自分の普通預金口座へ誰かからお金を振り込んでもらう場合、相手には振込先を特定するための情報を伝える必要があります。一方で、暗証番号やインターネットバンキングのパスワードまで教える必要は一切ありません。
特にSNSやネット上で知り合った相手との取引では、「口座番号だけなら絶対安全」と考えるのも注意が必要です。振込に必要な情報と、絶対に渡してはいけない情報を分けて理解しておきましょう。
銀行振込で相手に伝える基本情報
国内の一般的な銀行振込では、振込先を指定するため、主に金融機関名・支店名・預金種目・口座番号・口座名義が必要になります。
| 情報 | 通常の振込で必要か |
|---|---|
| 銀行名 | 必要 |
| 支店名・支店番号 | 必要 |
| 普通・当座などの預金種目 | 必要 |
| 口座番号 | 必要 |
| 口座名義 | 必要になるのが基本 |
| 暗証番号 | 不要・教えてはいけない |
| ネットバンキングのパスワード | 不要・教えてはいけない |
| ワンタイムパスワード・認証コード | 不要・教えてはいけない |
例えば「○○銀行、△△支店、普通、1234567、ヤマダ タロウ」のような情報が典型的な振込先情報です。相手が自分の口座へ単純に振り込むだけなら、キャッシュカードの暗証番号やログイン情報を伝える理由はありません。
口座名義を伝えると本名は知られる?
個人名義の銀行口座では、口座名義は原則として本人の氏名になっています。そのため、本名を知られたくない相手へ個人の銀行口座を振込先として知らせる場合、口座名義を通じて氏名を知られる可能性があることは理解しておく必要があります。
銀行や振込方法によっては、振込操作中に受取人口座の名義が自動表示されることもあります。そのため、口座名義だけを相手に伝えなければ本名を隠せる、と考えるのも安全ではありません。
本名を知られたくない事情があるなら、個人口座への銀行振込そのものが適切なのかを先に検討した方がよいでしょう。架空名義を相手に伝えたり、自分以外の名義を勝手に使ったりするのは避けてください。
銀行名・支店名・口座番号・名義を知られただけで預金を引き出される?
通常、振込先として必要な銀行名・支店名・口座番号・口座名義を知られただけで、相手が自由に預金を引き出せるわけではありません。ATMでの出金やインターネットバンキングには別の認証手段が必要になるためです。
ただし、だからといって口座情報をインターネット上へ無制限に公開してよいわけではありません。口座情報と氏名、電話番号、住所、生年月日など別の個人情報が組み合わされれば、詐欺やなりすましの材料として悪用されるリスクが高くなります。
警察庁もフィッシング詐欺について、金融機関の口座番号、暗証番号、ワンタイムパスワードのほか、氏名・住所・電話番号・生年月日などを入力させる手口に注意を呼びかけています。警察庁の注意喚起は[参照]できます。
暗証番号だけ守れば大丈夫、ではない
銀行口座を守るうえで暗証番号を教えないことは非常に重要ですが、秘密にすべき情報は暗証番号だけではありません。
インターネットバンキングのログインID・パスワード、ワンタイムパスワード、SMSで届く認証コード、キャッシュカード番号やカードそのものなども第三者へ渡してはいけません。銀行や警察などを名乗る人物から求められても、その場で伝えないことが重要です。
警察庁も、警察官が電話などで暗証番号を含むパスワードを教えるよう求めることはないと注意喚起しています。[参照]
口座を勝手に「売られる」ことはある?
振込先として口座番号と名義を教えただけで、第三者がその銀行口座の所有権を勝手に移したり、正規に売却したりできるわけではありません。ただし、別の意味で「口座を使わせてほしい」「キャッシュカードを送ってほしい」「ネットバンキングへログインさせてほしい」などと要求された場合は非常に危険です。
金融庁は、通帳・キャッシュカードを売却、譲渡、貸与したり、インターネットバンキングのログイン情報を教えて口座を他人に利用させたりする行為について注意喚起しています。[参照]
さらに2026年には犯罪収益移転防止法が改正され、預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則も引き上げられています。警察庁の解説は[参照]できます。口座を売る・貸す行為は「ちょっとしたアルバイト」では済まない問題です。
「お金を受け取るだけ」のはずなのに追加情報を求められたら要注意
通常の銀行振込でお金を受け取るために、相手へ暗証番号やワンタイムパスワードを知らせる必要はありません。「送金するためにSMS認証コードが必要」「受取確認のためネットバンキングへログインして」「キャッシュカードの写真を送って」と要求された場合は、その時点で手続きを止めるべきです。
また、「あなたの口座にいったんお金を振り込むので、別の口座へ送金してほしい」「報酬を払うので口座を貸してほしい」といった話にも注意が必要です。犯罪で得た資金の移動などに利用される危険があります。
警察庁は、SNSなどを通じた犯罪実行者募集への注意喚起の中で、口座を売買することは犯罪だと明示しています。[参照]
知らない相手から振り込んでもらう場合の安全チェック
友人や勤務先など信頼関係のある相手なら通常の振込先情報を伝えることで問題ありませんが、SNSやフリマ外取引など素性の分からない相手の場合は慎重に判断しましょう。
最低限、「なぜ振り込まれるお金なのか」「相手は誰なのか」「振込後に別の場所へ送金するよう要求されていないか」を確認します。理由が曖昧な入金を受け、その後に別口座へ送金するよう頼まれた場合は、指示に従わない方が安全です。
また、口座情報を伝えるなら必要な項目だけに限定し、本人確認書類の写真、マイナンバーカード、キャッシュカードの画像、暗証番号、ログイン情報などをセットで渡さないことが重要です。
まとめ|振込先情報は教えても暗証番号・認証情報は絶対に教えない
普通預金口座へ振り込んでもらう場合、一般的には銀行名・支店名・預金種目・口座番号・口座名義を相手へ知らせます。個人口座では口座名義から本名を知られる可能性があるため、本名を絶対に知られたくない相手との取引では銀行振込が適しているかを考える必要があります。
一方、通常の振込を受け取るだけなら、暗証番号、ネットバンキングのパスワード、ワンタイムパスワード、SMS認証コード、キャッシュカードそのものを相手へ渡す必要はありません。「入金するために必要」と言われても教えないでください。
そして「暗証番号さえ教えなければ何をしても安全」というわけでもありません。必要以上の個人情報を渡さず、不審な相手から口座の貸与や転送・送金を求められた場合は取引を中止することが重要です。すでに重要な認証情報を渡してしまった場合は、速やかに利用している金融機関へ連絡し、必要に応じて警察へ相談しましょう。


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