大きな地震で住宅に柱の傾き、基礎の破損、外壁のひび割れなどが発生すると、地震保険の損害調査が行われます。一次調査の担当者から「全損になりそうなので、専門担当者が再度確認します」と説明されても、二次調査の結果が必ず全損になるとは限りません。
一次調査での「全損になりそう」という説明が暫定的な見立てであれば、より詳しい二次調査によって半損など別の損害区分に認定されることはあり得ます。最終的な保険金は、担当者の印象や修理見積額だけではなく、地震保険の損害認定基準に基づいて決まるためです。
また、熊本地震のような2016年当時の地震保険契約と現在の契約では損害区分が異なります。2016年以前を保険始期とする契約では「全損・半損・一部損」の3区分、2017年1月1日以降を保険始期とする現在の契約では「全損・大半損・小半損・一部損」の4区分です。古い体験談と現在の制度を混同しないことも重要です。[参照:財務省「地震保険制度の概要」]
- 一次調査で「全損」と言われても最終決定とは限らない
- 2016年の熊本地震当時は「全損・半損・一部損」の3区分だった
- 現在の地震保険は「半損」が大半損・小半損に分かれている
- 地震保険では修理費そのものを足して判定するわけではない
- 木造住宅では「柱・基礎・屋根・外壁」などの損傷を確認する
- 柱が動いた・傾いた場合は重要な確認ポイントになる
- 建物全体の傾きは全損認定につながる場合がある
- 基礎が崩れて鉄筋が見えている場合も損害割合を確認する
- 外壁の1〜2cmのひび割れだけで全損かどうかは決まらない
- 室内の聚楽壁や階段壁のひび割れはどう扱われる?
- 扉が閉まりにくくなった場合は建物の変形の手掛かりになる
- 被害が1階に集中している木造2階建ては1階の構造を丁寧に確認する
- 一次調査と二次調査で結果が違っても「査定がおかしい」とは限らない
- 地震保険の「全損」と自治体の「全壊」は別物
- 二次調査までに被害写真を残しておく
- 応急修理をする前に保険会社へ連絡する
- 二次調査では気になる箇所をすべて伝える
- 半損になった場合に納得できなければ認定根拠を確認する
- 認定に疑問があれば再確認を依頼できる
- 具体例|一次調査で全損見込み、二次調査で半損になるケース
- 具体例|二次調査で逆に全損が確定するケース
- 記載された被害状況だけから全損・半損を断定できない理由
- まとめ|二次調査で全損から半損になることはあり得る。柱・基礎・傾斜の評価を確認する
一次調査で「全損」と言われても最終決定とは限らない
地震保険の現地調査では、住宅の構造や損傷状況を確認し、地震保険損害認定基準に沿って損害割合を算定します。被害が大きい、建物の傾斜がある、構造部分の判断が難しいといった場合には、より詳しい確認が必要になることがあります。
そのため、最初に訪問した担当者が「この状態なら全損になると思う」「全損の場合は専門担当者による再確認が必要」と説明しても、それが保険会社としての正式な最終認定とは限りません。
二次調査で柱の本数、傾斜、基礎の損傷範囲、外壁の損傷面積などを詳しく測定した結果、全損の基準にわずかに達しなければ、2016年以前の契約であれば「半損」、現在の契約なら「大半損」や「小半損」になる可能性があります。
2016年の熊本地震当時は「全損・半損・一部損」の3区分だった
2016年の熊本地震当時に一般的だった地震保険では、建物の損害程度は全損・半損・一部損の3段階でした。日本損害保険協会が熊本地震の被災者向けに公表した基準では、主要構造部の損害額が建物の時価の50%以上なら全損、20%以上50%未満なら半損、3%以上20%未満なら一部損です。[参照:日本損害保険協会「平成28年熊本地震により被災された皆様へ」]
| 2016年以前の契約 | 主要構造部の損害額 | 支払保険金 |
|---|---|---|
| 全損 | 建物時価の50%以上 | 地震保険金額の100% |
| 半損 | 20%以上50%未満 | 地震保険金額の50% |
| 一部損 | 3%以上20%未満 | 地震保険金額の5% |
例えば一次調査では損害割合が50%を超えそうだと判断されても、詳しく計測した結果が48%だったなら、基準上は全損ではなく半損になります。わずか数%の違いでも支払区分が大きく変わるため、境界付近の住宅では詳しい調査が重要になります。
現在の地震保険は「半損」が大半損・小半損に分かれている
2017年1月1日以降を保険始期とする地震保険では、従来の半損が「大半損」と「小半損」に分割されました。現在は全損・大半損・小半損・一部損の4段階です。[参照:財務省「地震保険制度の概要」]
| 現在の損害区分 | 主要構造部の損害額 | 地震保険金額に対する支払割合 |
|---|---|---|
| 全損 | 建物時価の50%以上 | 100% |
| 大半損 | 40%以上50%未満 | 60% |
| 小半損 | 20%以上40%未満 | 30% |
| 一部損 | 3%以上20%未満 | 5% |
したがって現在の契約で一次調査時に全損見込みとされた住宅が二次調査で50%未満と判断された場合、40%以上なら大半損、20%以上40%未満なら小半損となる可能性があります。
地震保険では修理費そのものを足して判定するわけではない
地震保険について誤解されやすいのが、「修理見積が500万円だから500万円支払われる」という考え方です。地震保険は基本的に実際の修理費をそのまま補償する制度ではありません。
財務省も、地震保険は修理実費を支払うのではなく、建物や家財の損傷状況から全損・大半損・小半損・一部損を認定し、その損害区分に応じた保険金を支払う仕組みだと説明しています。[参照:財務省「損害箇所の修理費用の実費を保険金として受け取れますか」]
例えば実際には住宅を直すために800万円必要でも、地震保険上の損害区分が小半損なら、現在の契約では地震保険金額の30%が支払われます。逆に、修理費見積だけを見て全損・半損を判断することもできません。
木造住宅では「柱・基礎・屋根・外壁」などの損傷を確認する
地震保険で建物の損害を認定するときは、主に建物の主要構造部を確認します。日本損害保険協会が公開する損害認定基準では、木造の在来軸組工法について「軸組」「基礎」「屋根」「外壁」などの損傷状況から損害割合を求めます。[参照:日本損害保険協会「地震保険の損害認定に係る基準」]
主要構造部とは、単なる仕上げ材ではなく、建物を支える基礎、柱、壁、土台、梁などの構造耐力上重要な部分を意味します。[参照:日本損害保険協会「地震保険の損害認定」]
したがって、住宅に多数のひびがあるから自動的に全損になるわけではありません。どこに、どの程度、どの範囲の構造的損傷が生じているかが重要になります。
柱が動いた・傾いた場合は重要な確認ポイントになる
木造2階建て住宅で通し柱が地震によって移動したり傾いたりしている場合、単なるクロスや塗り壁のひび割れより重要な構造的損傷として確認される可能性があります。
日本損害保険協会の現在の在来軸組工法の基準では、軸組について「損傷した柱の本数÷建物全体の柱本数」などから物理的損傷割合を算定します。また、一定以上傾斜した柱の本数が全柱数の40%を超える場合などには全損認定につながる基準があります。[参照:日本損害保険協会「地震保険損害認定基準表」]
ただし「柱1本が2mm動いた」「床との間に2mm隙間がある」という情報だけでは、地震保険上の全損・半損を判断できません。その柱自体の損傷程度、全柱に占める割合、建物全体の傾斜などを調べる必要があります。
建物全体の傾きは全損認定につながる場合がある
地震保険の木造建物の認定では、柱1本の状態だけでなく、建物全体の傾斜が重要になる場合があります。
現在公開されている在来軸組工法の損害認定基準では、建物の基礎全体が1/20、約3度以上傾斜している場合には全損とする基準があります。また、1/20以上傾斜している柱が建物全体の柱の40%を超える場合にも全損とする基準が示されています。[参照:日本損害保険協会「木造建物 在来軸組工法損害認定基準表」]
逆に、見た目では建物が傾いているように感じても、実測値が基準に達しなければ、その理由だけで全損になるとは限りません。このような測定を正確に行うために再調査が必要になるケースがあります。
基礎が崩れて鉄筋が見えている場合も損害割合を確認する
基礎のコンクリートが崩れ、中の鉄筋が露出している場合には、地震保険調査でも重要な確認対象となります。
在来軸組工法の損害認定基準では、基礎について、損傷した布コンクリートの長さを外周の布コンクリート全体の長さで割り、損傷範囲を求める方法があります。現在の基準表では、基礎の損傷割合が50%を超える場合に全損となる基準も示されています。[参照:日本損害保険協会「地震保険損害認定基準表」]
例えば基礎の一部40cmだけが壊れていても、建物全周に対する割合が小さければ、基礎部分だけで大きな損害割合になるとは限りません。一方、見えている場所以外にも連続して亀裂や破断、ずれが発生していれば認定結果は変わります。
調査時には目立つ1か所だけを伝えるのではなく、建物の周囲を確認し、基礎に発生したすべての亀裂・欠損・ずれを担当者に確認してもらうことが重要です。
外壁の1〜2cmのひび割れだけで全損かどうかは決まらない
外壁に幅1〜2cm、長さ1.6m程度の大きな亀裂が発生していれば、見た目にも深刻な被害です。しかし地震保険では、ひび割れの幅だけで全損・半損を決定する仕組みではありません。
木造在来軸組工法の外壁については、損傷した外壁面積が全外壁面積のどの程度を占めるかなどを使って物理的損傷割合を算定します。2階建ての場合、外壁の被害区分に応じて一定の損害割合が割り当てられます。[参照:日本損害保険協会「地震保険損害認定基準表」]
したがって大きなひびが数本ある住宅と、細かいひびでも外壁の広範囲に損傷が及んでいる住宅では、認定への影響が違う可能性があります。
室内の聚楽壁や階段壁のひび割れはどう扱われる?
室内の聚楽壁、クロス、階段壁などの亀裂や剥離も、建物が大きく動いたことを示す手掛かりにはなります。しかし地震保険の建物損害認定では、仕上げ材のひびそのものをすべて修理費として単純合算するわけではありません。
重要なのは、そのひび割れが柱や耐力壁など主要構造部の損傷を伴っているかどうかです。例えば階段横の壁が剥がれ、隣接する通し柱にも移動・傾斜が確認できるなら、その柱や壁の構造的損傷を調査担当者に確認してもらう意味があります。
一方、聚楽壁の表面だけに細かいひびが入り、下地や主要構造部に異常がなければ、見た目ほど地震保険上の損害割合が大きくならない場合もあります。
扉が閉まりにくくなった場合は建物の変形の手掛かりになる
地震後に今まで普通に使えていたドアや引き戸が閉まりにくくなった場合、建具自体の故障だけでなく、柱や壁、床など建物の変形が原因になっている可能性があります。
ただし「ドアが1枚閉まりにくい」という事実だけで半損や全損になるわけではありません。調査では、その周辺の柱の傾き、床の水平、壁の変形などを含めて確認してもらうことが大切です。
調査担当者へは「地震前は問題なく開閉できたが、地震後から急に閉まらなくなった」と時系列も含めて伝えると、被害箇所を確認してもらいやすくなります。
被害が1階に集中している木造2階建ては1階の構造を丁寧に確認する
木造2階建て住宅では、地震による被害が1階に集中することがあります。1階には2階の荷重もかかるため、柱・耐力壁・基礎などに変形が生じていないか確認することは、安全面でも重要です。
地震保険の調査でも、単純に「2階が無傷だから半分しか被害がない」と評価するわけではありません。主要構造部の損傷状況を基準に沿って評価します。
特に通し柱の移動、基礎コンクリートの崩壊、1階外壁を貫くような亀裂、建具の変形が同じエリアに集中している場合は、それぞれが別々の表面被害なのか、建物の構造変形によって連動して発生したものなのかを確認する必要があります。
一次調査と二次調査で結果が違っても「査定がおかしい」とは限らない
一次調査で全損見込みと言われ、その後半損になれば、「一度全損と言ったのになぜ下がったのか」と疑問を持つのは自然です。しかし一次担当者の口頭説明が正式な支払決定ではなく、専門的な二次調査を前提とした暫定判断だったのであれば、結果が変わること自体はあり得ます。
例えば一次調査で建物の傾きが大きく見えたものの、二次調査で水平器等を使って測定したところ全損基準には達していなかった、あるいは損傷柱数を詳しく数えると建物全体に占める割合が想定より小さかった、といったケースが考えられます。
反対に一次調査では確認できなかった基礎や柱の損傷が二次調査で見つかり、最終的に全損認定される可能性もあります。つまり二次調査は「全損を半損へ下げるため」だけに行われるものではなく、正確な損害区分を決めるための確認と考えるのが適切です。
地震保険の「全損」と自治体の「全壊」は別物
地震被害では「全損」「全壊」「半損」「半壊」という似た言葉が使われるため、混同されやすい点にも注意が必要です。
地震保険では保険会社が「地震保険損害認定基準」を使って全損・大半損・小半損・一部損などを判定します。一方、市区町村が罹災証明書を発行するときには、国の「災害に係る住家の被害認定基準」など別の基準を使用します。
日本損害保険協会も、地震保険損害認定基準は国の住家被害認定基準運用指針とは異なると明記しています。[参照:日本損害保険協会「地震保険の損害認定に係る基準」]
そのため自治体で「半壊」と判定されたから地震保険も必ず半損になる、あるいは罹災証明が全壊だから地震保険も必ず全損になる、という関係ではありません。
二次調査までに被害写真を残しておく
再調査までの間に余震や雨などによって損傷状況が変化する可能性があります。また安全確保のため応急処置が必要になる場合もあります。そのため、危険のない範囲で被害状況を写真や動画に残しておくと役立ちます。
- 建物全体を四方向から撮影する
- 基礎の亀裂や崩れを近距離と遠距離の両方から撮影する
- 鉄筋が見えている箇所を撮影する
- 柱と床の隙間やずれを定規と一緒に撮影する
- 外壁の亀裂を全体像とアップで撮影する
- 屋内側の同位置にある亀裂も撮影する
- 閉まりにくくなったドア・建具を記録する
- 被害箇所の位置を簡単な間取り図に記録する
特に外壁の表側と浴室内側のほぼ同じ位置に亀裂がある場合には、その位置関係が分かるように記録すると説明しやすくなります。
ただし、建物に大きな傾きや構造損傷が疑われる場合は、記録を取るために危険な場所へ入らないことが最優先です。
応急修理をする前に保険会社へ連絡する
雨漏り防止や倒壊防止など、生活や安全のために応急処置が必要になることがあります。その場合でも、可能であれば修理前に保険会社へ連絡し、損傷状態を十分に記録してから作業します。
調査前にひびを埋めたり壁を交換したりすると、元の損傷範囲を確認しにくくなる場合があります。安全上すぐ修理しなければならない場合には、修理前・作業中・修理後の写真を残し、修理業者の見積書や請求書も保管しておくとよいでしょう。
なお、地震保険の損害認定は修理見積額そのものでは決まりませんが、施工業者による「柱が傾いている」「基礎に構造クラックがある」などの説明があれば、調査時にその内容を保険会社へ伝える材料にはなります。
二次調査では気になる箇所をすべて伝える
調査担当者が建物のすべての損傷を自動的に発見するとは限りません。被災者自身が地震前後の違いを把握している箇所については、遠慮せず伝えることが重要です。
例えば「この柱は地震前には床との隙間がなかった」「浴室の外壁と内壁のほぼ同じ場所に亀裂ができた」「扉は地震前には正常だった」と説明すれば、担当者が関連する構造部を確認するきっかけになります。
一方で「全損にしてほしい」と結論だけを求めるより、「この損傷はどの項目として評価されていますか」「柱の傾斜は測定しましたか」「基礎の損傷範囲はどのように計算しましたか」と確認するほうが、査定内容を理解しやすくなります。
半損になった場合に納得できなければ認定根拠を確認する
二次調査の結果、一次調査の印象と異なり半損などになった場合には、まず保険会社へ損害認定の根拠を確認します。
2016年当時の契約なら、「主要構造部の損害割合が何%だったのか」「軸組、基礎、屋根、外壁をどのように評価したのか」「全損基準の50%に対して何%だったのか」と具体的に尋ねると分かりやすくなります。
現在の契約であれば、同様に全損50%、大半損40~50%未満、小半損20~40%未満、一部損3~20%未満のどこに該当したのかを確認します。
認定に疑問があれば再確認を依頼できる
見落とされた被害がある、説明された損害箇所が査定に反映されていない、調査後に新たな構造損傷が判明したなど、具体的な理由がある場合には契約している保険会社へ再確認を相談できます。
財務省も、地震保険の損害査定は契約している損害保険会社が実施すると案内しています。認定基準や個別査定について疑問がある場合、まず契約先へ問い合わせるのが基本です。[参照:財務省「損害の認定基準について教えてほしい」]
その際は「結果に納得できない」というだけでなく、「基礎東側の亀裂が認定に入っていないように見える」「柱の傾斜について測定結果を確認したい」など具体的な確認点を示すほうが話が進みやすくなります。
具体例|一次調査で全損見込み、二次調査で半損になるケース
2016年以前の契約を例にします。一次調査で、外壁の大きな亀裂、柱の傾き、基礎損傷が確認され、担当者が目視で「全損レベルかもしれない」と判断したとします。
その後の二次調査で、軸組・基礎・屋根・外壁の物理的損傷割合を詳しく計算した結果、主要構造部の損害割合が46%だった場合、正式な基準では50%未満なので全損ではなく半損となります。
この場合、一次担当者が嘘をついたというより、一次調査では境界付近に見えたものを、二次調査で正確に計算した結果と考えられます。
具体例|二次調査で逆に全損が確定するケース
一方、一次調査では外壁のひびや基礎の欠損しか確認できなかったものの、二次調査で建物全体の傾斜や複数の損傷柱が確認されることも考えられます。
詳しい測定をした結果、主要構造部の損害割合が52%となれば全損基準を満たします。この場合は全損として地震保険金額の100%が支払われます。ただし建物の時価額が上限です。
このように二次調査は必ず査定額を下げるための調査ではありません。一次段階では判断しにくい住宅について、最終的な区分を確定させるために行われると考えるとよいでしょう。
記載された被害状況だけから全損・半損を断定できない理由
「通し柱1本が動いた」「基礎が40cm崩れた」「外壁に1〜2cmの亀裂が2本」「聚楽壁に10か所のひび」「扉が閉まりにくい」といった情報は、被害が軽微ではない可能性を示しています。
しかし、地震保険ではこれらの数だけを合計するわけではありません。柱については建物全体の柱本数との割合、基礎については全周長に対する損傷長、外壁については全外壁面積に対する損傷面積など、建物全体との比率が重要になります。
そのため文章だけから「間違いなく全損」「この程度なら半損」と判断することはできません。特に柱や基礎に異常がある住宅では、現地での測定結果が決定的に重要です。
まとめ|二次調査で全損から半損になることはあり得る。柱・基礎・傾斜の評価を確認する
地震保険の一次調査で担当者から「全損になりそうなので専門担当者が再調査する」と言われても、その口頭説明が正式な最終認定でなければ、二次調査によって半損など別の損害区分になることはあり得ます。
2016年の熊本地震当時の地震保険では、主要構造部の損害額が建物時価の50%以上なら全損、20%以上50%未満なら半損、3%以上20%未満なら一部損でした。したがって詳しい調査の結果が49%なら、一次調査で全損見込みと言われていても正式には半損になります。[参照:日本損害保険協会「平成28年熊本地震」]
現在は制度改定により、2017年1月以降の契約では半損が大半損と小半損に分かれています。全損50%以上、大半損40%以上50%未満、小半損20%以上40%未満、一部損3%以上20%未満という基準です。[参照:財務省「地震保険制度の概要」]
木造住宅では、外壁のひびの本数だけではなく、軸組・基礎・屋根・外壁など主要構造部の損傷を建物全体との割合で評価します。通し柱の移動や傾斜、基礎コンクリートの崩壊や鉄筋露出、建物全体の傾斜などは重要な確認箇所となります。[参照:日本損害保険協会「地震保険の損害認定に係る基準」]
二次調査までには、危険のない範囲で柱の隙間、基礎の崩れ、鉄筋露出、外壁と室内側の亀裂、閉まりにくくなった扉などを写真で残しておくとよいでしょう。調査時には「この柱の傾斜はどのように評価されましたか」「基礎の損傷長はどこまで含まれていますか」「主要構造部の損害割合は最終的に何%ですか」と確認すると、全損・半損の認定理由を理解しやすくなります。
また、地震保険の「全損・半損」と自治体の罹災証明における「全壊・半壊」は別の認定制度です。最終認定に疑問が残る場合には、契約先の保険会社へ損害割合と査定根拠を確認し、見落としがあるなど具体的な理由があれば再確認について相談するのが適切です。

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