定期預金の金利が上昇し、3年で年1.6%、5年で年2.0%といったキャンペーン商品が登場すると、「今の高い金利を5年間確保するべきか、それとも今後さらに金利が上がることを期待して3年にするべきか」で迷いやすくなります。
2026年9月時点では、日本銀行は経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく考えを示しています。そのため、今後さらに預金金利が上昇する可能性はあります。ただし、何年後に何%になるかは決まっておらず、5年2.0%より有利な定期預金が将来必ず登場するわけでもありません。[日本銀行・2026年7月展望レポート参照]
このような局面では金利の予想だけで全額を3年または5年へ振り分けるより、途中解約の条件や資金を使う予定まで考え、必要なら期間を分散する方法が現実的です。
2026年は以前より金利のある環境になっている
日本では長期間にわたり非常に低い金利が続きましたが、その環境は変化しています。日本銀行は2025年12月に政策金利の誘導目標を0.5%程度から0.75%程度へ引き上げ、その後も0.75%程度とする金融政策を運営してきました。[日本銀行・金融市場調節方針参照]
銀行の預金金利は日本銀行の政策金利と完全に同じ動きをするわけではありませんが、市場金利や各銀行の資金調達方針、顧客獲得競争などの影響を受けます。そのため政策金利が上昇する局面では、普通預金や定期預金の金利も上がる可能性があります。
日本銀行は2026年7月の展望レポートで、経済・物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げる考えを示しています。したがって「来年や再来年に今より預金金利が高くなる可能性」は十分考えられますが、これは確定した予定ではありません。
3年1.6%と5年2.0%は単純に金利だけでは比較できない
表面上は5年2.0%のほうが3年1.6%より0.4ポイント高いため、5年を選びたくなります。しかし3年物には「3年後にその時点の金利で預け直せる」という選択肢があります。
例えば100万円を年1.6%で3年間預ける場合、単純計算した税引前利息は約4万8,000円です。年2.0%で5年間なら約10万円です。実際の受取額は商品ごとの単利・複利の違いや税金によって変わります。
問題は3年後です。その時点で定期預金金利が現在より大幅に上昇していれば、3年物を選んだ人は高い金利の商品へ乗り換えられます。一方、金利が下がっていれば、現在の2.0%を5年間確保していたほうが有利だったという結果になります。
5年2.0%を選ぶ最大のメリットは「今の金利を確保できること」
固定金利型の5年定期なら、原則として契約時の金利が満期まで適用されます。将来市場金利が低下しても、契約した2.0%という条件は維持されます。
例えば2年後に景気が悪化し、日本銀行が利下げへ転じ、銀行の5年定期が1.0%程度になったとします。この場合、すでに2.0%で契約していた人は有利です。
5年物を選ぶことは「これから金利が上がるか」を当てにいくというより、「現在提示されている2.0%で十分満足できるので5年間確保する」という判断に向いています。
5年定期の弱点はさらに金利が上がったとき
反対に、日本銀行が今後も利上げを続け、2~3年後に定期預金の金利がさらに上昇した場合、5年物では古い2.0%の金利が残ります。
例えば3年後に同じ銀行の5年定期が年2.5%や3.0%になったとしても、すでに契約した5年2.0%の商品が自動的に新しい金利へ変更されるわけではありません。
途中解約して乗り換える方法も考えられますが、定期預金では中途解約時に通常の約定金利より低い中途解約利率が適用されることがあります。「金利が上がったら解約して新しい定期へ移せばいい」と簡単に考えず、契約前に中途解約条件を確認する必要があります。
3年1.6%は将来の選択肢を残しやすい
3年定期の魅力は、5年より早く資金が自由になることです。3年後に金利が上がっていれば高金利商品へ乗り換えられ、住宅購入や車の買い替えなどでお金が必要になれば、そのまま使うこともできます。
特に「今後さらに金利が上がりそうだが、いつまで上がるか分からない」と考える人にとって、期間を短くすることには意味があります。ただし、その柔軟性と引き換えに現在の金利は1.6%と、5年物より低くなっています。
さらに3年後の金利が予想に反して低下すれば、「あのとき5年2.0%にしておけばよかった」という結果もあり得ます。3年物は必ず得になる商品ではなく、将来金利を選び直せる権利を残す代わりに現在の利率を少し低くする選択と考えると分かりやすいでしょう。
今後さらに金利が上がる可能性はある
2026年7月時点の日本銀行は、消費者物価について2026年度プラス2.5%、2027年度プラス2.4%、2028年度プラス2.0%という政策委員の中央値を示しています。また、経済・物価の見通しが実現していけば政策金利を引き上げる方針です。[日本銀行・経済と物価の見通し参照]
この見通しだけを見れば、預金金利がさらに上がるシナリオには合理性があります。しかし中東情勢、原油価格、為替、海外景気、AI関連需要など不確実な要素も多く、日本銀行自身もリスクを点検しながら利上げのタイミングやペースを判断するとしています。
「利上げ方向だから、来年は必ず定期預金が○%になる」とまでは予測できません。経済環境が悪化すれば利上げが停止したり、将来的に利下げへ転じたりする可能性もあります。
迷うなら3年と5年に分ける方法もある
100万円を預けるからといって、100万円すべてを3年または5年のどちらか一方へ預ける必要はありません。例えば50万円を3年1.6%、残り50万円を5年2.0%に分ける方法があります。
この場合、金利が上昇すれば3年後に50万円を新しい高金利商品へ預け直せます。反対に金利が下がった場合でも、残り50万円については5年2.0%を確保しています。
さらに資金が大きければ、1年・3年・5年など満期を分散する「ラダー型」にする方法もあります。将来の金利を正確に予想できないからこそ、満期を分けて予想を外したときの影響を小さくする考え方です。
生活費や近いうちに使うお金まで5年定期にしない
金利が2.0%あると魅力的に見えますが、定期預金へ預ける前に、その資金を5年間使わずに済むか確認することが重要です。
例えば住宅購入の頭金、車の購入費、子どもの進学費用、数年以内に予定しているリフォーム費用などを5年定期へ入れると、満期前に取り崩す可能性があります。中途解約になれば期待していた利息を得られない場合があります。
また病気、失業、家電・車の故障など予想外の出費に備える生活防衛資金は、普通預金などすぐ引き出せる場所に残しておくほうが扱いやすいでしょう。
キャンペーン定期は金利以外の条件も確認する
「5年2.0%」という数字を見ると金利だけに注目しがちですが、キャンペーン定期では対象者、最低預入額、新規資金限定、預入上限、募集期間、自動継続の有無などの条件が設定される場合があります。
また表示されている2.0%が年利であること、税引前・税引後の表記、中途解約利率、満期後の取り扱いも確認しておきましょう。キャンペーン金利が満期後も継続するとは限りません。
特にインターネット銀行や地域金融機関の高金利商品を利用する場合は、金融機関そのものが預金保険制度の対象であるかも確認すると安心です。
預金保険制度の上限も意識する
日本の預金保険制度では、利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等について、一つの金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護される仕組みがあります。[預金保険機構・預金保護の範囲参照]
そのため1,000万円を大きく超える資金を高金利定期へ預ける場合には、金利だけを比較するのではなく金融機関を分散する方法も検討できます。
数十万円から数百万円程度の預金であれば上限が問題にならないことも多いですが、退職金などまとまった資金を預ける場合には重要な確認事項です。
3年と5年を選ぶ判断基準
5年間使う予定がなく、年2.0%という利率に十分満足していて、今後の金利を追いかけたくない人には5年定期が向いています。将来金利が下がった場合には、長期間固定したことがメリットになります。
一方、「今後さらに利上げがありそうなので数年後に預け直したい」「5年以内に資金を使う可能性がある」という人なら3年を選ぶ合理性があります。
どちらにも決めきれない場合は、3年と5年へ資金を分けるのが、金利上昇・低下のどちらにもある程度対応できるシンプルな方法です。将来の金利を一点予想して全額を動かす必要はありません。
まとめ|5年2.0%は魅力的だが「今後もっと上がる可能性」も残っている
2026年9月現在、日本銀行は経済・物価の見通しが実現すれば、引き続き政策金利を引き上げる考えを示しています。そのため来年・再来年に預金金利がさらに上昇する可能性はあります。ただし、利上げの時期や幅は確定しておらず、将来5年定期が必ず2.0%を大幅に超えるとは言えません。
5年2.0%は現在の比較的高い金利を長期間確保したい人、3年1.6%は数年後の金利上昇に対応する余地を残したい人に向いた選択と整理できます。
迷う場合には全額を一方へ預けず、3年と5年に分散する方法も有効です。最終的には金利予想だけではなく、5年以内にそのお金を使う可能性、中途解約条件、生活防衛資金の確保まで確認してから決めると、後悔しにくい定期預金の選び方になります。


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