28歳で金融資産1200万円は少ない?結婚相手の貯金2000万円と比較する前に知りたい貯蓄力の考え方

家計、貯金

20代後半で結婚を控えていると、パートナーの貯金額を知ったことをきっかけに、自分の資産形成が順調なのか気になることがあります。特に自分より年下の相手が多額の預貯金を持っていると、金額だけを比較して焦ってしまうかもしれません。

しかし、28歳で金融資産1200万円を保有しているからといって、貯蓄力が足りないと判断する根拠はありません。しかも一人暮らしをしながら車を購入している人と、実家暮らしの人では住居費などの条件が大きく異なるため、現在の資産残高だけを競争のように比較しても実態は分かりません。

結婚前に本当に確認したいのは「どちらの貯金が多いか」ではなく、二人の資産、負債、収入、支出、投資方針と将来の目標です。ここでは20代の金融資産統計も踏まえながら、結婚前のお金の考え方を整理します。

28歳で金融資産1200万円は少ないとは言いにくい

同年代と比較したい場合には、公的・中立的な統計が参考になります。ただし「28歳男性の平均貯金額」のように条件を細かく限定した統計は少なく、一般には20代などの年代別データを見ることになります。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)は「家計の金融行動に関する世論調査」のデータを公開しています。こうした統計を見る際には、平均値だけではなく中央値にも注目することが重要です。[参照:J-FLEC 家計の金融行動に関する世論調査]

資産額は一部の高資産世帯によって平均値が押し上げられやすいためです。また「金融資産」は単純な銀行預金だけを意味するとは限らず、株式や投資信託などが含まれる場合があります。したがって統計と自分を比較するときには、調査対象や金融資産の定義まで確認する必要があります。

1200万円と2000万円の差だけでは貯蓄力を比較できない

例えばAさんが一人暮らし、Bさんが実家暮らしだったとします。Aさんには家賃、水道光熱費、家具・家電などの負担がありますが、Bさんは家庭によってこれらの負担が大幅に小さい可能性があります。

仮に一人暮らしによって住居費などが実家暮らしより毎月8万円多ければ、年間では96万円、5年間では単純計算で480万円の差になります。実際の負担額は家庭によって異なりますが、生活条件によって数百万円単位の資産差が生まれることは十分考えられます。

さらに車を購入していれば購入代金だけでなく、自動車税、任意保険、駐車場、燃料、車検、整備などの費用も発生します。そのため「1200万円対2000万円」という残高だけを見ても、どちらが優れた貯蓄習慣を持っているのかは判断できません。

比較するなら資産残高より「貯蓄率」を見る

現在の貯金額より、その人のお金の使い方を把握しやすい指標の一つが貯蓄率です。例えば年間手取り収入が500万円で年間支出が350万円なら、年間150万円が残るため、単純化した貯蓄率は30%となります。

一方、2000万円を持っている人でも、現在は収入をほぼすべて使っている可能性があります。逆に現在の資産が500万円でも、毎年200万円ずつ資産を増やせる人なら長期的な資産形成能力は高いと考えられます。

結婚後の家計を考える場合は「今いくら持っているか」と同時に、「毎月いくら入って、いくら使い、いくら残せるか」を確認することが大切です。

現金2000万円と金融資産1200万円は単純比較できない

もう一つ注意したいのが資産の中身です。預貯金2000万円と、預貯金・株式・投資信託などを合わせた金融資産1200万円では、性質が異なります。

預貯金は価格変動が小さく、近い将来に使う結婚費用や住宅資金などを確保するのに適しています。一方、株式や投資信託には元本割れの可能性がありますが、長期的な資産形成に利用できます。

金融庁も資産形成の基本として長期・積立・分散投資について情報提供しています。NISAもそのために利用できる制度の一つですが、NISA自体が利益を保証する商品ではありません。[参照:金融庁 資産形成の基本]

結婚するなら「勝ち負け」ではなく世帯資産として考える

結婚を予定している二人にとって、相手の資産額が自分より多いことは家計上のマイナスではありません。むしろ二人とも十分な資産を形成できているのであれば、結婚後の生活には大きな余裕が生まれます。

例えば一方に金融資産1200万円、もう一方に預貯金2000万円があるなら、単純合計では3200万円です。ただし、結婚したからといって結婚前にそれぞれ形成した財産の所有関係まで自動的に同一になるわけではないため、実際の管理方法は二人で決める必要があります。

大切なのは、互いの資産額を競うことではなく、住宅購入、出産・育児、教育費、車、旅行、老後などについて、どの程度のお金を使い、どの程度残したいのかを話し合うことです。

結婚前に確認しておきたい5つのお金

資産額だけを聞いて安心するのではなく、結婚前には少なくとも次の項目を二人で確認しておくと、その後の家計管理がしやすくなります。

  • 現在の資産:預貯金、株式、投資信託など
  • 負債:奨学金、自動車ローン、カードローン、リボ払いなど
  • 毎月の収支:手取り収入と固定費・生活費
  • 将来の大型支出:結婚式、住宅、出産、教育、車など
  • 資産運用への考え方:現金を重視するか、長期投資も利用するか

例えば貯金2000万円でも借入金が1000万円あれば、純資産という視点では見え方が変わります。反対に金融資産1200万円に加えてローンのない車などの資産があり、負債がゼロなら家計の安定性は高くなります。

そのため「貯金はいくら?」だけで終わらせず、資産と負債の両方を整理するのがおすすめです。

結婚後も全財産を一つの口座にまとめる必要はない

結婚後の家計管理にはさまざまな方法があります。例えば、結婚前の資産はそれぞれ管理し、毎月一定額を生活費用口座へ入れる方法があります。ほかにも、収入に応じた割合で生活費を負担する方法や、共通の貯蓄目標を設定する方法があります。

例えば夫婦それぞれの結婚前資産は個人で管理し、結婚後は毎月20万円ずつ共通口座へ入れる、といったルールも考えられます。住宅購入の頭金を出す場合などは、誰がいくら負担したか記録を残しておくことも大切です。

どの方式が正解というものではありません。収入差、価値観、働き方などに合わせて、双方が納得できる仕組みにすることが重要です。

20代で資産形成できていても現金は一定額残しておく

金融資産が増えてくると、より多くを投資へ回したくなることがあります。しかし結婚前後には引っ越し、家具・家電、結婚式、新婚旅行など短期間にまとまった支出が発生する可能性があります。

数年以内に使う予定のお金や、病気・失業などに備える生活防衛資金まで値動きの大きな資産へ投じると、必要な時期に相場が下落している可能性があります。近い将来使う資金と長期間使わない資金を分けて考えることが大切です。

1200万円という数字だけをさらに増やすことを目標にするのではなく、結婚後の必要資金を現金で確保し、余裕資金について長期的な資産形成を検討するほうが家計全体を管理しやすくなります。

まとめ:28歳で金融資産1200万円なら「足りない」と焦るより結婚後の家計設計を

28歳で金融資産1200万円を持っているという情報だけから、貯蓄力が足りないと評価する必要はありません。まして一人暮らしや車の購入経験がある人と、実家暮らしの人では支出条件が異なるため、1200万円と2000万円という現在残高だけで貯蓄能力の優劣を決めることはできません。

比較するのであれば、年齢別の平均貯蓄額だけを見るより、年間手取り収入に対してどの程度資産を増やせているか、負債はいくらあるか、生活防衛資金を確保できているかを見るほうが実用的です。

そして結婚を予定しているなら、相手の2000万円を「自分が負けた」と考えるより、二人がそれぞれ資産形成できていることを今後の家計の強みに変えるほうが建設的です。結婚前資産の扱い、毎月の生活費負担、住宅購入、子育て、投資方針などを話し合い、二人の純資産と年間収支を継続的に改善していくことが、金額の勝ち負け以上に重要です。

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