病気やけがで仕事を休んだ場合に受け取れる傷病手当金ですが、すでに障害厚生年金を受給している場合は、両方の制度の関係について注意が必要です。
特に、うつ病などで障害厚生年金を受給している状態で、別の病気の治療や手術によって休職する場合、「傷病手当金の申請書に障害年金の受給を書かなければならないのか」「会社に知られてしまうのか」と不安になる方もいます。
この記事では、傷病手当金と障害厚生年金の調整ルール、申請時の記載内容、会社への情報共有について詳しく解説します。
傷病手当金と障害厚生年金は同時にもらえるのか
健康保険から支給される傷病手当金と、国民年金・厚生年金から支給される障害厚生年金は、基本的には別々の制度です。
ただし、同じ傷病や関連する傷病によって障害厚生年金を受給している場合、傷病手当金との間で調整が行われることがあります。
例えば、うつ病によって障害厚生年金3級を受給している人が、その後にうつ病の悪化で休職し傷病手当金を申請する場合、障害年金との調整対象になる可能性があります。
傷病手当金の申請書には障害厚生年金の受給を記載する必要がある
傷病手当金の申請書には、障害年金などの公的給付を受けているか確認する項目があります。これは健康保険組合や協会けんぽが、二重給付にならないよう確認するためです。
そのため、障害厚生年金を受給している事実を意図的に記載しないことは避けるべきです。後から確認された場合、傷病手当金の返還を求められる可能性があります。
ただし、障害厚生年金を受給しているからといって、必ず傷病手当金が受け取れないわけではありません。傷病の内容や発生時期、支給額などによって扱いが変わります。
別の病気で休んだ場合でも障害年金との調整対象になるのか
重要なのは、傷病手当金の原因となった病気と、障害厚生年金の原因となった病気の関係です。
例えば、以前からうつ病で障害厚生年金を受給している人が、胃がんの検査・手術・治療のため仕事を休む場合、休職の直接的な原因は胃がんになるため、単純に同じ病気として扱われるとは限りません。
一方で、医師の意見書や傷病手当金申請書に精神症状についての記載がある場合、健康保険側が総合的に判断することがあります。
具体的には、「胃がんの治療による身体的負担で働けない」のか、「うつ病の症状悪化によって働けない」のかによって確認内容が変わる可能性があります。
会社に障害厚生年金を受給していることは知られるのか
傷病手当金の申請では、通常、健康保険者が給付判断を行います。会社は申請手続きを取り次ぐ立場になることがありますが、障害厚生年金の詳しい受給内容まで会社に共有されるとは限りません。
ただし、傷病手当金の申請書類には勤務先が記入する部分もあるため、手続きの過程で会社が書類を見る機会があります。
また、休職や復職管理のために会社へ健康状態の説明が必要になる場合もありますが、障害年金の受給情報は本人の重要な個人情報です。必要以上に伝えられるものではありません。
障害厚生年金を隠して傷病手当金を申請するリスク
会社に知られたくないという気持ちから、障害厚生年金の受給について記載しないことを考える方もいますが、制度上必要な申告をしないことにはリスクがあります。
健康保険者は、公的年金の情報確認を行う場合があります。その結果、調整が必要だったにもかかわらず多く受け取っていた場合、後日返還を求められる可能性があります。
正しく申告したうえで、自分の状況に合わせた支給判断を受けることが最も安全な対応です。
傷病手当金を申請するときに確認しておきたいポイント
障害厚生年金を受給している状態で傷病手当金を申請する場合は、以下の点を整理しておくと手続きがスムーズになります。
- 障害厚生年金の受給原因となった病気
- 今回休職する直接の原因となった病気
- 医師が記載した労務不能の理由
- 障害厚生年金の種類や支給額
- 加入している健康保険者の判断
例えば、障害厚生年金はうつ病によるもの、今回の休職理由は胃がんの手術や治療によるものという場合は、その経緯を正確に説明できるようにしておくことが大切です。
まとめ|障害厚生年金受給中の傷病手当金申請は正確な申告が重要
障害厚生年金を受給している場合でも、状況によっては傷病手当金を申請できる可能性があります。ただし、両方の制度には調整ルールがあるため、受給状況を正しく申告することが大切です。
特に、以前からの精神疾患による障害年金と、新たに発生したがん治療による休職など、複数の事情が関係する場合は判断が複雑になります。
会社に知られたくない事情がある場合でも、まずは健康保険者や社会保険労務士など専門家に確認し、正しい手続きを行うことで不要なトラブルを防ぐことができます。


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