の中で決めることが大切です。[参照:金融経済教育推進機構(J-FLEC)]
無理のないお小遣い額は逆算すると決めやすい
お小遣いを先に決めるより、毎月の手取りから必要な支出を順番に引いて考える方法があります。住宅費、水道光熱費、食費、通信費、保険料、教育費、車関連費などを計算し、さらに将来のための貯蓄や積立を確保します。
例えば世帯手取りが45万円、必要な生活費が30万円、毎月確保したい貯蓄が7万円なら、残る8万円が夫婦の自由費や予備費などへ振り分けられる範囲です。夫婦それぞれ3万円のお小遣いにして2万円を予備費にする、といった設計ができます。
逆に生活費と貯蓄だけで43万円必要なのに、夫婦で5万円ずつお小遣いを設定すれば毎月赤字になります。平均額に合わせることより、お小遣いを払った後でも家計が継続的に黒字になることのほうが重要です。
独身なら「お小遣い」という考え方を作ると浪費を防ぎやすい
お小遣い制は既婚者だけのものではありません。独身で給与をすべて自由に管理できる場合でも、生活費と貯蓄を先に分け、残った金額を自由費として設定すると支出を管理しやすくなります。
例えば手取り25万円から家賃7万円、生活費8万円、貯蓄5万円を先に確保し、残り5万円を趣味・外食・交際費などへ使う方法です。この場合の実質的なお小遣いは月5万円と考えられます。
給料日前に残った分を貯金する方式では、使えるお金があるほど使ってしまう人もいます。給料日に貯蓄分を先に確保してしまう「先取り」の考え方は、家計を安定させる方法の一つです。
お小遣いが足りないと感じたら増額前に内訳を確認する
毎月お小遣いが足りなくなる場合、単純に金額が少なすぎるケースもありますが、本来は家計から支払うべき支出まで個人のお小遣いへ入っている場合もあります。
例えば月3万円のお小遣いから平日の昼食を毎日700円支払うと、月20日勤務なら昼食だけで約1万4,000円です。残りは1万6,000円になります。ここから散髪や仕事上の付き合いまで支払えば、自由に使える金額はかなり少なくなります。
増額を相談するときは「あと1万円欲しい」と金額だけを伝えるより、1~2か月ほど支出を記録して「昼食1万4,000円、交際費8,000円、趣味8,000円」のように内訳を見える化すると、家計から出すべき費用と純粋なお小遣いを整理しやすくなります。
ボーナス時のお小遣いは家庭ごとのルールを作る
毎月のお小遣いとは別に、ボーナスから一定額を自由費として受け取る家庭もあります。これにも共通の正解はありません。ボーナスの一定割合にする方法や、夫婦それぞれ定額にする方法があります。
ただし住宅ローンのボーナス払いなど、賞与を前提とした支出がある家庭では注意が必要です。賞与は毎月の給与ほど金額が安定しないこともあるため、将来必要になる支出を確保してから自由費を決めるほうが家計は安定します。
普段のお小遣いを極端に少なくしてボーナス時だけ大量に使うより、年間で自由に使える予算を決め、それを月額とボーナス分へ配分する方法も分かりやすいでしょう。
まとめ:お小遣いは平均額より家計に合った金額が正解
会社員のお小遣いは各種調査から月3万~4万円台程度が一つの参考になりますが、「お小遣いは月○万円が普通」という絶対的な正解はありません。同じ3万円でも、昼食代や衣服代などを含むかどうかで実際の自由度は大きく異なります。
まず住宅費・食費などの生活費と必要な貯蓄額を確保し、その後に無理なく使える金額をお小遣いとして設定するのが基本です。夫婦なら金額そのものだけでなく、お小遣いに含める費用についても共通ルールを作ると不公平感を減らせます。
他人の平均額はあくまで参考資料です。「毎月赤字にならない」「必要な貯蓄ができる」「本人にも適度な自由がある」という3点を満たす金額なら、その家庭にとって現実的なお小遣い額と考えてよいでしょう。


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