厚生年金・会社の健康保険に加入したら市役所への届出は必要?国民健康保険の脱退手続きを解説

社会保険

就職や勤務時間の変更などによって会社の社会保険に加入すると、厚生年金保険と健康保険への切り替えが行われます。このとき混同しやすいのが、「厚生年金への加入手続き」と「国民健康保険からの脱退手続き」は同じではないという点です。

厚生年金保険の資格取得手続きは原則として勤務先が行います。一方、それまで市区町村の国民健康保険(国保)に加入していた人は、職場の健康保険に加入したからといって国保の脱退処理まで必ず自動的に完了するとは限りません。ここでは、社会保険に加入したときに本人が確認しておきたい手続きを整理します。

厚生年金への加入手続きは原則として勤務先が行う

会社員などが厚生年金保険の被保険者になる場合、資格取得の手続きは基本的に事業主が行います。日本年金機構も、厚生年金保険の被保険者となるための手続きについて事業主が行うことを案内しています。[参照:日本年金機構]

したがって、勤務先から「社会保険に加入します」と案内され、健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きが行われているのであれば、通常は本人が市役所へ出向いて「厚生年金に加入しました」と届け出る必要はありません。

たとえば、それまで国民年金第1号被保険者だった人が会社員となり厚生年金保険の被保険者になった場合、年金については勤務先を通じて資格取得手続きが進められます。ここは、後述する国民健康保険の手続きとは分けて考えるのがポイントです。

国民健康保険に入っていた人は「脱退手続き」が必要

注意したいのが国民健康保険です。それまで市区町村の国民健康保険に加入していた人が、就職などによって勤務先の健康保険に加入した場合、国民健康保険の資格喪失(脱退)の届出が必要になるのが原則です。

自治体の案内でも、職場の健康保険に加入したときは国民健康保険をやめるための届出が必要とされています。たとえば横浜市では、職場の健康保険に加入した場合は14日以内に国民健康保険資格喪失の手続きをするよう案内しています。[参照:横浜市]

職場の健康保険に入れば、国保が必ず自動で解約されると考えないことが大切です。自治体によって窓口、郵送、オンラインなど手続き方法が異なるため、住所地の市区町村の公式サイトを確認しましょう。

国民健康保険料・国民健康保険税はいつまで支払う?

職場の健康保険に加入すると、その加入日以降については原則として国民健康保険の被保険者ではなくなります。たとえば横浜市では、国民健康保険をやめる日は「職場の健康保険に加入した日」と案内されています。[参照:横浜市]

したがって、職場の健康保険への加入後も国民健康保険料・国民健康保険税を二重にずっと負担する制度ではありません。ただし、脱退の届出をしなければ国保の請求がそのまま続く場合があります。

実際に自治体では、職場の健康保険への加入後も国保の脱退届がないと保険料の請求が続くことがあると案内しています。後から資格喪失の処理と保険料の精算が行われることになりますが、請求書が届いてから慌てないためにも早めに手続きを済ませるのが安心です。[参照:横浜市港北区]

国保脱退には何を用意すればいい?

必要書類は自治体によって多少異なりますが、一般的には新しく加入した健康保険の資格取得日を確認できるものが必要です。資格確認書、資格情報のお知らせ、健康保険資格取得証明書、マイナポータルに表示される健康保険の資格情報などが利用できる自治体があります。

そのほか、これまで使用していた国民健康保険の資格確認書などの返却を求められる場合があります。マイナ保険証を利用している場合でも、国保の脱退届そのものが不要になるとは限らないため注意しましょう。

手続き方法も市区町村によって異なります。役所の窓口だけでなく、郵送やオンラインで国保の資格喪失届を受け付けている自治体もあります。勤務先の健康保険への加入日が確認できたら、住所地の自治体の「国民健康保険 脱退」ページを確認するとスムーズです。

新しい健康保険に加入した後は国保を使わない

もう一つ重要なのが、新しい健康保険の資格取得日以降に以前の国民健康保険を使わないことです。手元に以前の資格確認書が残っていたとしても、資格を失った日以降は原則として使用できません。

資格喪失後に国民健康保険を利用して医療機関を受診すると、自治体が負担した医療費について後から返還を求められる場合があります。その後、新しく加入した健康保険へ療養費を請求するなどの手続きが必要になるケースもあり、余計な手間が発生します。

たとえば4月1日付で勤務先の健康保険に加入した場合、自治体の国保資格喪失手続きがまだ終わっていなくても、原則として4月1日以降は新しい健康保険の資格で受診することになります。「役所で脱退手続きをした日」から切り替わるわけではない点を覚えておきましょう。

「厚生年金」と「健康保険」を分けて考えると分かりやすい

社会保険への加入時に混乱しやすい理由は、「厚生年金」と「健康保険」と「国民健康保険」が一緒に語られることが多いためです。整理すると、会社の社会保険に加入する際の厚生年金・勤務先の健康保険の資格取得は基本的に勤務先側が手続きします。

一方、本人がそれまで自治体の国民健康保険に加入していた場合は、国民健康保険をやめる届出を本人側で行うのが基本です。この違いを理解すると、「会社が社会保険の手続きをしてくれたから、市役所関係も全部終わっているはず」という勘違いを防げます。

手続き 一般的な手続き主体
勤務先の健康保険への加入 勤務先
厚生年金保険への加入 勤務先
国民健康保険からの脱退 本人・世帯主など

なお、健康保険組合、共済組合、国民健康保険組合など加入先によって取扱いが異なることがあります。また、自治体ごとに届出方法や必要書類にも違いがあるため、最終的には勤務先と住所地の市区町村へ確認してください。

まとめ:会社の社会保険に入ったら国保の脱退を忘れず確認

会社で厚生年金保険に加入する場合、資格取得の手続きは原則として勤務先が行うため、本人が市役所へ厚生年金加入の届出をする必要は通常ありません。

しかし、それまで国民健康保険に加入していた場合は別です。職場の健康保険に加入した後、住所地の市区町村で国民健康保険の資格喪失手続きが必要になるのが原則です。国保は自動的に切り替わると思い込まず、自治体の案内を確認して早めに届け出ましょう。

国民健康保険料・国民健康保険税については、新しい健康保険の資格取得日を基準に国保資格が終了し、その内容に応じて精算されます。請求書が届いている場合も自己判断で放置せず、国保の脱退処理が済んでいるか自治体に確認すると確実です。

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