社会保険料は20代なら一律4〜5万円?給料・雇用形態でいくら変わるのか仕組みを解説

社会保険

給与明細を見て「社会保険料だけで4万円、5万円も引かれている」と驚く人は少なくありません。しかし、社会保険料は20代になったら全員が一律で毎月4〜5万円を払う制度ではありません。

会社員などが負担する社会保険料は、年齢だけではなく、給与を基に決まる標準報酬月額、加入している健康保険、勤務先や雇用条件などによって変わります。給与が違えば、同じ20代でも負担額は大きく異なります。

また「社会保険料」という言葉には健康保険、厚生年金保険、雇用保険などが含まれるため、給与明細の何を合計して4〜5万円になっているのかを分けて考えることが重要です。

20代だから社会保険料が一律4〜5万円になるわけではない

会社員が加入する健康保険・厚生年金保険の保険料は、基本的に給与を一定の幅に区分した「標準報酬月額」を基に計算されます。そのため、月給15万円の人と月給30万円の人が同じ金額を負担する仕組みではありません。

日本年金機構によると、厚生年金保険料は標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を掛けて算出し、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。厚生年金保険料率は18.3%で、本人負担は原則としてその半分です。[参照:日本年金機構 厚生年金保険の保険料]

例えば標準報酬月額が20万円なら、厚生年金保険料全体は20万円×18.3%=36,600円で、労使折半の場合の本人負担は18,300円です。標準報酬月額が30万円なら本人負担は27,450円となります。この時点でも収入によって差があることが分かります。

健康保険料も収入によって変わる

健康保険料も定額ではありません。協会けんぽの場合、標準報酬月額などに保険料率を掛けて計算し、基本的に事業主と従業員が折半します。さらに協会けんぽの健康保険料率は都道府県支部によって異なります。

2026年度の協会けんぽの健康保険料率は、例えば東京都9.85%、大阪府10.13%など地域によって違いがあります。また2026年4月分からは全国一律0.23%の子ども・子育て支援金率が加わります。[参照:全国健康保険協会 令和8年度保険料率]

なお40歳から64歳までの健康保険加入者には原則として介護保険料も加わります。したがって通常の20代であれば介護保険料はまだ発生せず、40歳以降とは給与明細の構成が異なります。

月給によって社会保険料はいくらくらい変わる?

具体的なイメージをつかむため、20代の会社員について概算してみます。健康保険料率を約10%、厚生年金保険料率を18.3%とし、いずれも労使折半、さらに2026年度の一般事業の雇用保険の本人負担率0.5%を加えると、本人負担は給与のおおむね15%前後になるイメージです。実際には標準報酬月額の等級、加入する健康保険、地域などで変わります。

給与水準の例 本人負担の社会保険料等の大まかなイメージ
月15万円前後 2万円台前半程度
月20万円前後 3万円前後
月25万円前後 3万円台後半程度
月30万円前後 4万円台半ば程度

これは制度を理解するための概算であり、実際の給与明細と一致するとは限りません。ただ、「20代なら4〜5万円」なのではなく、月給が30万円程度になると健康保険・厚生年金・雇用保険などを合わせて4万円台になることがあり得る、という理解のほうが正確です。

なお、所得税や住民税は社会保険料ではありません。給与から合計6万円引かれていても、その6万円すべてが社会保険料とは限らないため、給与明細では項目を分けて確認しましょう。

正社員・契約社員・パートで「同じ保険料」になるわけではない

雇用形態の名称だけで保険料が決まるわけでもありません。正社員なら一般的に勤務先の健康保険・厚生年金へ加入しますが、パートやアルバイトでも一定の加入要件を満たせば対象になります。

日本年金機構では、通常の労働者の所定労働時間・日数の4分の3以上で働く人は健康保険・厚生年金の被保険者となります。また4分の3基準を満たさない短時間労働者についても、対象となる事業所で週20時間以上など一定の要件を満たす場合には加入対象になります。制度改正により要件は段階的に変更されているため、最新条件を確認することが大切です。[参照:日本年金機構 短時間労働者への社会保険適用]

したがって「アルバイトだから社会保険料はゼロ」「正社員だから必ず5万円」といった区分ではありません。勤務時間、勤務日数、賃金、勤務先の適用状況などを確認する必要があります。

会社が半分程度負担していることも知っておきたい

給与明細を見ると本人負担分だけが目立ちますが、健康保険と厚生年金については事業主も保険料を負担しています。厚生年金の場合は18.3%の保険料を労使折半するため、本人負担率は9.15%です。

例えば標準報酬月額30万円なら厚生年金保険料全体は54,900円ですが、本人から54,900円全額が引かれるわけではなく、原則として本人27,450円、事業主27,450円という形になります。

健康保険についても基本的に労使折半です。一方、雇用保険は労働者と事業主で負担率が同一とは限りません。2026年度の一般事業では、雇用保険料率13.5/1000のうち労働者負担は5/1000、事業主負担は8.5/1000です。[参照:厚生労働省 雇用保険料率について]

「手取りが少ない」と感じたら給与明細を4つに分けて見る

給料から多額のお金が引かれている場合には、「社会保険料」という一括りで見るのではなく、まず給与明細の控除欄を確認します。

  • 健康保険料:医療保険に対する負担
  • 厚生年金保険料:老齢・障害・遺族年金などにつながる負担
  • 雇用保険料:失業等給付や育児休業給付などに関係する負担
  • 税金:所得税・住民税。社会保険料とは別物

例えば「給料から5万円以上引かれている」という場合でも、社会保険料だけで5万円なのか、住民税・所得税まで合計して5万円なのかでは意味が大きく違います。

また就職直後と翌年度では、住民税の有無などによって手取りが変化することがあります。社会人2年目以降に手取りが減ったと感じても、必ずしも社会保険料だけが原因とは限りません。

給与明細の金額が正しいか確認する方法

健康保険・厚生年金については、自分の標準報酬月額と保険料額表を照らし合わせることで確認できます。協会けんぽでは都道府県別の保険料額表を公開しています。[参照:協会けんぽ 令和8年度保険料額表]

会社独自の健康保険組合へ加入している場合は、協会けんぽとは保険料率が異なることがあります。その場合は勤務先の健康保険組合が公開している保険料率を確認します。

給与明細を見ても標準報酬月額や控除の理由が分からない場合は、勤務先の給与・社会保険担当部署へ確認するのが確実です。単純に「月給×一定割合」で計算した数字と給与明細が少し違うだけなら、標準報酬月額の等級による可能性もあります。

まとめ:社会保険料は20代全員が一律4〜5万円ではない

社会保険料は、20代になれば雇用形態や収入に関係なく一律4〜5万円を支払う制度ではありません。健康保険・厚生年金は主に標準報酬月額を基に計算されるため、給与が低ければ本人負担も基本的に小さく、給与が高くなれば負担額も大きくなる仕組みです。

20代の会社員でも月給20万円前後なら社会保険料等が3万円前後になるケースがあり、月給30万円前後になると4万円台になることがあります。一方で加入している健康保険や地域、標準報酬月額などによって実額は変わるため、「20代の平均は○万円」とだけ考えるのは適切ではありません。

給与から4〜5万円引かれていて疑問を感じた場合は、健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税をそれぞれ分けて確認することが第一歩です。特に健康保険と厚生年金については勤務先も負担しており、給与明細に表示されている金額は原則として本人負担分であることも押さえておきましょう。

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