特別支給の老齢厚生年金や経過的な繰り上げ支給の老齢厚生年金を計算する際、報酬比例部分の減額計算で使う「月数」が分かりにくいと感じる人は少なくありません。
特に昭和36年4月1日以前生まれの男性や昭和41年4月1日以前生まれの女性などは、生年月日によって特別支給の老齢厚生年金の開始年齢が異なるため、繰り上げ請求時の減額月数も変わります。この記事では、報酬比例部分の支給開始年齢がどのように決まるのか、なぜ48か月になるのかを具体例で解説します。
経過的な繰り上げ支給の老齢厚生年金とは
経過的な繰り上げ支給の老齢厚生年金とは、特別支給の老齢厚生年金を受け取れる世代の人が、老齢基礎年金の繰り上げと合わせて老齢厚生年金の一部を早く受け取る制度です。
現在の老齢厚生年金は原則65歳から支給されますが、一定の生年月日の人には60歳代前半に特別支給の老齢厚生年金が支給される仕組みがあります。
ただし、繰り上げ請求をする場合は、本来の支給開始年齢より早く受け取ることになるため、一定割合の減額が行われます。
報酬比例部分の減額計算で使う月数の意味
報酬比例部分の減額額は、基本的に「本来の報酬比例部分の支給開始年齢まで何か月早く受給するか」によって決まります。
計算式は次のようになります。
報酬比例部分の減額額=報酬比例部分の年金額×減額率×繰り上げ月数
ここで重要なのは、65歳までの月数ではなく、報酬比例部分が本来支給開始となる年齢までの月数を使う点です。
報酬比例部分の支給開始年齢は生年月日で決まる
特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢は、本人の性別と生年月日によって決まります。
例えば女性の場合、昭和41年4月1日以前生まれの人は特別支給の老齢厚生年金の対象となり、生年月日に応じて報酬比例部分の開始年齢が60歳から64歳まで段階的に引き上げられています。
つまり、「報酬比例部分の支給開始年齢が64歳」という情報は、Aさんの生年月日である昭和40年4月14日から判断できます。
昭和40年4月生まれの女性の支給開始年齢
特別支給の老齢厚生年金では、女性の場合、昭和33年4月2日以降生まれの人から報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられています。
昭和40年4月14日生まれのAさんは、この区分では報酬比例部分の支給開始年齢が64歳となります。
そのため、Aさんが60歳到達月に経過的な繰り上げ請求をする場合、報酬比例部分については64歳までの4年間を前倒しすることになります。
1年は12か月なので、60歳から64歳までの期間は次のようになります。
64歳-60歳=4年
4年×12か月=48か月
このため、減額計算で使用する月数は48か月になります。
65歳からの年金額から引く項目に注意する理由
経過的な繰り上げ支給の計算では、65歳から受け取る老齢厚生年金全体をそのまま使うわけではありません。
例えば、老齢厚生年金に含まれる経過的加算や配偶者加給年金額は、報酬比例部分とは性質が異なるため、減額計算の対象外となります。
そのため、例にあるように「65歳からの老齢厚生年金額-経過的加算-配偶者加給年金額」で報酬比例部分を求め、その金額に減額率と48か月を掛けて計算します。
繰り上げ計算で間違いやすいポイント
繰り上げ計算では、「60歳から65歳までの60か月を使う」と考えてしまうケースがあります。しかし、特別支給の老齢厚生年金の対象者では、報酬比例部分の本来の開始年齢を見る必要があります。
また、同じ年代でも男女や生年月日の違いによって開始年齢が変わるため、他人の計算方法をそのまま当てはめることはできません。
正確に計算するためには、日本年金機構の支給開始年齢表などで、自分の生年月日に対応する開始年齢を確認することが重要です。
まとめ
経過的な繰り上げ支給の老齢厚生年金で使う減額月数は、65歳までの期間ではなく、報酬比例部分が本来支給される年齢までの期間で計算します。
昭和40年4月14日生まれの女性の場合、報酬比例部分の支給開始年齢は64歳になるため、60歳から繰り上げる場合の減額月数は48か月になります。
特別支給の老齢厚生年金は生年月日による細かな区分があるため、計算時には必ず自分の支給開始年齢を確認してから減額計算を行うことが大切です。


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