高校生がアルバイトをするときに分かりにくいのが、「年収はいくらまでなら親の扶養から外れないのか」という問題です。特に2025年・2026年の税制改正によって「123万円」「130万円」「136万円」「150万円」「160万円」など複数の数字が登場するため、以前の情報だけを見るとかえって混乱しやすくなっています。
最初に押さえておきたいのは、親の税金に関する扶養と、親の健康保険の扶養は別制度だという点です。「136万円までなら何もかからない」という一つの基準が、所得税・住民税・健康保険のすべてに共通して存在するわけではありません。
また高校生でも年齢によって扱いが変わります。2026年現在、とくに重要なのは、その年の12月31日時点で16~18歳なのか、19~22歳なのかという違いです。ここを分けると「136万円」という数字の意味もかなり理解しやすくなります。
- 結論|高校生の「136万円までなら何もかからない」は正確ではない
- 2026年の「136万円の壁」とは何なのか
- 高校生でも16~18歳と19歳以上では親の税金が違う
- 19~22歳なら159万円以下まで親の63万円控除を維持できる
- 健康保険は高校生なら原則「130万円未満」が重要
- 19~22歳は健康保険も150万円未満に引き上げられている
- 130万円・150万円は「1月から12月の実績」だけで判断するとは限らない
- 「本人の所得税がかからない金額」も136万円とは別
- 高校生の扶養ラインを年齢別に整理
- 例えば年収135万円ならどうなる?
- 「いくらまで働けば損しない?」は親の会社の手当も確認する
- まとめ|2026年の高校生は「136万円」だけで判断しない
結論|高校生の「136万円までなら何もかからない」は正確ではない
2026年分の所得税では、親が通常の扶養控除を受けるための扶養親族の所得要件が合計所得62万円以下に引き上げられました。収入がアルバイトなどの給与だけであれば、給与所得控除の最低保障額74万円と合わせて年収136万円以下が一つの基準になります。[参照] 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
つまり「136万円」という数字には根拠があります。しかし、これは主として親が所得税の扶養控除を受けるための収入基準です。「高校生本人に税金も社会保険料も一切かからず、親の健康保険にも必ず残れる上限」という意味ではありません。
高校生のアルバイトでは「本人の税金」「親の所得税上の扶養」「親の健康保険の扶養」を別々に確認する必要があります。
2026年の「136万円の壁」とは何なのか
2026年度税制改正では、扶養親族等の所得要件が58万円以下から62万円以下へ引き上げられました。また給与所得控除の最低保障額も69万円から74万円へ引き上げられています。この結果、給与収入だけの場合は136万円以下が扶養親族の所得要件に対応する金額となりました。[参照] 国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」
例えば、12月31日時点で17歳の高校生がアルバイトだけをしており、2026年の給与収入が130万円だった場合、給与だけという前提なら136万円以下なので、所得要件については親の扶養控除の範囲に収まります。
一方で、同じ高校生が140万円を稼いだ場合は136万円を超えます。16~18歳の場合、19~22歳向けの「特定親族特別控除」の仕組みとは扱いが異なるため、単純に「少し超えても同じ」と考えることはできません。
高校生でも16~18歳と19歳以上では親の税金が違う
税法上の扶養控除では、その年の12月31日時点の年齢が重要です。一般的な高校生である16~18歳は「一般の控除対象扶養親族」に該当し、親の所得税では通常38万円の扶養控除の対象になります。
一方、19~22歳は従来から「特定扶養親族」という区分があり、親の所得税では通常63万円という大きな扶養控除があります。大学生が典型ですが、判定は単純に「高校生か大学生か」という学校区分だけで決まるわけではありません。
さらに19~22歳については、一定の収入を超えて従来の特定扶養親族から外れても、親の控除がいきなりゼロにならない特定親族特別控除があります。2026年分では給与収入136万円超197万円以下がこの制度の対象となる範囲です。
19~22歳なら159万円以下まで親の63万円控除を維持できる
2026年分では、19~22歳の子の給与収入が136万円を超えても、159万円以下なら特定親族特別控除として親は63万円の所得控除を受けられます。つまり、税金だけを見ると19~22歳については「136万円を1円超えたら親の税負担が急増する」という仕組みではありません。
159万円を超えると特定親族特別控除額は段階的に小さくなり、給与収入197万円以下まで一定の控除が残ります。国税庁の2026年度改正資料では、給与収入159万円以下なら63万円、159万円超164万円以下なら61万円、その後も収入増加に応じて控除額が縮小する仕組みが示されています。
ただし、これはあくまで親の所得税に関する話です。健康保険の扶養には別の収入基準があります。
健康保険は高校生なら原則「130万円未満」が重要
親が会社員などで勤務先の健康保険に加入しており、その被扶養者になっている場合、原則的な年間収入要件は130万円未満です。日本年金機構は、60歳未満の一般的な被扶養者について年間収入130万円未満などを要件としています。[参照] 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」
ここで非常に重要なのは「130万円以下」ではなく、原則として130万円未満という点です。さらに同居なら原則として被扶養者の収入が被保険者の収入の半分未満、別居なら被扶養者の収入が被保険者からの仕送り額未満という生計維持の要件もあります。
そのため、例えば17歳の高校生が給与年収135万円になった場合、2026年の親の所得税では136万円以下という所得要件を満たし得る一方、健康保険では130万円未満という基準を超える可能性があります。「税金では扶養内なのに健康保険では扶養から外れる」ということがあり得るわけです。
19~22歳は健康保険も150万円未満に引き上げられている
健康保険については2025年10月1日から大きな変更がありました。扶養認定を受ける人が19歳以上23歳未満の場合、配偶者を除き、年間収入要件が130万円未満から150万円未満へ引き上げられています。[参照] 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
この年齢判定は扶養認定日が属する年の12月31日時点で行われます。日本年金機構の説明では、19歳の誕生日を迎える年から22歳の誕生日を迎える年まで150万円未満となり、それ以前や23歳になる年以降は原則130万円未満です。
しかも健康保険の150万円基準については「学生であること」は要件ではありません。年齢によって判断されます。したがって19歳の高校生も、年齢条件を満たすなら対象となり得ます。[参照] 日本年金機構「今回の変更は学生であることは要件ですか」
130万円・150万円は「1月から12月の実績」だけで判断するとは限らない
税金と健康保険の大きな違いが収入の判定方法です。所得税は基本的に1月1日から12月31日までの暦年の所得を計算します。一方、健康保険の被扶養者認定では、単純に前年の年収だけを見るわけではありません。
日本年金機構は、被扶養者の年間収入について、被扶養者に該当する時点や認定日以降の年間の見込み収入として説明しています。19~22歳の150万円基準についても、過去の収入、現在の収入、将来の収入見込みなどから今後1年間を見込むとしています。[参照] 日本年金機構「年間収入が150万円未満かどうかの判定」
例えば夏休みだけアルバイトを増やしたケースと、毎月継続して高い給与を受け取る契約になったケースでは、同じ時点までの累計収入でも健康保険側の判断が異なる可能性があります。勤務条件が変わる場合は、親の勤務先や加入する健康保険へ確認するのが確実です。
「本人の所得税がかからない金額」も136万円とは別
さらに、高校生本人に所得税が発生するかどうかも親の扶養とは別問題です。2026年度税制改正では給与所得控除の最低保障額や基礎控除が引き上げられているため、「親の扶養が136万円」という数字と「本人に所得税がかからない年収」を同じものとして扱うことはできません。
つまり「136万円を超えると高校生本人に所得税がかかる」という理解も正確ではありません。136万円は親側の扶養親族の所得要件を給与収入に換算した数字です。
また所得税がゼロでも、住民税まで必ずゼロになるとは限りません。住民税には所得割と均等割があり、非課税基準には自治体や本人の状況による違いもあります。そのため「所得税がかからない=税金が何もかからない」とは考えないほうが安全です。
高校生の扶養ラインを年齢別に整理
給与収入だけの一般的なケースを大まかに整理すると、2026年は次のようになります。実際には親の所得、同居・別居、加入している健康保険、本人の勤務条件、給与以外の収入などによって結果が変わる場合があります。
| 確認項目 | 16~18歳 | 19~22歳 |
|---|---|---|
| 親の所得税上の通常の扶養要件 | 給与年収136万円以下 | 給与年収136万円以下 |
| 136万円を超えた場合の親の所得税 | 通常の扶養控除から外れる | 特定親族特別控除の可能性あり |
| 親の控除が63万円のままとなる給与収入 | 対象外 | 159万円以下まで対象となり得る |
| 健康保険の年間収入要件 | 原則130万円未満 | 原則150万円未満 |
この表から分かるように、「高校生だから一律○万円」という答えにはなりません。特に18歳と19歳では健康保険の基準が大きく変わるため、誕生日だけでなくその年の12月31日時点の年齢を確認することが重要です。
例えば年収135万円ならどうなる?
分かりやすい例として、12月31日時点で17歳、アルバイト以外の収入がなく、親の会社の健康保険の被扶養者になっている高校生を考えます。2026年の給与収入が135万円なら、親の所得税上は136万円以下なので、所得要件については扶養控除の範囲です。
しかし健康保険については19歳未満なので原則130万円未満が基準です。そのため135万円という数字だけを見て「136万円以下だから親の扶養に全部入ったまま」と判断するのは危険です。
逆に12月31日時点で19歳なら、健康保険の年間収入要件は原則150万円未満となります。また親の所得税についても19~22歳には特定親族特別控除があります。このように同じ135万円でも年齢によって結論が変わります。
「いくらまで働けば損しない?」は親の会社の手当も確認する
税金と健康保険以外に忘れやすいのが、親の勤務先から支給される「家族手当」「扶養手当」「子ども手当」などです。これは法律で全国一律に決められた制度ではなく、会社ごとの就業規則や賃金規程によって条件が異なります。
例えば会社独自に「子の年収130万円未満」を家族手当の条件としているなら、税制改正によって所得税の扶養基準が136万円へ変わっても、会社の手当が自動的に136万円へ変更されるとは限りません。
アルバイト収入を大きく増やす前には、本人の給与明細だけでなく、親にも勤務先の総務・人事へ「子どもの収入がいくらになると家族手当や健康保険に影響するか」を確認してもらうと安心です。
まとめ|2026年の高校生は「136万円」だけで判断しない
2026年分では、給与収入だけの場合、親の所得税上の扶養親族の所得要件に対応する金額は136万円以下です。そのため「136万円」という数字そのものは間違いではありません。
しかし、136万円までなら税金・健康保険・親の扶養のすべてが無条件で大丈夫、という意味ではありません。一般的な16~18歳の高校生が親の会社の健康保険の扶養に残る場合は、原則として年間収入130万円未満という別の基準があります。
一方、12月31日時点で19~22歳なら、健康保険の収入要件は原則150万円未満に引き上げられています。所得税でも特定親族特別控除があるため、16~18歳とは仕組みが異なります。
したがって高校生のアルバイト年収を考えるときは、①12月31日時点の年齢、②親の所得税上の扶養、③親の健康保険の扶養、④本人の所得税・住民税、⑤親の会社独自の家族手当を分けて確認するのがポイントです。特に130万円前後まで働く予定がある場合は、年末になってから調整するのではなく、事前に親の勤務先や健康保険へ確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
※本記事は2026年8月30日時点で確認できる国税庁・日本年金機構の公表情報を基に、給与収入のみの一般的なケースを解説しています。個別の税額や被扶養者認定は、本人・親の所得、加入する健康保険、勤務形態などによって異なります。


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